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長浜市役所

長浜市がめざすまちの姿「新たな感性を生かし みんなで未来を創るまち 長浜」の実現に向けて、長浜で暮らし、学び、働く人々がそれぞれ夢と希望を抱き、最大限に力を発揮することができる未来志向のまちづくりに取り組んでいます。

走らなくてもいい。バーベキュー要員でもいい。長浜市役所が30年続ける「自分らしく関われる」びわ湖一周駅伝の話

長浜市役所

2026/06/02

長浜市役所の職員有志が、約30年にわたって続けてきた自主イベントがあります。その名も「びわ湖一周駅伝」。琵琶湖の外周約190キロを、職員50人ほどがたすきをつないで1日で走り切るというものです。朝3時スタート、ゴールはバーベキュー会場——なかなか大変な内容ですが、実は走らなくても参加できます。伴走でも、バーベキューの準備でも、SNSの実況を追いかけるだけでも。

今回は、このイベントをそれぞれ異なる形で関わってきた、3人の転職組職員から、1つのイベントを通して見える長浜市役所独自の文化や雰囲気まで、お聞きいたします。

 

 


 

朝3時スタート、ゴールはバーベキュー。これが長浜市役所の「駅伝」

ーびわ湖一周駅伝とはどのような取り組みか教えてください。

 

職員B:今年で12回目になります。第1回目は1996年(平成8年)で、当時の市役所内の陸上部的な集まりが「琵琶湖を一周してみよう」と言い出したのが始まりだと聞いています。その後、一時中断した時期もありましたが、2010年(平成22年)の合併を機に復活して、今に至ります。

 

職員A:長浜市は2010年(平成22年)に周辺の町と合併したのですが、それまで別々の役場で働いていた職員が一つの組織になるので、バラバラになりがちな職員同士をつなぎたいという思いがありました。そこで、元々は陸上部のイベントであったこの駅伝を使って、走ることだけを目的とするのではなく、職員間のコミュニケーションの場として職員が自発的に動き出し、任意のイベントとして復活されたそうです。コロナ禍で開催できなかった年もありましたが、今年も5月23日(土)に開催します。※取材時は開催前※

 

ーレースの概要を教えてください。

 

職員B:琵琶湖一周は約190キロありますが、琵琶湖大橋を渡るショートカット部分もあるので約150キロのコースです。それを職員50人ほどでたすきをつないで走ります。早朝3時頃に集合してスタートし、夕方にバーベキュー会場をゴールにして、1日がかりで走っていきます。

 

職員C:チーム対抗戦ではなくて、職員を8班ほどに分けて、それぞれが担当区間を走る形です。距離も自分の体力に合わせて選べるので、1キロ程度の短い区間から、走るのが好きな方は長距離を引き受けるという感じです。

走る・仕切る・伴走する。3人それぞれの「びわ湖一周」

 

ー皆さんはそれぞれどのような形で関わってきたのでしょうか。

 

職員A:私は昨年、事務局長として運営を担当しました。5月に「来年よろしく」と指名されてから、秋に事務局メンバーで飲み会をして開催方法を検討し、2月頃に開催日を確定して、4月に下見や参加者募集のチラシ配布をして、という流れです。準備は大変な部分もありましたが、やりがいはありますね。

 

職員B:私は長年ランナーとして参加が多いです。事務局を経験したこともあります。今年入れたら走ったのは3回、伴走が1回ですね。

 

職員C:私はランナーとして走ることもありますし、伴走として自転車で走ったこともあります。朝から夕方まで班で行動するので、走り終えた後に班のメンバーで温泉に行ってから打ち上げのバーベキューに合流する、みたいな流れも自然と生まれます。

 

ー事務局はどのように引き継がれるのでしょうか。

 

職員A:前年の打ち上げの場で「来年は誰々が担当」と引き継ぎが行われます。たすきが走者に渡るように、事務局もそこでつながれていきです。事務局は3人ほどで動き、全体をまとめる事務局長的な役割の方が1人います。昨年からは人事課長にも顧問のような形で入っていただいています。

「走るのが嫌なら来なくていい」じゃない。バーベキュー要員でもいい

 

ー「走る」となると、このイベントに関わるハードルは結構高いんじゃないですか?

