「完成した道路や水路を後で見に行って、住民の方が使っているのを見ると、やってよかったなと思えます」
そう笑顔で語るのは、南箕輪村役場 建設水道課管理係で働く入庁4年目の海沼さん。傷んだ道路や水路を補修しながら、村のインフラを守る毎日を過ごしている。
同じ令和5年4月に入庁した同期の堀越さんが担うのは、財務課財政係での予算編成とふるさと納税の事務。緊張感のある査定の場でサポートを務めながら、村の財源を支えている。
長野県南箕輪村。人口約1万6,000人、今もなお人口が増え続けるこの若い村で、保育園から中学校まで同じ道を歩んできた2人が同期として働いている。今回は、まったく異なる仕事に就く2人に、地元で働くリアルな姿を話してもらいました。
- 保育園から同じ道。消防士希望と「工場だけはムリ」が、村役場で同期になるまで
- 毎日外に出る仕事と、予算バトルの最前線へ。想定外の配属で見えてきた、自分との相性
- 質問したら10返ってくる係長。笑いながら仕事ができる職場の空気
- スノーボードにツーリング、ご近所さんとご飯へ。「元気な村」で働く理由
保育園から同じ道。消防士希望と「工場だけはムリ」が、村役場で同期になるまで
ー今日はよろしくお願いします。まず、南箕輪村に入庁するまでの経緯を聞かせてください。
堀越: 南箕輪村の育ちで、小中学校も地元です。公務員を意識し始めたのは高校生のころです。私には毎日同じ作業を黙々とこなす工場の仕事はムリ、と思っていた時、学校に公務員予備校の先生が来て、そこから興味を持つようになりました。
その後、インターンシップで、別の市役所へ行き、公務員の実態を知りました。机に向かってひたすらパソコンを打っているイメージでしたが、外へ出向くことも多くある仕事だと知り、自分にも向いているのではと感じました。そして、公務員予備校を経て南箕輪村へ入庁しました。
ー海沼さんはいかがでしょうか?
海沼: 私も、たまたまですが小学校から予備校まで、経歴がまったく一緒なんです。ただ、もともと目指していたのは消防士でした。人の役に立ちたいという思いからで、高校生のときに試験を受けたんですが、そのときは合格できませんでした。
ーそこから行政に方向転換したんですね。
海沼: 予備校に入ってから先生に「視野を広げよう」と言われて、行政も調べてみたんです。そしたら、消防士とは違う形でも住民の方の力になれると気づきました。同じぐらい行政の仕事にも魅力を感じて、両方を目指すようになりました。

毎日外に出る仕事と、予算バトルの最前線へ。想定外の配属で見えてきた、自分との相性
ー仕事の内容を聞かせてください。まず海沼さん。
海沼: 主に村内のインフラの維持管理です。傷んだ道路の補修整備、用水路や河川の維持管理、護岸や法面の補修など。毎日確実に外へ出る仕事です。
ー最初は専門用語など大変じゃなかったですか?
海沼: 聞いたこともない専門用語が飛び交ったり、使ったことのない数学の公式が出てきたりして、最初は正直大変でした。土木の業者との人間関係をつくっていくのも、慣れるまで苦労しましたね。
実は最初は別の部署を希望していたんですが、建設水道課に配属になって「なんだこの部署は」ってなりました(笑)。でもやってみたら、自分の性にぴったり合っていたんです。
ーどんなところが合っていると感じましたか?
海沼: 座ってひたすら事務をするよりも、現場で力仕事をしていた方が断然やりがいを感じるんです。それに、完成した道路や水路を後で見に行って、住民の方が使っているのを見ると、すごくよかったなと思えます。いつになっても「これは自分が作ったもの」という感覚がずっと残るのが、この仕事ならではですね。

