「街を創り、未来を繋ぐ」—その使命を胸に、日々奮闘する三人の職員。民間企業からの転職者、幼い頃に暮らした街へのUターン、そして幼い頃からの夢を叶えた新卒入庁者。異なるキャリアを歩んできた彼らには、共通して抱く街への想いと、仕事への熱い誇りがありました。
今回は、福岡県春日市都市整備部に所属する小西さん(一般事務職)、森川さん(土木技師)、山﨑さん(土木技師)の三名にお話を伺いました。
公務員という仕事の枠を超え、自らの手で街を創り、市民の生活を豊かにしていくやりがいとは何か。
そして、働きやすさの秘訣、職場の雰囲気、さらに彼らが立ち上げた自主研究グループ「技師会」の活動まで、春日市役所で働くリアルな魅力に迫ります。
春日市役所に入庁するまで
ーまず、皆様のこれまでのキャリアと、春日市役所に入庁されたきっかけをお聞かせいただけますでしょうか。
小西:私は大学を卒業して、2年間民間企業でトンネル工事の現場監督として働いた後、平成15年に春日市役所に入庁しました。
大学卒業時は、ちょうど就職氷河期で土木業界全体が厳しかった時期でした。働いて2年ほど経ち、現場で会う公務員の方々を見て、受注した仕事を精一杯こなすだけでなく、まちづくりの企画から完成まで一貫して携わることができる公務員に魅力を感じ、春日市役所に入庁しました。
森川:私は大学院を卒業後、春日市役所に入庁しました。
公務員を目指した理由は、土木関係の仕事の中でも、図面作成から工事管理まで、街づくりの全ての工程に携われる公務員の仕事に魅力を感じたからです。
大学時代から公務員志望で、設計会社や土木会社ではなく、公務員の道を選びました。当時は別の市が第一志望でしたが、残念ながら不合格となってしまい、その時に大学の友人が春日市役所の採用募集があることを教えてくれました。
実は、私自身も小学校時代に2年間ほど春日市に住んでいたことがあったんです。
他の市であれば受験していなかったかもしれませんが、かつて住んでいた街で働くという選択肢が目の前に現れ、「これも何かの縁だ」と受験を決意しました。
幸運にも採用をいただけたので、春日市で働くことを選びました。
山﨑:私は小さい頃から親に「公務員はいい仕事だ」と言われて育ち、小学校を卒業する頃には漠然と公務員になりたいと思っていました。
高校は技術系で、公務員試験にも強い学校でした。土木系の学科を選んだため、その流れで土木職の公務員を目指しました。
春日市を選んだのは、最初は「力試し」のようなきっかけでしたが、選考を受けていくうちに、春日市の住みやすさや職員と市民の距離の近さに魅力を感じ、本格的に春日市で働きたいと思うようになりました。

現在の業務と仕事のやりがい
ー皆様が現在担当されている業務内容と、その中で感じる仕事のやりがいについてお聞かせください。
小西:私は都市計画課の計画担当で、春日市の都市計画に携わっています。具体的には、春日市を一つの地図に見立て、駅前には商業施設、閑静なエリアには住宅地といったように、将来の街の姿を計画し、作り上げています。
この仕事のやりがいは、自分が計画したことがリアルに街に反映されていくという実感です。「まちづくりの計画を立てて、それが建物として具体化し、公共交通が整備され、市民が増えていく」というまちづくりの根幹の部分に関われるのは、行政の仕事ならではの魅力ですね。
他にも、コミュニティバスの運営事業や空き家対策、土地の活用方法など、多岐にわたる業務を担っています。

森川:私は道路管理課の道路建設担当として、道路の建設や拡幅工事を担当しています。道路管理課には、道路の維持補修、交通安全対策などを行う「道路管理担当」と、道路の建設・拡幅などを行う「道路建設担当」の2つがあり、私は後者です。
現在は主に都市計画道路の事業に携わっており、これは都市の街づくりに関わる重要な業務です。
例えば、新しい道路を作ったり、既存の道路を拡幅したりします。これらの事業は7年や10年といった長期スパンで、用地買収から工事まで一貫して担当します。現在担当しているのは、西鉄春日原駅の高架化に伴う駅周辺の道路整備工事です。
過去の自分たちが携わった工事を振り返り、それが街の風景として残っていることに大きなやりがいを感じます。
特に、以前は狭かった道が広がり、みんなが通りやすくなった、壊れていた側溝が新しくなって綺麗になったといった、市民の方々の生活に直結する変化を目の当たりにすると、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。

山﨑:私は用地課地籍調査担当で、春日市が所有する土地の境界管理を行っています。土地の売買の際には測量を行い、面積を確定しますが、その際に春日市が所有する土地と個人が所有する土地の境界線を明確にする役割を担っています。
また、土地一筆ごとの境界と面積を正しく測り直し、登記簿や地図を正確なものにするための国土調査事業も行っています。現地調査を行う期間は、週に3日は現場に出て土地所有者との立会いを行い、残りの日は立ち会いに関する報告書の作成や、土地所有者の方との日程調整、準備などの事務作業を行っています。
この仕事のやりがいは、事業に対して「ありがとう」といった感謝の言葉を直接いただけることにあります。
また、事業が完了すると、1枚の大きな地図が完成します。自分が1点1点立ち会って確認した境界線が図面に起こされるのを見ると、感動しますし、「やってよかったな」と強く感じます。
この地図は、将来的に災害が起きた際の対策にも活用されるため、市民の安全に貢献できるという点でも、やりがいを感じています。

