「自分が手がけている技術や仕事は、一体誰の役に立っているのだろうか」—。新卒で入社したメーカーで、産業用クレーンの設計業務に従事していた長田さん。「設計」という高度な技術を扱いながらも、エンドユーザーの生の表情が見えにくい環境の中で、ふとそんな葛藤を抱くようになりました。長田さんが求めたのは、身近な人を直接支え、目に見える距離感で感謝される達成感でした。現在は未来戦略部企画課で庁舎内のデジタルインフラを支える長田さん。理系出身の視点と民間での経験を武器に、市役所のバックオフィスで躍動する情熱と、仕事に対する想いについて伺いました。
- メーカーからの転身!身近な人を支えたい想いと地元への愛着
- 「公務員は堅い?」入庁して感じたギャップとチームで責任を担う組織の強み
- 財政課から企画課への異動!「まるで転職」だけど活かされる経験
- ワークライフバランスも人間関係も。働きやすいと思える環境
- 理系思考と社会人経験を武器に。間接的に支える地域貢献
メーカーからの転身!身近な人を支えたい想いと地元への愛着
ーまずは長田さんの現在の所属と、担当されている業務内容について教えていただけますか?
長田:よろしくお願いいたします。私は令和6年度に入庁し、現在は未来戦略部企画課という部署で情報担当として働いています。
業務内容としては、主に庁舎内で職員が使用しているパソコンの管理や、各種システムの維持管理、保守作業などをメインに担当しています。職員の皆さんが滞りなく日々の業務を進められるように、庁内のデジタル環境全般を支えるのが私の役割です。
ー情報担当と聞くと専門知識が必要なイメージですが、以前からデジタル関係には強かったのでしょうか?
長田:いえ、実は全くそんなことはありませんでした(笑)
前職で電気設計やプログラム作成の業務に携わっていたのですが、それは一般的なパソコンやネットワークのプログラミングとは全く異なるものでした。専用の産業機械用コンピューターを動かすための設計でしたので、現在のパソコン管理やシステム運用に関しては、ほぼゼロからのスタートに近い状態だったのです。

ーそうだったのですね。では、長田さんの入庁までの経歴について教えていただけますか?
長田:私は中央市合併前の元豊富地区の出身で、大学進学のタイミングで埼玉の大学に通っていました。理系分野で学んでいたこともあり、大学時代の就職活動では公務員という選択肢は全く頭にありませんでした。
当時、民間のメーカーは比較的内定をもらえる時期が早かったということもあり、「早めに就職活動を終わらせて大学生活を締めくくりたい」という思いから、メーカーを中心に選考を受けていました。
また、県内の就職にこだわっていたわけではないのですが、山梨県には理系大学生限定の奨学金返済補助制度があり、県内のメーカーに就職して一定期間働けば奨学金の返済を支援してもらえる仕組みがあったことから、山梨県内のメーカーへ就職することとしました。
ー前職では、具体的にどのようなお仕事をされていたのですか?
長田:主に工場の天井などに取り付けられている産業用クレーンの設計を担当していました。メーカーが作る標準的な製品をそのまま納品するのではなく、お客様の工場の広さやニーズに合わせたオーダーメイド品の設計や、動作のためのプログラミングをしていました。
ー専門的な技術職として活躍されていたのですね。そこからなぜ転職を考えられたのでしょうか?
長田:前の仕事にもやりがいはあったのですが、お客様の要望に合わせて製品を作って納品しても、実際に使っているエンドユーザーからの直接的な反応や「ありがとう」という感謝の言葉をいただく機会というのはほとんどありませんでした。
一方で、工場内で特殊な製品を作る際、現場の作業員さんに図面の見方や回路の構造を教える機会があり、身近な人から直接「ありがとう」と感謝された時に、自分の中で達成感を得られることに気づいたのです。
そこから、「身近な人を直接支える仕事がしたい」と強く考えるようになり、市民や地域に密着して働ける市役所の仕事に興味を持つようになりました。
ー自治体の中でも、中央市を選ばれたのはやはり「地元」だからでしょうか?
長田:そうですね。地元であるという理由が一番です。
学生時代の同級生たちと連絡を取る中で、進学や就職をきっかけに大半が中央市から外へ出ていってしまっていることに気づきました。地元からどんどん人が出て行ってしまうのは寂しいな、と感じていたこともあり、自分は中央市に残って地元のために働きたいと思ったんです。

「公務員は堅い?」入庁して感じたギャップとチームで責任を担う組織の強み
ー入庁する前に抱いていた市役所や公務員のイメージと実際で、何かギャップみたいなものはありましたか?
長田:皆さんも同じかもしれませんが、入庁前は「公務員はルールが決まっていて、職場全体が硬い雰囲気なのだろうな」というイメージを勝手に持っていました。ですが、実際に中央市役所に入ってみると、仕事に対して「真面目」に取り組まれているのはもちろんですが、親しみやすくて話しかけやすい方が本当に多かったですね。当初抱いていた堅苦しいイメージとは良い意味でギャップがありました。
ー民間の頃と比べると、仕事の進め方などに違いは感じましたか?
長田:一番感じたのは、決裁に関わる人数の多さですね。前職では、担当者と課長の承認があればすぐに案件を進めることができました。しかし市役所では、多くの関係部署や上司が印鑑を押し、確認を重ねて決裁を行っていきます。
最初は「ずいぶん慎重だな」と感じることもありましたが、これは組織全体で責任を持って仕事を進めているということなのだと理解できるようになりました。担当者一人だけに責任を押し付けるのではなく、チーム全体で責任を背負う姿勢は、役所ならではの良さだと感じています。

