「子どもと関わることが、自分にとって一番自然なことだった」と語る中村さん。地元・奈良への愛着を胸に、新卒で橿原市役所に入庁してから今年で10年目を迎えます。
担任として子どもたちの成長を間近で見守った7年間を経て、現在は「家庭支援推進保育士」という役割で、園全体の子どもたちに寄り添い、そして地域や学校との「架け橋」として活躍しています。
日常の中に笑いが絶えない職場の魅力や、公立園ならではののびのびとした保育、そして10年経っても色あせない仕事への情熱について、たっぷりとお話を伺いました。
- 慣れ親しんだ橿原市で、夢だった保育教諭の道を歩み始める
- 担任から「園全体を支える」役割へ――家庭支援推進保育教諭としての挑戦
- 卒園後の再会が教えてくれた、この仕事の本当の喜び
- 支え合い、笑い合う。橿原市が誇る温かな職場環境
- これから保育の道を志すあなたへ贈るメッセージ
慣れ親しんだ橿原市で、夢だった保育教諭の道を歩み始める
ーまずは、中村さんのご経歴や、保育教諭を目指されたきっかけについて教えてください。
中村:私は奈良県天理市の出身で、大学は京都の学校へ通っていました。保育教諭という職業を明確に志したのは高校生の進路選択の時でしたが、思い返せばもっと幼い頃から、子どもと関わることが生活の一部になっていたように思います。
習い事の場などで年下の子たちと接する機会が多かったですし、中学生の時には自分が通っていた園に遊びに行ったり、高校生でもボランティアで幼稚園を訪れたりしていたので、自然と今の道に繋がっていったのだと感じます。
ー数ある自治体の中で、なぜ橿原市を選ばれたのでしょうか?
中村:就職を考える際、地元である奈良に戻って働きたいという強い思いがありました。県内のいくつかの自治体を検討しましたが、小さい頃に「橿原市昆虫館」へ遊びに来た思い出や、歴史の教科書にも出てくる「藤原宮跡」の広々とした風景など、私にとって非常に馴染み深い場所だったことから、橿原市を志望しました。
新卒で入所し、「第2こども園(現:今井認定こども園)」で7年間、「第1こども園(現:藤原京認定こども園)」に移って今年で3年目。気がつけば10年という月日が経っていました。

担任から「園全体の子どもたちを支える」役割へ――家庭支援推進保育士としての挑戦
ー現在は「家庭支援推進保育士」というお仕事をされているとお聞きしました。具体的にはどのような役割を担っているのですか?
中村:1年目から7年目まではクラス担任を持って、子どもたちの成長を日々間近で支えてきました。現在は担任という立場を離れ、園全体の子どもたちや保護者へのサポートや、関係機関との連携を行う「家庭支援推進保育士」を務めています。
具体的には、クラスに入って一人ひとりの子どもに援助が行きわたるよう寄り添ったり、毎月11日の「人権を確かめ合う日」に合わせて、人権や命の大切さを伝える絵本の読み聞かせを行ったりするなど、その業務は多岐にわたります。
「自分を大切に、友だちも大切に」というメッセージを、子どもたちの心に届く言葉で伝えていくことは、非常に責任があり、やりがいを感じる仕事です。
ー園の外との連携も担当されているそうですね。
中村:はい。市内の小中学校や児童館といった地域の機関と連携しながら、橿原市内の人権推進教育の事務局としての役割も担っています。定期的に開催される研修会や委員会を通じて、人権教育の視点を学べる場を整えたり、自らが学び啓発したり、また小学校へ入学した後の子どもたちの様子を小中学校とも共有し、地域全体で子どもたちをどう見守っていくかを話し合ったりしています。
園から、その先にある小中学校へとスムーズにバトンを繋いでいくための架け橋になれるよう、日々情報交換を大切にしています。
ー担任時代とは、また違った視点でお仕事に向き合われているのですね。
中村:そうですね。担任時代は「自分のクラスの子どもたち」を誰よりも深く知る喜びがありました。一方で今は、園全体の子どもたち、そしてそのご家庭一つひとつを広い視野で見守ることができます。
担任の先生には少し言いづらいような小さなお悩みを聞いたり、園と地域を繋ぐパイプ役になったりと、客観的な立場だからこそできる支援があることに気づきました。視点が変わることで、保育という仕事の奥深さを改めて実感しています。

