心理学の道を志したのち看護師へ転身し、重症心身障害児施設での経験を経て世田谷区へ入庁。現在は子ども・若者部保育課の等々力中央保育園で働いています看護師職員のTさんのインタビューです。
病院勤務との違いや、医療的ケア児の医療ケア、本庁勤務の経験、そしてコロナ禍での奮闘など、公務員看護師として、とても多彩なキャリアや、充実した福利厚生や組織のバックアップ体制、そして地域と連携した世田谷区ならではの「働きがい」について、柔らかい笑顔で語ってくれました。
- 心理学から看護、そして自治体へ。異色の経歴と入庁のきっかけ
- チームで見守るから安心。区立保育園での1日
- 病院とは違う「判断力」。公務員としての成長とキャリア
- 前例のない危機を越えて。組織の強さを感じたコロナ禍
- 「一人じゃない」から頑張れる。世田谷区ならではのサポート
- これから世田谷区を目指すあなたへ
心理学から看護、そして自治体へ。異色の経歴と入庁のきっかけ
─まずは、これまでの経歴について教えていただけますか?
T:現在は、子ども・若者部 保育課の等々力中央保育園で働いています。実は最初から看護師だったわけではなくて、大学では心理学を専攻していました。卒業後は児童館や介護の仕事をしていましたが、「もっと専門的な知識を持って人に寄り添いたい」と思うようになり、看護学校へ入り直したんです。 卒業後は都内の療育医療センターに勤務し、その後、世田谷区に入職しました。

─心理学から看護の道へ進まれたのですね! やはり当時から「子どもに関わる仕事」を目指されていたのですか?
T:そうですね。もともと臨床心理士として子どもに関わりたかったのですが、資格を取るまでの道のりも長く、当時は就職が難しくて。まずは人を援助する仕事として高齢者介護の世界に入りました。そこで改めて医療知識の必要性を痛感して、看護師を目指すことにしたんです。 就職先としてずっと自治体がいいなと思っていたのは、「地域に根ざした医療」という点に強く惹かれていたからですね。
─前職の療育医療センターでは、どんなお仕事をされていたんでしょうか。
T:重症心身障害児専門の医療施設で、入院されているお子さんの対応や、レスパイト(ご家族の介護休息)のための一時的なお預かりなどを担当していました。
─そこから、世田谷区へ転職された決め手はなんだったのですか?
T:私自身、結婚・出産を経て子育て真っ最中だったこともあり、「自分の住む地域で働きたい」という思いが強くなったんです。 それに、世田谷区は子育て支援にすごく熱心な自治体ですよね。住む環境としても助成制度などが充実していますし、働く環境としてもその姿勢に共感できたことが、仕事と家庭を両立させる上での一番の決め手になりました。
チームで見守るから安心。区立保育園での1日
─現在の業務内容について教えてください。
T:世田谷保育園、奥沢保育園を経て、一度本庁の保育課に行き、現在は等々力中央保育園で3年目になります。 基本的には全園児の健康管理や衛生管理を行っていますが、等々力中央保育園では医療的ケア児のお預かりもしているため、医療的ケアや、職員みんなの健康管理も私の大事な仕事です。
─1日の流れはどのような感じでしょうか?
T:日によって多少変動はありますが、基本的にはこのようなスケジュールで動いています。
【ある1日のスケジュール】
- 08:30 出勤・情報収集 園児の出欠状況や、地域で流行している感染症情報をチェックして1日が始まります。
- 09:00 園内巡回・健康観察 医療的ケア児の受け入れを行い、健康状態を確認。その後、各クラスを回って園全体の子どもたちの様子を見て回ります。

- 10:00 保育補助・相談対応など 日によっては0歳児クラスの保育に入ったり、併設の「子育てひろば」で地域の方からの育児・健康相談を受けたりします。
- 11:30 医療的ケア(1回目) 食事の時間に合わせてクラスへ行き、医療的ケアを行います。
- 12:15 給食・休憩 ケアが一段落したら、自分たちの給食と休憩の時間です。
- 13:15 事務作業・会議 「ほけんだより」の作成や会議、事務処理などを行います。もちろん、園内でケガや発熱があればすぐに対応します。

- 15:00 医療的ケア(2回目) おやつの時間に合わせて2回目のケアや見守りを行います。
- 16:00 医療的ケア等の記録
- 17:15 退勤 残業は少なくコントロールしやすいので、定時で上がれる日も多いです。
─医療的ケアが必要なお子さんもいらっしゃるんですね。看護師さんは何名体制なのですか?
T:医療的ケア児のお預かりしている園は2名体制です。看護師がいないとケアができないので、必ず2名配置されているんです。「一人じゃない」というのは、負担も分散されますし、何よりお互いに確認しながら安心してケアにあたれるので心強いですね。
─園の雰囲気はいかがですか? 他の職種のスタッフさんとの連携についてもお聞かせください。
T:自分から積極的に声をかけるようにしています! 保育士さんは人数も多く、若手からベテランまで幅広いですが、バランスよく配置されているので連携はとてもとりやすいですよ。 区立保育園は職員数が充実していて、複数担任制などで「チームとして子どもを見る」体制が整っています。私たち看護師は客観的な視点でアドバイスができますし、栄養士さんと連携し健康教育を行うなど、職種の垣根を超えて協力し合える温かい環境です。

