佐久市役所、移住交流推進課で働く藤田さんと大工原さんのインタビュー記事です。民間での経験を経て移住推進係で働くお二人に、全国トップクラスの移住相談を支える業務の裏側や、移住者・Uターン者それぞれの視点から見た佐久市の魅力、充実したワークライフバランスについて語っていただきました。
民間企業から佐久市役所へ。それぞれの移住とUターンのきっかけ
ーまずは自己紹介と、佐久市役所に入庁された経緯を教えてください。
藤田: 令和5年度に入庁し、現在3年目になります。出身は神奈川県横浜市で、前職は旅館運営の再生事業などに携わっていました。その関係で全国を動き回っており、最初は鳥取県米子市、静岡県浜松市や伊東市などを経て、軽井沢に赴任しました。
その際、佐久市に住み、結婚や子どもの誕生を経て佐久市に家を建て、地域に根ざして長く働ける市役所を受験しました。
ー大工原さんはいかがですか?
大工原: 私は令和7年度に入庁した1年目です。元々佐久市の出身で、Uターンで戻ってきました。前職は埼玉県、東京都で、ブライダルジュエリーの営業を7年ほどしていました。佐久市に戻ろうと思った一番のきっかけは、子どもが生まれたことです。子育てをするならやはり地元が良いという気持ちが高まり、帰るからには安定して長く働きたいと考え、市役所を受験しました。
長野県内トップの移住人気!リアルな相談から全国放送のテレビ対応まで
ーお二人が所属する「移住推進係」の具体的な業務内容を教えてください。
藤田: 係の体制としては、正規職員が係長と我々2名、交流推進係との兼務が1名、そして会計年度任用職員の移住相談員が1名という少人数の部署です。私の主な業務は、「空き家バンク」事業の運営や、東京や大阪で開催される移住セミナー・イベントの企画です。
空き家バンクについては、移住希望者からの相談だけでなく、空き家を所有していて維持管理や利活用に困っている所有者からの相談対応も多いですね。もちろん、私自身が「外から来た移住者」としての視点を活かして、移住相談窓口での対応も行っています。
大工原: 私は、移住関連の補助金に関する事務作業が業務全体の約7割を占めています。残りの3割で、藤田さんと一緒に移住セミナーやイベントの企画・準備、窓口での移住相談や市民対応を行っています。
ー佐久市への移住者は多いんですよね!
藤田: 非常に多いです!転入と転出の比較である社会増の数字でいくと、長野県内の自治体の中で佐久市が2年連続で1位になっています。相談件数も右肩上がりで増加傾向にあります。
ー佐久市がそこまで人気を集める理由は何だとお考えですか?
藤田: 大きな要素としては、やはり新幹線(佐久平駅)があることで、東京圏へのアクセスが非常に良いという点です。何かあればすぐに東京に出られるという安心感は大きいです。あとは気候ですね。佐久市はこれまで熱帯夜を記録したことがありません。夏でも湿度が少なくカラッとしていて、非常に過ごしやすい環境です。

大工原: 実際に移住検討者の方とお話ししていて感じるのは、「教育移住」を目的に来られるご家族連れが非常に多いということです。佐久市のお隣の町にある大日向小学校をはじめ、佐久市内にも特色ある教育を行う私立の小学校がいくつかあります。そこにお子さんを通わせたいという目的で、佐久市への移住を希望される方が多いのは、この地域ならではの特徴だと思います。
ー移住を推進していく上で、反響が大きかった取り組みはありますか?
藤田: 月に1回程度のペースで移住イベントに出展しているのですが、ここ最近は特にメディアへの露出が非常に大きかったです。例えば、全国放送された移住がテーマの番組でも1時間に渡って取り上げていただきましたし、朝の情報番組「ZIP!」でも、2週にわたって佐久市が紹介されました。
ー全国放送の誘致はどのように進められたのですか?
藤田: 基本的にはテレビの制作会社からの問い合わせがきっかけになりますが、そこで「いかに魅力的な番組になるようなロケーションや移住者の方をご提案できるか」に注力しました。市の魅力を全国に知っていただくための、非常に重要な仕事だと捉えています。
大工原: ただ、テレビ、しかも全国版で放送されると、今まであまり問い合わせがなかった地域からも一気に連絡が来るんです。特に補助金関係の問い合わせが急増するので、担当している私としては対応にかなり苦労しています(笑)。ですが、テレビの反響の大きさを日々肌で実感できるのは面白いですね。
「売らなくていい」営業職からの転身。人生の転機に寄り添うやりがい
ーお二人とも民間企業でのご経験が長いですが、現在の移住推進のお仕事にやりがいを感じるのはどんな時ですか?
