高知県庁で社会福祉職として働く福元さんのインタビュー記事です。
県の中央児童相談所に所属し、子どもやその家族が抱える課題に日々向き合っています。
難しい課題に直面することも多い中で感じる仕事のやりがいや、入庁後に感じた「嬉しいギャップ」でもある温かい職場の雰囲気、そして未来の仲間に向けたメッセージを語っていただきました。
社会福祉の仕事に興味がある方はもちろん、高知県庁のリアルな働き方を知りたい方も必見です。
現在の仕事内容とやりがい
ーまず、現在の仕事内容について教えていただけますか?
福元:私は今、高知県の中央児童相談所で働いています。児童相談所というと、虐待対応のイメージが強いかもしれませんが、高知県中央児童相談所内は、いくつかの部署に分かれています。
虐待対応を専門とする班のほか、施設に入所しているお子さんを支援する班、そして私が所属している、在宅で生活するご家庭を支援する班などがあります。
具体的には、子育てにしんどさを感じている親御さんや、非行に走ってしまったお子さんなど、様々な相談に対応しています。
親御さんやお子さんと直接お話をしながら、「今後どうすれば家族みんながストレスなく暮らしていけるか」を一緒に考え、その道筋を見つけるお手伝いをすることが私の主な役割です。
ー相談業務はご自身のオフィスだけでなく、外に出ることも多いのですか?
福元:そうですね。相談所に来ていただくのが難しい場合は、学校やご自宅に訪問して面接をすることもありますし、近くの市町村の施設をお借りしてお話を聞くこともあります。
本当に日に依りますが、多い日だと3〜4件の相談が続くこともあり、外に出る機会はかなり多いと思います。
ーチームはどのような体制で、1人あたり何件くらいの案件を担当するのですか?
福元:所内の最も小さな単位である「班」は係長を含めて5人体制で、地区ごとに担当が分かれています。
私の所属する部署は10人前後で、1人あたり常に20件程度の案件を担当しています。
ー非常に多岐にわたる大変な業務だと思いますが、やりがいを感じるのはどんな時ですか?
福元:そうですね、やはり、ご家族の未来が少しでも明るい方向に進んだと実感できた時です。
私たちが関わることで、ご家族が自分たちの課題と向き合い、「じゃあ、これからはこうしてみよう」と前向きな一歩を踏み出してくれた瞬間は、本当に嬉しいですね。
もちろん、全てのケースがすぐに解決するわけではありません。でも、私たちが相談に乗ることで、ご家族が自分たちの状況を改めて考える時間を持てたこと、そしてその後の生活を前向きに捉えようとしてくれたと感じられた時は、この仕事をしていて良かったと心から思います。
ー逆に、仕事の難しさや大変さを感じるのはどんな部分でしょうか?
福元:たくさんありますね(笑)
一番は「伝わり方」の難しさです。相手の状況や気持ちによっては、100%こちらの意図通りには伝わらないことがあります。特に、ご家族との関係がまだ築けていない段階や、意見が対立してしまった時には、その難しさを痛感しますね。
ーそうした難しい状況で、仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
福元:お互いの「認識のズレ」をなくすことです。
例えば、親御さんから「普通に学校に行ってほしい」という相談があった時に、その方が思う「普通」とは具体的にどういう状態なのかを、できるだけ細かく、具体的に確認するようにしています。
人それぞれ「当たり前」の基準は違いますから、そこを丁寧にすり合わせて共通のイメージを持つこと。それが、ご家族に本当に寄り添うための第一歩だと考えて、常に心がけています。
「高知県のために」公務員、そして県庁を選んだ理由
ーそもそも、なぜ社会福祉の道を志そうと思ったのでしょうか?
福元:中学生の頃から漠然と「高知県のために何かしたい」という思いがありました。高知県は少子高齢化が進んでいることもあり、将来的に「福祉」の分野がますます重要になると考え、大学では社会福祉を専門に学びました。
児童の道に進むというよりは、もっと広く「高知県のため」という軸で考えた結果、社会福祉職という選択肢にたどり着きました。
ー福祉の仕事には様々な選択肢があると思いますが、なぜ公務員、そして「県庁」を選んだのでしょうか?
