「せっかく仕事するなら、明るく楽しくやろうよ」
そう語るのは、袋井市役所総務部総務課で総務課長として働く矢内さんです。1995年の入庁以来、税務・農業・デジタル・財政と幅広い部署を歩み、昨年度から総務課長として、人事全般を担っています。30年以上にわたって地元・袋井市に根ざし、市職員としてだけでなく、一市民として地域の行事などにも深く携わってきた矢内さんに、袋井市で公務員として働くことの魅力や仕事への向き合い方について、たっぷりとお話を伺いました。
- 生まれも育ちも袋井。地元で働くことを選んだ理由
- 税・農業・デジタル・財政…異動のたびに広がったキャリアの地図
- 直接「言葉」で伝える。総務課長として大切にするコミュニケーション
- 所属を越えて助け合える組織。袋井市役所の風土と、未来の仲間へ
生まれも育ちも袋井。地元で働くことを選んだ理由
ー生まれも育ちもずっと袋井市とのことですが、これまで「外へ出よう」という考えはなかったのですか?
矢内:あまりなかったですね。友達は都会に憧れて大阪や東京に行った子も多かったんですけど、私はそういう意識があまりなかったです。地域でこうして暮らしていく方が、自分に合っているんじゃないかと思っていました。
ー袋井市の魅力はどんなところに感じていますか?
矢内:非常に住みやすいところですね。欲しいものが不自由することなく手に入りますし、スーパーや飲食店も充実しており、生活に困ることはありません。
都会でも田舎でもなく、渋滞もそんなに発生することはありません。自然が多いため空気もおいしいかもしれないですね(笑)
若い頃は浜松など、繁華街まで飲みに行くことも多かったですが、最近ではもう市外まで飲食に行くということも少なくなりましたね。袋井市内だけで、生活の多くがまかなえています。
ーそんな矢内さんですが、どうして市役所で働くことを選択したのでしょうか?
矢内:生まれ育った地域のために働きたいという思いはもちろんあったのですが、実は、「お祭り」も大きな理由の一つなんです。
袋井を含む中東遠地域はお祭りがとても盛んで、私も生まれたころからずっと地域のお祭りに携わってきました。二輪屋台を引っ張りながらお囃子(はやし)を演奏するお祭りで、子どものころ地元の方に笛や太鼓を教わっていました。今では自分が子どもたちに教える側になって、一昨年には10人目となる笛の弟子もできました。


そんなお祭りに参加するためには、休みがしっかり取れる職場が良いかなと思ったんです。大学で進路を考える上で、市役所だったら安定的に、そして地域行事にも参加しやすいだろうな、と思ったのが市役所を志望したきっかけの一つです。

税・農業・デジタル・財政…異動のたびに広がったキャリアの地図
ー入庁から30年、さまざまな部署をご経験されてきたと伺いました。これまでのキャリアを簡単に教えていただけますか?
矢内:私はこれまで、財政部門に12年、デジタル部門に10年のキャリアを主軸に、様々な事業部門を歩んできました。
スタートは税務部門での確定申告などの税務や、農業部門でのお米の生産支援といった、まさに地域や市民と直接関わる現場でした。その後デジタル部門へ異動となり、当時はまだ自分でプログラミングをするような時代から広くシステムに触れてきました。
その後、財政や環境政策を経て、再びデジタル部門に戻った際は、自治体DXやオープンデータ、システム標準化といったまさに時代の変革期を経験することができました。最終的に再び財政に戻り、財政課長を経て、昨年度から総務課長を拝命しております。
ーデジタルにも財政にも「戻ってきた」というのが印象的ですね。それぞれ新たなポジションで戻ってきたということでしょうか?
矢内:その通りです。最初は担当として経験を積んで、次は係長や課長として戻る、というかたちでしたね。
ーかなり幅広い分野を経験されておりますが、とくに印象深いと感じる部署はありましたか?
矢内:やっぱりデジタルと財政の二つですね。どちらも長く関わりましたし、何より素晴らしい上司にも恵まれました。
デジタル部門では、庁内システムをオープン化していく切り替えのときに、当時の上司と一緒に様々な先進地へ視察に行ったりもしました。その課長はとても前向きな方で、普段から「せっかく仕事するなら明るく楽しくやろうよ」という言葉をかけていただいていました。今になって思っても、この言葉や考え方にはすごく刺激を受けましたね。
財政部門では、厳しく、かつ公平な視点で物事を見ることの大切さを上司から教わりました。市民が直接の対応先ではなく、基本的には職員を相手とする業務でしたが、「正しい厳しさ」みたいなものを身に付けることができました。
この二人の上司のおかげで、今の自分が市職員として大切にしていることの「軸」ができたと思っています。
ーこれまでの「異動」について振り返ってみると、どのような印象をお持ちですか?
矢内:異動は“転職”とか、マイナスのイメージを持つ方も多いかもしれませんが、どちらかというと、私は異動してよかったというプラスの気持ちの方が強いですね。
希望通りの異動ではなく、タイミングとしても「え、今異動なの?」ということももちろんありましたが、いざ異動してみると、毎回自分が知らなかった業務や考え方に出会うことができましたし、本当に自分の成長につながることばかりでした。
大変だったからこそ、今振り返るといい経験をさせてもらったと思えます。

