キャリアを諦めたくない、でも子育ても大切にしたい。そんな葛藤を抱える方にこそ読んでほしい物語があります。
今回お話を伺ったのは、十和田市役所の高齢介護課高齢者総合支援室で社会福祉士として働く村中さん。入庁直後に育児休業(*1)を取得するという異例のスタートを切りながら、現在は部分休業(*2)制度を活用し、専門職として第一線で活躍されています。
十和田市役所の温かいサポート体制と、仕事と育児を両立するリアルな姿に迫りました。
(*1) 3歳未満の子を養育するための休業制度
(*2) 子の養育のため1日の勤務時間の全部又は一部を勤務しないこと
- 民間での豊富な経験を経て、なぜ「行政の社会福祉士」へ?
- 「仕組みづくり」で地域を支える。専門職集団としての誇り
- 入庁直後の育児休業申請。不安を安心に変えた、十和田市役所の「温かな受け入れ態勢」
- 「帰りやすい雰囲気」を上司が作る。ワークライフバランスのリアル
- 「どちらも手を抜きたくない」あなたへ。共に働く仲間へのメッセージ
民間での豊富な経験を経て、なぜ「行政の社会福祉士」へ?
ーまずは、村中さんのこれまでのキャリアと、十和田市役所に入庁するまでの経緯を教えてください。
村中:私は専門学校を卒業後、介護福祉士の資格を活かして、最初は知的障がい者支援施設で働いていました。その後、社会福祉協議会へ転職し、そこで実務経験を積みながら社会福祉士などの資格をいくつか取得しました。
さらにケアマネジャーとして居宅介護支援事業所に勤務し、他市町村での臨時職員や正職員としての経験を経て、十和田市役所に入庁したという経歴です。
福祉の現場から相談支援まで、一貫して福祉の世界に身を置いてきました。
ー民間や社協から自治体の職員を目指したのはなぜですか?
村中:社会福祉協議会で働く中で、行政との関わりが非常に多くなりました。現場で利用者の方々一人ひとりに寄り添う支援も大切ですが、次第に「より大きな視点で、福祉の施策や仕組みそのものを作っていきたい」という気持ちが強くなっていったんです。
社会福祉士としての目線を持ちつつ、行政という立場で社会を動かしたい。そう考えて公務員という道を選びました。

「仕組みづくり」で地域を支える。専門職集団としての誇り
ー現在の具体的な業務内容について教えてください。
村中:私は高齢介護課の「高齢者総合支援室」に所属しています。主な担当は、高齢者虐待への対応や成年後見制度の利用支援、そして認知症施策です。
住民の方や地域の事業所、時には警察からの相談が寄せられることもあり、入ってくる案件に随時対応していくのが仕事です。
ー認知症施策では、具体的にどのような活動をされているのですか?
村中:例えば認知症になっても適切な支援に早くつながるための体制を検討したり、徘徊などがあった際に地域全体で早期発見できるような連絡網などの【仕組み】を整えたりしています。
社会福祉士には「個別に寄り添う役割」と「地域全体の仕組みを作る役割」の二面性がありますが、行政の社会福祉士として、後者の役割を担えることに非常にやりがいを感じています。
ー部署内は、どのようなメンバーで構成されているのでしょうか?
村中:私の所属する高齢者総合支援室は16名(会計年度任用職員を含む)で、社会福祉士が3名、保健師が2名、主任介護支援専門員が2名、看護師が1名、さらに介護予防指導員や事務職など、専門性の高い職種で構成されているのが特徴です。
専門職の意見をすぐに聞ける環境があり、チームとして動いている実感が強いですね。

入庁直後の育児休業取得。不安を安心に変えた、十和田市役所の「温かな受け入れ態勢」
ー村中さんの入庁動機に「子育て」があったと伺いましたが、詳しく教えてください。
村中:はい。十和田市役所を選んだ最大の理由は、私自身の出産でした。子育てをする上で、住み慣れた十和田市で、自宅から近い職場で働きたいと考えたんです。
でも、入庁にあたって大きな不安がありました。実は採用が決まった時点で、子どもがまだ0歳児だったんです。
ー入庁してすぐに育児休業や短時間での勤務が必要になる状況だったのですね。
村中:そうなんです。採用決定後、すぐに総務課の担当の方に相談しました。「入庁後すぐに育児休業をいただきたい」「復職後は短時間での勤務をさせてほしい」と。
普通に考えれば、新しい職場に入る直前にそんなお願いをするのは冷や汗が出るほど心苦しいことですよね。「配属先で快く思われないのではないか」と、本当に不安でした。
ー市側の対応は、どのようなものでしたか?
村中:驚くほど温かかったです。総務課の方は私の状況を親身に聞き入れ、制度を最大限活用できるように調整してくれました。実際、入庁した当日に辞令交付式へ出席し、翌日から2ヶ月ほど育児休業(*3)をいただいたんです。
さらに復職前の面談では、上司が「不安にならなくていいよ。一緒に働けるのを楽しみにしているからね」と笑顔で迎えてくれました。私の不安を払拭してくれるような温かい言葉に、どれほど救われたか分かりません。
(*3)採用後6月の間は条件付採用期間です。期間内の育児休業等取得には諸条件あります。

