秋田県能代市役所で働く堀口さん、小林さんのインタビュー記事です。
移住定住推進課で勤務されているお二人に、これまでの経験や現在の業務内容、仕事のやりがい、そして能代市の魅力や職場の雰囲気について、熱く語っていただきました。
公務員として働くやりがい、そして能代市で働きたいと思えるような魅力が伝わってくる内容となっています。
ーまず、自己紹介とこれまでの経歴について教えてください。
堀口:出身は能代市近隣の三種町というところです。県内の大学で教職課程を学び、卒業後は小学校と支援学校で講師として勤務していたことがあります。その後、2001年に能代市役所に入庁しました。今年で24年目になります。こうやって考えると長いですね(笑)
入庁後は税務課や福祉課のほか、秋田県庁資源エネルギー産業課に派遣されていた時期もありました。派遣後、市役所に戻ってからもエネルギー関係の担当を務め、その後は農業振興課、商工労働課を経て、この春から移住定住推進課に所属しています。役職としては課長補佐ですが、移住定住に関してはまだまだ勉強中の身です。
小林:同じく移住定住推進課の小林です。私は生まれも育ちも、そして現在の住まいも能代市です。高校時代は新聞部に所属し、伝えることの楽しさや難しさを学んでいました。また、高校総体の取材をきっかけに能代工業高校(現:能代科学技術高校)のバスケ部のファンになり、バスケ観戦は今でも大切な趣味です。
高校生の頃から公務員を目指していて、高校卒業後は県内の公務員専門学校に通い、その後能代市役所に入庁しました。入庁後は税務課、福祉課、まちづくり課、国体室、総務課、市民保険課、商工労働課、子育て支援課、下水道課を経て、3年前に移住定住推進課に来ました。
公務員というと、3年くらいで異動になるケースが多いイメージですが、私は比較的異動スパンが短く、2年程度で新しい部署に移ることが多いですね。振り返ってみると、新しい取り組みを行う部署に配属される機会が多かったように感じています。

ー公務員を目指されたきっかけや、能代市役所を選んだ理由を教えていただけますか?
堀口:高校生の時に「自分は何になりたいんだろう?」と考えた時期がありました。その時、利益よりも誰かのため、特に身近な家族や地域のために働きたいという思いが芽生え、その思いを実現できる仕事として公務員を選びました。「子ども達のために」という考えから教員も目指していたのですが、当時は倍率も非常に高く…中々思うようにはいきませんでした。そこで、同じように地域貢献ができる市役所という道に進むことにしました。
地元三種町ではなく能代市を志望したきっかけとしては、当時結婚して能代市に住んでいたことと、地元だと親戚や知り合いが役場にちょっと多すぎたので、できれば地元以外で働きたかったというのが正直なところですね。
ただ、三種町を含めた能代山本地域全体を盛り上げたいと思っていたのは確かです。能代山本地域を盛り上げるためには、中心である能代市からアプローチする方がより大きなインパクトを与えられると考えていたので、能代市で働くことには魅力を感じていました。
小林:私も、実は昔から小学校の先生になりたいと思っていたんです。公立学校の先生が公務員だということも知らなかったので、あくまでなりたかったのは公務員ではなく「先生」でしたね。
模試の結果等をみて、進学して教員免許を取るということは早々に諦めてしまったのですが、友達が「公務員になる」という話をしていて、安定的に地元で働けるという点に魅力を感じ、私も公務員になりたいと思うようになりました。
能代市を志望した理由としては、やはり生まれ育った地元で働きたいという気持ちが強かったですね。親も地元で働くということに賛成してくれましたし、地元のために貢献したいと思っていました。
ー現在はお二人とも移住定住推進課に勤務されているとのことですが、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?
小林:文字通り、能代市への移住・定住を推進する仕事です。移住を希望される方やUターンを考えている方向けに、市の魅力を発信したり、個別相談に乗ったりしています。
なんとこちらの相談窓口は、イオンタウン能代の中にあるんですよ!商業施設の中に課があるのは中々聞かないですよね。市役所本庁舎ともZoomで繋がっているので、どちらに来ていただいても対応可能です。
窓口相談の他に、月1回程度は東京に出張して移住フェアに出展したり、自分たちでフェアを開催したりして、首都圏の方々に直接能代市の魅力をお伝えしています。
移住された方には、引っ越し代や移住支援金、家賃補助などの助成金制度をご案内し、申請のお手伝いも行っています。移住後のサポートも重要で、「移住交流サロン」などを開催し、移住者の方が孤立せず「能代に来てよかった」と思ってもらえるような支援を続けています。
また、実際に能代市での暮らしを体験してもらう「移住体験ツアー」も企画・実施していて、そのアテンドも私の仕事です。「冬の暮らしが不安」という方には、実際に冬に来て体験してもらうなど、リアルな情報を提供できるように心がけています。

