兵庫県香美町役場で採用担当を務める方のインタビュー記事です。「日本の夕陽百選」に選ばれている『香住海岸』や「日本の棚田百選」に選ばれている『うへ山の棚田』など海と山の魅力に溢れる香美町では、若手職員が中心となって新たな「職員育成・成長ガイドライン」を策定しました。目指す人物像や早期の情報公開といった採用の工夫、そして「人の温かさ」に触れながら成長できる充実のワークライフバランスや手厚い子育て支援について、語っていただきました。
- 合併20周年。海と山が織りなす「香美町」の魅力と職員のリアル
- 17年ぶりの大改訂!若手職員の手で作られた「職員育成・成長ガイドライン」
- 未来を創造し、成長する意欲をもち、人とまちを大切にする。香美町が目指す職員像
- 作文試験で「想い」を見る。早期の情報公開で受験者に寄り添う採用活動
- 手厚い子育て支援と温かい町民性。ワークライフバランス充実の環境
合併20周年。海と山が織りなす「香美町」の魅力と職員のリアル
ーまずは香美町の概要や、まちの魅力について教えてください。
採用担当: 香美町は兵庫県の北部に位置し、現在の人口は1万5,000人弱のまちです。平成17年の4月に旧香住町、旧村岡町、旧美方町の3町が合併して誕生し、今年度(令和7年度)で合併20年という節目の年を迎えました。
日本海側に面する香住区は水産業が主力で、冬の松葉ガニをはじめ、関西では香住漁港でしか水揚げされない「香住ガニ(ベニズワイガニ)」が有名です。山側にある村岡区や小代区にはスキー場があり、冬は豪雪地帯となります。海と山の豊かな自然資源を活かした観光業が、香美町の主力産業となっています。
ーアクセスはいかがですか?
採用担当: 大阪からであれば車で2時間半ほどで来られるため、関西エリアから多くの方が観光に訪れてくださいます。また、私たちの生活圏としては鳥取市が非常に近く、車で約50分で行ける距離にあります。
ー現在働かれている職員さんについても教えてください。
採用担当: 令和7年4月時点で、町内にある公立香住病院の職員を含めて287名の正規職員が働いています。 職員の出身地については、Uターンで地元に帰ってきて役場に就職するケースがほとんどで、現在も香美町出身者が多くを占めています。
ただ、近年は町外からの職員も少しずつ増えてきていますね。公共交通機関での通勤は難しいため、隣の豊岡市や新温泉町など、車で通える範囲から通勤している職員が増えている印象です。

17年ぶりの大改訂!若手職員の手で作られた「職員育成・成長ガイドライン」
ー採用活動についてお伺いします。現在、香美町ではどのような人材を求めているのでしょうか?
採用担当: 香美町がどんな人材を求めていくのかをお話しする前に、私たちの組織の取り組みについてご説明させてください。 これまで香美町には「人材育成基本方針」があったのですが、平成20年の策定以来、全く見直しが行われてきませんでした。しかし、総務省からの見直し推奨やデジタル人材の確保といった社会情勢の変化もあり、令和7年度に1年かけて抜本的な見直しを行いました。そして令和8年3月に、新たに「香美町職員育成・成長ガイドライン」を策定したところです。
ーガイドラインの策定プロセスが非常にユニークだと伺いました。
採用担当: はい。通常こういった基本方針は、人事担当課が作成するか、コンサルタントに委託して作るのがよくあるパターンかと思います。しかし、それではトップダウンになってしまい、職員の心を動かすことはできない、自分事として捉えてもらえないと考えました。
そこで、これからの香美町を支えていく45歳以下の若手職員を対象に「委員になりたい人」を庁内で公募し、10名のプロジェクトチームを立ち上げたんです。
ー若手職員が中心となって作り上げたのですね!具体的にはどのように進めたのですか?
