小千谷市役所で働く建築技師、大森さんと国峯さんのインタビュー記事です。民間企業から転職した経験を持つ大森さんと、新卒で入庁した国峯さんが、それぞれの視点から、市役所の建築技師という仕事の具体的な内容、若手からベテランまで共に成長できる職場環境、ワークライフバランスを実現しながら「まちをつくる」ことのやりがい、小千谷市ならではの魅力について詳しく語ってくれました。
ーまずはお二人の経歴について、簡単にお伺いできますでしょうか。
大森:私は小千谷市の出身です。市内の高校に通い、県内の大学で建築を学んだ後、建築事務所に就職しました。そこで4年間勤務した後、平成22年度に小千谷市役所に入庁し、建設課に配属されました。その後、異動により教育委員会での勤務も経験し、出産・育児休業を経て、再び建設課で建築技師として業務に当たっています。
国峯:私は長岡市の出身で、県内の大学で建築を学びました。大学卒業後、新卒で小千谷市役所に入庁し、以来ずっと建設課で勤務しており、今年で4年目になります。
ー大森さんが民間から転職したきっかけは何だったのでしょうか?
大森:前職の建築事務所では、一般住宅の設計などに携わっていました。まだ若かったので仕事に費やせる体力や時間もあり、やりがいも十分ありましたが、正直なところ、ワークライフバランスが取れているとは言えない状態でした。
今後のライフステージの変化を考えると、この働き方をずっと続けるのは難しいのではないかと感じ、転職を考え始めました。
生まれ育った街の建築行政に関われることに魅力を感じ、小千谷市の建築技術職に応募しました。前職の時に仕事で関わった市職員の丁寧で的確な対応、そして感じの良さが印象に残っていたので、公務員自体への抵抗もなかったです。

―国峯さんは新卒で公務員、特に小千谷市役所を選ばれた理由は何だったのでしょうか?
国峯:私は大学で都市計画を中心とした建築学を学んでおり、建築という専門性を活かして「まちづくり」に携わりたいと考えるようになり、自治体の建築技術職を目指しました。
小千谷市を選んだ理由としては、大規模な開発よりも、コンパクトシティやそれぞれの地域が持つ特色を活かしたまちづくりに興味があったためです。小千谷市には以前訪れたことがあり、その時に感じた自然豊かで伸び伸びとした雰囲気にも惹かれ、規模としても自分が目指すまちづくりができるのではと考えました。
ーそれでは、入庁後の仕事についてお伺いします。お二人は現在、同じ建設課建築住宅係に所属されているとのことですが、具体的にどのような業務を担当されているのでしょうか?
大森:建築住宅係では、主に市が所有する建築物、つまり公共施設の新築・改修工事の設計・監督業務や営繕(維持・修繕)を担当しています。そのほか、民間住宅に対する各種補助金事業や、公営住宅の管理に関する業務なども行っています。
営繕に関して、各施設の日常的な点検や小規模な修繕は、その担当部署が行いますが、大規模な改修工事は、私たち建設課に工事の依頼が来ます。状況によっては、担当部署と連携しながら進めることもありますね。
ー係の職員構成はどのようになっていますか?
国峯:現在、建築住宅係には6名の職員がいます。そのうち、私たちのような建築技術職が4名、事務職が2名です。
ー業務のウェイトとしては、どの業務が大きいですか?
国峯:その年度によって変動はありますが、今年度で言えば、業務の半分以上は公共施設の工事発注や、その後の現場監督業務が占めていると思います。

ー残りの時間はどのような業務を?
大森:窓口対応も重要な業務の一つです。建築に関する相談や補助金の申請などに、市民の方がいらっしゃいますので、デスクワークだけでなく、市民の方と直接お話しする機会も多いですね。
ー工事の監督業務では、現場に行かれることも多いのですか?
国峯:はい、多いです。現場の進捗状況にもよりますが、多い時で週に2~3回程度、現場に足を運んで確認や打ち合わせを行います。デスクワークが中心となる週もありますが、ある程度、外出があることは前提になりますね。
ー国峯さんは入庁されて4年目とのことですが、入庁当初はどのように仕事を覚えていかれたのでしょうか?教育体制について教えてください。
国峯:まず入庁して間もない頃は、新規採用職員全員で集まって、市職員としての心構えや基本的なルールなどを学ぶ全体研修を受けました。
その後、配属先の建設課で、直属の上司や先輩方から、具体的な業務内容や進め方について説明を受け、まずは比較的小規模な公共施設の改修工事の発注業務から担当させてもらいました。
実際の業務を通して、例えば図面から工事に必要な数量をどうやって拾い出すのか、工事費の内訳書(設計書)をどのような基準に基づいて作成していくのか、といったルールを一つひとつ教えていただきました。

