高知県須崎土木事務所四万十町事務所で土木職として働く門田さんのインタビュー記事です。地域に根ざし、人々の生活を支える土木職の仕事。
その奥深さとやりがい、そして高知県庁ならではの魅力に迫ります。
高知県庁で働くまでの道のり
ーまずは、入庁前の経歴について教えていただけますか?
門田:出身は高知県のいの町です。県内の大学の農学部を卒業後、2018年に高知県庁に入庁しました。今年で8年目になります。
ー農学部を選ばれたきっかけや理由を教えていただけますか?
門田:地元が田舎で幼い頃から川で遊んだりすることが多かったので、漠然と自然環境に関することに興味があり、専攻できるコースのあった農学部を志望しました。
大学では、主にフィールドワークが中心で、海・川・山と様々な自然に触れ、自然を実際に体験することの重要性を学びました。現在の仕事と直接関係はないのですが、今の仕事とは違った視点を身に付けられたことは良かったのかなと思っています。
ー新卒で高知県庁に入庁されたとのことですが、その経緯や理由を教えていただけますか?
門田:大学までずっと高知県にいたので、地元で働きたいという思いが強かったです。
その中で、地元により貢献できる仕事を探した結果、高知県庁が一番適しているのではないかと思い、入庁を決めました。土木職を選んだのは、大学時代友人の誘いで工事現場の見学会に参加したことがきっかけで、生活に欠かせない橋や道路などの公共インフラの整備に携わってみたいと思うようになったからでした。
当時、まさか自分が土木に興味を持つとは思っていなかった私は、試験のために何を勉強する必要があるのか分からなかったので、慌てて大学の先生に相談に行きました(笑)
これまでのキャリアと現在の業務
ー入庁後のご経歴について教えていただけますか?
門田:入庁して最初の配属は防災砂防課で、土砂災害に関わる業務を2年間担当しました。
その後、和食(わじき)ダム建設事務所で4年間、ダム建設に関わる業務に携わりました。そして、昨年から現在の四万十町事務所に勤務しています。
ー防災砂防課では、具体的にどのようなお仕事をされていたのですか?
門田:土砂災害から住民を守るために土砂災害のおそれのある区域の周知活動が主な業務でした。各市町村に出向いて説明会を開催し、住民の方々に広く知ってもらう活動をしていました。
大変なこともありましたが、住民の方々と直接関わる機会が多く、とてもやりがいを感じましたね。
他には、県がHPで公開している土砂災害危険度情報システムの改修や保守に関する業務も担当していました。
ー和食ダム建設事務所では、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?
門田:和食ダムの建設業務に携わっていました。ダム本体のコンクリート打設や、周辺の環境整備、残土処理場の整備、そしてダム周辺の重要植物や鳥類への影響調査など、ダム建設に関わるあらゆる業務に携わりました。
私が配属となった当初は、ダムの岩盤を掘削する段階で、難しい局面でしたが、完成に近づく様子を間近で見ることができました。
ー現在の四万十町事務所での仕事内容について教えていただけますか?
門田:現在は、四万十町管内の道路の維持管理や修繕業務を行っています。具体的には、倒木や落石の撤去、道路の舗装修繕、橋の耐震補強、トンネルの修繕などです。
道路を管理する立場として、県民の皆さんが安全に安心して道路を利用できるよう、責任を感じながら業務に取り組んでいます。

