●これまでの経歴を教えてください。
短大を卒業後、8年ほど市内の民間の保育園で働きました。その後保育士以外の業務もやってみたいと思い、別の市役所で母子手帳交付などの相談窓口を担当しました。ですがやっぱり地元で保育士として働きたかったので、茅ヶ崎市の公立保育園で任期付職員を約1年間経験し、正規職員となりました。正規としては、2019年に入庁したので、現在5年目です。
●保育士を志したきっかけを教えてください。
保育士を志したのは、小学校1年生のときでした。当時社宅に住んでいたので、社宅の子どもたちが外から大きな声で、「あーそーぼー!」と私のことを呼んでくれて、一緒に遊んでいました。子どもたちのお母さんも「ゆうきちゃんには安心して預けられるよ」と言ってくれていましたね。私も子どもでしたが、その当時から漠然と小さい子と遊ぶのが好きだな、将来は保育士になりたいなと思うようになりました。
そのため近所の保育園に電話して、遊びに行かせてもらったり、ボランティアにもよく行っていました。高校生になってからもボランティアは続けていましたね。
●民間の保育園に就職した経緯を教えてください。
地元の茅ヶ崎市で働きたいという思いが大きくありました。また私は海が好きなので、海側の保育園がいいなと思っていたところ、友人に誘われたことや、海にお散歩に行きたいということ、また園の方針なども気に入り、就職しました。
母からは公立の保育園のほうがいいんじゃない?と言われましたが、当時は公立の保育園は考えていませんでした。
●なぜ再び保育士を目指しましたか。
民間の保育園を退職後、他の市役所で受付・相談窓口業務を務めました。子どもに関する部署だったので、子どもたちが保育園に入る前の話や待機児童の話などに直接触れる業務を経験しながら、四季がある保育士の仕事が恋しくなり、また保育士として働きたいと思うようになり、茅ヶ崎市の保育士を受験しました。
●転職の際に民間の保育園や幼稚園は考えましたか。
以前の民間保育園で務めていた際は、同世代の保育士が多く、楽しさもありながら保育以外の悩みも多くありました。いざ転職を考えた時に短大の実習のことを思い出し、公立の保育園では、先生の年齢も幅広く、ベテランの先生がたくさんいたので、色々な世代の先生から改めて保育を学びたい、習いたいと考え、地元の茅ヶ崎市を受験しました。
●業務内容や勤務体制(シフト)を教えてください。
7時に開園し、19時に閉園するので、7時~19時の間で、早番・普通番・遅番のシフト制で勤務しています。
月~土曜日の1日の流れとしては、11時30分頃まで活動時間で、それからお昼ごはんを食べ始め、14時30分頃までお昼寝時間です。起きたらおやつを食べて、お友達と過ごしながら、お迎えの時間を待ちます。
日曜日の休日保育も行っていまして、市内の保育園(民間含む)に通っている子どもたちが休日保育を利用しています。
休日保育は6園の保育士が順番で当番制となっていて、バランスよくシフトが組まれています。頻度としては、年に2~3回当番が回ってきます。休日保育のシフトは、年度当初には予定が出ているので予め把握することができますね。
休日保育は、違う保育園の子どもたちも来るので、関係性がない中で保育をすることに最初は不安を抱いていましたが、子どもたちのほうが柔軟で、投げかけたら返ってくるのが嬉しいですね。また子どもたちから違う園の話を聞くことができるので、「そんなことやってるんだ!」と新たな発見にもなります。
●公立保育園の魅力を教えてください。
公立の保育園は先生の異動があるので、色々な先生と出会えることが魅力だと思います。
1つ前の園では、保育も大切にしながら事務などを効率よくできる先生がいたので、こっそり見て学んだり、直接聞くなどして、保育しながらも効率よく保育事務を進めていくことを勉強しました。
その先生が異動してしまい、別々の園になるのは寂しさもありますが、また次の異動で巡り合うかもしれないというのも、それはそれで働く新鮮さ、楽しみの一つかもしれないですね。
●働いていてよかったと思うエピソードはありますか。
地元で働きすぎてどこの子どもかすぐにわかることですかね。お店でバッタリ会ってしまうこともよくあります(笑)「せんせーい!」と手を振ってくれるのですが、周りの人に見られてしまうので、もちろん嬉しいですが、少しだけ恥ずかしいです。ですがこういったことも地元ならではだと思っていて、中学生になった子にもバッタリ会えたり、最初の年に見た子たちは高校生になっているので、何気ないところで成長を感じられるのはやはり嬉しいですね。ベテランの先生になってくると、「子どもを産んだよ」と見せに来てくれる元園児もいるので、「この間まであんなに小さかったのに!」と休憩室で話題になっています。私もいずれそのようになるのかなと思うと、とても楽しみです。