財政課から企画課への異動!「まるで転職」だけど活かされる経験
ー入庁からこれまで、長田さんはどのような業務を経験されたのでしょうか?
長田:入庁1年目は総務部財政課に配属され、今年度から現在の企画課へ異動となりました。率直に言って、本当に転職したのかと思うくらいの変化でした(笑)
まったく異なる分野の業務になるので、結局は一から仕事を覚え直すことになります。異動してまだ4ヶ月ほどですので、毎日新しいことを必死に学びながら業務をこなしている状態です。
ーまさに転職のような変化ですね。全く異なる分野ですが、財政課での経験が活きる部分もあるのでしょうか?
長田:とても活きていると思っています。財政課にいたことで、市全体のお金の流れや、どの部署がどんな事業に力を入れているのかという全体像を理解することができました。
特に現在は自治体DXの推進が注目されており、各部署でデジタル化を進めたいという風潮があります。財政課時代に耳に入っていた各部署の取り組みや予算の流れが頭にあるため、現在の企画課でシステムの相談を受けた際にも背景が理解しやすく、とても役に立っています。
ー異動の中でも経験は繋がってくるのですね。前職のメーカーでの経験が活かされていると感じる瞬間もありますか?
長田:これはメーカーというよりも社会人としてですが、社内での調整作業や、人に説明する力はそのまま活かされていると思います。前職では顧客や社内の製造スタッフへ仕様を説明したり調整したりする機会が多くありました。市役所に入ってからも、庁内の他の部署の職員へシステムの運用方法を説明したり、会議で意見を擦り合わせたりする機会が頻繁にあります。
相手に伝わりやすいように説明し、間に入って調整するスキルは、どの部署に行っても変わらず活かせる自分の強みになっています。
ワークライフバランスも人間関係も。働きやすいと思える環境
ー転職後のワークライフバランスの変化についてはいかがですか?
長田:前職もとても働きやすい環境だったのですが、現在の方が残業時間は少なくなりましたね。年間休日数自体は前職と大きく変わらないのですが、カレンダー通りに休めることは大きな変化かもしれないです。メーカー時代は原則として祝日は出勤して、別のタイミングでまとめて休むような形だったのですが、現在はほぼカレンダー通りの休みとなります。
他の仕事をしている友人や家族と休みのスケジュールを合わせやすくなり、休日の計画が立てやすくなりました。
ー職場の人間関係や働く雰囲気についてはどのように感じられていますか?
長田:どの部署もチームで仕事を進める意識が強く、非常に相談しやすい雰囲気です。一定の期間で異動があるからこそ、上司も部下がどんな仕事をしているのかを常に気にかけて把握しようとしてくれているのだと感じます。
困ったことがあればすぐに相談できる環境が整っているので、職場の人間関係は非常に良好です。
理系思考と社会人経験を武器に。間接的に支える地域貢献
ー財政課も企画課もバックオフィス系ですが、長田さんはどのような点に一番のやりがいを感じていますか?
長田:確かに現在の仕事は市民の方と直接対面する機会は少ないです。ですが、庁舎で働いている職員の皆さんをバックオフィスから支えることで、間接的に市民そして地域の役に立っているという実感があります。
職員が快適に働ける環境を作ることが、巡り巡って市民への手厚い行政サービスにつながっていくので、そこには達成感とやりがいを感じることができます。
ー最後に、中央市を検討している方や、転職を考えている方に向けてメッセージをお願いいたします!
長田:市役所の仕事は、身近な人を支えることができる本当にやりがいの大きい仕事です。直接市民の方と接する部署でなくても、バックオフィスの仕事も含めてすべての業務が巡り巡って市民や地域の助けになっています。
また、私自身は理系出身ですが、理系で培った「数字に対する強さ」や「数字を見慣れていること」は、市役所のどの部署に行っても絶対に役立つスキルだと実感しています。畑違いの転職になるかもしれないと不安に思う必要は全くありません。もし興味があればぜひ自信を持ってチャレンジしてみてください!

ー本日はありがとうございました。
「自分が教えたことで、現場の人が喜んでくれた」—。インタビュー中、長田さんが前職の記憶を振り返りながら語ってくれたその言葉に、長田さんが仕事に求める温かな原点を見た気がしました。技術開発の第一線から、地元の市役所という「支え」の場所へ。理系出身の冷静なロジックと、地元を愛する情熱を胸に秘め、今日も庁舎のパソコンに向かう長田さんの背中は、まさに中央市を足元から支える頼もしい存在です。「巡り巡って誰かのためになる」という言葉には、市役所で働くやりがいが凝縮されているのではないでしょうか。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)



