「病気になる前に、生活を整える手助けがしたい」。
そんな想いを抱き、病院や他自治体での経験を経て春日市に入庁した2人の保健師、國嵜さんと増本さん。市民から深く愛されるこの街で、彼女たちはどのように悩み、どのような喜びに触れているのでしょうか。
母子保健から発達支援まで、一人ひとりの人生に寄り添い、自らサービスを構築していく「春日市ならでは」の仕事の醍醐味と、温かな職場の舞台裏を伺いました。
- 保健師という「一生の仕事」を選んだ理由
- 直感と確信、私たちが「春日市」に惹かれたわけ
- 妊娠期から15歳まで、切れ目のない支援の最前線
- 事務業務も「市民サービス」を支える大切な一歩
- アイデアを形にできる街で、共に歩む仲間へ
保健師という「一生の仕事」を選んだ理由
ーまずは、お二人が保健師を目指されたきっかけを教えてください。
國嵜:私は大学3年生の時の地域保健実習が大きな転機でした。病院は、多くの患者さんが何かしら体の不調があって、患者さんから来院する場所だと思います。
でも保健師は、リスクアセスメントをして、必要な人を自ら見つけ出し、予防的に介入していく。その【「待つ」のではなく、こちらからアクションを起こす】という能動的な働き方に、看護師とは違う面白さと可能性を感じたんです。
増本:私も同じく大学時代の病院実習です。受け持った患者さんが、障がいのあるお子さんのケアを優先するあまり、ご自身の治療を後回しにせざるを得ない状況にあることを知りました。
病気を治すことと同じくらい、その背景にある「生活そのもの」を整えることが重要だと痛感したんです。それができるのは保健師しかいないと思い、この道を選びました。
ー國嵜さんは、最初は病院で看護師として働かれていたんですよね。
國嵜:はい。大学で保健師に惹かれつつも、「まずは臨床の知識がないと、保護者の方に適切な指導やアドバイスができない」と考えました。
そこで、最も地域に近い存在である総合病院の小児科で5年間勤務し、疾患の基礎や親御さんのリアルな悩みを肌で感じて、満を持して春日市に入庁しました。
増本:私は卒業後、1年間は別の自治体で会計年度任用職員として保健師をしていました。そこで母子保健の現場を経験し、もっと深く、長く市民の方と関わりたいという思いが強くなり、2年目から正規職員として春日市に入庁しました。

直感と確信、私たちが「春日市」に惹かれたわけ
ー数ある自治体の中で、なぜ「春日市」だったのでしょうか?
國嵜:実は、看護師時代に春日市の「少年の船」という団体のイベントに救護員として派遣されたことがあったんです。そこで目にした光景が春日市に入庁したいと思うきっかけになりました。
参加している子どもたちはもちろん、ボランティアスタッフの大人たちまでが、本当に春日市のことが大好きなんです。「自分たちが街に支えてもらった分、次は子どもたちに還元したい」と熱く語る方々に囲まれて、「こんなに市民から愛されている街なら、絶対にやりがいがあるはずだ」と確信しました。
増本:大学の授業で保健師さんにインタビューする機会があり、春日市のホームページを眺めていた時に「あ、ここがいいな」と不思議な直感が働きました(笑)。
実際にお話を伺ってみると、LINEやスマホを積極的に導入して若い世代が相談しやすい環境を整えていたり、母子保健に注力していたりと、先進的で柔軟な姿勢に感銘を受けたんです。自分もこの環境で力をつけたい、と強く思いました。
妊娠期から15歳まで、切れ目のない支援の最前線
ー現在の具体的な業務内容について教えてください。
増本:私は子育て支援課の母子保健担当に所属しており、妊娠がわかった方への母子健康手帳の交付から、赤ちゃん訪問、乳幼児健診の問診など、子育てのスタートを支えるのが役割です。
また、「マタニティクラス」、「パパママ教室」や「ふたごのつどい」といった教室の運営も行っています。特にふたごの親御さんは、外出もままならず孤立しやすいので、同じ悩みを持つ方同士の交流の場を設けることは、私たちの重要なミッションの一つです。

國嵜:私は子育て支援課の発達支援担当に所属しています。0歳から15歳までのお子さんの発達に関する相談や、療育(障害児通所支援)を受けるための面談が主な業務です。
春日市では保健・医療・福祉・教育を融合させた多角的な支援を掲げており、それぞれの専門職と連携しながら、お子さんがその子らしく成長していけるような道筋を保護者と一緒に考えています。

