高知県安芸林業事務所で「林業職」として働く小松さんのインタビュー記事です。
大学で生物科学を専攻し、林業とは異なる分野を学んだ小松さんが、どのようにして林業の道へ進み、日々の業務にどのようなやりがいを感じているのか。高知の豊かな自然の中で働く魅力に迫ります。
- 高知県庁で林業の道へ!就職のきっかけ
- 高知の林業を支える!現在の仕事内容と1日のスケジュール
- 現場で培うプロの視点!仕事のやりがいと面白さ
- 入庁後の学びと成長!手厚い研修制度と働きやすい環境
- プライベートも充実!高知県庁の魅力的な職場環境
- 今後の展望とメッセージ
高知県庁で林業の道へ!就職のきっかけ
ー小松さんの入庁前の経歴と、林業という職種に興味を持たれたきっかけについて教えてください。
小松:高知県の追手前高校を卒業後、高知大学の生物科学科で植物について学びました。大学卒業後、高知県庁に就職しました。
大学では林業とは全く違う分野を学んでいましたが、出身が香美市の物部町という山の方で、林業という職業が身近にあったんです。
近所のおじさんが林業に従事していたり、祖父が大工だったりして、木材に触れる機会が多かったのがきっかけですね。

ー高知県庁の林業職を選ばれた理由は何ですか?
小松:高知県の林業を支えたいという思いが強く、事務と現場の両方を見ながら、様々な分野に携われる県庁の林業職を選びました。山に行くのが好きなので、現場に行けるというのが大きかったです。
高知の林業を支える!現在の仕事内容と1日のスケジュール
ー現在、安芸林業事務所でどのようなお仕事をされているのですか?
小松:2023年に入庁し、現在3年目になります。安芸林業事務所の振興課で、主に事業体(森林組合や林業を行なっている企業)への補助金交付に関する業務を担当しています。
具体的には、事業体から提出された申請書を受け付け、内容をチェックして修正をお願いしたり、書類を整えて本庁に提出することです。また、補助事業に関する問い合わせ対応や、書類検査、現地確認のための出張もあります。


ー森林の整備に関する補助金について、具体的にどのような内容のものがあるのでしょうか?
小松:主に「造林事業」という森林整備に対する補助金です。
例えば、山全体を伐採した後に行う再造林では、地ごしらえ(木の根っこを取り除く作業)や植栽(苗を植える作業)にかかる費用、そして植えた苗木が他の草に負けないように周りの草を刈る「下刈り」に対する補助金があります。
その他にも、鹿などの獣害対策としてネットを張ったり、苗木を保護する資材を設置する費用、作業道の開設費用、そして皆伐(全て伐採する)ほどではないけれど、間引くように伐採する「間伐」など、多岐にわたります。
昨年までは再造林や獣害対策の補助金は担当していなかったので、今年はそこを重点的に勉強しています。
ー現場に出る機会はどれくらいありますか?また、林業の知識はどのように勉強されているのですか?
小松:週に1回程度は現場に出るようにしています。研修会や現地確認、チーフと一緒に作業道の構造物に関する相談など、実際に現場を見て学ぶことが多いですね。
現地確認は基本的に委託していますが、今年は新しい分野を担当しているので、自分で現場に行って検査をして学んでいます。

現場で培うプロの視点!仕事のやりがいと面白さ
ー仕事のやりがいや面白いと感じる部分を教えてください。
小松:やはり現場に行かないと分からないことが多いのが、この仕事の面白いところです。写真や図面、数字だけでは現場の状況や出来栄えは全て把握できません。
上司や先輩と一緒に現場に行くと、「これが適切な間伐なのか」「山を傷めない作業道になっているか」といったプロの視点からの話を聞くことができます。
そうやって現場を見る目が養われていくのが、とても面白いと感じています。
ー特に印象に残っている現場はありますか?
小松:最近、安芸市の畑山という場所の現場を見に行ったのですが、とても丁寧に間伐がされていて印象的でした。
間伐によって木が間引かれて下草に光が当たることで、山林全体が明るくなっていたんです。上司や先輩も「ここはすごいいい現場やね」と言っていて、プロの視点から見ても素晴らしいと感じる現場を見ることができて、とても嬉しかったです。
専門職でなければ気づけない視点だと思いますし、現場でしか感じられない魅力ですね。

