2025年8月に八幡市役所へ中途入庁した音無(おとなし)さん。前職では大手メーカーの営業として広大なエリアを駆け回り、多忙な日々を送っていました。
30歳という人生の節目を前に、彼がなぜ「八幡市役所」を選んだのか。入庁して分かった組織の温かさ、地域に飛び出す仕事のやりがい、そして劇的に変化したワークライフバランスのリアルまで、率直に語っていただきました。
- 全国をまわり、重い鋼材を運んだ営業時代
- 「住まい探し」で見つけた理想の街。偶然と縁が重なった八幡市への入庁
- 調整役としての醍醐味。民間営業のスキルが生きる
- 劇的に変わった「ワークライフバランス」。心から休める週末の喜び
全国をまわり、重い鋼材を運んだ営業時代
ーまずは、これまでのご経歴について詳しく教えてください。
音無:新卒で入社したのは、建材メーカーでした。滋賀営業所に配属されたのですが、そこでの仕事は「営業兼、配達員」。毎日、重い鋼材などの資材を自分たちでトラックに積み込み、配達しながら現場で注文をさばくという、体力的にかなりハードな環境でした。常に時間に追われ、文字通り息つく暇もない毎日でしたね。
その後、測量機器メーカーの販売会社に転職しました。新大阪を拠点に近畿と四国の一部などを担当し、車や電車で何時間もかけて現地へ向かう日々。活動範囲が広すぎて、移動だけで一日が終わることも珍しくありませんでした。
ー順調にキャリアを積まれているようにも見えますが、なぜ転職を?
音無:一番の理由は、将来への漠然とした不安です。ずっと働き続けられるのかと考えたとき転勤が多い組織形態やハードな仕事は難しいと考えました。また、自分自身のモチベーションとして、利益を上げることよりも、「誰かのために、社会のために」という目的があるほうが自分らしく働ける。そう確信し、かつて志した公務員への道に、30歳という年齢制限が迫るタイミングで再挑戦することに決めました。

「住まい探し」で見つけた理想の街。偶然と縁が重なった八幡市への入庁
ー数ある自治体の中で、なぜ「八幡市」だったのでしょうか。
音無:きっかけは「家探し」です。当初は大阪の北摂エリアでの購入を検討していたのですが、予算や利便性のバランスで難航していたんです。その時、不動産会社から「京阪沿線ならコストも抑えられ、京都・大阪へのアクセスも抜群ですよ」と紹介されたのが、八幡市でした。
それまで失礼ながら八幡市のことを深くは存じ上げなかったのですが、実際に歩いてみると、落ち着いた雰囲気と交通の便の良さに一気に惹かれました。「ここに住もう」と決めたのとほぼ同時に、パブリックコネクトで八幡市の中途採用募集を見つけたんです。そこで不思議なご縁を感じて迷わず応募しました。
ー選考試験や面接の際、印象に残っていることはありますか?
音無:面接は、良い意味で予想を裏切られました。公務員の面接といえば、「市の政策を隅々まで暗記し、用意された正解を答える」場だと思っていたんです。
もちろん準備はしていきましたが、実際の面接では「音無さんはどういう人なの?」という、私自身の人間性を深く知ろうとする質問が中心でした。取り繕った言葉ではなく、ナチュラルな対話ができたことで、ここなら自分らしく働けるかもしれないと直感しました。
調整役としての醍醐味。民間営業のスキルが生きる
ー配属先の高齢介護課では、具体的にどのような業務を担っているのでしょうか?
音無:私が所属する「地域支援係」は、一言で言えば、高齢者の方が住み慣れた地域で生活し続けるための「仕組み」を支える部署です。認定や給付といった定型的な事務も大切ですが、それ以上に「人」との調整業務が非常に多いのが特徴です。
具体的には、一人暮らしの高齢者が急病の際などに通報できる「緊急通報システム」の運営や、介護予防に向けた地域イベントの企画、さらには介護サービスを提供する「事業所」への指導・相談対応などを担当しています。課全体で30名弱、私のいる係も7〜8名体制で、複数の事業を分担して動かしています。


ー「事業所の指導」や「地域イベント」とは、具体的にどんな動きをするのですか?
音無:例えば介護事業所に対しては、適切なサービスが提供されているかを確認し、必要があれば助言を行います。また、地域の自治会長さんと連携して「どうすれば高齢者の方が外に出てきてくれるか」を一緒に考え、集会所でのイベントをセッティングすることもあります。
ここでは民間営業で培った「相手の意図を汲み取る力」が100%活きています。事業所の方には「市のルール」をただ押し付けるのではなく、現場の苦労を理解した上でどう着地させるか。行政という立場ではありますが、本質的には「対・人」の折衝業務なんです。営業経験があれば、この「調整の楽しさ」がすぐに分かるはずです。

ー中途入庁だと、行政特有のルールに戸惑うこともあるのでは?
音無:もちろん、介護保険の複雑なシステムや法的な根拠については毎日が勉強です。ただ、八幡市役所の素晴らしいところは、その教育体制にあります。私は8月入庁という「年度の途中」での採用でしたが、右隣には前任者が座っていて、私の「副担当」として常にサポートしてくれる体制になっているんです。
「この申請、どう判断すればいいですか?」と聞けば、即座に「前例はこうだよ、法的にはこうだよ」と答えが返ってくる。
マニュアルを読むだけでなく、実務の機微をその場で学べる環境は、中途採用者にとってこれ以上ない安心感です。孤独に数字を追っていた営業時代とは、安心感が違いますね。
劇的に変わった「ワークライフバランス」。心から休める週末の喜び
ー働き方は、以前と比べてどのように変わりましたか?
音無:言葉を選ばずに言えば、今は本当に「ストレスフリー」です。前職では月末・月初になれば数字に追われ、「今月はいくら足りない」というプレッシャーが常にありました。また、社用携帯を常に持っていたので、休日も顧客や会社からの通知が気になり、心からリラックスできていなかったんです。
今は、休みは完全に休み。私用のスマホしか鳴らない週末が、これほど心地よいものだとは思いませんでした。残業も自分でコントロールできています。「月曜は絶対に定時で帰る。週の初めから飛ばしてもいいことはない」とマイルールを決め、趣味の筋トレの時間を確保するなど、生活にリズムができました。

ー最後に、これから八幡市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
音無:八幡市役所には、中途入庁の同期もいますし、部署を超えた歓迎会や忘年会など、馴染みやすい環境が整っています。30代を前にして、キャリアに迷っている方も多いと思いますが、八幡市は「人」をしっかり見てくれる場所です。
私自身、これからは自分に教えてくれた先輩方のように、新しく入ってくる後輩を全力でサポートできる「頼れる中堅」を目指したいと思っています。私のように「誰かのために働きたい」という思いがある方なら、きっとこの職場にやりがいを感じられるはずです。ぜひ、一歩踏み出してみてください。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)