ーお仕事の中で、特にやりがいを感じるのはどんな時ですか?
國嵜:発達相談に来られる保護者の方は、最初は「うちの子、他の子と違うのかも」と、大きな不安を抱えて表情が硬い人もいます。
でも、面談を重ねて今の状況を整理し、必要なサポートを提案していくうちに、「子どものためなら、今できることからやってみます」と前向きな表情に変わっていかれる。その瞬間に立ち会えると、伴走できてよかったなと心から思います。
増本:教室や育児相談を通じて、お子さんの成長を保護者の方と一緒に喜ぶことができる。それが保健師としての大きな魅力だなと感じています。
また、パパママ教室で沐浴の練習をしたり妊婦体験ジャケットを着たりして、一生懸命に赤ちゃんを迎える準備をされている姿を見ると、私自身もすごく幸せで、微笑ましい気持ちになりますね。

事務業務も「市民サービス」を支える大切な一歩
ーイメージしていた仕事とのギャップはありましたか?
増本:正直に言うと、思っていた以上に事務作業が多いことですね(笑)。委託契約の締結や支払いなど、最初は戸惑うこともありました。
でも、こうした事務の一つひとつが、適正に市民サービスを運営するために不可欠な土台なんだと理解してからは、丁寧に向き合えるようになりました。
國嵜:私も同じです。特に私の部署は福岡県内では、実施している自治体が少ない事業内容もしているので、既存の業務をこなすだけでなく、「今後の方針をどうするか」「どのようなサービスを目指すのか」を自分たちで一から考え、構築していく場面が多いんです。
保健師としての専門性はもちろんですが、行政職員としての企画力や調整力も求められる、非常に奥深い仕事だと感じています。

ー難しさを感じる場面はありますか?
國嵜:支援のゴールをどこに置くか、何を目標とし介入していくか、ですね。単にサービスをたくさん提供すればいいわけではなく、最終的にそのご家庭が自立していけるよう、長期的な視点を持つことが必要です。
この「目標の見極め」は今でも修行中ですが、先輩方の知恵を借りながら一歩ずつスキルを上げていきたいです。
増本:生活の全てが見えるわけではないので、相談の場面での言葉の裏にある生活背景をどこまで「想像力」を持って補完できるか。寄り添い、思いを巡らせることの難しさを日々実感しています。

アイデアを形にできる街で、共に歩む仲間へ
ー春日市役所の保健師チームは、どんな雰囲気ですか?
増本:めちゃくちゃアットホームです!仕事で悩んだ時は一人で抱え込まずに済みますし、誰かが困っていれば自然と助け合う空気が流れています。
プライベートでも一緒に食事に行ったり、家にお邪魔したりするくらい仲が良いんですよ。
國嵜:そうですね。専門職が多い職場ですが、みんなざっくばらんに意見を出し合えます。上司にもすぐに相談できる環境なので、変なプレッシャーを感じずに仕事に集中できています。

ー最後に、これから春日市の保健師を目指す方へメッセージをお願いします。
國嵜:春日市は、自分の考えやアイデアを具現化できる街です。「もっとこうすれば市民のためになるのに」という思いを形にしたい方には、最高のフィールドだと思います。主体的に動きたい方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
増本:仕事の大変さはどこに行ってもあると思いますが、それを乗り越えられるかどうかは「人間関係」次第だと私は思っています。
春日市には、新人を温かく迎え入れ、支えてくれる仲間がいます。正規職員の保健師だけで定期的に開催される会があるなど、専門職としての横の繋がりを大切にしているのも自慢ですので、安心して飛び込んできてください!

ー本日はありがとうございました。
インタビュー中、お二人が見せてくれた優しい笑顔と、時折見せる「プロの眼差し」がとても印象的でした。
病院での臨床経験、他自治体での学び。それぞれのバックボーンを大切にしながら、春日市というフィールドで自分の役割を見出し、活き活きと語る姿には、同じ保健師を目指す方にとって大きな勇気を与えるものだと感じます。
市民から愛される街を、自分たちの手でもっと愛される街にしていく。そんな温かな熱量に満ちた春日市役所で、あなたも新しい一歩を踏み出してみませんか。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)