卒園後の再会が教えてくれた、この仕事の本当の喜び
ー10年間のキャリアの中で、特に心に残っているエピソードがあれば教えてください。
中村:4歳児クラスで担任をしていたある女の子のことが、今でも忘れられません。彼女が小学校2年生になったある日、突然お母さんと一緒に転勤先の今の園を訪ねてきてくれたんです。手には小学校の通知表を持っていて、「先生に絶対見せたいねん!」と、満面の笑みで報告してくれました。
卒園してからもう何年も経っているのに、私のことを覚えていてくれて、何か良いことがあった時に真っ先に報告したい相手として思い出してくれた。その事実だけで、胸がいっぱいになりました。
ーそれは、保育教諭冥利に尽きる瞬間ですね。
中村:本当ですね。子どもたちの成長を卒園した後も見守れる幸せはもちろんですが、お母さんも「先生に直接伝えたくて」と言ってくださったことが本当に嬉しかったです。
保護者と喜びや悩みを分かち合い、ご家族の人生にも寄り添えるのは保育教諭ならではの魅力です。久しぶりに元気な姿を見せに来てくれた親子の姿がきっかけで、そのやりがいを改めて実感することができました。
ー日々の仕事の中で、大変だと感じる場面はありますか?
中村:もちろん、毎日が試行錯誤の連続です。子どもたちは一人ひとり個性も違えば、発達のスピードも違います。さらにご家庭ごとに大切にされている考え方も千差万別です。
その一つひとつの想いにどう寄り添い、最善の対応をしていくか。10年経っても「これで完璧」ということはありません。毎日が勉強であり、だからこそ飽きることのない、一生をかける価値のある仕事だと思っています。

支え合い、笑い合う。橿原市が誇る温かな職場環境
ー職場の雰囲気についても伺いたいです。保育教諭の職場というと、人間関係が気になる方も多いかと思いますが。
中村:実は、私も入る前は少し緊張していました(笑)。でも、実際に働いてみると、橿原市の園は本当に風通しが良いんです!
保育教諭同士ということもあって、皆さんコミュニケーションがとても活発です。子どもたちの可愛いエピソードを共有したり、困ったことがあればすぐに相談したり。「ギスギスした感じ」とは無縁の、和気あいあいとした雰囲気です。
休憩時間はプライベートな話で盛り上がることも多くて、年齢の離れた先生とも気さくに接することができる、とても居心地の良い職場だと感じています。
ー中村さんご自身の「リフレッシュのコツ」はありますか?
中村:私の場合は、とにかく「喋ること」です!(笑) 職場の先生たちと今日あった面白いことを共有して笑い飛ばしたり、保護者の方と何気ない会話を楽しんだり。
日常の中に「爆笑」が溢れている職場って、意外と少ないと思うんです。子どもたちの突拍子もない言動に皆で笑い合う、そんな瞬間が最高のメンタルケアになっています。

これから保育の道を志すあなたへ贈るメッセージ
ー最後に、橿原市の保育教諭を目指す受験生や求職者の皆さんにメッセージをお願いします。
中村:橿原市の公立園は、子どもたちが自由でのびのびと、自分らしく過ごせる場所です。そんな環境の中で、私たち保育教諭もまた、子どもたちからたくさんの元気と感動をもらっています。
もし、今不安を抱えていたとしても大丈夫です。温かい先輩たちがあなたの成長を全力でサポートしてくれます。日常の中に笑いが溢れ、心からの『ありがとう』に出会えるこの場所で、あなたと一緒に働ける日を心待ちにしています。

ー本日はありがとうございました。
10年という節目を迎え、柔らかい笑顔の中に芯の強さを感じさせる中村さん。インタビュー中、何度も「笑い」や「楽しさ」という言葉が飛び出し、園での日常がいかに豊かであるかが伝わってきました。
担任という枠を超え、園全体の子どもたちや地域を支える「家庭支援推進保育士」としての彼女の存在は、きっと多くの子どもたちや保護者にとって、暗闇を照らす灯台のような安心感を与えているはずです。
「爆笑が溢れる仕事」――その言葉通り、中村さんの周りにはいつも、温かな幸福の輪が広がっているように感じました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)



