「浦安に生まれ育ち、このまちの変化を誰よりも間近で見てきました」と語るのは、企画部次長(※企画政策課長を兼ねています)の熊川さん。東西線の浦安駅しかなかった時代から、京葉線の開通、そして大規模な埋め立て事業を経て成熟期へと向かう浦安の歩みは、そのまま熊川さんのキャリアでもあります。
「自ら考え、行動する」―浦安市が求めるこの言葉の真意は、単なるスキルの高低ではなく、周囲への「思いやり」と「気づき」にありました。管理職として、メンバーが安心して意見を言える「心理的安全性」を何よりも大切にする熊川さん。一人ひとりの職員と真摯に向き合い、その挑戦を組織としてどう支えているのか。そして、これからの浦安を担う次世代へ託す想いとは。ベテラン管理職の視点から、浦安市役所で働くことの本当の意義を紐解きます。
- キャリアを振り返って感じる、コンパクトなまち・浦安の魅力
- 組織運営の要は「心理的安全性」と「共感力」
- 「自ら考え、行動する」の根底にあるのは「思いやり」
- 挑戦を支えるバックアップ体制と「伴走型」の育成
- ワークライフバランスを支える「お互いさま」の精神
- 未来の仲間へ:浦安の「次のステージ」を共に
キャリアを振り返って感じる、コンパクトなまち・浦安の魅力
ーまずは、熊川さんのこれまでのキャリアの歩みについて教えていただけますか。
熊川:私は浦安で生まれ育ち、そのまま浦安市役所に入庁しました。キャリアとしては、道路や公園、都市計画といった「都市基盤」のハード部門から、高齢者福祉、商工観光、さらには市民まつりなどのイベントを扱うソフト部門まで、本当に幅広く経験してきました。
工事の設計や施工、用地買収に携わったこともあります。
ー非常に幅広い経験をされているのですね。その中で感じてきた浦安市の魅力について教えていただけますか?
熊川:浦安の魅力は、まずはその「環境」ですね。都心に近い利便性がありながら、空が広く、海が近くて潮の香りを感じられる。この心地よさは浦安ならではです。
そして職員の視点から言えば、このまちの「規模感」が最大の魅力だと感じています。
ー「規模感」というと、具体的にはどういった部分でしょうか。
熊川:浦安市は約4キロメートル四方、人口は約17万人というコンパクトなまちです。この規模だからこそ、まちの隅々まで自分の目で確認し、把握することができるんです。
市民の方々との距離も近く、顔が見える関係性の中で直接感謝の言葉をいただける。街づくりをこれほど身近に実感できるのは、大きすぎず小さすぎない、浦安という「ちょうどいい規模感」があるからこそだと思います。

組織運営の要は「心理的安全性」と「共感力」
ー現在は企画部次長そして企画政策課長という重責を担われていますが、管理職として組織を運営する上で特に大切にされていることは何ですか?
熊川:メンバー全員が安心して意見や悩みを話せる「心理的安全性」を確保することですね。これはとても大切なことだと思っています。
メンバーが「こんなことを言ったら否定されるかも」と萎縮してしまっては、良い仕事はできません。傾聴力と共感力を持って接し、オープンな雰囲気を作ることを常に意識しています。

