「本当にありがたいですって声をいただいた時には、頑張って良かったなって思えました」
そう笑顔で語るのは、南箕輪村役場こども課母子保健係で働く入庁7年目の上野さん。
令和2年4月に高校卒業と同時に入庁し、財務課税務係での3年間を経て、現在は予防接種や乳幼児健診など母子保健業務の最前線に立つ。今年度は、乳幼児おむつ用品購入助成(おむつ券)の制度設計を1から担当し、6月の交付開始を実現した。
今回は、子育て支援の充実したまちで公務員を目指す方に向けて、仕事のやりがいやワークライフバランスについて、お話を伺いました。
人と接する仕事がしたかった。地元・南箕輪村の役場を選んだ理由
ーまずは、入庁のきっかけから教えてください。
上野: 出身は南箕輪村で、高校卒業後にそのまま役場へ就職しました。大学進学も考えたんですが、特にやりたいことが見つからなくて。人と関わることが好きなので、村民の方と直接関われる自治体職員の仕事が向いているんじゃないかと思って、受験を決めました。
ーインターンシップも行かれたんですか。
上野: 高校2年生のときに、当時は総務課にお世話になって、給与の手続きやハローワーク関係の業務を見学させてもらいました。2日間だったので大きな仕事はできなかったんですけど、各課の業務内容を紹介してもらって、役場ってこういう仕事をしているんだという理解はそこで深まりました。

実は一番行きたくなかった部署に配属。あの3年間があって良かった、と今は思う
ー入庁後について教えてください。
上野:最初の配属は 財務課の税務係で、固定資産税を担当しました。 税は難しいというイメージもあって、住民の方のお金の算定に関わる仕事なので責任のプレッシャーも感じました。
ちゃんと勉強しないといけないと、最初はかなり焦った記憶があります。でも係の方たちがとても親切に教えてくださって、少しずつ覚えていくことができました。
ー3年間でどんな業務を経験されましたか?
上野: 固定資産税の課税処理がメインで、新築の家の現地調査に出て税額を算定したり、土地の現況確認をしたりといった業務です。確定申告の時期には申告受付業務も担当しました。正直に言って、配属されたときは嫌だな、と思ったのですが、結果的には役所の基本である税の知識や仕組みを知り、行けてよかったなと感じています。

おむつ券の制度設計を、初めて1から担った。窓口に来るお母さんの「ありがとう」が原動力
ー現在のこども課では、どんな仕事が中心になっていますか?
上野: 予防接種の対応がメインです。お子さんへの接種券や通知の発送、医療機関からの請求データの入力、保護者の方からの問い合わせへの対応などが日々あります。「この接種券はいつ使うの?」「このワクチンは打った方がいい?」といったご質問をいただくことも多くて、国のワクチン動向を常に勉強しながら対応しています。
ーこども課という専門部署が生まれた経緯は?
上野: 村長から、子ども関連の業務を一元化し、子育てにさらに特化していこうという方針が打ち出されて、それに伴ってこども課が独立しました。建物も整備されて、妊娠期から出産、健診、予防接種、保育園まで、子どもに関することを一手に担う体制になっています。以前は成人の健診も子どもの業務も同じ部署で抱えていたので、一元化できたことで各職員が連携し、より集中して業務に取り組めるようになったと感じています。
ー今年度から始まったおむつ券事業について教えてください。
上野: 乳幼児のいるご家庭に、おむつ用品の購入に使えるチケットをお配りする事業です。0歳から1歳まで使える1冊と、1歳から2歳まで使える1冊、合計2回交付します。1冊は1000円券24枚つづりで2万4000円分になります。昨年の秋冬ごろから制度設計の検討を始めて、6月からやっと交付がスタートしました。チケットのデザインを考えたり、購入できる店舗との調整をしたりと、初めて大きな制度設計を1から担わせてもらいました。

ー窓口でお渡しするときの様子はいかがでしたか?
上野: お子さん連れのお母さんから感謝の声を直接いただいたときは、頑張って良かったと感じました。自分はまだ子育てを経験していないので「分かります」と言える立場ではないのですが、それでもその一言がとても嬉しくて。制度を形にするところから携わったからこそ、喜んでいただけたときの達成感があったのだと思います。
ーこども課全体では、ほかにどんな子育て支援事業に取り組んでいますか?
上野: 直接担当しているわけではないのですが、大芝の湯という村の温泉施設を使った産後ケア事業(ママのためのゆったりタイム㏌大芝の湯)があります。産後2ヶ月ごろのお母さんとお子さんを集めて、保健師や管理栄養士、助産師などの専門職がお子さんを預かる間、お母さんに温泉に入ってもらったりお昼を食べてもらったり、ストレッチ講座を受けてもらったりと、リフレッシュしていただく取り組みです。こども課になってから始まった事業で、子育てに力を入れているまちだということが伝わるでしょうか。

17時15分の定時上がりで、ダンス指導へ。公私ともに充実した南箕輪村での暮らし
ーこども課になってから、働き方に変化はありましたか?
上野: 残業がほとんどなくなりました。機構改革前は事務量が多くて残業も少しあったんですが、子どもに特化した部署になって業務の分担を見直したことで、今は余裕を持って取り組めています。専門職の保健師さんたちも、以前に比べて負担が減ったと感じているようです。
それと、プライベートですが、毎週火曜日は仕事終わりに地域スポーツクラブでダンス指導をしています。18時30分から20時30分までの時間です。さらに今年4月からは部活動の地域移行に伴って、日曜日は中学校のダンス部の指導にも関わるようになりました。

ー職場の雰囲気はいかがですか?
上野: こども課は本当に和気あいあいとしていて、仕事の合間にプライベートな話をしながら過ごしています。お昼も一緒に食べることが多いですし、どこかに出かけた話で盛り上がったり、笑い合ったりすることもあります。休みも取りやすい雰囲気で、これまでの中で一番働きやすい職場だと感じています。
ー最後に、南箕輪村での仕事に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
上野: 子育てに力を入れているまちなので、携わる仕事にもやりがいを感じられる環境だと思います。職場の雰囲気も明るくて、相談しやすい先輩がいますし、ワークライフバランスも整えやすいので、プライベートも充実させながら働けています。引き続き、もっと良くなるようにこの仕事を通して関われたらと思っています。人と関わる仕事がしたい方には、ぜひ役場という選択肢を考えてみてほしいです。
ー本日はありがとうございました。

最初は「行きたくなかった」税務係への配属が、今では貴重な経験になっていると話してくれたエピソードが印象に残っている。子育て支援のまちで制度づくりに携わり、住民から「ありがとう」を受け取りながら働く姿と、定時上がりでダンス指導に向かう姿に、南箕輪村での公務員生活の豊かさを見た取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)



