小千谷市役所で保健師として働く片桐さんと加藤さんに、これまでの経歴や仕事と職場環境についてお話を伺いました。
—これまでの経歴を教えてください。
片桐:看護専門学校を卒業し、3年間病院で看護師をしていました。その後、大学に編入し追加で保健師の資格を取得して、現在は小千谷市役所で保健師として働いています。
加藤:4年制の看護専門学校を卒業し、新卒で保健師として入庁し、今年2年目です。
—なぜ小千谷市役所に応募したのですか?
片桐:保健師で、毎年募集がある市町村は少なく、自分の応募のタイミングでいくつか申し込み、その中の1つが小千谷市でした。出身地から小千谷市は近いのですが、就職するまではあまり縁がありませんでした。
しかし、父が仕事でよく訪れていて、小千谷市は優しい人が多い、と話していました。実際に今働いて、私もそう感じているため、応募して本当によかったなと思っています。
加藤:きっかけは学校の先生から紹介されたインターンシップです。コロナ禍で他の職場は合同説明会や配信でしか話を聞けませんでしたが、小千谷市は受け入れてくださいました。
1日でしたが、健診業務やコロナワクチン接種現場の見学、訪問への同行もさせていただきました。また、同じ学校の卒業生の先輩が働いていたので、その方にも話を伺い、働き方のイメージがつき、応募しました。
—業務内容について教えてください。
片桐:保健師は全体で14人おり、健康・子育て応援課に12人、福祉課に2人所属しています。私たちが所属する健康・子育て応援課では地区担当制・業務担当制で業務にあたっています。
地区担当としては、千田地区という人口が3,700人程度の地区を担当しています。新生児から高齢者まで訪問や健(検)診を通して関わっています。
業務担当としては、胃がん・大腸がんの検診を担当しています。検診の委託機関と連携して、安全に行うための運営業務です。私が主担当ですが、副担当とも相談しながら、一緒に進めています。
加藤:私は地区担当として山間地2ヶ所、城川地区の一部を担当しています。合わせた人口は約3,000人です。
業務担当としては、特定健診事業(健康相談や説明会を含む)や肺がん検診、特定保健指導を担当しています。
—健康・子育て応援課はどのようなことをされているのですか?
片桐:「健康・子育て」には「小さな子どもから、お年寄りまでの幅広い世代の健康」と「子育て」という二つの柱があるので、子育て世代以外の世代とも関わり合いがあります。年間100件以上の訪問を実施しています。
乳幼児健診で発達が気になるお子さんや、精神疾患をお持ちの方からのSOSの電話が来た際など、様々な世代へ訪問しています。
—新人研修について教えてください。
加藤:入庁して最初2日間は他の職種の同期と一緒に全体研修に参加しました。主に職員としての心構えや、身だしなみを習得します。3日目以降は配属先に行き、OJTで先輩の業務を引き継ぎました。
まず、大まかに年間で各月に行われる業務の説明を受けました。時期になった時に、実際の業務を副担当に教えていただきながら、1年間かけて覚えていきました。
他の職員にも丁寧に教えていただき、各業務にその道のプロの先輩がいて、とても相談しやすい環境です。
業務の先輩や副担当とは別で「プリセプター」が寄り添って指導してくださるため、その方にも相談しています。プリセプターは入庁3年目までついてくださり、何でも相談することができるため、大変心強いです。
(※プリセプター制度:先輩保健師・看護師(プリセプター)が、新人保健師・看護師を、1対1で教育・指導する制度)
事務作業はマニュアルを見ながら実施し、不明点を質問します。健診業務など初めは現場見学として立ち合い、次に教えてもらいながら実践し、その次から独り立ちという流れです。
独り立ちといっても、本当に困ったら一緒に来ていただいています。
ー看護師時代とは教育体制は異なりますか?
