北海道稚内市役所で働く4名の若手職員のインタビューです。
入庁してからほぼ1年間が経過したタイミングの若手職員4名に、就職先として公務員を選択した理由や仕事のやりがい、職場の雰囲気など、率直な想いをお聞きしました。
高校卒業後の進路を考えている方、地域の為に働いてみたいと思っている若い世代の皆さんにとって、とても参考になる内容となっています。
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
赤坂:出身は稚内市で、稚内大谷高校を卒業後、そのまま稚内市役所に入庁しました。令和6年度に入庁したためちょうど1年が経過したところです。現在は税務課に勤務しています。
本間:私も稚内市出身で、稚内高校を卒業後、稚内市役所に入庁しました。赤坂さんと同じく令和6年度に入庁しました。ちなみに、4人とも同期なので入庁年度は全員同じです。
現在は社会教育課に所属しています。
杉野:私は赤坂さんと同じ稚内大谷高校を卒業後、入庁しました。都市整備課に所属しています。
林:私も3人と同じく稚内市出身で、高校は本間さんと同じく稚内高校を卒業しました。現在は社会福祉課に所属しています。

ー皆さん、お二人ずつは同級生で同期ということですね!学生時代から互いのことは知っていたのでしょうか?
赤坂:高校が同じ人同士はそういうことになります!
ー同級生と働く感覚、少し羨ましいですね。いきなりですが、1年間社会人として、そして公務員として働いてみた率直な感想を教えてください!
赤坂:1年間働いてみて、やっぱり業務が大変だなというのが最初に思いついた感想ですね。こなす量が多いですし、専門的な知識も必要なので、覚えるのが大変でしたね。
一方で、やりがいを感じたのも確かです。私は窓口対応や電話対応が主ですが、お客さんから「ありがとう」と言ってもらえると、とても嬉しくてやりがいを感じますね。

本間:私は実を言うと異動を経験しています。1年目は教育委員会の総務スポーツ課にいて、この4月からは社会教育課の配属となっています。
1年を振り返ると、総務スポーツ課で経験した市のマラソン大会業務が印象的ですね。準備や本番を含めると、8月、9月は残業や外での作業も多かったので、精神的にも肉体的にもかなり疲れたという思い出です。
ただ、1200人以上の方に参加いただくような規模の大きなイベントだったので、終わってみれば大きな達成感がありました。事後アンケートの中で、大会を楽しんでいただけたような声を聞くと、大変ではあったものの、やりがいを感じることもできた貴重な経験だったと思います。
杉野:私は都市整備課で公園管理を担当しているのですが、公園の点検作業をしているのが楽しかったですね。稚内市にはたくさん公園があるので、1年中色々な公園を回り、遊具の点検などをしていたため、とにかく市内各所を回っていたような1年間でした。
林:私は社会福祉課で、主に障害者手帳や関連サービスの実務を担当していました。赤坂さんと同じく、1年間働いてみて覚えることがとにかく多いなと感じました。今まで全く関わることの無かったような分野なので、全て0から学ぶような感覚でした。
ただ、これまであまり接することの無かった障がい者の方と直接お話したり関わったりする中で、自分の中で新しい発見も沢山ありました。
障がい者に対する理解も深まり、同時に知見も広がっていく感覚があったので、やっていてとても面白かったです。

ー大変な中にもやりがいや魅力を見つけることができたのですね。皆さん高校卒業後に入庁されたとのことですが、進学か就職かで悩んだりしましたか?
赤坂:私は特に悩まなかったですね。進路を考える上では就職という選択肢しかありませんでした。生まれ育った稚内に何か恩返しできたらなという思いがあって、働くなら稚内市役所だと考えていました。ずっと地元にいられますし、自分の考えに一番合っている職場だと思っていました。
本間:私は、高校1年生の時は進学を考えていたのですが、稚内市役所でのインターンシップを経験して考えが変わりました。
なんというか、職場の雰囲気がとても良かったんです。私は総合窓口課でインターンをさせていただいたのですが、皆さん本当に温かい人ばかりで、自分もここで働きたいと思うようになり、進学ではなく就職することとしました。
また、稚内市で生まれ育って、稚内市に支えられてきたので、将来は地元のために働きたいという思いはずっと持ち続けていました。福利厚生がしっかりしていて働きやすいという印象だったので、就職先としては稚内市役所に魅力を感じていました。
杉野:私も進学か就職かではあまり悩みませんでした。元々公務員1本で考えていたので、進学せず、高校を卒業するタイミングですぐにチャレンジしようと決めていました。
民間企業より公務員の方が安定しているというイメージが強かったのと、市役所には様々な部署があり、幅広い業務を経験できることから、やりがいとか達成感が見つけやすいのではないかと思っていました。

林:同じく進学は全然選択肢に無く、高校を卒業したら就職すると決めていました。
公務員になろうと具体的に決めていたわけではなかったのですが、自分の生まれ育った稚内市に貢献したいという気持ちは強かったですね。民間企業も考えていたのですが、自分の考えを整理する中で、市民の方に寄り添って仕事をするなら市役所が一番かなと思い、稚内市役所で働くことを決めました。
ー様々な想いを持って公務員になられたと思いますが、実際働く中で「こんなはずじゃなかった!」と感じたことはありますか?
赤坂:いい意味で、思っていたよりも堅苦しい職場ではなかったですね。公務員ってもっと真面目で静かな、それこそずっとパソコンに向き合って日々業務をこなしているイメージだったのですが、実際に入ってみると本当に明るい雰囲気で皆さん仕事をしていて、自分が想像していたものとは大違いでしたね。
本間:私は「こんなこともやるの?」と、びっくりした仕事がありましたね。体育施設の管理をしていた時の話なのですが、使われていない施設の屋根に鳥が巣を作ってしまうため、それを防ぐために草刈りをするという仕事をしたことがあります。
実際に屋根に登って芝刈り機で草を刈ったのですが、人生で芝刈り機なんて使ったことは無いですし、まさか公務員になって屋根に登り草刈りをするなんて考えたこともありませんでした。入庁1年目だったということもありとても驚きましたね。