病院とは違う「判断力」。公務員としての成長とキャリア
─以前の病院勤務と比べて、保育園ならではの違いや難しさはありますか?
T:病院とは全く違いますね。保育園は基本的には「元気なお子さん」をお預かりする場所なので、体調不良やケガをした時の「判断」がすごく重要になります。 ここでは医師の指示もないし治療はできないので、「受診が必要か?」「お家での様子見で大丈夫か?」を的確に判断し、園長先生や保護者の方と連携します。
たとえば発熱でも、赤ちゃんは環境の変化ですぐに熱が上がることもあるので、すぐに病気と決めつけず「少し水分を摂って様子を見てみましょう」と提案するなど、看護師としての専門スキルが活かされているなと感じます。
─治療ができない分、プロとしての判断力が求められるのですね。やりがいはどんな時に感じますか?
T:やっぱり、子どもたちの成長を長く見守れるところです! 世田谷区は生後5ヶ月から、5歳児クラスでの卒園までお預かりするので、長い期間その成長を保護者の方と一緒に喜び合えるんです。病気のケアだけでなく、日々の成長をずっと見ていける楽しさは、保育園勤務ならではの醍醐味ですね。

─Tさんは本庁での勤務経験もありますよね。そういったキャリアパスも魅力の一つでしょうか。
T:そうですね。保育園だけでなく、本庁の保育課や児童相談所の一時保護所など、活躍の場がたくさん用意されています。現場だけでなく行政側の視点を持つことで視野が広がりますし、ローテーション人事によって常に新しい学びが得られるのは、長く働く上で大きな魅力だと感じています。
前例のない危機を越えて。組織の強さを感じたコロナ禍
─これまでの経験の中で、一番大変だったことや乗り越えてきた壁について教えてください。
T:やはり、新型コロナウイルスへの対応ですね。当時私は本庁の保育課にいて、区内全保育施設のコロナの対応をする立場にいました。保健所と連携しながら、日々変わる状況に対応するのは本当に大変でした。
─まさに最前線にいらっしゃったのですね……。
T:保育園は社会インフラとして開所し続けなければならず、保育をしながら消毒や園内でのPCR検査の対応をしていた時期もありました。現場の先生方は本当に大変だったと思います。 その後現場に戻った際に自分も対応しましたが、あの時期は本当に勉強になりましたし、「区の職員として社会情勢と連動して動くこと」の重要性を肌で感じました。
─組織としてのバックアップ体制の重要性を感じた出来事だったのですね。
T:はい。何かあった時に保健所や本庁がすぐに動いてくれる安心感はすごく大きいです。新型コロナ流行時なども、個人の判断だけでなく組織として状況を把握し、園長や嘱託医と相談しながら冷静に対応できます。こうした「組織的な強さ」は、世田谷区で働く大きなメリットだと思います。
「一人じゃない」から頑張れる。世田谷区ならではのサポート
─世田谷区に入って良かったと思う点、働きやすい点はどこですか?
T:世田谷区は、同期や同僚の「看護師職」の人数が多いのが魅力です。月に1回「看護師業務連絡会」というのがあって、区立全園の看護師が集まって情報共有や相談ができるんです。ここでは仲間と繋がれますし、ヒヤリハット事例などを共有してノウハウを蓄積できるので心強いです。「横のつながり」があるおかげで、安心してキャリアを積むことができています。
─それは安心ですね! 他に世田谷区ならではの特徴はありますか?
T:世田谷区独自の「保育の質のガイドライン」に基づいて保育を行っている点ですね。職員一人ひとりがこれを読み込んで活用しているので、どの園でもガイドラインに則った保育を目指していますし、私たちも意識を持って働くことができています。 また、医療的ケア児の受け入れに関しても独自のガイドラインがあり、安全な医療的ケアと保育の提供ができる体制が整っています。
─地域との関わりも深いと伺いました。
T:そうですね、地域交流の拠点としての役割も大きいです。「子育てひろば」での相談対応や、地域の私立保育園への支援も行っています。 福祉的な支援が必要なご家庭のお子さんも入園されますが、私自身の以前の福祉職としての経験も活かせますし、単に園内のお子さんを見るだけでなく、地域全体の子育て支援に貢献できる。そんな社会貢献性の高さも、この仕事の魅力です。

これから世田谷区を目指すあなたへ
─最後に、これから世田谷区を目指す方へメッセージをお願いします。働きやすさの面はいかがでしょうか?
T:ワークライフバランスはとても取りやすい職場ですよ。病院勤務のような夜勤はなく、基本的にカレンダー通りの勤務で、残業もコントロールしやすいです。子育て中の職員も多いので、プライベートも大切にしながら長く働き続けられます。 公務員として安定した処遇が受けられるので、将来設計も立てやすく、安心して仕事に打ち込むことができます。
─病院から転職される方は、最初は戸惑うこともあるでしょうか。
T:最初は勝手が違って戸惑うこともあると思いますが、1年通して保育園での流れや行事を経験すれば自然と慣れていきますよ。 今は新入職員へのバックアップ体制もしっかりしていますし、私たちも全力でサポートしますので、ぜひ安心して飛び込んできてほしいですね。 世田谷区は、職員がいきいきと自分らしく働ける場所です。子どもたちの成長を見守りながら、自分自身も成長していきたい方をお待ちしています!
─ありがとうございました!
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)



