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松山市役所

「より優しく より強い まつやまへ」~一人でも多くの人を笑顔に~ 3000年の歴史を誇る道後温泉、全国に12城しかない現存天守・松山城、正岡子規が革新した日本独自のことば文化・俳句など、松山市には再生しながら受け継がれてきた風土や文化が根付いています。私たちは先人たちの「RE:GENERATION」の精神を、より優しく、より強い、笑顔が咲き誇る松山市の未来へとつなげていきたいと考えています。

大規模プロジェクトの最前線から、愛する地元のインフラを「守る」道へ。土木技師としての新たな挑戦

松山市役所

2026/02/12

仕事中心の生活を送りながら、全国を飛び回り、準大手ゼネコンの現場監督として最前線を走り続けてきた松木園(まつきぞの)さん。7年間で6つの現場を渡り歩き、宿舎での共同生活も経験しながら、濃密な日々を過ごしていました。

しかし、30歳を目前にしたとき、芽生えたのは「大好きな地元・松山に腰を据え、地域の力になりたい」という思いでした。

「作る」プロフェッショナルから、道路をはじめとしたインフラを維持管理する「マネジメント」の専門家へ。なぜ松木園さんは、キャリアの舵を大きく切ったのか?民間で培った現場感覚は、行政の場でどう活かされているのか?単なる「安定」の追求にとどまらない、愛する街の未来を守るための情熱について伺いました。

 


ゼネコンでの経験。責任感と誇りに満ちた現場監督時代

ーまずは松木園さんのこれまでの経歴と、前職での歩みについてお聞かせください。

 

松木園:よろしくお願いします。私は松山市の出身で、地元の大学を卒業後、準大手のゼネコンに就職しました。そこで7年間、現場監督として施工管理の業務を行っていました。

 

ーゼネコンの現場監督というと、非常にダイナミックかつ責任の重いお仕事かと思います。当時の働き方はいかがでしたか?

 

松木園:非常にやりがいがありましたが、同時にタフさが求められる環境でもありました。特に最初の数年間は、プロジェクトの完遂に向けて土曜日も現場に出ることが多く、事務作業を含めると夜遅くまで事務所に灯りがついているのが日常でしたね。

 

日中は現場で職人さんと向き合い、夜は書類作成をするなど、まさに「現場中心」の濃密な日々でした。

ー現場によっては全国転勤も経験されたのでしょうか?

 

松木園:そうですね。7年間で転勤を伴いながら、6つの現場を経験しました。

 

私は関西支店を拠点としていましたが、最後は北海道の新幹線用トンネル施工の現場にも携わりました。毎日現場に通う必要があることから、現場近くに住む必要があったため、仮設の宿舎で同僚たちと共同生活を送るような時期も数年ありました。

 

ー全国転勤や共同生活、大変ながらも貴重な経験だったのではないでしょうか。

 

松木園:おっしゃるとおりです。20〜30人のメンバーと同じ屋根の下で暮らし、24時間体制で現場のことを第一に考える環境は、今の自分を形作る強固な土台になったと思っています。

 

ただ、一つの現場が終わるたびに生活環境がリセットされる日々の中で、徐々に「一箇所に腰を据えて働きたい」という思いが芽生えてきたのも事実です。

 

ーそこが、転職を考えるきっかけとなったのでしょうか?

 

松木園:はい。30歳という年齢が見えてきたとき、これから先の長期的な人生設計を改めて考えるようになりました。結婚や親のことも含め、やはり大好きな松山市で、地元のインフラを支える力になりたいという気持ちが大きくなったんです。

 

全国転勤を経験したからこそ、地元の魅力を再確認するきっかけとなり、その思いが、転職を決意する最大の原動力になりました。

 

「作る」から「マネジメントする」へ。市役所土木技師の奥深さ

ー転職先として「市役所」を選択した理由についても教えていただけますか?

 

松木園:ゼネコンで培った「現場を知っている」という強みを、公共のために最も直接的に活かせる場所だと考えたからです。公共という観点では、県庁も選択肢にありましたが、より地域の方々に近く、生まれ育った街の変化を肌で感じられる市役所に強く惹かれました。

 

ーゼネコンと比べると、同じ土木技師としても立ち位置が変わってくるかと思いますが、実際に入庁してみて、仕事に対する視点に変化はありましたか?

