福島県須賀川市役所で働く石川さんのインタビュー記事です。
地元・須賀川市への想いを胸に公務員の道へ進んだ石川さんに、採用1年目ならではの思いをお話しいただきました。
入庁前後の不安から1年間の動きについて、石川さんの成長と共に働くイメージがもてるような内容となっています!
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
石川:出身は須賀川市で、大学に入るまでの20年間を須賀川市で過ごしました。大学は宮城県内の大学で経済学部を専攻し、大学卒業後、令和6年度に入庁しました。現在は採用1年目で、観光交流課に所属しています。
大学ではバンド活動(軽音楽部)にも力を入れていて、ベースとボーカルを担当していました。

ー石川さんが公務員を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
石川:大学に入ってすぐの頃、家族から「こういう仕事もあるんだよ」と公務員の仕事について教えてもらったのが最初のきっかけです。当時は漠然と民間企業への就職を考えていたのですが、「公務員という選択肢もあるんだな」と少し意識するようになりました。
本格的に目指そうと思ったのは、就職活動を進める中で地元・須賀川への想いが強くなったからです。大学は仙台でしたが、帰省するたびに「やっぱり須賀川は好きな町だな」「今の自分を作ってくれたのは須賀川市だな」と実感していました。一度外に出たからこそ、「須賀川は良いところなんだよな」と再確認することができましたね。
大学3年生の終わり頃、市役所の制度を利用して先輩職員の方のお話を聞く機会をいただきました。実際に働いている先輩方の話を聞き、「市民の方と直接関わる仕事もあれば、イベントなどを通じて関わる仕事もある。色々な関わり方ができるのは、他の民間企業にはない魅力だ」と感じました。そのまま「須賀川市役所を受けよう!」と決意して、そこから本格的に勉強を始めました。
ー他自治体との併願はされなかったのですか?
石川:はい!勉強を始めた時から「もう須賀川市一本でいこう!」と決めていました。民間企業との併願も考えませんでしたし、他の自治体や県庁も、物理的に併願が難しかったことから、いわゆる試験慣れのための併願といったことも考えませんでした。
自分を追い込むわけではないですが、「やるなら一本で頑張りたい」という気持ちが強かったですね。なので、就職活動は須賀川市役所合格に向けて注力しました。
ー公務員試験の対策はどのように進めましたか?
石川:やろうと決めてから勉強期間が3ヶ月ほどしかなかったので、とにかく効率的にやることを意識しました。闇雲に勉強するのではなく、分析から始まり、出題傾向や頻出科目を見定めたうえで対策をしていました。分析に時間をかけた分、その後は自分は何をすべきか明確になり、集中して勉強できたと思います。
また、心がけていたのは、「出るかもしれない1問」を追いかけるより、「確実に取れる2、3問」をしっかり押さえることです。これも分析によってある程度自分の中であてを付けていました。
あとは、適度な息抜きも大切にしていましたね。大学時代のバンド活動が息抜きになっていて、ライブを見に行ったり、楽器に触れたり、友達と話したりすることで、モチベーションを保ちながら勉強を続けられました。頑張りすぎないことも大事だと思います。
ー面接についても対策はしていましたか?
石川:実は、面接練習は一切しませんでした(笑)
あらかじめ考えた回答を話す練習をすると、想定外の質問が来た時に固まってしまいそうだと思ったんです。それよりは、話したいことの「種」だけ持っておいて、その場で自分の言葉で話せるようにしたいと考えました。なので、当日まで誰かと面接練習ということは一切していません。
実際の面接は相手が6人と、思ったより面接官の方が多くて少々驚きましたが、質問に対しては自分の言葉で話すことができたんじゃないかと思っています。
ー採用が決まってから4月まで、期待や不安はありましたか?
石川:8月末に採用が決まったのですが、実際の入庁までは期間が空くので、「本当に公務員になるんだよな?」と少し不安になった時期もありました。
年が明ける前くらいに、内定者懇談会があって、同期になる人たちと顔を合わせる機会があったのですが、実際に会ってみると、同年代だけでなく、社会人経験を経て入庁される方も多くて、中には10歳くらい年上の方も同期にいて、驚きましたね。
ただ、「こういう働き方もあるんだな」「頼れる人もいるし、一緒に頑張れそうだ」と、すごくワクワクしました。懇談会以降は、不安よりも期待の方が大きくなりましたね。

ー入庁して最初の頃はどのようなことをしていたか覚えていますか?
石川:入庁初日は、ひたすらファイルのラベル貼りを手伝っていたのを覚えています。とりあえずは単純作業が続くのかな、と安心していたら、すぐに「じゃあ、次はゆるキャラに入ってもらうから!」と言われたんです(笑)入庁2週間くらいで、須賀川市のマスコットキャラクター「ボータン」の着ぐるみを着て、市のPR活動に参加しました。まさか公務員になって自分がボータンになるなんて思っていなかったので、これは結構衝撃的でしたね(笑)
最初の3ヶ月は研修も多かったです。5月、6月は他自治体の新採用職員と一緒に宿泊研修に参加したこともあります。同じ境遇の仲間たちと「今どんなことやってる?」「何が不安?」といった話を共有したり、名刺交換や接遇マナーなど、社会人としての基本を叩き込んでもらったりする貴重な機会でした。