 

職員C:打ち上げのバーベキューの準備をする人やバーベキューから参加する人もいます。あと、Xで当日の様子をリアルタイムにランナーごとに投稿しているので、それを見てくれている職員もいますね。関わる職員の輪は走る50人よりずっと広いと思います。

職員B:「今年もあるの?」と上の方から声をかけていただくことも多く、参加したことがない職員にも広く認知されています。走るのが好きな人だけのイベントではなくて、どんな形でも全然OK。大事なのは「自分に合った関わり方」で参加できるということです。

 

職員A:正直にいえば、このイベントについて、走ったりみんなでワイワイ集まることが苦手な人には何も刺さらないと思うんです。でも損はないかな、とは思っていて。走るのが苦手でも、ワイワイ集まる場が苦手でも、関わり方がある。そういうものを受け入れてくれる雰囲気が、このイベントにも、長浜市役所という組織にも、あると思います。

1,900人の組織で「あの人、駅伝で一緒だった」が仕事を変える

 

ーこの取り組みが職場にもたらす効果はどのように感じていますか?

 

職員A:長浜市役所は職員が約1,900人在籍しています。同じ組織でも、仕事上まったく関わらない職員の方が圧倒的に多いんです。でも、仕事をしていると他の課に相談に行ったり、連携が必要な場面は必ず出てきます。そういうとき、「あの人、駅伝で一緒だった」というつながりがあるだけで全然違う。この駅伝で培われた人間関係が、組織の風通しの良さにつながっているのは間違いないと思います。

 

職員B:近い区間を走る人たちで班になって、朝から夕方まで行動をともにするので、普段関わらない課の方と1日中一緒に過ごせる機会はなかなかないです。過去に一緒の班だった人とは、その時の話がネタにもなりますし、距離感が縮まっている感じがします。

民間より働きやすい。転職組3人が感じた「長浜市役所らしさ」

 

ー皆さんは民間企業からの転職組なんですよね?長浜市役所の職場の雰囲気はいかがですか?

 

職員C:転職前は「役所って堅そう」というイメージがあったのですが、実際に入ってみると皆さんフランクで、正直、民間時代よりも働きやすいと感じています。いきなり他の課に相談しに行くときでも、駅伝などで顔を知っているだけで気持ち的にずいぶん楽になります。私は旧びわ町の出身で「長浜に帰りたい」という思いで転職したのですが、「よう来てくれた(注:方言で「わざわざ来てくれてありがとう」のような意味)」という温かい雰囲気で迎えてもらえました。

 

職員A:役所というと「前例踏襲」「変化を嫌う」というイメージがあるかもしれませんが、私はそういう印象をあまり受けたことがないです。むしろ、新しいことをやってみようとしたときに、周りが応援してくれたりアドバイスをくれたりする。変化に対して前向きに捉えてもらえる雰囲気は、長浜市の職場の良いところだと思います。

 

職員B:地元出身の職員が多いので、「どこの学校出身?」「あの地区の子やろ?」みたいな会話が自然と生まれて、入っていきやすい雰囲気があります。一方で、県外出身の方や長浜以外から来られた方も「長浜の地域の魅力に引かれた」という理由で受けてくれることが多くて、地元の人間からすると当たり前すぎて気づかなかった魅力を再発見させてもらえると思います。

ー本日はありがとうございました。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)

 

今回の取材で印象的だったのは、「びわ湖一周駅伝」が単なるイベントではなく、長浜市役所の“働きやすさ”そのものにつながっていることでした。約190キロを走るというインパクト以上に、部署や世代を越えて自然に交流が生まれ、「困った時に相談しやすい関係」が日常的につくられている。民間企業から転職した3人が口をそろえて「働きやすい」と語る理由がよく分かるインタビューでした。

 

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