杉野:公務員は残業が多いというイメージをもっていたのですが、私の所属している都市整備課は、残業がとても少ないと思っています。私が新人だからというわけではなく、上司が定時になったら「もう帰ろう」と声掛けをしてくれるので、新人の私でもとても帰りやすい雰囲気づくりをしていただいていると思っています。
林:私も赤坂さんと同じで、堅苦しくない雰囲気がいいなと思っています。入る前はガチガチな場所だと思っていたのですが、意外とそんなこともなかったです。
ー約1年が経過したわけですが、業務や職場環境、人間関係にはだいぶ慣れてきましたか?
赤坂:私は入庁当時、緊張してしまうということもあり電話対応や窓口対応に苦手意識を持っていたのですが、1年間経験してきたことで、だいぶ慣れてきました。最近では緊張するという感覚は少なくなってきましたね。
本間:年の離れた先輩方も多かったことから、人間関係には少し不安もあったのですが、今振り返ってみたらそこまで心配する必要はなかったのかなと思っています。
皆さんとても話しやすい方ばかりですし、話始めるととても和むような雰囲気です。上司についても、若手の意見を否定するようなことは無く、しっかりと聞いていただけるので、業務のことだけでなく、何気ないようなお話もしやすいですね。
杉野:高卒で入ったということもあり、私も本間さんと同様に年上の方とのコミュニケーションに少し不安を感じていたのですが、皆さんとても良い人ばかりで、すぐに打ち解けることができました。
「社会人」とか「公務員」という視点で先輩方を見ていたため、すごく年が離れているんだろうなと勝手に思っていたのですが、実際のところ思っていたより実年齢が若い方が多かったですね。
林:打合せで少しずつ発言をできるようになってきたので、自分の業務や職場環境にはだいぶ慣れてきたのかなと思っています。本間さんが言われたとおり、若い職員の意見も取り入れながら業務を進めていくことが多いので、思いついたことを発言しやすいですね。
ー今年度(令和7年度)、新庁舎に移転するとのことですが今の心境はいかがですか?
赤坂:新しく綺麗な庁舎で働けるのは嬉しいですが、1年ちょっといて慣れてきた場所からまた新しいところに行くので、また新しい環境に慣れるのかという不安もありますね。
本間:新しくて綺麗な職場で早く働きたいという期待と、引っ越し作業が大変そうだなという不安が半分半分といったところですね。
まずは少しでも負担を減らすために、自分の身の回りはしっかりと引っ越しを見据えた整理整頓をしておこうかと思っています。
杉野:実は今の庁舎は冷房がないので、北海道とはいっても夏場はすごく暑くなるんです。新庁舎になったら冷房がつくのかなと思うと、仕事しやすくなるなと楽しみです。綺麗な方が働くモチベーションも上がるような気がしますね。
林:新しい環境になるのはとても楽しみです。色々変わって心機一転面白そうだなと思いますが、赤坂さんと同じく、やっと慣れてきた環境なので、また場所が変わると慣れるまで時間がかかりそうだなという不安も少しあります。
ー学生の頃の経験で、現在の仕事に活かすことができたことはありますか?
赤坂:業務とは全く関係ない話なのですが、私は昔から虫が好きなんです。夏場に窓を開けていた際、スズメバチが執務室に入ってきてしまったことがあるのですが、周囲が慌てる中、私は冷静に捕まえて外に逃がすことができました。
その時ばかりは周囲の方から「ありがとう」と言っていただき、1年目の自分が役に立って良かったなと思いましたね(笑)
本間:私は挨拶とか言動がハキハキしていると褒められました。学生時代から挨拶や感謝、謝罪はしっかりするようにしていて、働き始めてからも継続して意識するようにしていたので、そのあたりが活きたのかなと思います。
杉野:私は高校生の時にコンビニでアルバイトをしていた経験が活きましたね。コンビニでは接客で人と会話する機会が多かったので、市役所に入ってからもあまり緊張することなく窓口対応ができたと思っています。
林:小さい頃から両親に「パソコンのスキルは絶対に大事になるからやっとけ」と言われていたこともあり、Excelや PowerPointを少しずつ扱うようにしていました。市役所業務では、これらを使う機会が非常に多いので、昔からやっていて良かったなと実感しました。
少なくともキーボードの入力は業務効率にも大きく影響しますので、少しずつでもいいので練習をしておいた方が良いと思います。
ー最後に、これから稚内市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
杉野:代表して私からお話しします。
市役所には本当に様々な部署があり、そこでは様々な職種の人たちが働いています。市民の方と直結するようなサービスを提供することができるのは、公務員という仕事ならではなので、働いているうちにやりがいや達成感を得られるはずです!
福利厚生が整っているため、とても働きやすく、更に稚内市役所であれば優しい先輩や同僚に囲まれて、楽しく働くことができます!
最北のまちということで、少しハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、受験していただけることを楽しみに待っています!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年4月取材)