ーどういった部分が大変でしたか?
国峯:建築工事は、構造、電気、機械設備など、様々な要素が複雑に絡み合い、予期せぬ問題が度々起こるので、その対応が大変でしたね。
ただ、だからこそ係内では日常的に「これってどう思う?」「こういう場合はどう対応するのがベストかな?」といった相談や情報共有が行われています。分からないことや解釈が難しいことがあっても、一人で抱え込まずに、常にチームで支え合いながら解決していけるのは、とても心強いです。
また、若手職員である私には、上司や先輩方も、それぞれ担当工事を抱えて忙しいはずなのですが、皆さん本当に親切に教えてくださいます。相談すれば、どんなに基本的なことでも丁寧に対応してくださるので、非常にありがたかったですし、仕事を進めやすい環境だと感じています。
ー自主的な学習も行うのですか?
国峯:工事を進める上での技術的な基準や標準的な仕様を示した資料(国土交通省などが定めた基準書など)や、過去の類似工事の書類も保管されているので、それらを調べて学習していました。
まず自分で資料を調べて、どう進めるかあたりをつけ、それでも判断に迷うことがあれば、改めて先輩方に相談するという流れです。
ー係全体の雰囲気はいかがでしょうか?
国峯:技術職の中では私が一番若手で、年齢構成としては、20代(私)が1名、40代が1名、50代が2名と年齢は離れていますが、仕事の合間に雑談を交わすこともよくありますし、比較的和やかな雰囲気なのではないかと感じています。
そういった雰囲気なので、仕事で困ったことがあっても、上司や先輩方に気軽に相談できますし、とても働きやすい環境だと感じています。

ー若手から意見を言うような機会もあるのですか?
国峯:はい、あります。上司から「これについて、どう思う?」と意見を求められることもありますし、何か提案したいことがあれば、言い出しづらいという雰囲気は全くありません。自分の意見をしっかりと伝える機会はあります。
大森:そうですね。年齢が離れているからといって、遠慮するような雰囲気は全くありません。仕事のことはもちろん、時にはプライベートな相談に乗ってもらうこともありますし、お互いの成功談や、時には失敗談も(笑)、包み隠さず話せる関係です。
知識や経験が豊富にあっても、それが固定観念になってしまうこともあります。そんな時、国峯さんのような若手ならではの視点、私たちとは違った角度からの意見や疑問は、非常に参考になります。「確かに、そういう考え方もあるな」と自分たちだけでは気づけなかったような発見があるので、とても良い刺激になっています。
ー働き方についてもお伺いします。
大森:私には小学生の子供がいるので、思うように残業ができない状況にあります。そのため、限られた時間の中で効率よく業務を進められるように、常に意識して仕事の段取りを考えています。周りの理解や協力もあって、今はほぼ毎日定時で退勤できています。子育て中の方にとっては、比較的働きやすい職場環境なのではないかと思います。
国峯:私も、基本的には定時近くで帰れています。もちろん、年度当初の工事発注が集中する時期や、担当している工事が完成間近の時期、あるいは年度末の繁忙期など、忙しい時期には残業することもあります。ですが、恒常的に長時間残業がないので、平日の夜や休日など、プライベートな時間もしっかり確保できていると感じています。
ー日々の仕事の中で、どのような時にやりがいや達成感を感じますか?
国峯:やはり、自分が担当した建物が完成した時は嬉しいです。予想外の問題を現場の方々と知恵を出し合って困難を乗り越え、ようやく完成した空間…その場所を楽しそうに、あるいは快適そうに利用されている市民の方々を見た時は、大きな達成感を感じますね。
また、施設の利用者の方や、私たちが管理している公営住宅の入居者の方から、「きれいにしてくれてありがとう」「とても使いやすくなったよ」といった感謝の言葉を直接いただけた時も、この仕事をしていて良かったなと実感します。
大森:自分が設計や工事監督として携わった施設や建物が、完成後、何十年という長い期間にわたってそこに存在し続け、小千谷のまちや風景の一部となり、人々の暮らしを支えていく。そう考えると、とても壮大で、素敵な仕事だと思います。
最近、市内に「ホントカ。」という図書館を中心とした複合施設がオープンしました。家族でその施設を利用した際に、自分が建設に関わった建物の中で、自分の子どもが一生懸命本を選んでいたり、すべり台で楽しそうに遊んでいたりする姿を見て…なんとも不思議な感覚になるのと同時に、この事業に携わることができて本当に良かったな、と改めて嬉しさを感じました。


ーありがとうございます。最後に、これから小千谷市役所で一緒に働く仲間として、どのような方に来てほしいと思われますか?あるいは、どのような方がこの仕事に向いていると思いますか?
国峯:積極的に新しいことに挑戦しようという意欲のある方に来ていただけると嬉しいです。今、建設業界全体が、デジタル技術の導入など、様々な変化の時期を迎えています。
そうした変化に対応していくためにも、常に疑問を持ち、より良い方法を模索し取り入れ、前向きな提案や挑戦ができる方と一緒に働けたら、私たちも刺激を受けますし、組織としても活性化するのではないかと思います。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年4月取材)