ー他に現場に行くことで見えてくることはありますか?
小松:鹿が多いな、とか、写真だけでは分からないことも多いです。
また、最近は作業道の付け方についても厳しくなってきており、山の状態などによって、とても急な作業道があったりします。現場に行かなければ分からないことがたくさんあります。
現場までの距離や、夏場の暑さ、冬場の寒さを体感できますし、林業機械の入りやすさ、作業システム、作業班の人数等も把握できるため、施業の効率や進捗についても考える機会になります。
入庁後の学びと成長!手厚い研修制度と働きやすい環境
ー入庁されてから、どのように専門知識を習得されたのでしょうか?
小松:大学では林業とは全く違う分野を学んでいたので、入庁当初は専門用語や、事業体の方と図面を見ながら話すことが全くできず、苦労しました。
ただ、上司や先輩に恵まれていて、質問すれば「じゃあ現場に連れて行って見せてやろう」と教えてくださったり、研修会に参加したり、自分でインターネットで調べたりと、積極的に学ぶ機会がたくさんありました。1年ほどで、業務に関する大まかな流れや林業の1年のサイクルも理解できるようになりました。
今担当している再造林関係は、まだ現場を見たことが少ないので、勉強中です。間伐や作業道の開設はイメージがつきやすいのですが、適切な再造林の現場がどのようなものなのか、まだ分からない部分があります。
地拵え(皆伐後の植栽や森林整備を行いやすいよう雑草木や枝条等を除去すること)の必要性や、適切な獣害設備の設置方法、下刈りの頻度等についてわかっていません。現場を見て、上司の意見等も聞きながら学んでいきたいですね。
高知県内でも再造林の現場は多くないので、限られた機会の中で学んでいきたいと思っています。

ー入庁後の研修制度について教えてください。
小松:1年目には林業職向けの新規採用研修があり、座学で森林整備について学ぶ機会がありました。また、昨年担当した森林病害虫については、林野庁主催の大きな研修会に参加したりと、専門的な研修が充実しています。
県庁全体の新採研修もあり、公文書の書き方や社会人としての基礎を学ぶ機会もあります。同期で集まる研修も毎年あり、手厚くサポートしてもらっています。
プライベートも充実!高知県庁の魅力的な職場環境
ー小松さんから見た、職場としての高知県庁の印象を教えてください。
小松:休みが非常に取りやすい職場だと感じています。忙しくない時期であれば、2週間に1~2回は有給休暇を取ることもありますし、体調が悪い時には半日休暇を取ることもできます。人間関係も良好で、上司も理解のある方が多いので、とても働きやすい環境だと思います。
ー休日はどのように過ごしてますか?
小松:実家暮らしなのですが、犬が2匹いるので、休日は犬の散歩をしたり、家で本を読んだりして過ごしています。とてもリラックスできる時間ですね。
ー地域としての高知県にはどのような魅力を感じますか?
小松:安芸林業事務所からは海が見えるのですが、通勤中も海が見えて、毎日美しい景色を見ながら仕事ができるのはとても良いですね。自然が豊かであることを日々感じながら仕事しています。

今後の展望とメッセージ
ー今後の展望について教えてください。
小松:入庁して3年目ですが、ずっと同じ分野の仕事をしてきたので、今後は様々な分野や業務に携わりながら、自分の好きな分野や得意な分野を見つけて伸ばしていきたいと思っています。
今年は新しい造林の分野を担当していますが、今後は森林土木など、まだ経験していない分野にも挑戦してみたいです。
ー最後に、就職活動中の方や転職活動中の方へメッセージをお願いします。
小松:林業の経験や専門知識について不安があっても、高知県庁に入庁してから学ぶ機会がたくさんあります。そこはあまり心配せずに、林業に興味がある方にはぜひ受験していただきたいです。
現場に行くのが好きな人は現場に出る機会もたくさんありますし、事務作業が得意な人は事務に専念することもできます。個人でバランスを調整できるので、体力に不安がある方でも安心して働ける環境だと思います。
ーありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年6月取材)