ー新採用ならではのワクワク感がありますね!夏以降はいかがですか?
石川:7月から9月にかけては、所属する観光交流課のメインイベントである「釈迦堂川花火大会」の運営に携わりました。招待状の発送や出欠確認といった事務作業から、当日の会場設営など、本当に何から何まで経験させていただき、市民の方々が楽しみにしている大きなイベントを、自分たちの手で作り上げているんだという実感を持つことができました。
その後、下半期にかけては、もう一つの大きなイベントである伝統の火祭り「松明あかし」の運営を行いました。この時期は、イベント運営にあたって警備会社など民間の企業の方々とのやり取りがすごく増えましたね。市役所の仕事は、職員だけでなく、多くの民間の方々の協力があって成り立っているんだと強く感じました。

ー少しずつ主体的に進める業務が増えてきたのですね。採用後1年が過ぎようとしていますが、現在はいかがですか?
石川:現在は、これらのイベント運営に加え、福島空港の利活用促進にも関わっています。空港に直接出向き、県外や国外から来られたお客様に須賀川市の魅力をPRしたり、滞在を促すほか、空港利用者を増やすための助成金制度の運用なども担当しています。
振り返ってみると、携わる業務の幅や、自分で進めるべき業務がすごく増えましたね。成長したなと思います。

ー1年目から様々な業務を経験されていますが、仕事のやりがいや魅力を感じるのはどのような時ですか?
石川:入庁時に人事課長から「君たちは一人の市民でもあり、須賀川市役所の職員としても見られるんだよ」と言われた言葉が心に残っています。責任感を感じると同時に、市民の方から「市役所の人」として頼りにされる存在でもあるということだと、ポジティブに捉えています。
特にやりがいを感じるのは、窓口での市民の方との触れ合いですね。須賀川市はウルトラマンの生みの親である円谷英二監督の出身地で、ウルトラマンの故郷である「M78星雲 光の国」と姉妹都市提携を結んでいるんです。観光交流課の窓口では、そこで誕生した仮想都市「すかがわ市M78光の町」の住民票を発行できるのですが、子どもから大人まで、本当にワクワクした顔で来庁されるんです。そういった方々の対応をしていると、自分が須賀川市と人々を繋ぐ役割を果たせているんだと実感でき、市職員として働く喜びを感じますね。
イベント運営で裏方として汗を流すのも、窓口で市民の方と直接お話しするのも、どちらも大切な仕事で、それぞれに違ったやりがいがあります。

ー須賀川市役所の雰囲気や働きやすさはいかがですか?
石川:すごく働きやすい環境だと思います。特に、休みが取りやすいのはありがたいですね。皆さん家庭やお子さんがいらっしゃる方も多く、急なお休みが必要になることもありますが、「そういうもんだよね」という雰囲気で、お互い様という意識が根付いているように感じます。
人間関係も良好です。同期とは年上年下関係なく仲が良くて、休日も一緒に過ごすことがあります。同期にはかなり年上の先輩もいるので、最初はジェネレーションギャップとか心配しましたが、全くそんなことはなく、むしろ色々な経験を聞かせてもらえます。
職場の先輩方もすごく協力的で、私が前任の方から業務を引き継ぐことになって不安を感じていた時も、「大丈夫、一人でやるわけじゃないから」と背中を押してくれました。困った時に相談できる人が周りにいるのは、本当に心強いです。
ーバンド活動が趣味ということでしたが、仕事との両立はできていますか?
石川:はい、おかげさまで両立できています!入庁時の自己紹介で「ベースを弾きます」と書いたのですが、それをきっかけに色々な部署の方が「ベース弾くんだって?」「最近やってる?」と声をかけてくれるんです。先日も、声をかけてくれた方が定期的にやっているライブに誘っていただいて、見に行ってきました。
職場に趣味の話ができる人がいるのは嬉しいですね。もちろん、家に帰ってから自分で楽器を触る時間も確保できています。仕事で忙しくても、趣味の時間がなくなるということは今のところないですね。

ー最後に、これから公務員を目指す学生さんや若手の方々へメッセージをお願いします。
石川:自分の経験から言えることとしては、「やると決めたら、突き進んだ方が後悔しない」ということです。決意すれば、それは自身の行動の源になると思っています!
公務員を目指す方も、他の道に進む方も、一度決めたのならばとにかく進み続けてほしいです。結果がどうであれ、自分が決めた道を信じて進むことが、後悔しない一番の方法だと思います。
皆さんのやりたいことを応援しています!もし須賀川を選んでいただけるなら、その時は一緒に働けることを楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年3月取材)