働きやすい職場環境とワークライフバランス
ー春日市役所の職場の雰囲気や、ワークライフバランスの取りやすさについてお聞かせください。
小西:入庁して20年になりますが、市役所の働き方は大きく変わりました。女性管理職も増えましたし、男性も育休を取得することが当たり前といった雰囲気が作られています。今では、働く上で男女の差を感じることや、過度な負担を感じることもありません。
また、春日市は市長との距離が近く、気軽に話せる雰囲気があります。職員の声が直接トップに届きやすく、それが働きやすい環境にも繋がっていると感じています。
さらに、春日市は災害が非常に少ない地域です。先人たちの努力により、洪水や土砂災害に対する対策工事がしっかりと行われており、仮に発生したとしても初動体制は十分に整備されています。災害対応による業務負担が少ないことも、ワークライフバランスの良さに繋がっています。

森川:私も働きやすい環境だと感じています。今まで、仕事で大きなストレスを感じたことはありません。
部署や時期によって異なりますが、比較的定時で帰宅できる日が多く、趣味の時間も確保できています。工事の始まりや完了の時期は忙しいですが、それ以外の期間は比較的落ち着いており、メリハリをつけて働けています。

山﨑:私もワークライフバランスが非常に充実していると感じています。
特にプライベートの時間が充実しており、年休を取って好きな音楽ライブを観に県外へ行ったりと、趣味を満喫できています。残業もほとんどなく、毎日定時で帰宅できることが多いです。
土木技師の中では一番下の世代ですが、上の方々にも気軽に話せる雰囲気があり、分からないことがあればすぐに聞けるので、働きやすい環境です。
横の繋がりも強く、「技師会」という自主研究グループがあり、業務内容の共有や技術力向上に取り組んでいます。

ー「技師会」では、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
森川:私ともう一人の同期が、入庁した際に「他の課がどんな仕事をしているのか知りたい」という思いから、技師会を立ち上げました。
異動がない限り同じ仕事をする中で、もし異動になった時に、何をしていいか分からない、どんな仕事をしているか分からないという状況にならないように、みんなで情報共有しながら、異動した時にすぐ対応できるようにするためです。
異動しなくても、他の意見を聞くことで、今いる職場の見方が変わることもあります。
技師会は年に2回開催され、所属する様々な技師が、自分の業務内容を発表したり、災害派遣の報告を行ったりします。
例えば、私は平成28年の熊本地震の際に、約8ヶ月間派遣に行きましたが、その時の経験を共有することもあります。
メンバーは20数名で、主任までの職員が対象です。係長補佐にあたる「主査」になると、勉強会ではなく、実務にシフトするため、技師会は卒業する形になります。

山﨑:前回、私は地籍調査担当の業務内容について発表しました。技師会は、若手職員が人前で発表する貴重な機会であり、私自身の成長にも繋がっています。
また、技師会を通じて、横の繋がりが深まり、上の方々にも気軽に話せる雰囲気があります。分からないことがあればすぐに聞けるので、働きやすい環境です。
ちなみに、技師会の後には飲み会もよく開催されており、部署間の垣根を越えた交流も盛んです。

春日市の「ここがいい!」
ー最後に、春日市の「ここがいい!」という点を、ずばり一言でお願いします。
小西:春日市役所は、良いところしかなくて、どこが良いか聞かれても困るくらいです。マイナスな点が本当にないと感じています。逆に「なぜ春日市を受験しないのか?」と不思議に思うぐらいです(笑)。
自分の意見をしっかり受け止めてくれる上司もいて、ワークライフバランスも整っていて。本当に素晴らしい職場です。
森川:春日市役所は、「災害の少なさ」が一番の魅力だと思います。
春日市は、もともと地形の特徴から大きな災害が起きにくい場所ですが、それに加えて雨水排水の整備をしっかり進めてきたことで、大雨の際でも災害対応にかかる時間がずいぶんと減ってきています。
こうした取り組みのおかげで、市民の皆さんが安心して暮らせる環境が少しずつ整ってきていますし、市職員にとっても、ワークライフバランスが非常に取りやすいと感じています。
山﨑:市域が狭い(4km×4km)という点も、春日市の働きやすさの大きなメリットだと感じています。
移動にかかる時間が少ないので、災害や問題が発生したとしても、市役所からすぐに現場へ駆けつけ、迅速に対応することができます。
本来時間をかけたい業務に時間を割くことができ、効率よく仕事をすることができています。


ー本日はありがとうございました。
小西さん、森川さん、山﨑さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
キャリアも年齢も異なるお三方ですが、皆さんが口を揃えておっしゃる「春日市は良いところしかない」という言葉に、深い誇りと愛着を感じました。災害の少なさといった立地条件に加え、市長と職員の距離が近く、意見が通りやすい風通しの良い職場環境は、まさに「理想の職場」と言えるのではないでしょうか。
特に「技師会」のお話からは、皆さんの仕事に対する前向きな姿勢と、互いを高め合う温かい絆が伝わってきました。
皆さんの手で創られていく春日市の未来が、本当に楽しみです。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年9月取材)