府中町役場の保険年金課で係長として働く川路さんのインタビュー記事です。情報、環境、子育て支援など多彩な分野を経験し、出向も体験した川路さん。
最も印象に残っているという子育て支援課での仕事のやりがいや、2か月の男性育休を取得して感じたこと、そして府中町役場の働きやすい雰囲気や住民と向き合う仕事の奥深さについて、たっぷりと語っていただきました。
5つの部署を経験
ーこれまでの経歴を教えていただけますでしょうか。
川路:平成22年頃に入庁、最初の配属は、情報関係の仕事をする部署で3年間勤務しました。その後、環境課へ異動し、騒音問題や動物愛護などを4年ほど担当しました。
次に、後期高齢者医療広域連合へ3年間出向しました。私は後期高齢者医療制度の直接の業務ではなく、そこで会計の仕事をしていました。役場に戻ってからは子育て支援課に3年半在籍し、主に保育所や認定こども園の補助金交付に関する業務に携わりました。
そして、2年弱前から現在の国民健康保険の係に係長として勤務しています。プライベートでは11年前に結婚し、5年前に第一子、2年前に第二子が生まれました。第一子の時には3週間、第二子の時には2ヶ月の育児休業を取得しました。
ーこれまでのキャリアで、特に印象に残っている仕事はなんですか?
川路:子育て支援課の仕事は、ハードで残業も非常に多かった一方で、仕事自体はとても楽しかったですね。子育て世帯の方々や小さなお子さん、さらに現場で働く保育士の方々と携わりますが、ちょうど私自身もプライベートで子どもができたタイミングだったので、仕事を通して学ぶことが非常に多かったです。
ー仕事と育児の両立は大変だったのではないですか?
川路:当時は今よりも部署の人数が少なく、ワークライフバランスを保つのは正直大変でした。しかし、当時の上司が、ご自身も子育て経験者ということもあり、子育てに対する理解が深く、非常に配慮してくださいました。
育児休業も取得できましたし、子どもの行事などがある際にも配慮してもらえたのは、本当にありがたかったです。同部署にかかわらず、府中町役場では、育児や介護などで何かあった際には上司に相談すれば、様々な配慮をしてもらえるという安心感がありますね。
多様な部署で培われれた「聞く力」
ー意外だったことや大変だと感じたことはありますか?
川路:さまざまな部署に所属した経験はありますが、住民対応はやはり大変です。さまざまなお考えの方がいる中で、調整を図る、交渉をする難しさを痛感しています。
ーその中で、どのように対応スキルを磨いてこられたのでしょうか。
川路:まずは、どのようなご意見であっても、相手の話をしっかりと聞くことが何よりも大切だと考えています。そこでその方の真意を見極めるようにしています。相手に合わせた対応方法を見出していくことが、どの部署でも共通して重要なスキルだと感じています。
「聞く力」は、入庁当初に比べて格段に身についたと思います。そして、相手に合わせた「切り返しのトーク」ができるようになったと感じます。これらの対話におけるスキルは、様々な住民対応を経験する中で、大きく成長できた部分だと思います。
出向で得た新たな視点と、府中町役場の「真面目」な職場風土
ー府中町役場の働く雰囲気はどのように感じますか?
川路:私は1度出向した経験もあるので、そちらでの経験を比較すると、少しおとなしいかもしれません。ただ、職場全体の雰囲気は決して悪くないと思います。職員数も多いので色々な人がいますが、働きにくいと感じたことはありません。
府中町役場の職員の印象を一言で言うと、非常に真面目な人が多いという印象です。いい意味で、コツコツと仕事に取り組む人が多いですね。
ー職場では皆さん黙々と仕事をしているようなイメージでしょうか。
川路:窓口業務中は、お客様から見える場所で大きな声で雑談するようなことはありませんが、事務的な連絡はもちろん、雑談も普通にしますよ。ただ、基本的には皆、自分の業務に集中して黙々と取り組んでいる時間が多いかもしれません。
ー先輩・後輩といった上下関係はいかがでしょうか。
川路:非常に良好な関係が築けていると思います。私自身も、先輩方からとても丁寧に仕事を教えてもらいましたし、周りを見ても、新しく入った職員に対しては皆が丁寧に接している印象があります。
ー現在は係長というお立場ですが、後輩と接する上で心がけていることはありますか?
川路:自分が先輩にしてもらって嬉しかったことは、同じように後輩にもしてあげたいと思っています。相手が嫌な気持ちにならないような伝え方を心がけていますし、人には誰しも仕事の得意・不得意があるので、その人の得意な部分を伸ばし、苦手な部分はうまくカバーできるような環境づくりを意識しています。
2ヶ月の男性育休を取得。変化する職場のワークライフバランス
ーワークライフバランスについてお伺いします。第一子で3週間、第二子で2ヶ月の育休を取得されたとのことですが、府中町役場では男性の育休取得は進んでいますか?
川路:ここ数年で、男性の育休取得者はかなり増えたという印象です。10年ほど前は、取得している人をほとんど見かけませんでしたが、最近では子どもが生まれた男性職員の半分以上は取得しているのではないでしょうか。
私の周りでは、ほぼ全員が取得しています。徐々にではありますが、男性が育休を取る文化が定着しつつあると感じます。
ー川路さんが取得された5年前や2年前と比べて、雰囲気は変わってきていますか?
川路:変わってきていると思います。私が5年前に取得した頃は、取得する職員がほとんどおらず、私の3週間の取得も、当時にしては長い方だったと思います。ただ、実際に取得してみると、有意義だったからこそもっと長く取りたかったというのが実感でした。
そこで、第二子の時にはもっと長く取ろうと決めていました。当時は非常に忙しい子育て支援課にいたので、本当は1年くらい取得したかったのですが、それでも職場と調整し、当時としては長期間である2ヶ月の育休を取得させてもらいました。
ー2ヶ月の育休はいかがでしたか?
川路:本当に良かったです。特に夜泣きがひどい時期に、妻と二人で協力して乗り越えられたのは大きかったですね。一人で対応するのとは心身の負担が全く違います。おかげで、しっかりと子育てに向き合うことができたと思います。

ー育休取得にあたって、どのような準備をされましたか?
川路:生まれる数ヶ月前には相談していたと思います。特に私は一人で担当している業務があったため、引き継ぎを、計画的に進めていました。
ー育休取得に対する、周りの職員の方々の反応はいかがでしたか?
川路:非常に好意的に受け止めてもらえたと感じています。嫌な顔一つせず、「じゃあ、こうしよう」と積極的に協力体制を話し合うことができました。
ーこれから入庁される後輩職員にも、ぜひ育休を取得してほしいと思われますか?
川路:そうですね。せっかく取得するなら、数ヶ月、あるいは半年や1年といった単位でしっかり取得していただきたいです。もし後輩が長期で取得したいと相談してくれたら、今度は私が全力でフォローする番だと思っています。
ーリモートワークの制度も活用されているそうですね。
川路:はい、年に数回程度ですが利用しています。府中町でもコロナ禍をきっかけにリモートワーク制度が導入されました。私は自宅から役場まで少し距離があるので、通勤時間がなくなるのは非常に助かります。子育て支援課にいた時から、継続して利用しています。
まだまだ庁全体では使用率がそこまで高くないので、今後には期待したいですね。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)