ー堀越さんの仕事内容は?
堀越: 財務課財政係で、予算の事務とふるさと納税の担当をしています。予算の事務は、各課がやりたい事業に対して要望してきた金額を、課長・係長が精査して整えていき、私はその精査するに出席して、議事録のような形でまとめを取ったり、システム上で金額を変更したりといったサポートをしています。
―大変そうな部署ですね。
堀越: 最初に配属先を聞いたときは「私がここで大丈夫か」と思いました。精査の場では厳しい目線で見る課長・係長と、予算をつけてほしい担当課が話し合う、どうしても重い空気になってしまう場で、初めて出席したときは本当に衝撃でした。今は4年目で場の雰囲気には慣れましたが、課長が求めている資料をすぐに出せるようになるのは、今もなかなか難しいです。
ーふるさと納税の業務はいかがですか?
堀越: 南箕輪村では農作物を返礼品として送っているので、届いた品についてのお問い合わせや電話対応もあります。最初は電話が嫌でしたが、「届いた農作物がとてもおいしかった」「またもらいたい」というお礼の電話は本当に嬉しいですね。地元の果物をそんな風に喜んでもらえると、担当していてよかったと思います。

質問したら10返ってくる係長。笑いながら仕事ができる職場の空気
ー職場の雰囲気はいかがですか?
海沼: 周りの方々のサポートが本当に大きかったです。係員は自分を含めて4人なんですが、係長も含めて誰でも気軽に話しかけてくれて、仕事以外のプライベートな話もしてくれます。上下関係がないというか、先輩として話すというより、同じ仕事をする仲間として対等に話し合える雰囲気があります。
ー入庁直後からそんな環境だったんですか?
海沼: そうですね。歓迎ムードというか、最初からすごく話しかけてくれて。係員みんながお互いの仕事をある程度把握しているので、誰に聞いてもそれなりの答えが返ってくる。最初から聞きやすい環境だったので、仕事にはわりとすぐに慣れることができました。
ー堀越さんの職場はどうですか?
堀越: 財政係は3人で、すごくいい雰囲気です。入庁当初から係長も先輩も話しかけてくれて、置いてけぼりにされないです。仕事の合間にプライベートの話をしながら働けています。分からないことを質問すると、10返ってくるぐらい、いろんな知識を一度に教えてくれる先輩方で。財政のことは全く知らない世界でしたが、笑いながら仕事ができていたので、今もすごくいい環境だと思っています。

スノーボードにツーリング、ご近所さんとご飯へ。「元気な村」で働く理由
ー職場外での職員同士の交流はありますか?
海沼: 活発ですよ。30歳以下の「青年部」という集まりがあって、5〜6歳上の先輩方とスノーボードに行ったり、10人ぐらいで集まってキャンプに出かけたりしています。最近は係長級の、一回りほど上の方々ともバイクツーリングに行きました。
ー役職の壁を越えた付き合いが根づいているんですね。
海沼: 年代や役職に関係なく、距離が近くてフレンドリーに話せる人が多いです。同期だからとかではなく、先輩方とも仲よくできる。他の自治体と比べてどれぐらいかは分からないんですが、元気な村だと思っています(笑)。
ー堀越さんはいかがですか?
堀越: 私は海沼ほどアクティブではないんですが(笑)、帰り際に同期と話したり、流れでご飯に行ったりすることはあります。それより私が感じる南箕輪村の良さは、住民の方との距離の近さです。住んでいる地区では近所の方と本当に仲がよくて、すれ違えば挨拶してくれるのはもちろん、一緒にご飯を食べに行くくらいの関係です。都会に行くたびに、あらためてそういう温かさを感じます。
ー最後に、南箕輪村役場を目指す方へメッセージをお願いします。
海沼: インフラの仕事は、完成した後もずっと村に残るものをつくります。いつになっても「これは自分が作ったものだ」という感覚が残り続けるやりがいがあるので、興味のある方にはぜひ挑戦してほしいです。
堀越: 南箕輪村は住民の方が温かくて、普通に生活するには環境がいい場所だと感じています。役場の雰囲気も明るいですし、この村に少しでも興味のある方には、ぜひ来てもらえたらうれしいです。
ー本日はありがとうございました。
まったく異なる仕事に就きながら、同じ村に生まれ育ち、同じ年に入庁した同期。互いの言葉を補い合いながら話す姿は、南箕輪村の働きやすさをそのまま映しているようでした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)



