静岡県袋井市役所の多文化共生推進課で働く十朱さんのインタビュー記事です。
皆さんは、市役所で働く職員がどんな仕事をしているか知っていますか?実は国際交流や多文化共生といった分野も市職員としての大切な業務です。
今回は、若くして日本語教室の運営や「やさしい日本語」の推進など、多文化共生社会の実現に向け奮闘する十朱さんの仕事への思いのほか、袋井市で働く魅力をご紹介します。
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
十朱:袋井市の出身で、大学は県内の国際関係学部に進学しました。国際交流や多文化共生について学び、外国の言語や文化に触れる機会が多くありました。大学を卒業後、令和5年に袋井市役所に入庁しました。
入庁後、協働まちづくり課外国人活躍・共生社会推進室に配属されました。組織の見直しにより、現在は多文化共生推進課多文化共生係と名称が変わっています。

ー公務員を志したきっかけを教えてください。
十朱:中学生の頃から漠然と「公務員っていいな」と思っていました。卒業文集にも「公務員になりたい」と書いていたくらいです。、最初は単純に「公務員」という言葉の響きとか、市民の為に働くといった、奉仕の精神みたいなところに惹かれていたのだと思います(笑)
大学で就職活動をする中で、民間企業の説明会にも参加したことはあるのですが、自分の働きが市民の利益に繋がる「公共の利益」というところに魅力を感じ、改めて公務員を志望するようになりました。
ー袋井市役所を志望した理由を教えてください。
十朱:袋井市役所の合格発表時期が早かったことが大きな理由の一つです。私が就職活動をしていた際、多くの自治体が9月頃に合格発表をしているのに対し、袋井市はなんと6月に合格が決まるスケジュールでした。合格が早く決まることで、残りの学生生活にも余裕が持てました。
もちろん地元袋井市役所で働きたいという思いも強かったため、袋井市役所を第一志望に就職活動をしていました。民間企業はいくつか受験していましたが、いずれも地域密着型の企業を中心に選んでいました。
ー就職活動を振り返ってみて、自身が行った対策や、これから受験する人におすすめの対策などはありますか?
十朱:SPI試験対策として、参考書を買って練習問題をたくさん解いていました。面接練習は、民間企業の選考を受けていたこともあり、実践経験を積みながら対策をしていました。
今振り返ると、二次試験のグループディスカッションの練習をもっとしておけばよかったと思っています。
私は、グループディスカッションでの司会やタイムキーパーなど、どの役割が自分に合っているかわからないまま挑んでしまいました(笑)これから就職活動をする方は、自分に合った役割を見つけて練習しておくと、自分のことをPRしやすくなるかと思いますよ。
ー十朱さんが担当している業務について教えてください。
十朱:袋井市では多くの外国人住民が暮らしています。日本人と外国人が相互理解し、地域で支え合って生活できるよう、多文化共生の推進に関する業務を担当しています。主に外国人向けの日本語教室の運営や、市民や職員向けに「やさしい日本語」の推進に取り組んでいます。

ー「やさしい日本語」とはどのようなものでしょうか?
十朱:「やさしい日本語」は、外国人にも分かりやすいように、小学校低学年くらいの子どもにも理解できるような言葉で話す・書くというものです。
例えば、「高台に避難してください」を「高いところに逃げてください」と言い換えるなど、普段私たちが何気なく使っている言葉を見直すことで、外国人の方が地域で安心して暮らすことができ、日本人と外国人のコミュニケーションも円滑にすることができます。地域でのコミュニケーションや市役所内での文書作成で「やさしい日本語」を活用してもらえるように意識啓発を行っています。
ーそれは素敵な取り組みですね。具体的にどのようにして意識啓発をしているのでしょうか?
十朱:主にセミナーや研修会を開催しています。地域向けには多文化共生について学ぶ「地域共生セミナー」を開催したり、職員向けにも「やさしい日本語」研修会を実施したりして意識啓発しています。
「やさしい日本語」の取組の他にも、「はじめての日本語ひろば」という日本語教室の運営を通じて多文化共生の意識啓発に取り組んでいます。この教室は、日本人と外国人がペアになって日本語で対話交流をすることで、相互理解を深めながら、外国人にとっては日本語の習得、日本人にとっては外国人への理解に繋がる場となっています。教室の運営だけでなく、日本語教師の方など、様々な人と関わりながら教室を作り上げていく過程はとても楽しいですね。