ー具体的に、メンバーとのコミュニケーションで工夫されていることはありますか。
熊川:毎朝、出勤してくる職員の面持ちから、ちょっと元気がないかなと思ったら、自ら席に行って声をかけるなど、こちらからコミュニケーションをとることを意識しています。
最近はプライベートに踏み込みすぎるのは難しい時代ですが、それでもお子さんの体調はどうか、仕事とプライベートでうまく両立できているかといったことを、会話の中で確認し、共有するようにしています。
ー最近は上司・部下の関係性も変化しているので、コミュニケーションが難しく感じることもあるのではないでしょうか?
熊川:確かに、私たちが若かった頃とはコミュニケーションの形も変わっていますが、上司から積極的に関わり、状況を把握しようとする姿勢は、今の時代だからこそより重要だと思っています。自然体で接しながら、信頼関係を築いていきたいですね。
「自ら考え、行動する」の根底にあるのは「思いやり」
ー浦安市が求める人物像として「自ら考え、行動する職員」というキーワードがありますが、熊川課長はこの言葉をどう定義されていますか。
熊川:市役所の仕事は、職員同士がひとつの目標に向かって、仲間と「協調」し「コミュニケーション」を図ることが基本です。
それを踏まえると、自ら考え行動できる人とは、周囲に対して「広い視野」と「思いやり」を持てる人のことだと思っています。
ースキル的なことよりも、内面的な姿勢に重点を置かれているのですね。
熊川:そのとおりです。窓口に来られた市民の方の表情を見て、状況を察する「気づき」や「目配り」のほか、相手の話を丁寧に聴く「傾聴力」、こうした能力は、単に言われたことをこなすだけでは身につきません。
相手を思いやり、今何が必要かを自ら察知して動くことができる。それが私の考える「自ら考え、行動する」職員の姿です。こうした姿勢は、職員同士の間でも、市民の皆さんに対しても、すべての仕事の根幹になります。

挑戦を支えるバックアップ体制と「伴走型」の育成
ー若手職員が新しいことに挑戦しようとした際、組織としてはどのようなバックアップを行っているのでしょうか?
熊川:挑戦には「知識」が不可欠です。そのため、職場内研修(OJT)はもちろん、職場外研修(Off-JT)にも積極的な参加を促しています。
良い研修があれば私からも声をかけますし、そこで学んだ知見を浦安のまちづくりに還元してもらうことも大切です。そうした「成長のサイクル」を組織としてバックアップしています。
ー日々の業務の中での育成については、どのような体制をとっていますか?
熊川:浦安市では、職員自身が年度の業務目標を主体的に設定する人事評価制度を導入しています。形だけで終わらせるのではなく、定期的な個別面談やミーティングを通じて「今、どのように進んでいるか」を共有し、アドバイスを送ります。
ー目標を持つことが重要ということですね。人材育成という観点で、大切にしていることはありますか?
熊川:私は「ワンオンワン(1on1)ミーティング」を大切にしています。人事評価とは切り離して、いつでも相談できるように間口を広く取っているんです。
特に若手職員とは意識的に時間を作り、日常的な話題も含めて話をするようにしています。相手を知ることは信頼につながり、それが結果として業務の強力なバックアップになると信じているからです。
ワーク・ライフ・バランスを支える「お互いさま」の精神
ー働きやすさの面で、ワーク・ライフ・バランスや休暇取得の状況はいかがでしょうか。
熊川:組織として取得推進に取り組んでいますが、ここ数年、有給休暇が取りやすくなっていると感じます。それは単に制度があるからではなく、先ほどお話ししたコミュニケーションが土台にあるからです。
ーお互いを支え合う環境が整っているのでしょうか?
熊川:お互いの家庭状況や趣味など、日頃の会話を通じて理解し合えているんです。だからこそ、誰かが休むときも「お互いさま」という雰囲気でスムーズにフォローし合うことができます。
上司の役割は、バランスよく職員に休暇取得の促しや状況確認のための声をかけ、気兼ねなく休める空気を作ることだと思っています。

未来の仲間へ:浦安の「次のステージ」を共に
ー最後に、これから浦安市を志す方々へメッセージをお願いします。
熊川:浦安市はいま、埋立地におけるまちづくりが一段落し、まちを維持・更新していく「成熟期」にあります。これは、次の新しいまちづくりのステージが始まる、非常にエキサイティングな時期だということです。
これからの浦安をどう描くか。それは、皆さんの力にかかっていますので、新しい視点を持って飛び込んできてほしいですね。
皆さんがそれぞれの個性を発揮し、浦安に新しい価値を生み出してくれることを期待しています。
ー市民として、職員としてずっと浦安市を見てきたからこそ、これからの発展も気になりそうですね。
熊川:そのとおりです。一人の市民としても、皆さんが創っていくこれからの浦安をとても楽しみにしています。
皆さんの挑戦を、私たちは全力でサポートします。ぜひ、一緒に浦安の未来を切り拓きましょう!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年4月取材)



