静岡県袋井市役所で専門職として働く長谷川さん(土木技術員)と山下さん(電気技術員)のインタビュー記事です。
大学卒業後、土木一筋でキャリアを積んできたベテランの長谷川さんと、医療職から電気工事業界を経て電気技術員として入庁した経歴を持つ山下さん。対照的なお二人に、それぞれの専門分野での仕事内容についてお話を伺いました。
二人のキャリアパス。専門職としてのスタート。
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
長谷川:私は平成10年に入庁しました。大学を卒業後、新卒で当時の浅羽町役場に入り、その後、市町村合併を経て袋井市の職員になりました。
職種はずっと土木です。現在は水道課の水道工事係で、係長を務めています。
山下:私は高校卒業後に医療系の専門学校に進学し、作業療法士として5年間働いていました。
その後、電気工事の仕事に興味を持ち、思い切って電気工事会社に転職して5年間経験を積みました。そこでは、電気工事の現場で作業員としての施工や施工管理として工程・品質・安全管理等を実施する傍ら、電気関連の様々な資格取得にもチャレンジしました。
その後、より公共性の高い仕事にキャリアアップしたいと思い採用試験を受験し、今年の4月、袋井市役所に電気技術員として入庁しました。

ー長谷川さんはなぜ市の土木職を選ばれたのでしょうか?
長谷川:大学で土木の分野を学んでいたのですが、実は公務員の道は親の影響も大きいんです。私の親は公務員ではないですが、公共性の高い仕事に就いていたので、自然と公務員を選択肢の一つとして考えるようになりました。
大学進学の際に、土木という分野が社会の基盤を支える重要な仕事だと知り、その中でも特に公共性の高い立場で働きたいと思い、この道を選びました。
ー山下さんは医療職や電気工事会社を経験されているようですが、なぜ袋井市に転職したのでしょうか?
山下:正直に言うと、公共性の高い仕事に興味はありましたが、どうしても公務員になりたいというわけではありませんでした。
前職での経験を生かしてキャリアアップしたいと考えていたところ、たまたま、自分自身が募集要件をクリアしている採用試験を見つけたので、挑戦してみました。
見つけたタイミングもちょうどよく、出身は磐田市ですが、袋井市にものすごく“縁”を感じています。
インフラを支える仕事。水道課での業務内容とは。
ー現在お二人が所属する水道課では、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?
長谷川:土木職としての私の主な仕事は、水道管の更新工事に関する業務全般です。古くなった水道管を新しいものに入れ替えるための設計から、実際の工事の監督までを担当しています。
また、突然の漏水事故などが発生した際には、迅速に業者を手配し、現場の対応を指揮するのも重要な仕事です。その他にも、各家庭に水道を引き込む「給水工事」の設計図面の確認や、工事が適切に行われているかの検査など、業務は多岐にわたりますね。

山下:電気職の私は、水道施設には水を送るためのポンプや制御盤など多くの設備があるので、それらの定期的なメンテナンス計画を立てたり、故障が発生した際には現場に駆けつけて原因を調査し、修理業者への手配を行ったりをしています。
一般的には機械職と電気職で区別されることも多いかと思いますが、袋井市では機械職がいないため電気職が水道設備の維持管理を一通り担います。
とはいうものの、まだ、入庁したばかりですので、現在は、市内の水道設備等について必死に勉強しているところです(笑)

ーお二人とも、デスクワークと現場仕事の割合はどのくらいですか?
長谷川:時期にもよりますが、デスクワークの方が多いですね。設計や書類作成が中心ですが、工事が始まれば、現場と市役所を行き来する日々になります。
山下:私もデスクワークは結構ありますね。市役所に入る前に自分自身がイメージしていた以上に多いと感じています。工事や修繕の発注業務などの専門職としての事務の他、県や庁内の他の課からの調査への回答の作成など市役所職員としての事務もあります。
土木技術員や建築技術員もそうだと思いますが、専門職といいつつも、デスクワークが多いものと予め認識しておいた方が良いと思います。
ー山下さんは、袋井市で初めて電気職として採用されたそうですが、電気職を採用することとなった経緯を教えていただけますか?
長谷川:これまでは現業職の方が現場設備の維持管理をしていたのですが、定年退職を迎えることとなったので、今後維持管理をする専門知識を持った職員も必要になるだろうということで募集にいたりました。
設備の維持管理については、専門業者に委託していますが、業者への発注時や修繕の指示を出す場面などでは、専門的な知識やスキルを持った職員が必要不可欠であると考えています。
南海トラフ地震といった災害の可能性もあるので、災害発生時の迅速な対応や安定的な水道水の供給など、適切な運用ができるような体制構築に繋げることも採用した目的のひとつです。