直接「言葉」で伝える。総務課長として大切にするコミュニケーション
ー現在、総務課長として仕事をされる上でどんなことを大切にされていますか?
矢内:総務課長だからというわけではないのですが、これまでずっとブレていないのは、「せっかく仕事するなら明るく楽しくやろう」ということと、「段取り八分」でしっかり準備して仕事に臨むことですね。
それから、家族でもパートナーでも同僚でも友人でも、大切な人を大切にするからこそ、仕事のやりがいが生まれる、という想いは常に持っていて、周囲の仲間にも持ってもらいたいと思っています。
ーそういった想いを実現するために、日頃から工夫されていることなどはありますか?
矢内:総務課長になってから、職場の全員を上司部下関係なく「さん」付けで呼ぶようにしました。新規採用で入った職員も、係長も、男性も女性も、全員「○○さん」と呼んでいます。気遣いというわけではないのですが、誰でも対等に話をしてもらいたいんです。
また、週に一回くらい、チャットやメールなどのコミュニケーションツールではなく、直接声に出して職員と会話をする機会を設けるようにしています。たとえば5月の連休明けだったら「ゴールデンウィーク、楽しかった?これから5月病に気をつけようね」みたいなことを自分の口で直接伝えるんです。
ーとても素敵な取り組みですね。若手の方とコミュニケーションを取るときの心がけなどはいかがでしょうか?
矢内:まずは「話を聞く」ことを大切にしています。上司だからといって、こちらから話しすぎないということですね。
あとは、仕事の事だけでなく、ちょっとくだらない話を振ってみたりとか、何でも話してもいいんだという雰囲気を心がけています。それから、「SOUNDカード」というツールも使っています。「あなたが最近グッと来たことは何ですか?」「あなたの中でもやもやしていることは何ですか」といった問いかけが書かれたカードを机に並べて、一枚引いてもらってそのテーマに沿って話をしてもらうんです。テーマに当てはまれば、仕事でもプライベートでもいいんです。

こちらから「最近どう?」と聞いても、「大丈夫です」と特に会話が弾まないこともあるのですが、このカードを使うと不思議なくらい話題が出て来るんですよ(笑)「パートナーとうまくいかなくて」とか「そういえばアイドルのコンサートに行ったんです」とか本当に様々ですね。直接質問するより、話し手としてもずっと話しやすいみたいで、面談ではよく活用するようにしています。

所属を越えて助け合える組織。袋井市役所の風土と、未来の仲間へ
ーこれまで長く袋井市役所に勤めてこられて、ここで働く魅力はどんなところだと感じていますか?
矢内:袋井市役所は、所属を越えて相談し合える組織だということですね。自分が何かをするときには他の課の職員がカバーしてくれるし、逆ももちろんあります。
行政というとどうしても縦割りのイメージを持たれるかもしれませんが、袋井市をより良くしようという共通の目的に向かって助け合える風土が、ここには根づいていると感じています。
職員が助け合って何かをやり遂げようとする職場環境は、本当に魅力的だと思いますよ。
ーとても素敵な風土ですね。総務課長の立場としては、今後どのような方に入庁してほしいと思われていますか?
矢内:難しいですね(笑)一言で表現するのなら「普通でなくていい」というのが率直な思いですね。おとなしい人でも、内にメラメラと燃えているものがあればいいですし、明るい人はそれでもいいです。それぞれに特徴のある人と一緒に働いてみたいと思っています。
一番大切なのは「袋井市のことを好きになってもらえる人」です。袋井市の出身であることや所縁があるということではなく、袋井市のことが好きで、これからこのまちをもっと良くしていきたいという想いのある方に、どんどんチャレンジをしていただきたいです。

ー最後に、袋井市を受験しようとしている方や、公務員を目指している方へメッセージをお願いします。
矢内:袋井市を魅力あるまちにしていくために、ぜひ力を貸してほしいと思っています。「チャレンジ&スマイル」の精神で、失敗してもいいからいろんなことに取り組んでもらいたいです。
これから入ってくる皆さんが成長できるよう、我々としてはもっともっと働きやすくて楽しい組織にしていくつもりです。ときには乗り越えなければいけない壁も出てくるかと思いますが、一緒に乗り越えながら、ぜひ楽しく仕事をしましょう!

ー本日はありがとうございました。
「祭りに出るために休みが取れる職場がいい」という、どこかほほえましいきっかけで入庁した矢内さん。けれどその根っこには、生まれ育った袋井市への深い愛着と、地域とともに生きていきたいという揺るぎない気持ちがありました。30年のキャリアで出会った二人の上司から受け取った言葉が、今も仕事の軸として生きている。「せっかく仕事するなら明るく楽しく」「段取り八分」「大切な人を大切に」。シンプルだからこそ強く、それを体現し続ける姿が職場全体の雰囲気をつくり出しているのだと思いました。袋井市役所の方と話すと出てくる「チャレンジ&スマイル」というキーワード。何度聞いてもとても素敵なフレーズだと思います。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)



