兵庫県市川町役場で総務課長を務める竹内さんへのインタビュー記事です。市川町役場の魅力、採用活動における独自の取り組み、そして、働きがいのある職場環境とは?若手職員の活躍や、独自の採用選考方法、地域に根付いた職員同士の交流など、市川町役場について存分に語る記事をぜひご覧ください。
―まずは市川町について教えてください。
竹内:市川町は兵庫県の中央からやや南西に位置するハート型をしたまちで、町名の由来にもなっている清流「市川」が南北に流れている人口1万7百人弱のまちです。水と緑豊かな自然に恵まれ、比較的自然災害が少ない地域となっています。
産業としては、国内で初めて生産された国産ゴルフアイアンヘッドの発祥の地であり、現在も多くの関連事業所がゴルフクラブの製造等を行っています。現在は、市川町の特色を出すため、地域産業であるゴルフアイアン関連製造産業の強みを活かし、イベント等の開催、情報発信などを積極的に行い地域の活性化に努めています。
交通面では、市川の流れに沿うようにJR播但線、国道312号線が通っています。また、山陽自動車道と中国自動車道が接続する播但連絡道路などの交通網が整備されており、通勤・通学・買物など姫路市や、神戸市などの阪神間地域へのアクセスも比較的スムーズです。地理的にも恵まれた立地にあると言えます。
―市川町役場についても教えてください。
竹内:正規職員が現在123名、会計年度任用職員が約180名で、全体で約300人の職員が本庁舎をはじめ様々な外部施設で働いています。
2025年7月には、町制施行70周年を迎えますので、記念事業として、令和7年度は記念式典の開催や、町民一人当たり7000円の地域商品券を7月に配布予定です。この事業は物価高騰への対応策でもあります。他には、中学生の給食費無償化、コミュニティバスの運行内容拡充、宅地開発支援事業、企業誘致のための事業など、地域活性化に向けて様々な取り組みを行っていきます。
正直に言って、そこまで知名度が高いとは言えないまちであり、テレビ番組で「地味いい町」と紹介されたこともあります。だからこそ、ここ数年は情報発信に力を入れています。
具体的には、町の公式LINEの拡充や、町の魅力をPRするための情報発信トラック(4トンワイドロングの特殊車両)の運用などを行っています。この情報発信トラックは全国を回っていますが、町の特産品であるゴルフアイアンの試打が出来ます。また、荷台部分をステージに使用すると上部には電光掲示板が現れ様々なPR映像も流すことができるなど、シティプロモーションにもつながっています。
―非常にユニークな取組ですね!この取り組みについては以前パブリックコネクト上の動画でも取り上げさせて頂きました。
参考:【最初の失敗を次へ活かす】試行錯誤しつつ新しい事業をし続ける市川町役場のチャレンジとは
ーでは次に、職員採用についてお伺いします。まず、市川町が求める職員像を教えていただけますか?
竹内:市川町が求める職員像は何点かあります。
・自ら学び、課題解決に取り組むクリエイティブな方。
・目先だけでなく長期的な視点で政策形成ができる方。
・町民の立場に立ってまちづくりを進めていただける方などです。
―これらの資質を見極めていくための具体的な選考過程について教えていただけますか?
竹内:市川町の採用試験の流れとしては、面接に加え、集団での作業を通して応募者の行動や対応を見極める独自の選考方法を取り入れています。
例えばある年では、災害時に避難所などに設置するトイレやベッドをみんなで組み立てて、その過程での行動や対応を評価するような選考です。面接や適性検査といった従来の選考方法だけでは見つけづらいチームワークやリーダーシップといった資質も見極め、評価していきたいと考えています。
困った時にどう対応するのか、周囲への配慮、問題解決に向けた能力など様々な観点で見ています。全てを完璧に判断できるとは思いませんが、集団での作業を通して、個人の特性や能力をできる限り評価する選考になるよう尽力しています。毎年テーマを変えて実施していますので、基本的に内容が同じになることはありません。
―組織としてのアピールポイントも教えてください。
竹内:どこの市町でも似たような組織はあると思いますが。市川町では職員互助会があり、年間を通してスポーツイベントや食事会、職員旅行などのイベントを開催しています。部署を超えた交流の場を提供することで、職員間のコミュニケーションを促進しています。そもそもが小さな自治体だからこそ、職員同士の距離が近く、コミュニケーションを取りやすいことも、この職場の良さの一つだと考えています。
あとは、これも小さな自治体特有ですが、自分のアイデアを政策に反映しやすく、仕事に取り組みやすい環境があります。大きな組織では難しい、自分のやりたいことを実現しやすい職場であると思っています。もちろんこれは、責任感と主体性を持って仕事に取り組める方にとっての魅力となる点だと思います。
例えばこのパブリックコネクトを活用した採用活動もまさに新たな取組ですし、応募者数も増加傾向にあります。令和6年度の採用では、前年比で倍近くの応募があり、その中には、若い世代だけでなく、社会人経験者も多く含まれていました。
最近は町外在住の職員も多く、外部の視点を取り入れることで、新しい風を町に吹き込んでくれていると感じています。
本町の地域振興課が取り組んでいる情報発信トラックなどの事業や「リフレッシュパーク市川」などの町施設でのイベント実施の取り組みも、課長をはじめ若手職員が中心となって積極的に提案して生まれた施策です。新たな施策を若い職員がどんどん進めている結果ですね。

―では、人材育成についてお伺いします。研修制度はどのようなものですか?
竹内:職場内でのOJT研修、階層別研修、そして職場外の研修など、様々な研修制度があります。階層別研修では、若い世代、中堅世代それぞれに合わせたテーマを設定し、研修を実施しています。
職場外研修については、人事担当で調整したもののほか、自ら希望する研修に参加する場合もあり自己成長を促す仕組みも整っています。
―本日はありがとうございました
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年2月取材)