新潟県妙高市役所で働く曽根原さんのインタビュー記事です。
オリンピック出場を目指し、スキー・ノルディックコンバインドの選手として活躍した曽根原さんが、第二の人生として選択したのは地元・妙高市役所で働くことでした。
スキーで培った経験を活かし、地域に貢献したいという思いを胸に働く曽根原さんに、妙高市役所での働き方や働く魅力についてお伺いしました。
経験を活かした素敵な働き方が良く伝わるような内容となっています。
ーまずは簡単な経歴を教えていただけますか?
曽根原:出身は妙高市で、合併前の妙高高原町という場所で生まれ、高校を卒業するまで地元で育ちました。妙高は県内でも有数の雪深い地域で、スキーが盛んな環境でしたので、私も小学生の頃からスキーに取り組み、ノルディックコンバインドという、スキージャンプとクロスカントリースキーの2種目を組み合わせた競技に没頭しました。
大学は都内の大学に進学しましたが、これもスキーを続けるための選択でした。学業に励みながらも、将来的にスキーの選手として活躍することを目指して大学生活を送っていました。
ー大学卒業後はどのような道に進まれたのですか?
曽根原:卒業する時に競技を続けるか、それとも一般的な企業に就職するかという選択肢がありましたが、目標であるオリンピックに出場したいという思いがあり、競技を続けることにしました。
北海道の札幌市を拠点としていて、オリンピック選手やメダリストも輩出している企業に入社させていただき、競技に集中できる環境で6年間選手として活動しました。会社の業務としてはビルメンテナンスや清掃業、施設管理などを行ってましたが、私は競技が中心の社会人生活だったので、6年間勤めていたものの、社員の人が経験するような社会人経験はほぼゼロに等しかったですね(笑)
ーずっとスキー選手としての競技生活を送られていたのですね。転職のきっかけは何だったのでしょうか?
曽根原:オリンピックを目指して競技生活に打ち込んでいましたが、残念ながらその夢は叶いませんでした。スキーを引退して次のステージに進むことを考えた時に、今度は自分をここまで育ててくれた故郷に貢献したいという気持ちが芽生えました。
ふるさとへの貢献を考える中で、まずは妙高市に戻り、観光地域づくり法人(DMO)で1年間、観光分野の仕事を経験しました。これは観光の仕事を通して、改めて妙高のことを知りたいという思いと、社会人としての経験を積みたいと考えたからです。
その後、妙高市役所の採用試験を受け、令和5年に妙高市役所に入庁しました。
ー地元への想いがとても強かったのですね。採用試験はどのような雰囲気でしたか?
曽根原:面接には市長、副市長、教育長、総務課長がいらっしゃったのですが、スキーの選手として様々な大会などに出場していたことから、私のことを知ってくださっていたようでした。
今思えば、面接の雰囲気もとても和やかでしたね。一般的な質問というよりは、スキーを通してどんなことを学び、それを市役所の仕事にどう活かしていきたいかといった、私に合った質問が多かったです。そのおかげもあり、面接前は緊張していましたが、自分の考えを、自分の言葉でしっかりと答えることができました。
ー現在はどのようなお仕事をされているのですか?
曽根原:現在は生涯学習課のスポーツ振興係に所属しています。コシヒカリマラソン大会や妙高サマージャンプ大会など、スポーツイベントの開催や運営、市内スポーツ団体への補助金支援、市民のスポーツ参加促進のためのウォーキングやニュースポーツの普及など、幅広い業務に携わっています。多くの方々にスポーツに触れる機会を創出し、スポーツの楽しさを感じていただけるよう業務に取り組んでいます。
ーこれまでの経験を活かした業務や活動を行っているのですね。入庁してから、特に印象に残っているような業務はありますか?
