静岡県袋井市役所で働く川村さんのインタビュー記事です。
生まれ育った袋井市に貢献したいという想いが強く、県外の大学に進学したものの、卒業後は袋井市で働くことを決めていたようです。
そんな川村さんに、多様な部署を経験する中で感じた仕事のやりがいや、入庁前との考え方の変化、そして子育てしつつも働きやすいという職場環境について伺いました。
若手の挑戦を後押しする、温かい職場環境の魅力が伝わる内容となっています。
- 「ここで働きたい」。地元への愛着が導いた公務員の道
- スポーツ、子育て、農業。多様な経験が成長の糧に
- 「お堅い」は思い込み?風通しが良く、温かい職場環境
- 3ヶ月の男性育休も取得。仕事と家庭、どちらも大切にできる働き方
- 若手の「やってみたい」が形になる。未来の後輩へのメッセージ
「ここで働きたい」。地元への愛着が導いた公務員の道
ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。
川村:出身は袋井市で、大学以外はずっと袋井市で育ちました。大学は都内の大学に進学し経済学部で経済を学んでいました。小中高と市内の学校に通っていたこともあり、地元への愛着が非常に強かったですね。
また、祖父母も含め家族が皆市内に住んでいるので、大学卒業後は袋井市に戻り、地域の為に働きたいという想いはずっとありました。
ー東京の大学に進学されたとのことですが、そのまま都内で就職しようとは思わなかったのですか?
川村:東京はイベントごとも多く、袋井市ではできないような経験が様々あり、とても刺激的だったのですが、やはり人との繋がりという面では、生まれ育った地元の方が強いと感じていました。そのため、大学の4年間も「就職は袋井市で」という気持ちは変わりませんでしたね。
せっかく地元で働くなら、一番地域に貢献できるのは市役所だろうと考え、袋井市役所を第一志望で考えていました。
ただ、絶対に受かるという保証は無かったため、市内の民間企業や近隣の農協なども併願していました。
ー「袋井市のために働く」が第一だったのですね。採用試験に向けて、どのような対策をされましたか?
川村:当時はいわゆる公務員試験があったので、大学で開講されていた公務員試験対策の講座を受講していました。面接対策は、一般企業で働いている姉に協力してもらい、『こんなことを聞かれるのではないか』と想定問答を繰り返しながら練習しました。
どちらかというと、筆記試験よりも面接の方に力を入れていた記憶があります。
ー面接では、準備したことが活かせましたか?
川村:はい。基本的な質問は練習どおりスムーズに答えられたのではないかと思います。ただ、面接で意識していたのは決めてきた台詞を語ることではなく、「自分らしく話すこと」です。
そのため、事前の練習でもガチガチに回答を固めるのではなく、その場で聞かれたことに対して、自分の言葉で素直に話すことを心がけていました。そのおかげで、本番も普段の自分らしく、リラックスして臨めたかなと思います。
スポーツ、子育て、農業。多様な経験が成長の糧に
ー入庁してから、どのような部署を経験されましたか?
川村:最初の配属は「スポーツ推進課(現・スポーツ政策課)」でした。親子で参加できる運動イベントを企画したり、地域のスポーツを推進する「スポーツ推進員」の方々と連携して、市民の皆さんが運動できる機会を作る仕事をしていました。その他、スポーツ施設の整備や維持管理も担当していましたね。
次の配属は「すこやかこども課(現・教育保育課)」で、保育園の入園に関する手続きなどを担当していました。ちょうど私が在籍していた時に、新しいこども園を建設するプロジェクトがあったので、園整備に伴う補助金申請や支払いに関する手続きなどを担当し、ゼロから施設が出来上がっていく過程に携わることができました。
そして現在が3箇所目で、今は農政課に所属しています。入庁10年で3部署、しかもそれぞれ異なる分野なので、とてもバランスよく経験できているのかなという印象ですね。
ー現在の農政課では、具体的にどのようなお仕事をされているのですか?
川村:主に、農地利用係として農地の活用に関する業務を担当しています。
例えば、「農業振興地域整備計画」という計画の変更に基づいて、俗に「青地」と呼ばれる農地を、転用可能な「白地」に変更する手続きや、農地を宅地などに転用する際の許認可業務を行います。
農業委員会と連携して現地調査を行い、周辺の農地に影響がないかなどを確認した上で農業委員会を開催し、許可を出します。「許認可」という市役所ならではの仕事なので、まさにイメージするような公務員の働き方を実感できるような業務内容ですね。
ーこれまでで、特に印象に残っている仕事やエピソードはありますか?
川村:やはり、すこやかこども課で担当したこども園の設立プロジェクトですね。
複数の補助金を組み合わせて事業を進める必要があったので、対象の経費の算出などが非常に大変だったことを覚えています。ですが、苦労した分、建物が完成して実際に園が開園した時の達成感は大きかったです。
自分が携わったものが形になり、これから子どもたちが利用していくんだなと思うと、本当に嬉しかったですね。前任の方が立ち上げた計画を引き継いだ事業ではあったのですが、自分が担当した3年間で、事業の開始から完成までを見届けられたのは、とても貴重な経験でした。

「お堅い」は思い込み?風通しが良く、温かい職場環境
ー入庁前、公務員に対してどのようなイメージを持っていましたか?
