甲賀市役所の面接を受けた理由
住民との距離の近さ、地域への恩返しの思いから旧甲賀町役場を志望。
小さな集落で生まれたため、集落・地域の人に育ててもらったとの思いがありました。地域に恩返しがしたいと、旧甲賀町役場を志望しました。
国や県ではなく、市町を選んだ決め手は、地域で暮らす人たちとの距離の近さです。住民の皆さんの話を直接聞いて、その悩みや課題を直接解決できる職員になりたいと考えていました。
これまでの職歴、教えてください。
下水道課や建設課、農村整備課で業務をやり切った後、政策推進課へ。オール甲賀推進室に配属。
入庁後、最初の配属は下水道課。その後、10年間は土木の設計、工事に関する業務を様々な課で担当しました。約20年前といえば、公共下水道が開通し始めた時代です。下水道工事を進めていくなかで、地域の皆さんの日常の暮らしが豊かになっていくことを実感しました。
平成16年に合併し、甲賀市に。甲賀町役場時代は、小さな町でしたから、普段から知った顔の人が多かったんですね。でも、合併したことで、91,000人の市になりました。
各町それぞれの文化があり、仕事がある。いろいろな人に出会える。当時は「これはすごい」と思うと同時に、正直しんどいなとも思いました(笑)。
10年間、ひたすら現場での業務に携わったことで、工事の流れや住民さんへの説明の仕方、どうすれば納得してもらえるのかノウハウを学びました。
プライベートでも、土木や宅建の資格を取得。新たな分野を学びたいと、土木とは関係のない課への異動を希望し、異動が決定。市役所では自分の希望が通ること自体、かなり珍しいケースだと思います(笑)
異動直後は、何もかも勝手が違い戸惑いました。その後、県に出向し、他市町の状況など大きな視点から見ることができたこと。甲賀市に戻ってきたときも、厳しめの先輩から自分の担当の業務だけでなく、広い視点で仕事をすることの大切さを教えていただくなど、多くの学ぶ機会に恵まれました。
これまでで一番やりがいを感じたことと言えば・・・
行政職員として地域の人と信頼関係を築くことができたとき。総合計画、長期的なまちづくりの最初の仕掛けをつくり、結果を見守ること。
土木関係の業務のときは、用地買収もしました。地域の役員の方と一緒に、利害関係者の説得にまわることもありましたね。簡単なことではありませんが、いつの間にやら信頼関係を築くことができて「お前がそこまで言うねんやんやったら、しょうがない」と言ってくださり、用地を譲っていただけたことを覚えています。
そのように言っていただけたのは、行政職員としては最高の褒め言葉だと思います。信頼関係を築くには、頻繁に会って、対話すること、そしてとりあえず笑うことが大事(笑)。近道はありません。
現在の仕事は、総合計画など中長期のまちづくりの方向性をつくる段階での、最初の「仕掛けづくり」です。皆さんと一緒に考えたことが、いろいろな人たちの頑張りを経て、数年後に具体的な取り組みや形になっていきます。
市民の皆さんの声や時代の流れ、国、県の状況をふまえて、総合計画に埋め込んでいた取り組みが芽吹くには、時間がかかります。例えば、女性の活躍、ICTの推進、都市再生、公共施設の民間活用などもそのひとつでしょうか。
この仕事を通して思うこと、感じること
地域ごとの違いを尊重。個別に制度をつくり、多様性社会ならではの面白さを大切にしたい。
甲賀市は一体感がないと言われることもありますが、地域ごとに歴史や文化、制度があり、いろいろな人がいるのは、多様性が求められる社会において、すごく面白いことだなと思います。
行政は、どちらかといえば、地域ごとに制度や権限を分権し、地域ごとにルールを考えるようなやり方に変えていったほうがいいと思います。
もちろん、市民の生命、財産を守るなど、行政の根幹的な責任は必ず果たさなければなりませんし、許容できないほどの不公平などは統一しなければいけないと思います。
でも、地域特有の特別区のように、地域ごとの個別制度や支援策をつくっていったほうが、みんなにとってwin-winになるんじゃないかなと思いますね。
これからチャレンジしたいこと
地域コミュニティの応援、公共施設の統廃合。市民との対話を大切にする仕事をしたい。
ひとつは、地域コミュニティや市民活動の仕事でしょうか。特に区、自治会や自治振興会、市民活動団体などを応援する業務に関わりたいですね。私の住んでいる中山間地域などの小さな集落は、人口減少や担い手不足で限界を迎えつつあると感じています。
小さな集落でひざを突き合わせて「未来の地域のあり方」などを一緒に話していくなかで、地域は何ができるのか、行政は何をすべきなのか、対話のなかで一緒に答えを見つけたいです。
もうひとつは、公共施設の統廃合の仕事。5町合併以前の多くの公共施設があり、非常に困難な道ですが、行政が一方的に進めるのではなく、地域住民の皆さんとの対話を積み重ねていけば、多くの方の「納得感」を生みだすことができるはずです。
これまで経験を積み、様々な分野を経験したからこそ、その解決の糸口を作れると考えています。
公共施設の統廃合は、未来の市民のために20年、30年後に残る仕事だと思います。最も困難な仕事だと思うからこそ、やりがいのある仕事でもあります。
message〜これから同僚になるかもしれない、あなたに向けて
実際に新規採用職員研修の際に伝えている話ですが、市役所職員の職場は市役所の庁舎(建物)ではありません。甲賀市全域、約482キロ平方メートルが職場です。その認識を大切にしてほしいですね。
そして、若手職員は市民と接する機会が一番多いです。それは市民の皆さんの課題や困難を最も近くで把握しているということです。その市民の課題をそのまま市役所内部に伝えられる「素直な人」が職員になってほしい。
そして、一人ひとりの話を丁寧に聞いて、うなずいて共感してあげられる人。ただし、それは市民に対してですよ?市役所内部に対しては「違うことは違う」と言える人に来てほしいですから(笑)。外と中を、良い意味で使い分けられる人がいいですね。
行政職員は、民間企業に行ったら全く役に立たないとおっしゃる方もいるかもしれません。
ただし、私自身は土木から企画まで様々な経験ができましたし、本当に面白い仕事だと思います。
全国的な傾向でもありますが、これからは、市役所でも民間人材の登用や副業を認める方向に進んでいくのだと思います。民間で学んだ知識を行政で生かす、行政にいながら地域づくりや民間の仕事ができることも増えてくるんじゃないかなと。
市役所職員はまちづくり、地域づくりに関わって収入を得られる最高の仕事です。これまでの経験を活かして「何でも一度やってみる!」行動力のあるチャレンジャーをお待ちしています。
(本インタビューは令和2年度に実施した内容となります)