堀口:小林さんが話した移住者向けの直接的な支援に加え、私は「関係人口」の創出や「出会いの支援」といった、移住の前段階や地域全体の活性化に繋がる業務も担当しています。
関係人口づくりとしては、「リンクto能代」というプロジェクトを通じて、首都圏と能代市をつなぐ交流事業などを支援しています。具体的には、「のしろ会議」という、地域のキーパーソンを招いて話を聞き、交流する緩やかな集まりがあるのですが、その東京版の開催を支援するなど、市外の方々との繋がりを深める取り組みを行っています。
また、若者の出会いを支援するために、婚活イベントを行う団体への補助金の交付や、市が主体となった婚活事業の企画なども行っています。移住は、単に移住者を増やすだけでなく、その前後にある繋がりや、地域で暮らす人々の幸せも考えていく必要があると感じています。最近よく言われる「若者や女性に選ばれる地域づくり」という視点も踏まえながら、様々な取り組みを進めているところです。まだ着任して間もないですが、これから本格的に関わっていくのが楽しみですね。
ー楽しそうにお仕事をされているのがとても良く伝わってきますね。ちなみに、入庁からこれまでの経験の中で、特に印象に残っているエピソードなどはありますか?
小林:私は国体室での経験ですね!「秋田わか杉国体」の際、能代市がバスケットボール(少年男子)と軟式野球の会場になったんです。開催に向けて、リハーサル大会の運営や、市民の方々への協力依頼、歓迎イベントの企画など、本当に忙しい2年間でした。
もちろんやりがいも大きかったのですが、何より大会本番で能代工業高校が58回目の全国優勝を飾った瞬間は、本当に感動的でしたね。会場全体が歓喜に包まれて、選手たちの頑張り、スタッフや市民の方々の協力、全てが報われた気がして…一生忘れられませんね。


堀口:私は街の活性化担当時代の経験が印象深いです。担当になった当初、中心市街地はシャッター通りで、正直どこから手をつけていいか分からない状態でした。でも、地域の方々と対話を重ね、一緒に活動していく中で、少しずつ変化が見え始めたんです。
特に、秋田県主催の動き出す商店街プロジェクトに参画し、民間の方々と協力して空き店舗のリノベーションを推進できたことは大きな達成感がありました。その場所が新たな交流拠点となり、以前あった大きな祭りに代わるような新しいイベントも生み出すことができました。
地域の方々と一緒になって、少しずつ街に活気を取り戻していく過程を実感できたこと、そして目に見える成果を出せたことが、大きなやりがいにつながりましたね。住民の方々の喜ぶ顔を見られたのが、何よりの励みでした。