福元:福祉の仕事は医療機関や施設など、本当に多岐にわたることから、最初から公務員だけに絞っていたわけではないんです。
ただ、実際に県民の皆さんと直接関わることができ、「高知県のために働いている」という実感を持ちやすいのは公務員なのかな、と考えました。
それに、県庁であれば市町村の枠を超えて高知県全体を見渡すことができますし、市町村との連携を通じてより広い視点を学べることにも魅力を感じました。
あとは…実は、県庁の採用試験の応募が一番早かった、というのも正直な理由の一つです(笑)。でも、結果的にそれが一番良い選択だったと思っています。
試験対策と入庁前後のギャップ
ー公務員試験に向けて、どのような対策をしましたか?
福元:筆記試験は大学が提供していたオンラインの公務員試験対策講座を利用しました。面接対策は、ゼミの先生や他の教授にお願いして、何度も練習相手になってもらいましたね。
ー実際の面接の雰囲気はいかがでしたか?
福元:正直、圧迫面接を覚悟していたのですが、想像とは全く違う「ハートフル」な雰囲気でした!(笑) すごく穏やかな空間で、終始丁寧に話を聞いてくださったのが印象的です。
ー入庁してみて、働く前のイメージとギャップを感じたことはありますか?
福元:はい、率直に言って「想像以上に忙しい!」と思いました(笑)
ご家族からの相談だけでなく、警察や学校、市町村など、本当に様々な機関と情報共有をしながら仕事を進めていくんです。
入庁前はここまで多くの機関と連携するとは思っていなかったので、その情報共有の多さとスピード感には驚きましたね。これが一番のギャップかもしれません。
「人間関係がめちゃくちゃいい!」職場の雰囲気とワークライフバランス
ーその忙しい毎日を支える、職場の雰囲気について教えてください。
福元:一言で言うと、もう、めちゃくちゃいいです!(笑)
本当に周りの人に恵まれていると感じます。私が困っていると、上司や先輩が親身になって相談に乗ってくれますし、同僚もかけがえのない存在です。
仕事で抱えた重い気持ちやしんどさも、周りに吐き出すことで的確なアドバイスをもらえたり、気持ちを切り替えたりすることができています。
この環境があるからこそ、乗り越えられているんだと思います。
ー仕事には、どのように慣れていきましたか?
福元:入庁1年目の時は、2年目の先輩が「メンター」としてついてくださり、仕事の基本を教えてくれました。
普段の業務は、係長である「チーフ」と一緒に動くことが多いので、分からないことがあればその都度教えてもらいながら、少しずつ学んでいきました。
本当に、周りのサポートなしではやっていけなかったと思います。
ー県庁の社会福祉職だと、他にどのような勤務先があるのでしょうか?
福元:私が今いる中央児童相談所以外にも、県内の他の児童相談所、福祉保健所、本庁の子ども家庭課などが勤務先の候補としてあります。
ーワークライフバランスについてはいかがですか?残業は多いですか?
福元:残業は月によりますが、平均すると月30時間くらいでしょうか。ですが、お休みはしっかり取れています。
7月から9月の間には5日間の夏季休暇が必ず取れますし、有給休暇も取りたいタイミングで取得できています。看護休暇や介護休暇など、福利厚生はとても充実していると感じますね。
休日は、友人と外に出かけたり、美味しいご飯を食べに行ったりしてリフレッシュしています。仕事のオンとオフをしっかり切り替えて、プライベートを充実させることが、結果的に良い仕事につながると思っています。
未来の仲間へのメッセージ
ー最後に、これから高知県庁を目指す方へのメッセージをお願いします。
福元:高知県庁は、本当に温かい職場です。親身になって相談に乗ってくれる上司や先輩、そしてかけがえのない同僚に出会えます。
最初は分からないことばかりで不安かもしれませんが、周りがしっかりとサポートしてくれるので、その中で確実に成長できる環境が整っています。
今、就職を考えている方には、ぜひ選択肢の一つとして検討していただけたら嬉しいです。お待ちしています!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)