保育の観点で言うと、主体性の保育になっていきました。今までは「あれやってね。これやってね」と声かけをしながら全員を見ていましたが、最近では、「もうすぐご飯だけどどうする?」といった投げかけをして、子どもの声を聴いています。どうやったら遊びに膨らんでいくかを一緒に考えるようになり、それがすごく楽しいです。
子どもたちにヒットしない場合もありますが、投げかけにどうスパイスを効かせたら発展するかなといったことを常に考えています。子どもたちの発見にも驚きますし、仕掛けたことがうまく子どもたちにハマると嬉しいです。
またコロナ禍の保育は大変でした。給食の時は飛沫が飛ぶからと静かに食べたり、いろいろな制限がある中、今までできていたことができないのはさみしい。何かしてあげたい、と先生たちでたくさん話し合いをしました。その中で、育てたトウモロコシでポップコーンを作って、ただ食べるのではなく、映画鑑賞を企画しました。保育室を真っ暗にして、みんなで育てたポップコーンを食べる姿は映画館さながらで面白かったです。
今まで以上にコロナの中でどうやって保育するか、できない中で子ども達が喜ぶことは何かをみんなで話し合うのは大変でしたが、その分やりがいもあり、楽しかったです。
他にも先生たちで話し合い、小麦粉を使った空気砲の実験を閉園後の園庭で練習し、本番、子どもたちの前で行うと大喜びでした。その後、子どもたちが小麦粉の他にも砂などを使い、大人の真似を工夫しながら実験しようとする姿を見て、やってよかったなと思いました。
コロナ前は年間行事を通年同じような内容で楽しんでいましたが、コロナの制限がある中で何ができるのか、ギリギリまで考えて答えを出していったことで、先生同士のつながりや絆は強くなったと感じています。
当時一緒に働いていた先生とは、「あの時は大変だったけど楽しかったね」と言い合える関係です。保育士人生の中で一番色々なことを考えたので、もちろん大変でしたが、とてもやりがいもありました。
普段の生活では、「お散歩に行きたい」「虫探しをしたい」「保育園の中で遊びたい」など子どもたちの想いにそった保育ができるように、先生たちと声を掛け合っています。
●鶴が台保育園の特徴を教えてください。
団地の中にあるので、商店街をぐるっと歩いてみたり、団地の中にある広い公園で遊んだり、相模線を見に行ったりなどしています。
中でも鶴が台保育園ならではだと思うのが、早番で出勤すると、6時30分にラジオ体操が始まっていて、私の幼少期に戻った感じがします(笑)。
また近所におじいちゃんおばあちゃんが多いのもとても良いことというか、ありがたいことだと思います。お散歩の際、すれ違うと声をかけてくれたり、笑顔で見守ってくれる方が多いので、ありがたい環境だなと思います。
その他にも、園庭開放のときに園児ではない子どもと一緒に遊ぶことがあったり、公立六園にはそれぞれの地域性や園の特徴があり、面白いですね。
●どのような休日を過ごしていますか。
オンとオフはしっかり切り替えることを意識しています。土日のどちらかはお出かけし、どちらかはのんびりするといった過ごし方です。またアクティブなことが好きなので、色々なスポーツを経験しました。冬はスノーボードに行くことが多く、新潟や長野へスノーボードをしに行っていました。
犬の散歩に行くことが趣味で、柳島の海岸で走り回るなど、湘南ライフを充実させています。
●転職活動はどうでしたか。
保育士しか職歴がないので、別の道に行くという転職はとても不安でした。
相談窓口業務の経験は、保育園に預けたいというお母さんたちの悩みを直接聞いたり、目の当たりにしたことは、保育士時代にはできない体験でした。
だからこそ保育士に戻ってきて、保育士のやりがいをとても感じており、転職してよかったなと思います。
●茅ヶ崎の採用試験はどうでしたか。
すごく緊張しました。ですが、人柄で取るんだろうなというのも感じました。面接では、「茅ヶ崎で働きたい!」という思いを伝えましたね。合格が出た後、市役所のエレベーターで部長(らしき方)と一緒になり、「どこの高校?」「俺と一緒だ!」「あいつも一緒だよ!」といった地元トークが繰り広げられたことはとても印象に残っています。
●受験を考えている人に一言お願いします。
人と接するのが好きな人は向いていると思いますし、柔軟な考えを持っている人や色々な物事に適応できる人はぜひ受けていただきたいです。長く働くと、どうしても考えが凝り固まってしまうので、新しい人の考えで気づけることも多くあると思います。
面接では、自分の趣味ややりたいことなど自分の人柄を伝えることが大事かなと思います。頑張ってください!