ーお二人にとって、市役所で働く魅力ややりがいは、どのようなところにありますか?
堀口:やはり住民の方々との距離が近いことですね。県庁に派遣されていた頃と比べても、市役所での勤務は市民の方々の顔が見えやすく、直接対話する機会も多いです。一緒に活動したり、意見交換をしたりする中で、自分たちの仕事が街の変化に繋がっていることも実感できます。そして、その変化を住民の方々が喜んでくれる。それが一番のやりがいですね。
また、今は管理職として、部下の成長を間近で見られることにも喜びを感じています。若い職員たちが一生懸命頑張っている姿を見ると、自分ももっと頑張ろうと思えますね。若い人が能代市の未来を担っていくのだと思うと、とてもワクワクします。
小林:私も堀口さんと同じで、地域の方々との繋がりは大きな魅力だと感じています。色々な意見を出し合いながら、「じゃあ、こうしてみよう!」と改善を重ねて、新しい取り組みを実現していく過程はとても楽しいです。自分の提案が形になったり、それが市民の方の役に立ったりした時には、大きな喜びを感じますね。
ー既にお二人の雰囲気の良さは伝わっているのですが…職場の雰囲気についてはいかがですか?
堀口:見ての通りいつもこんな感じです(笑)職員間の風通しはとても良いと思いますよ。
小林:そうですね!上司もとても明るいです。堀口さんとも、異動してこられたばかりとは思えないくらい気軽に話せています。そんな打ち解けやすい職員が多いですね。
堀口:部署や年齢に関係なく、コミュニケーションは取りやすい環境だと思います。特に若い職員同士は仲が良いなあと感じますね。
部活動も盛んです。野球部、バスケ部、囲碁クラブ、最近ではモルッククラブなんていうのもあります。仕事だけじゃなく、趣味を通じて職員同士が交流できる機会がたくさんあるのは良いことだと思いますね。
小林:堀口さんが言われた通り部活動もとても盛んです。仕事以外での横の繋がりも結構あって、それも職場の良い雰囲気を作っている一因かもしれません。
ーずばり!能代市の魅力について教えてください!
小林:やっぱり豊かな自然ですね!海も山もあって、四季折々の景色を楽しめます。夏は少し足を伸ばせば海水浴ができますし、冬は30分ほどでスキー場に行けます。アクティブに過ごしたい人には最高の環境だと思います。
また、比較的持家を所持しやすい環境なので、結婚してマイホームを建てて、庭でバーベキューを楽しむ、なんていう暮らしも実現しやすいですよ。

堀口:自然の豊かさに加えて、新しい産業が生まれている点も魅力だと思います。洋上風力発電の建設が進んでいますし、JAXAのロケット実験場もあって、宇宙関連の研究も盛んです。最先端の技術に触れる機会があるというのは、面白い点だと思いますね。
最近では、そうした分野の研究者の方や経営支援や外国人の活用を通じて本地域の活性化に一緒に取り組んでいただける方が「地域活性化起業人」として能代市に関わってくれるようになり、新しい風が吹いているのを感じます。大手木材会社の誘致によって雇用も生まれていますし、働く場所の選択肢も増えてきています。
そして、私が個人的に大きな魅力だと感じているのが「まちの余白」です。中心市街地にはまだ空き店舗も多いですが、裏を返せば、それは新しいことにチャレンジできるチャンスがたくさんあるということだと思っています。「まちの余白」があるからこそ、自分のアイデアを形にしやすい環境だと思っています。パン屋さんをやりたい、カフェを開きたい、ネイルサロンを始めたい…そういった想いを持つ人にとって、能代市は可能性に満ちた場所だと思いますよ。


小林:学校教育のレベルが高いのも特徴です。全国的に見ても学力は上位ですし、子どもたちが伸び伸びと学べる環境が整っています。あと、「なべっこ遠足」という、具材や出汁、鍋までみんなで分担して山や公園に持って、野外できりたんぽ鍋を作るというユニークな学校行事もあります。能代ならではの文化だと思っています。
ー最後に、求職者の方々へメッセージをお願いします。
堀口:市役所の仕事は、すぐに大きな成果が出るものばかりではありません。地道な努力やコツコツとした積み重ねが求められる場面も多いです。でも、その先に必ず街の変化や住民の方々の笑顔があります。能代市のことをよくしたい、この街の未来を一緒に創っていきたいという熱い思いを持った方、ぜひ一緒に働きましょう!皆さんと一緒に能代市の未来を創っていけることを楽しみにしています。
小林:能代市は、豊かな自然と温かい人々に囲まれた、とても暮らしやすい街です。そして、市役所の仕事は、その街の未来を直接創っていくことができる、本当にやりがいのある仕事だと思います。能代には物怖じせずに色々なことにチャレンジできる環境があります。能代市が好き、地域のために何かしたいという気持ちがあれば、きっと活躍できるはずですよ!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年4月取材)