「帰りやすい雰囲気」を上司が作る。ワークライフバランスのリアル
ー現在は部分休業制度を活用されているとのことですが、実際の働きやすさはいかがですか?
村中:現在は「部分休業制度」を利用して、勤務時間を短縮しています。制度が整っているだけでなく、それを「使いやすい雰囲気」が職場にあるのが十和田市役所の魅力です。
例えば退勤時間になると、上司がわざわざ「村中さん、お迎えの時間は大丈夫?」と声をかけてくれるんです。周囲も「お疲れ様!」と明るく送り出してくれるので、後ろめたさを感じることなく、育児に専念できる時間に切り替えられます。
ー急な子どもの体調不良などで、お休みをいただくこともあるかと思いますが。
村中:頻繁にあります(笑)。そんな時も、上司が率先して私の仕事を他のメンバーに割り振ってくれたりと、チーム全体でフォローしてくれる体制があります。子の看護等休暇(*4)もフルに活用させてもらっていますね。
さらに職場には子育ての先輩も多く、「こんな時はこうすればいいよ」と育児の相談に乗ってもらうこともあります。専門職の同僚としても、パパ・ママの先輩としても、本当に頼もしい仲間に囲まれています。
(*4) 子の病気の看護、予防接種の付き添い等のため取得できるもの
ー一方で、虐待対応などは緊急性が高く、残業が必要な場面もあるのでは?
村中:おっしゃる通り、命に関わる緊急案件の時は、残業や休日出勤が発生することもあります。ただ、公務員としても、この業務に携わる者としても、そうした緊急対応が必要な仕事であることをチーム全員が理解しています。
忙しい時は集中して働き、家庭の時間はしっかり守る。そのメリハリが付けやすい環境だと思います。

「どちらも手を抜きたくない」あなたへ。共に働く仲間へのメッセージ
ー仕事と育児を両立させる上で、心がけていることはありますか?
村中:私は性格的に、仕事も育児も「どちらも手を抜きたくない」と思ってしまうタイプなんです。だからこそ、自分一人で抱え込んでパンクしそうになることもあります。
でも十和田市役所に入って、周りに助けてもらうことのありがたさを身に染みて感じました。
自分がこれだけ助けてもらったので、これから入ってくる後輩や、新たに育児休業に入る仲間がいた時は、今度は私が全力でサポートしたいと思っています。この「助け合いのバトン」を繋いでいくことが、十和田市役所をもっと良い職場にする鍵だと思っています。
ー最後に、十和田市役所の受験を考えている方、特に子育て世代の方へメッセージをお願いします。
村中:行政の社会福祉士は、多職種を繋ぐ「パイプ役」であり、地域の未来をデザインする非常にやりがいのある仕事です。
十和田市役所には、私のように入庁直後に育児休業を取るような職員でも温かく受け入れ、キャリアを支えてくれる環境があります。業務は多岐にわたり忙しい面もありますが、それ以上に「お互い様」と言い合える絆があります。
仕事も家庭も大切にしたいという欲張りな方、ぜひ私たちの仲間になってください。お待ちしています!

ー本日はありがとうございました。
村中さんの「仕事も育児も、どちらも手を抜きたくない」という言葉には、専門職としてのプライドと、母親としての愛情が溢れていました。
入庁直後から育児休業を取得するという、一見するとハードルの高い決断を温かく包み込んだ十和田市役所の環境。それは、単に制度があるという以上に、働く人を一人の人間として尊重する「優しさ」の現れだと感じます。
上司の「一緒に働けるのを楽しみにしている」という一言が、どれほど彼女の背中を押し、今の輝きに繋がっているか。取材中、終始和やかな笑顔を見せてくれた村中さんの姿に、これからの公務員の新しい働き方のヒントを見た気がしました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年2月取材)