ー山下さんは実際に電気職として働いてみて、イメージしていた働き方とギャップはありましたか?
山下:ありましたね。電気職といえばもっと配電盤の前にいて、計器を使って状態を確認するような、専門的な作業が多いと想像していました。
実際のところは、先ほど話したようにデスクワークも多いですし、電気設備に限らず所管設備全般の維持管理をしているため、業務の範囲の広さを感じています。
覚えることは多いですが、いずれの業務も市民生活に直結している大事な業務なので、現在は、どのような業務にも対応できる知識やスキルの習得に努めています。
市民の当たり前を守る仕事
ー専門職として働くうえで、どのような時にやりがいを感じますか?
長谷川:やはり、自分たちが手がけた仕事が形になり、市民の生活基盤を支えていると実感できた時ですね。特に、南海トラフ地震などの災害に備えて、水道管の耐震化を進める事業は非常に重要です。
有事の際にも水の供給を絶やさない、そんな安全なまちづくりに貢献できることに、やりがいを感じています。
山下:まだ入庁して3ヶ月なので、電気技術員としてまだまだ経験してない業務も多く、長谷川さんのように大きなことは語れないですが…。
現在行っている業務ひとつひとつを通じて、市民生活に直結している仕事であると日々感じています。今後、経験を積み重ねていく中で、大きなやりがいを見出していきたいですね。
ー前職での経験は袋井市でも活かされていますか?
山下:そうですね。電気工事の専門用語や現場の状況がわかるので、業者さんと話が通じやすいというのはあります。
的確な指示が出せますし、相手の言っていることもすぐに理解できるので、そこは前職の経験が役に立っていると思います。
実践で学ぶ環境。とにかく現場へ。
ー入庁後の教育体制について教えてください。専門職の場合、どのように仕事を覚えていくのでしょうか?
長谷川:基本的にOJT(On-the-Job Training)が中心です。全ての職種共通の新規採用職員研修はありますが、電気技術員としての特別な研修制度があるわけではなく、現場で実践しながら仕事を覚えていくスタイルですね。
私たちの職場には、退職後も会計年度任用職員として力を貸してくれている大ベテランの職員がいるので、その方々のサポートを受けながら、現場のことを学ぶこともできます。
山下:私も入庁して最初の1ヶ月は、先輩方と一緒に、市内の水道施設をひたすら回って場所と設備を覚えていました。結局のところ現場経験が必要なので、研修などで学ぶのではなく、現場に慣れていくしかないですね。
ー技術職というと少し堅いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、職場の雰囲気はいかがですか?
長谷川:袋井市役所の技術職員は、基本的に同じフロアに集まっているので、部署を超えて顔なじみが多いですね。異動があるので、業務や係のメンバーは変わりますが、すでに関係性を構築できた職員と仕事ができますし、全体として和気あいあいとした雰囲気だと思います。
山下:同じ課やフロアには技術職以外の職員も多くいますが、職種や年代の垣根は特に感じないです。
技術職だからといって特別な雰囲気はなく、みんな親切に仕事を教えてくれますし、特に自分たちの係の雰囲気はすごく良いと感じます。
未来の仲間へ
ーこれから技術職を目指す方に向けて、どんな人に来てほしいですか?
山下:幅広い分野に興味を持って前向きに取り組める方や突発的な出来事にも冷静に臨機応変に対応できる方は向いていると思います。
あとは、夏の現場は暑いので、暑さへの耐性やタフさも必要かもしれませんね(笑)
長谷川:特別なスキルや経験は、入庁時点では必須ではありません。私自身も、働きながら学んできたことばかりです。
「学びたい」という意欲と、物事を最後までやり遂げる責任感があれば、どんな方でも活躍できると思います。
ー最後に、求職者の皆さんへメッセージをお願いします。
長谷川:技術職は非常に重要でやりがいのある仕事です。ぜひ、私たちと一緒に安全・安心なまちづくりをしていきましょう。
山下:自分自身も入庁してまだ3ヶ月ですので、分からないことばかりです。
ただ、袋井市内の重要なインフラを支えるやりがいある仕事であることは間違いありません。袋井市の未来のために、一緒に成長していきましょう。
ー本日はありがとうございました。
取材:パブリックコネクト編集部 (2025年7月取材)
整理・編集:袋井市役所総務課いきいき人材育成係