大工原:前職が営業でしたので、当時は「とにかく売らなければいけない」というマインドで仕事をしていました。でも今はそれがなく、移住相談に来られた方に対して、ありのままの佐久市を紹介しています。
それがストレスフリーで、働きやすいですね。相談者の方から直接感想をいただけるのも、大きなやりがいに繋がっています。
藤田:私は前職で、現場を離れてからは総務や人事といった「社内の内側」の仕事を長くしていました。そのため、お客様の声を直接聞く機会が久しくなかったんです。移住の相談というのは、いわば「人生相談」のようなものです。
様々な方の価値観やこれまでの人生経験、背景などを直接対面で聞くことができるのは、非常に貴重で面白い経験です。
決裁の多さに戸惑いも?民間経験者が感じる市役所のリアルと温かい関係性
ー民間企業から市役所に入庁して、ギャップや驚いたことはありましたか?
大工原: やはり、仕事の進め方は民間とだいぶ違うと驚きました。イベントに出た後のアンケートを一つ提出するにしても、係長、課長へと決裁を回さなければなりません。これは、現在も絶賛苦戦中です。
ー職場の雰囲気や、先輩後輩の関係性について教えてください。
大工原:これは本当に恵まれています。業務の前任が藤田さんなので、分からないことがあればマンツーマンで手取り足取り教えてもらっています。藤田さんは民間企業を経験しているので、民間出身者ならではの戸惑いや気持ちを共有しやすいのも非常にありがたいですね。
藤田: 大工原さんは前職で営業を経験しているので、電話応対なども私以上にとても上手で、安心して見ていられます。職場全体としても非常に風通しが良く、上の係長や課長ともざっくばらんに意見交換ができ、相談しやすい環境です。
佐久市役所は中途採用の職員も多いので、色々なバックグラウンドを持った人が馴染みやすい雰囲気があると思います。
定時退庁と豊かな自然。佐久市で見つけた理想のワークライフバランス
ー働き方についてはいかがですか?
藤田: 残業については、部署にもよりますが我々の課はあまり多くありません。私の転職の理由の一つが「家族との時間を持ちたい」というものだったので、その点では非常に満足しています。最初、定時の17時15分に上がって家に帰ると、妻から「どうしたの?体調悪い?大丈夫?」と本気で心配されてしまったくらいです(笑)。
ーお二人は子育て世代でもありますが、プライベートでの佐久市の暮らしはいかがですか?
大工原: 佐久市は本当に晴天率が高く、天気の良い日が多いので、子どもを外で遊ばせられる時間が物理的に増えました。広々とした公園でのびのびと遊ばせることができます。また、今年の4月に「野沢」というエリアに巨大な子育て支援拠点ができました。
佐久市は冬が非常に寒く、雪遊び以外で外に出るのが厳しい時期もあるのですが、そうした冬場でも室内で思い切り子どもを遊ばせられる場所ができたのは、子育て世代として本当に嬉しいですね。

藤田: 私は家の裏がすぐ山という環境なので、毎朝山をジョギングしてからシャワーを浴びて出勤するというライフスタイルを送っています。夏場は子どもを連れて川遊びに行ったり、山に登ったりと、東京や横浜では絶対にできないような自然を満喫した生活ができています。
ー最後に、今後の目標やこれから挑戦したいことを教えてください。
大工原: これまでは、テレビ番組の対応や関連部署との折衝など、大きな仕事はすべて藤田さんにやってもらっていました。今後は私が一番表に立って、公務員ならではの仕事の進め方をしっかりと身につけ、責任感を持って業務を回していけるようになりたいです。
藤田: 私は今の部署で3年目になるので、そろそろ異動の時期になるかと思います。実は、入庁以来ずっと外(移住希望者)に向けた仕事をしてきたので、市役所内のことをまだあまり知らないんです。次の部署では、また別の角度から市役所のことを知り、経験を広げてキャリアを積み上げていきたいと思っています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年2月取材)
民間企業で培った視点を最大限に活かし、佐久市の魅力を全国へと発信するお二人。決裁の多さなど行政ならではのギャップに戸惑いながらも、17時台の定時退庁や、ジョギングから始まる豊かな自然環境での暮らしなど、仕事とプライベートを見事に両立させている姿が印象的でした。