 

松木園:これは大きく変わりました。前職は、いかに一つの構造物を高品質かつ工期内に「作り上げるか」に全力を注ぐ仕事でした。一方で市役所の仕事は、松山市全体を俯瞰し、限られた予算と時間の中で、いかに効率よく「維持管理していくか」という、都市のマネジメントとしての側面が強いと感じています。

ー地域全体のバランスを考える、より広い視点が求められるのですね。

 

松木園:そのとおりです。また、行政組織ならではのルールの厳格さや、地域の方々への説明責任を果たすための事前準備や書類作成など、求められる精度の方向性の違いに、最初は驚くこともありました。

 

しかし、その一つ一つのプロセスが「市民の財産を守る」ことに直結していると気づいてからは、非常にやりがいを感じながら取り組んでいます。

 

現場とデスクワーク。ハイブリッドな働き方

ー現在所属している、道路河川管理課での具体的な業務内容を教えてください。

 

松木園:道路の維持管理が主な業務です。市民の方々から寄せられる補修の要望への対応や、定期的なパトロールを通じて、道路の不具合を早期に発見し、修繕の手配を行います。

 

現場の状況を確認し、最適な工法を検討した上で、施工業者や市民の方々と調整を行います。窓口対応や書類の処理も多く、実際には現場とデスクワークは半々くらいになりますが、現場に出る機会も多いので、技術者としての勘が鈍ることはありません。

ー市民の方と直接やり取りをする中で、やりがいを感じるのはどのような瞬間ですか?

 

松木園:前職では、自分が施工に関わった道路や構造物が完成した後、市民の方々がどのように使っているかを知る機会はほとんどありませんでした。しかし今は、「あそこの段差を直してくれて助かったよ」といった感謝の言葉を直接いただけたり、実際に道路が利用されている様子を自分の目で見ることができるんです。

 

自分の仕事が、地域の方々の安全や、子ども達の日々の登下校を支えている、穏やかな日常に貢献できているということを実感できるのが、現在の大きなやりがいであり、喜びでもありますね。

 

ワークライフバランスがもたらした、心身の充実

ー働き方が変わったことで、私生活にも変化がありましたか?

 

松木園:生活の質が劇的に向上しました。前職時代も仕事に誇りを持っていましたが、どうしても仕事中心の生活になりがちでした。今は、オンとオフの切り替えが明確になり、しっかりと心身をリフレッシュできています。

 

ー具体的に、増えた時間をどのように過ごされていますか?

 

松木園:地元に戻って来たからということも大きいですが、友人と会う機会が格段に増えましたね。また、転勤の不安がなくなったことで、先を見据えた予定も立てやすくなりました。

 

休日に市内をドライブしながら、「ここは自分が補修手配して直した道だな」と、一市民としての目線で自分の仕事を確認するのも、ささやかな楽しみです。

ー働く上で、職場の雰囲気についてはいかがでしょうか。

 

松木園:現在所属している課は、風通しが良いと感じています。入庁前は「役所は堅苦しい」という先入観がありましたが、実際にはフランクに相談できる先輩や上司ばかりです。中途入庁の同期も多く、お互いのバックグラウンドを尊重しながら高め合える、とても心地よい環境です。

 

民間経験という「財産」を、地域の未来のために

ー民間企業からのキャリアチェンジを考えている方に、何かアドバイスをいただけますか?

 

松木園:民間で培った現場感覚やスピード感、そして施工のノウハウは、自治体の土木技師において間違いなく強みになります。発注者として業者さんと対等に議論できることや、現場での経験があるからこそ、より実効性の高い提案ができるようになります。

 

そして何より、土木技師として安定的に働くことができるこの環境は、生活のためにも、そして自分の成長のためにも、最高のフィールドになると思います。

 

ー「やりがい」と「生活の安定」、とても大切なことかもしれませんね。

 

松木園:そのとおりです。私にとって転職は、決して楽をすることを目的としていたわけではありませんでした。むしろ、一つの場所で長く、深く、街と付き合い続けたいという、前向きな決断でした。

 

松山という大好きな街のインフラを、10年、20年先まで見据えて守り抜くこと。そのやりがいは、何物にも代えがたいものです。

 

皆さんの経験を活かしつつ、一緒に働くことができる日を楽しみにしています。

ー本日はありがとうございました。

 

ゼネコン時代の激動の日々を「大変だったけどやりがいはあった」と振り返る松木園さん。その語り口からは、現場監督として厳しい環境を生き抜いてきた確かな自信と、土木という仕事に対する深い思い入れが伝わってきました。

特に、ご自身が修繕を担当した道路について、一市民として喜びを感じるというエピソードからは、仕事の成果が市民の幸せにつながっていることを実感できる環境に、「喜び」や「やりがい」を感じている様子がうかがえました。

技師としての視点と、市民の暮らしに寄り添う温かな感情。その両方を併せ持つ松木園さんのような方がいるからこそ、市民の「当たり前の毎日」が支えられているのだと、改めて実感するような取材となりました。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)

土木技師
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