広島県府中町役場 税務課で働く先矢さんのインタビュー記事です。大学で教職課程を学びながらも、別の形で社会に貢献したいと公務員の道へ。未経験で配属された税務課での仕事のやりがいや、係全体で新人を育てる温かい職場の雰囲気、そして職員だからこそ感じる府中町の魅力について、詳しくお話を伺いました。
- 「活気のある街」というイメージが決め手に。府中町を選んだ理由
- 緊張をほぐしてくれた職員の一言。温かさを感じた採用試験
- 税務課の意外な一面。「住民ファースト」を貫く仕事の奥深さ
- OJTが中心。係全体で新人を育てる温かい職場環境
- 「頼れる先輩になりたい」。明確になった将来の目標
- 暮らしやすさの秘密は「人の温かさ」。職員が語る府中町の本当の魅力
「活気のある街」というイメージが決め手に。府中町を選んだ理由
ーこれまでのご経歴を含めて自己紹介をお願いします。
先矢:大学の教育学部を卒業後、2年アルバイトとして塾講師と、小学校のスクールサポートスタッフを行い、令和7年4月に府中町役場に入庁しました。
もともと教師志望ではありましたが、教育の現場での実習もしたうえで、学校の先生という形ではなく、もっと広い視点で教育や地域に関われる仕事がしたいと思い、役所での職員という道を考えるようになりました。
社会人2年目になる頃に本格的に公務員試験の勉強を行い、府中町役場への就職を決めました。
ー府中町役場を受けようと思ったのはなぜですか?
先矢:地元ではないのですが、大きなショッピングモールがありよく行きますし、自動車メーカーの本社があるなど、すごく活気があるイメージでした。それに、子育て支援が充実しているという評判も高く、そういうところで働けたらきっと楽しいだろうなと思っていました。
緊張をほぐしてくれた職員の一言。温かさを感じた採用試験
ー府中町の採用試験は、いかがでしたか?
先矢:一次の筆記試験は教養科目だけなので、受けやすかったです。二次試験は、私の場合は作文、集団討論、個人面接でした。
面接の雰囲気は非常に良かったです。緊張して何も話せなくなるような雰囲気ではなく、リラックスして話せるように配慮してくれているのを感じました。他の自治体の試験も受けましたが、府中町は特に温かい雰囲気だったなという印象が残っています。
ー具体的に、どのような場面でそう感じましたか?
先矢:受験者が多い自治体だと、職員の方と話す機会はほとんどありません。でも、府中町の時は、面接室まで案内してくださった職員の方が「頑張ってね」と声をかけてくださって。その一言でスッと肩の力が抜けました。そういう細やかな気遣いに、人の温かさを感じましたね。
税務課の意外な一面。「住民ファースト」を貫く仕事の奥深さ
ー入庁後、現在はどのようなお仕事をされていますか?
先矢:税務課の固定資産税係に所属していて、土地に関する固定資産税や都市計画税の課税が主な業務です。その他に固定資産の証明書発行や、登記内容の入力などを行っています。
税に関する職務経験は0だったので、仕事を通して勉強している最中です。
ー実際に税務課で働いてみて、入庁前に抱いていたイメージとのギャップはありましたか?
先矢:すごくありました。配属が決まった時、「税務課」と聞いて、お金に関わる部署だからすごく厳しいイメージがあったんです。税金は公平に課税しなければならないので、特別扱いはできません。だから、もっと機械的で、冷たい印象の仕事なのかな、と。
しかし、業務の中で、常に町民の方の負担を少しでも軽くできるように、町民ファーストで動いていることを知りました。もちろん法律や条例の範囲内ですが。
制度としても、3年ごとの評価替えで急激に税額が上がらないよう段階的に税額を上げていく調整を行ったり、逆に評価額が下がった場合は、評価替えの年を待たず翌年度に税額を下げたり、様々な負担調整措置があることを実際に働いてみて知りました。
ー今、お仕事で一番大変なことは何ですか?
先矢:法務局から来る登記の処理です。件数がとても多いのですが、まだ慣れていないので処理スピードが遅くて…。ただ、難しい作業ではないので、量が大変というだけです。残業が常態化しているわけでもなく、自分の処理スピードが上がれば、もっとスムーズに進められると思っています。
OJTが中心。係全体で新人を育てる温かい職場環境
ー入庁後の研修は、どのような流れで進むのでしょうか。
先矢:最初の2日間、新規採用職員全員で合同研修を受けました。府中町の概要や、公務員としての心構え、法律の基礎などを学びました。そして3日目から、各部署での実務がスタートするという流れです。その後、4月中に広島県内の市町合同の研修があり、10月にもまた研修が予定されています。
ー専門的な業務については、配属されてから学んでいく形ですか?
先矢:はい、OJTが基本です。最初は書類の場所から、窓口での応対の仕方まで、一つひとつ丁寧に教えていただきました。先輩が窓口で対応する様子に同席させてもらったり、逆に私が対応する時に隣についてもらったり。簡単な応対は1〜2週間で一人でやるようになりましたが、難しい案件は1か月くらい、先輩にサポートしてもらいながら進めていました。
ー教育担当の先輩が一人つく、というような制度があるのですか?
先矢:はい、隣の席の先輩が教育担当としてついてくださっています。でも、その方だけでなく、係の他の先輩方も皆さんすごく優しくて、質問すれば誰でも快く教えてくれます。なので、特定の誰かというよりは、係全体で新人を育ててくれているという感覚です。今でも不安な時は「すみません、隣にいてください」とお願いすると、快くついてきてくださるので、本当に心強いです。
ーそれは安心ですね。職場の雰囲気はいかがですか?
先矢:とても明るいと思います。特に私の係は、適度に雑談もあって、和気あいあいとした雰囲気ですね。お昼休憩もみんなで話しながら取りますし、仕事に関係することで少し雑談が広がったりもするので、風通しが良くて働きやすいです。
ー上下関係が厳しい、といった雰囲気もありませんか?
先矢:ないですね。もちろん立場としてわきまえなければいけない部分はありますが、何かを強制されるようなことは一切ありません。とても良い雰囲気で仕事ができています。
「頼れる先輩になりたい」。明確になった将来の目標
ーワークライフバランスについてはいかがですか?残業はあまりないとのことでしたが。
先矢:そうですね。まだ繁忙期ではないということもありますが、ほとんど定時で帰れていますし、休日出勤もほぼありません。他の職員の方々を見ても、定時になると色々な年代の方が庁舎から出ていくので、部署による差はあれど、全体として定時退庁は多いのではないかと思います。
ー今後、どのような職員になっていきたいですか?目標があれば教えてください。
先矢:今はまだ、目の前のことで精一杯なのですが…将来的には、もし後輩ができた時に、何でも安心して相談してもらえるような「頼れる先輩」になりたいです。
私の先輩方は、どんな質問をしてもすぐに答えてくれますし、もし分からないことがあってもともに調べて教えてくれるんです。そういう頼れる存在になれるように、今のうちに色々なことを吸収しておきたいと思っています。
暮らしやすさの秘密は「人の温かさ」。職員が語る府中町の本当の魅力
ー最後になりますが、実際に入庁してみて、府中町はどのような街だと感じていますか?
先矢:入庁前は、商業や工業が盛んで活気があり、子育て支援が充実している街、というイメージでした。でも、実際に働いて暮らしてみると、それだけではない魅力に気づきました。
広島市の市街地に近い便利な立地でありながら、森林公園があったりと、自然もすごく豊かだなと感じます。これは、イメージしていなかった嬉しい発見でした。
職員としても、一人の住民としても、本当にいい街だなと感じています。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)