片桐:看護師として働いているときにもプリセプター制度はありましたが、相談をプリセプターにしたくても交代勤務のため、なかなか会うことができない場合が多かったです。
一方、保健師の場合はほぼ毎日プリセプターに会えるので、安心して業務を進めることができます。
—仕事のやりがいを教えてください。
加藤:全く関係性を築けていない住民の方へ定期的な訪問を行い、感謝の言葉をいただくようになったときは嬉しかったです。特に信頼関係を築けたときがやりがいを感じています。
片桐:担当していた疾患をお持ちの方が、退院後に訪問看護や介護サービスを利用しながら安定して地域で暮らせるようになったときには、この仕事をやっていてよかったと思います。
時には自分の対応が正しかったのか家に帰ってから悩むこともあるのですが、先輩からアドバイスをいただくことで考えを整理して、自分なりに正しいと思う方法で住民の方と関わっています。
ー勤務場所について教えてください。
片桐:市役所の分庁舎「あすえ~る」に常駐しています。まだできて4年ほどの建物のため、とても綺麗で過ごしやすいです。健康・子育て応援課だけではなく、学校や保育園関係を担当する教育・保育課も同じ建物内にあります。
本庁舎とは別の建物ですが、直接の打合せや電話で連携はできています。特に福祉課と連絡をとることが多いです。障害区分の認定調査や生活保護の情報を共有しながら一緒に住民に関わっていくケースもあります。
ー残業や休暇、働き方について教えてください。
加藤:8時半から17時15分までの勤務ですが、年度始めや次年度の計画立案、住民が体調を崩しやすい時期は残業することが多いです。多忙時期は1日2~3時間くらいのときもあります。
健(検)診業務で年に2回ほど休日出勤があります。働く世代のために健(検)診を土日に実施していますが、代休はしっかり取っています。
片桐:有給休暇も取得しやすいです。休む理由を書かなくてよいため、どんな理由でも休むことができ、ありがたいと思っています。
また、夏季休暇を4日間取得できるため、土日祝日とくっつけて遠くへ旅行に行くこともできます。
—どんな人と一緒に働きたいですか?
片桐:困ったときに声をかけてくれる方がいいですね。自分で抱え込まずに、何かあったら声に出して相談し合いながら関係性を深めていけるといいなと思っています。
—最後に、小千谷市役所の保健師職へ応募を検討している方にメッセージをいただきたいです。
片桐:看護師の時は、毎日患者さんと会って、1日の中で決まった時間に決まったこと、例えば手術や点滴やお風呂などをしながら、隙間にナースコールの対応などをする必要があるので常に時間に追われていました。
保健師の場合は毎日担当の方と会えるわけではないため、自分で訪問の間隔を決め、どのように連絡を取るか、どのようにアプローチをしていくのかを組み立てて訪問計画を立てていきます。
自分の仕事が終わらなければ残業にはなりますが、焦る必要はなく、保健師は自分のペースでできる仕事だと思います。
訪問や検診業務以外にも事務作業が多いので、パソコンが得意な方はぜひそのスキルを活かしていただきたいです。
また、インターンシップを実施しているのでぜひ参加いただきたいです。看護学校の1、2年生であれば、まだ学校の実習が少ないので参加しやすいかと思います。
「保健師って何だろう」とか「興味あるけどよくわかんないな」という方でも、インターンシップを通して実習ではできない「現場の体験」をしていただけたらいいなと思っています。
加藤:小千谷市では「保健師」が地域に根付いているような印象があります。健(検)診結果で異常のあった方を訪問すると、住民の方から「何か(結果で)引っかかったか」とおっしゃる方も少なくないです。
保健師というと「何それ」って言われることが多いですが、小千谷の方々は「保健師さん、来てくれたんだね」と受け入れてくださることが多く、やりがいがあると感じています。
入庁してすぐに保健師らしい仕事ができるのも小千谷市ならではだと思います。
小千谷市は県内の市町村の中でも訪問の回数も多いためか、保健師研修で他の市町村の方に「そんなことまでするんだ」と言われるほど1年目からさまざまな業務に関わっており、成長を実感できると思います。
—本日はありがとうございました。