また、土木職のPR活動として、地域の小中学校に出向いて、高知県の土木職の仕事を紹介する活動も行っています。

仕事の面白さとやりがい 〜「地図に残る仕事」の誇り〜
ーこれまでのキャリアの中で、特に面白さややりがいを感じるのはどんな時ですか?
門田:そうですね、まずは仕事の規模が大きいことです。橋やトンネルなど、一つ一つの工事にかかる費用も大きく、それだけやりがいを感じます。
また、住民の方々の生活に直結する仕事であるという点も大きいですね。道路を整備することで生活の利便性が向上したり、河川を広げることで洪水に対する安全性が高まったりと、目に見えて成果が分かりやすいのが面白いです。
あとは、建設会社やコンサルタントと協力して一つのものを作り上げていく過程も非常に魅力的です。
ー高知県庁の組織としての魅力も教えていただけますか?
門田:高知県庁は人数が多い組織なので、様々な人との繋がりが生まれるのも魅力です。
特に土木職員は、結束力が強いと感じます。同じ土木職として、共通の経験や目標があるからこそ、強い絆が生まれるのかもしれません。異動で別の事務所に行っても、また一緒に仕事をする機会も多いので、知り合いが増え、仕事もやりやすくなりますね。
毎年夏頃には、各事務所対抗のソフトボール大会が開催されるんです。土木職員の一大イベントになっていて、大会の1ヶ月前からは週に1回ほど練習もあり、みんな熱心に取り組んでいます。
あと、プライベートでも知り合いが増えていくのは楽しいですね。
例えば、私はマラソンが趣味なんですが、庁内のランニングクラブに所属していて、一緒にマラソン大会や駅伝に出たりしています。
週に1回、休日に集まって練習したり、各自で自主練習したりしていますね。職場以外でも共通の趣味を持つ仲間ができるのは嬉しいです。
ー関わった現場で、特に思い出に残っている場所はありますか?
門田:やはり和食ダムですね。ダムという大きな仕事に携われたことは、私にとって誇りです。大変なことも多かったですが、完成したダムを見た時には感動しました。
土木の仕事は「地図に残る仕事」とよく言われますが、自分のやったことが形として残るのは、本当にやりがいを感じます。

専門用語の壁を越え、成長を続ける日々
ーこれまでの仕事で大変だったことや、それをどのように乗り越えてきたかを教えていただけますか?
門田:土木の仕事は専門用語が多く、最初の頃は打ち合わせをしていても相手が何を話しているのか理解できないことが多かったです。でも、その都度分からないことを質問したり、家に帰ってから自分で勉強したりして、徐々に分かることが増えてきました。
分からないことは、上司やコンサルタント会社、建設会社の方々に、積極的に質問しましたね。皆さんが親身になって、聞いていること以上に色々と教えてくださるので、とても助けられました。
ー後輩指導の際に心がけていることはありますか?
門田:経験年数が浅いと当たり前のことが分からなかったり、難しいと感じることもあると思いますが、自分が入庁して初めの頃を思い出しながら、相手の立場に立ち丁寧に教えることを意識しています。
また、どんなことでも相談しやすい先輩になりたいと思っています。日頃からコミュニケーションを取り、話しかけやすいオーラを出せるように頑張っています(笑)
「任せても大丈夫」と言われる存在へ
ー門田さんから見た、高知県庁の職場としての印象を教えていただけますか?
門田:高知県庁は、全体的に明るく活気がある人が多い印象です。仕事に全力で取り組む姿勢を背中で見せてくれる上司や先輩がいてくれることは非常に頼もしいです。
また、若手の立場としては、人をちゃんと育ててくれる意識の高い人が多いと感じます。
分からないことがあれば、親身になって教えてくれる先輩方がたくさんいますね。仕事のことだけでなく、プライベートの相談なども親身に聞いてくれありがたい存在です。
ー今後の展望について教えていただけますか?
門田:将来的には、「この人に任せても大丈夫」と思ってもらえるような職員になりたいです。そして、後輩もしっかりと指導できるようになりたいですね。
個人的には、まだ携わったことのないトンネル建設や、大規模な橋の建設にも挑戦してみたいです。

ー最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。
門田:私は当初土木という仕事に対して、きつい、難しいといったイメージを抱いていました。そんな私が学生時代に土木を専攻せずにこの業種に入ったわけですが、やってみると以外となんとかなりました。
初めは不安でしたがやってみると奥が深くこの業界のことをどんどん知りたいと思うようになりました。なので、イメージにとらわれずに気軽に現場見学会に参加するなどまずは触れてみることが、大事なのではないかと思います。
そして、興味が湧いた方はぜひ高知県庁を選択肢の一つとして考えてもらえたら嬉しいです。
ーありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年6月取材)