電気の知識を活かし、八戸市を支える八戸市役所の電気技師。公共施設の設計・工事監理、施設の維持管理、さらには市民と触れ合うイベントの企画運営まで、従来の技術職のイメージを超える多様なフィールドに広がっています。
この記事では、八戸市役所の電気技師の仕事の魅力に加え、充実した休暇制度など、ワークライフバランスを大切にできる働きがいについても詳しく伺いました。

ーまずは自己紹介と、八戸市役所に入庁された経緯を教えてください。
八戸市の近隣、田子町で高校まで過ごし、八戸工業大学の電気系学科へ進学しました。電気系を選んだのは、風力発電や太陽光発電といったクリーンエネルギー分野に興味があったからです。
大学で教員や公務員にも興味を持ち、官民問わず就職活動を行いました。ただ、大学生活を過ごした八戸市に貢献したいという気持ちが強く、最終的に八戸市役所を選び、2016年に入庁しました。
自治体への就職は、田子町役場職員だった父の影響が大きいです。小さい頃から町民のために働く姿を見て育ちました。
地元のイベントで、町民の方に「こないだはありがとうね」などと声をかけてもらっている姿や、災害時等で素早く出勤している姿を見て、大変なこともあることを知りつつも、「町の人たちのために働いているんだな」と憧れを抱き、自分も地域に貢献できる仕事に就きたいと考えるようになっていました。まだ、本人には伝えてないような気もしますが(笑)
ー八戸市役所に入庁後は、どのような業務を担当されてきましたか?
最初の4年間は、農林水産部の中央卸売市場に配属されました。ここでは主に、施設の維持管理を担当していました。具体的には、毎年の保守点検や、古くなった設備の修繕、時には改修工事における関係業者との調整などを行いました。また、市場見学などのイベントの対応にも携わりました。

次の4年間は、商工労働まちづくり部の八戸ポータルミュージアム、通称「はっち」で勤務しました。こちらでも施設の維持管理が主な業務でした。また、「はっち」は観光施設としての役割も持つため、イベントの企画や運営といった業務にも携わりました。

市場とはっちでの維持管理業務は、築年数や施設の特徴によって修繕の頻度や工事内容が異なる点はあるものの、施設の維持管理における考え方には大きな違いはありません。
昨年度からは、建設部の建築住宅課で、市営施設の工事に関する設計や工事監理を担当しています。これまでの維持管理業務で培った経験に加え、現在はCADを使った作図など、より高度な専門知識が求められる業務です。

ー中央卸売市場やはっちでは、施設管理以外のお仕事もされていたんですね!
そうなんです。維持管理以外にも、市場では小学生の社会科見学の案内役をすることもありました。子どもたちに楽しんでもらえるよう、競りの模擬体験をしたり、八戸市のゆるキャラを呼んだりもしました。
一番思い出深いのが、地元の田子町の子どもたちが見学に来た時に、八戸市のゆるキャラと、田子町のゆるキャラを呼んで、ゆるキャラ同士の相撲を行ったことです。その時はとても盛り上がりました。

はっちでは、「グリーンプロジェクト」として市民の方々と緑に触れるイベントを企画したり、館内のショップの皆さんと連携して「クリスマスイベント」や「福袋販売」といった季節のイベントの企画運営にも携わりました。

高校時代に生徒会活動をやっていた経験もあってか、イベントの企画運営は好きでした。技術職ですが、こうした多様な経験ができるのも市役所の面白いところだと思います。
ーそれでは、現在の建築住宅課での業務内容について、詳しく教えていただけますか?
学校のトイレ改修や各施設のLED化、電気室等の高圧機器更新など、市営施設の電気設備の設計と工事監理を担当しています。維持管理業務と大きく違うのは、「設計」から関わる点です。設計業務は、各課からの工事依頼に基づき始まります。
まずは現場へ赴き、施設の状況などを確認する現地調査を行います。調査結果を踏まえ、既存図面と照らし合わせながら、必要な改修内容などを反映させた図面を作成します。

その後、様々な積算資料を基に設計書全体を作成し、事業担当課へ送付、工事発注となります。工事発注後は、提出書類や施工状況の確認といった工事監理の段階となりますね。
現在の業務ではCADを使った作図など、より高度な専門知識が求められる業務です。CADソフト(JW_CAD)は入庁後に使い方を習得しました。
また、電気に関する法律や設備の専門知識がより深く求められます。機器の選定や設置方法などを自ら調べたり、先輩に確認しながら仕事を進めています。