ーこれまでで印象に残っているような業務はありますか?
十朱:やはり、今お話しした「はじめての日本語ひろば」の運営ですね。参加者が楽しそうに会話している姿を見て、多文化共生社会の実現に向けて自分が貢献できていることを実感しました。この教室は年に12回開催していて、去年初めて担当し、引き続き今年も開催することができました。来年も開催予定で、準備を進めているところです。
教室に参加する外国人の皆さんは、日本語が全く分からない方や挨拶程度しかできないという方がほとんどですが、この教室を通じて少しでも日本語に慣れてもらうこと、そしてもっと日本語を学びたい、地域で活動してみたいと思ってもらえるきっかけになればと思っています。
ー十朱さんが、市職員として働くやりがいを感じる瞬間について教えてください。
十朱:市民の皆さんと直接触れ合い、自分の仕事が誰かの「楽しい」や「なるほど」に直結していると感じられる時にやりがいを感じます。イベントの準備は大変なこともありますが、参加者の笑顔を見ると、頑張ってよかったと思えます。

ー公務員になる前と後で、考え方が違った部分はありますか?
十朱:公務員は固い仕事で、ルーチンワークが多いと思っていましたが、実際はそんなことはありませんでしたね。地域をより良くするためにはどうすればいいかを考え、アイディアを出しながら仕事を進めています。
周りの方々も親身になって相談に乗ってくれて、新しいことにも挑戦しやすい環境です。上司も「いいね!」「やってみようか!」と後押ししてくれるので、とても心強いです。自分がやりたいと思っていたことが形になることも多く、当初思っていた「公務員」としての働き方とは、いい意味で違いましたね。
ー入庁後、苦労したことはありますか?
十朱:私はパソコンの扱いに苦労しました。今の若い世代はスマホやタブレットを使うことが多いので、パソコンに慣れていない人が多いかもしれません。私も、市役所でこんなにパソコンを使うのであれば、大学時代にパソコンの効率的な使い方をもっと学んでおけばよかったと思っています(笑)
また、メールや電話、窓口対応など、社会人らしい言葉遣いや言い回しを身に付けるのも大変でした。周りの方の話し方を真似つつ、少しずつ覚えていきました。
ーワークライフバランスはいかがですか?
十朱:袋井市役所は休みが取りやすい環境です。現在はイベントなどを担当しているため土日勤務となることもありますが、その分は振替として平日に休むことができます。上司も仕事の進み具合を見ながら「休めるときに休んでね」と言ってくれるので、とてもありがたいですね。
有給休暇や特別休暇なども取りやすいので、ワークライフバランスはしっかり取れていると感じています。新人は休みが申し出にくいというイメージがあるかもしれませんが、袋井市役所ではそんなことはありません。「年休を取りたい」と言う前から上司が声をかけてくれるので、本当に気兼ねなく休むことができています。

ー袋井市の魅力を教えてください。
十朱:袋井市はちょうどいい規模感で、生活しやすいまちだと感じています。私も大学時代は市外で一人暮らしをしていたことがありますが、やはり袋井市は人も温かく、暮らしやすいと改めて実感しましたね。また、若い人が多く、活気のあるまちです。子育て世代も多いので、若いファミリー層にとって住みやすい環境だと思います。


ー最後に求職者の方にメッセージをお願いします。
十朱:袋井市役所は、本当に温かい人がたくさんいる職場です。困ったことがあれば、いつでも相談できる環境なので、安心して働くことができますよ。
ぜひ一緒に、袋井市を盛り上げていきましょう!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年1月取材)