曽根原:印象に残っているのは、妙高市出身でオリンピックメダリストの清水礼留飛選手の引退に伴う表敬訪問の仕事です。実は彼は私の親友であり、私がスキーを始めるきっかけをくれた人なんです。彼が引退して市役所を表敬訪問したいと連絡があった時に、私の所属が所管しているということもあり、私が担当することになりました。
スポーツ振興係に配属されていたタイミングと、彼と私の関係性が重なって、私にとっては特別な経験になりました。職員揃って玄関で出迎えるところから報道関係者への対応など、市職員として自分が携わることになるとは考えてもみなかったですね(笑)貴重な経験をさせてもらったと思っています。

ー曽根原さんが業務の中でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
曽根原:スポーツイベントが成功裏に終わった時や、参加者の方々が笑顔でスポーツを楽しんでいるのを見た時ですね。大きなスポーツイベントを無事に開催できた時の達成感は大きく、また、大会開催に対する好評の言葉をいただいた時は、この仕事をしていて良かったなと感じます。
幼いころからスポーツに長く携わってきたので、自身の経験を地域に還元できていると実感することもできますね。
ー入庁前に抱いていた公務員のイメージと、実際に働いてみてギャップはありましたか?
曽根原:「公務員」と聞くと、決められた範囲のことを淡々とこなしていく、少し堅いイメージを持っていました。しかし、実際には業務が多岐にわたり、様々な分野の仕事があることを知りました。
妙高市役所は自治体の規模があまり大きくないということもあり、何か新しい事業を始める際に、自分の考えを提案したり、意見を反映しやすい環境だと感じています。
ー働く環境として妙高市役所の雰囲気はどのように感じていますか?
曽根原:私が所属している生涯学習課はアットホームな雰囲気で、とても働きやすいです。市役所内はもちろん、地域住民の方々とコミュニケーションを取る機会も多く、活発で明るい雰囲気ですね。周囲の方も、何か困ったことがあればすぐに相談できるような環境です。
私は入庁2年目ということもあり、まだ職員全員の顔と名前が一致するまでは至っていないのですが、私が知らなくても相手が私のことを知っているというケースが思ったよりも多くて少々驚きました。
スキー選手としての私を知っていただけているようで、スキーに関する話題で声をかけてもらうことがよくあります。あまり大きくない街ならではかもしれませんが、とてもありがたいことですよね。
ーそれだけ活躍されていたということですね!続いて、曽根原さんが思う妙高市の魅力を教えていただけますか?
曽根原:妙高の一番の魅力は、四季折々の自然を満喫できるところだと思います。春は桜、夏は緑の山々、秋は紅葉、冬はスキーと、1年を通してそれぞれの季節を堪能できます。日本の中でも、これほど四季の移ろいを感じられる場所は多くないのではないでしょうか。
雪国なので冬は除雪が大変という声ももちろんありますが、私は天気予報を見て雪が積もりそうだったら「よし、明日はスキーに行こう!」と前向きに捉えています(笑)
スキーの後には温泉に入って、おいしい地元の食材を味わう、こんな生活が日常で送れることが、妙高の最大の魅力であり、幸せを感じることができる瞬間ですね。
ー妙高市での生活を楽しめるのはどんな人でしょうか?
曽根原:自然が好きで、多少の不便さも楽しめるような人に向いてるかなと思います。便利な都会とは違って、何でも揃っているわけではありませんが、その不便さを逆手に取って楽しめる人にとっては、最高の環境だと思います。また、妙高には無いものも多いので、新しいお店などを始めたい人にとっても、チャレンジしやすい環境だと思います。街を盛り上げたいと思っている人がどんどん集まってくれると嬉しいですね。
ー最後に、求職者の方々へメッセージをお願いします。
曽根原:市役所は幅広い業務があり、部署によって仕事内容も様々です。
私も現在はスポーツ振興という、過去の経験を活かすことができる仕事をしていますが、将来的には市民生活の基本となる税務の仕事や、妙高の魅力を発信する観光PRの仕事などにも携わってみたいと思っています。
何かやりたいことがあったり、地域に密着して働きたいという思い、そして自然が好きであれば、ぜひ妙高市役所を選択肢の一つとして考えてみてください。
楽しく働きたいという気持ちがあれば、きっと妙高市での仕事も楽しめると思います!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年1月取材)