ー仕事をする上で、大学での学びやこれまでの経験が活きていると感じることはありますか?
大学で学んだ電気系の知識は、今の設計業務の基礎になっています。全く知識がない状態から始めるより理解が早く、基礎として役立ちました。実務ではさらに深い知識が必要になるので、先輩に聞いたり、自分で調べたりしながら補っています。
また、これまでの学生生活での経験が、市場・はっちでのイベント企画・運営に役立っていると感じます。そして、工事を進める上では、関係各所との調整が非常に重要になるのですが、企画運営で培ったコミュニケーション能力や調整力が活かされていると感じています。
ー仕事のやりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか?
施設の故障を修理した後や、改修工事が無事に終わった時などに、市民の方や施設の関係者から「直してくれてありがとうね」「使いやすくなったよ」と言われると、本当に嬉しいです。心からやっていて良かったと感じる瞬間です。
あとは、施設の裏側を知ることができるのも面白いです。まるでバックヤードツアーをしているような感覚です。市場の仕組みや、学校の電気室などもそうですが、例えばはっちでは、床暖房が設置されており、床下を温水や冷水が循環して温度調整している仕組みを知った際は驚きましたし、知的好奇心が満たされました。

また、設計は専門業者や機械技師や建築技師と、どうすればより良い施設になるかを考え、形にしていく過程に大きなやりがいがあります。自分が関わった施設が、多くの人に利用されているのを見るのも嬉しいです。
ー逆に、大変だったことや苦労した経験はありますか?また、それをどう乗り越えましたか?
大変なのは、設備の突発的な故障への対応ですね。特に古い施設では、予期しないトラブル対応が発生することもあります。昼夜問わず連絡が入ることもあり、すぐに現場に駆けつけて状況確認し、関係する業者や同僚と連携して対応策を考えます。
プライベートでは、子どもが小さい頃に体調を崩しやすく、仕事との両立に苦労した経験もあります。でも、そういう時も、職場の同僚が本当に頼りになります。
特に現在の部署は、電気・機械・建築分野の技師が集まっており、お互いに相談しながら進められるほか、急な休みが必要になった時も仕事を分担してくれたり、快くサポートしてくれます。職員や業者さん、周りの方々との連携や協力体制があるからこそ乗り越えられています。
ー様々な部署を経験されていますが、八戸市役所の電気技師は、他にどのような部署に配属される可能性があるのでしょうか?
電気技師は、市役所本庁舎の設備管理や、保健センター、美術館といった比較的規模の大きな公共施設に配属されることがあります。また、下水道事務所や清掃工場(ごみ焼却施設)など、専門的な知識を要する施設で活躍する場もありますね。
ー八戸市役所の職場環境や雰囲気はいかがですか?
職場全体が明るい雰囲気です。仕事中は集中しつつも、休憩時間は雑談などで和やかな雰囲気です。先輩・後輩に関係なく、気軽に相談しやすい雰囲気があるのも良いところだと思います。部署異動が多い職場なので、年次に関わらず分からないことが出てきますが、周りの人が親身になって教えてくれます。
また、職種を超えた交流があるのも魅力ですね。技術職、事務職、学芸員など多様な専門性を持つ職員と関われるほか、サークル活動などで部署を超えた交流もあり、視野が広がります。
ーワークライフバランスについてはいかがですか?休暇制度や子育てとの両立など、実感されていることを教えてください。
ワークライフバランスは非常に良いと感じています。まず、休みが取りやすいです。通常の有給休暇に加えて、子どもの看護休暇や配偶者の出産休暇など特別休暇も充実しています。1時間単位で取得できるものもあるので、子どもの急な体調不良や通院などにも柔軟に対応できます。
残業は繁忙期や突発対応時以外は少なく、基本的に定時退勤できています。退勤後すぐ子どものお迎えに行ったり、家族との時間にあてられ、子育てとの両立もしやすい環境です。
実際に、民間企業から転職してきた同僚からも、「休みがしっかり取れるのがいい!」「久しぶりに旅行に行けた!」という声をよく聞きますね。

ー八戸市役所の電気技師には、どのような人が向いていると思いますか?
まずは専門知識がある程度ある方です。入庁してから学ぶことも多いですが、基礎知識があるとスムーズに業務に入りやすいと思います。民間企業から転職した同僚も、多く活躍しています。
あとは、フットワークの軽い方も向いています。現場確認や急なトラブル対応など、迅速な行動が求められる場面が多いからです。
積極的に周りとコミュニケーションを取り、より良い方法を考えていける方も向いています。設計にしても維持管理にしても、一人で完結する仕事は少なく、他部署や業者さん、そして同じ部署の機械・建築担当者との連携が不可欠だからです。
ー最後に、八戸市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
私は八戸市役所に入庁して、今のところ後悔したことはありません。大変なこともありますが、それ以上にやりがいを感じていますし、働きやすい環境が整っていると日々実感しています。
充実した福利厚生や休暇制度のおかげで、仕事とプライベート、どちらも大切にしながら働くことができています。特に子育て中の方にとっては、非常に心強い環境だと思います。
専門知識を活かして地域に貢献したい方、ワークライフバランスを大切にしたい方、そして八戸が好きな方。ぜひ、私たちと一緒に八戸市を盛り上げていきませんか?
ーありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年4月取材)