川村:正直に言うと、「お堅い」とか「ガチガチ」というイメージが強かったです(笑)
市民からの要望に対しても、あまり柔軟に対応できない、振り幅の少ない仕事なのかなという印象を持っていました。そもそも、市民課の窓口業務や、市主催のスポーツイベントなどを外から見たことしかなかったので、市役所の仕事について詳しいことはあまり分かりませんでした。
ー実際に入庁してみて、そのイメージは変わりましたか?
川村:これは180度変わりました!持っていたイメージとは逆で、常に市民目線に立ち、どうすれば力になれるかを考える、とても丁寧な仕事だと感じました。
今の許認可業務でも、ただ「できる・できない」を伝えるだけでなく、「できないけれど、こういう方法ならどうですか」と、できる限り相手の希望に添えるような提案を心がけています。
ー職場の雰囲気は「お堅い」でしたか?
川村:一言で言うと「明るくてアットホーム」ですね。上司や先輩も本当に優しくて親切で、気兼ねなく話せる雰囲気です。
もちろん自分で調べることも大切ですが、分からないことがあればすぐに相談に乗ってくれますし、アドバイスももらえます。上司に対しても自分の意見はしっかり言えるので、意見が言いづらくて仕事がやりにくくなるようなことは全くありません。
風通しの良い、働きやすい環境だと思います。
ー職員を育てる、教育制度についてはいかがでしょう。
川村:袋井市には、新採用職員に1対1で指導員がつき、業務をサポートする制度があります。私も去年、新採用職員の「指導員」を担当しました。
指導員任命後すぐに研修もあって、どういう心構えで後輩と接すれば良いかなどを学べましたび。教える立場になることで、自分自身の仕事を見つめ直す良い機会にもなりましたし、新採用職員が「何が分からないのか」を知ることで、「市民の方には、もっとこう伝えれば分かりやすいな」と、新たな気づきも得られました。
新採用職員にとっても、指導員がつくことは安心感につながるのではないでしょうか。同僚や上司に相談することももちろん良いのですが、仕事面やそれ以外のこと、何でも相談できる人が身近にいるというのは、働く上ではとても大切なことだと思います。
3ヶ月の男性育休も取得。仕事と家庭、どちらも大切にできる働き方
ーワークライフバランスについてお伺いします。子育てをしながらの働きやすさはいかがですか?
川村:非常に働きやすいと感じています。残業に関しては、上司が業務量を気にかけ、「なるべく残業しないで早く帰ろう」と声をかけてくれますし、「周りが残っているから帰りにくい」という雰囲気は一切ありません。仕事とプライベート、どちらも大切にできる環境が整っていると思います。
子育てとの両立についても、子どもが急に熱を出した時など、気兼ねなく休みを取って帰ることができますし、幼稚園の参観会といった行事にも、仕事を調整して参加できています。周りの理解があるので、子育てに関して困ったことは特にありません。
ー川村さんご自身も、育児休業を取得されたそうですね。
川村:はい、2人目の子どもが生まれた時に、3ヶ月間の育児休業を取得しました。上司に相談した際も、一言目に「まずは家庭を優先してね」と快く送り出してくれて、後ろ髪を引かれるような思いは全くなかったです。
育休中は正直思っていた以上に大変でしたが、それ以上に楽しかったですね。生まれたばかりの子どもと密に関われる時間は、その時しかない本当に貴重なものです。家族と過ごすかけがえのない時間を経験できて、本当に良かったと思っています。
最近では男性が育児休業を取得することも当たり前になってきていて、取得する人も多くなりましたね。
若手の「やってみたい」が形になる。未来の後輩へのメッセージ
ー改めて、川村さんが感じる袋井市の魅力を教えてください。
川村:都会に比べて、のんびりとした時間が流れているところですね。市民寄りの温かいイベントも多いので、生活する場所としてとても魅力的だと思います。
また、“はったさん”(法多山尊永寺)や、大きなイベントが開催されるエコパスタジアムなど、のんびりしつつも人が集まるような場所があるのも良いところですね。


ー最後に、これから袋井市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
川村:袋井市役所は、本当に職場環境が良い場所です。職員同士が気兼ねなく話せるアットホームな雰囲気があります。
そして何より、若手職員の「やってみたい」という気持ちを尊重し、後押ししてくれる風土があり、実際に若手職員が企画したお茶のイベントが開催された実績もあります。
市の為になることであれば、年齢に関係なく、自分の行動力次第で企画を実現させることができる。そんな挑戦できる環境が、袋井市役所にはあります。
地元に貢献したい、新しいことにチャレンジしたいという熱意のある方と、一緒に働ける日を楽しみにしています!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)