採用担当: 年6回の委員会を開催したほか、庁内ネットワークを使って定期的に意見交換を行いました。また、委員以外の職員にも自分事として捉えてもらうため、全職員を対象とした意識調査を実施し、現在の職員がどのような意識を持っているかを可視化しました。さらに職員研修も行い、そこから出てきた意見も踏まえて協議を重ねていきました。
未来を創造し、成長する意欲をもち、人とまちを大切にする。香美町が目指す職員像
ー新たに策定された「目指す組織像」と「目指す職員像」について教えてください。
採用担当: まず「目指す組織像」としては、「協働し互いに信頼し合う組織」を掲げました。 そして「目指す職員像」は、「未来を創造し、成長する意欲を持ち、人とまちを大切にする職員」です。
ーこの3つの要素には、どのような思いが込められているのでしょうか?
採用担当: 令和8年度から新しい「香美町総合計画」がスタートするため、その実現に向けた職員であることが大前提としてあります。
一つ目の「未来を創造し」については、社会情勢が刻一刻と変わる中で、それに対応できる柔軟性を持つこと。そして、これからの人口減少時代に向けてコスト意識や改革意識を持った職員が必要であるという思いを込めています。
二つ目の「成長する意欲をもち」については、職員なら誰もが成長したいと思っているはずですが、あえて言葉にして明記することが大事だと考えました。成長のための挑戦ができ、自律的な行動ができる職員になろうというメッセージです。
最後の「人とまちを大切にする」は、職員同士の協力やチームワークはもちろん、基礎自治体として町民の皆様と密に接する中で、お互いに支え合う関係を築ける職員であってほしいという願いからです。
ーこうした方針を掲げることで、組織はどのように変わっていくと期待していますか?
採用担当: 人材育成基本方針を言語化することで、入庁されてからもしっかりとしたキャリアプランを持って、職員の育成を進めていけると考えています。現在、人事評価制度の見直しも同時進行で行っており、職員が成長できるきっかけ作りをより強化できるはずです。
作文試験で「想い」を見る。早期の情報公開で受験者に寄り添う採用活動
ー採用試験のスケジュールや、選考で重視するポイントを教えてください。
採用担当: 例年、5月と7月に試験公告を行っていたのですが、告知の時期がギリギリで受験者がじっくり検討する時間が不十分ではないかと感じていました。そこで今回は、4月には採用予定や目指す職員像などの情報を早期に公開し、受験希望者にいち早く周知する方針に変更しました。香美町を知り、ご自身の将来の選択肢として選んでいただくための準備期間をしっかり確保したいと考えています。状況によっては、12月公告・1月試験という3回目の試験も実施する可能性があります。
ー選考ではどのような点を見られますか?
採用担当: 第1次試験では、SPIや教養試験などの基礎的な学力をしっかり見ます。これは公務員としてのベースになる部分ですね。同時に作文試験も課しており、ここで「香美町の職員としてどうありたいか」という思いをしっかりと言葉にして表していただきたいと考えています。
第2次試験の面接では、コミュニケーション能力や責任感を見ますが、何よりも自分の考えをしっかりと持ち、面接官と対話できるかどうかが重要です。そして、香美町のことを事前によく勉強してきてくれる熱意のある方をお待ちしています。
手厚い子育て支援と温かい町民性。ワークライフバランス充実の環境
ー香美町役場で働く環境や、福利厚生などの魅力について教えてください。
採用担当: 給与面では人事勧告に基づく改定もあり、若手職員の基本給は着実に上がってきています。 休みについても、有給休暇の平均取得日数は約11日で、自身の業務のタイミングさえ合えば非常に取得しやすい環境です。また、6月から10月の間に取得できる5日間の夏季休暇もあります。 育休制度も充実してきており、結婚や出産といったライフイベントがあっても、ワークライフバランスを保ちながら安心して長く働き続けられる制度が整っています。
ー町としての魅力はいかがですか?移住などを考えている方にもおすすめできそうでしょうか。
採用担当: 子育て環境は非常に魅力的だと思います。香美町は先進的な取り組みとして、18歳までの医療費無償化や、給食費の無償化を実施しています。社会人経験者枠などでUターンや移住を考えている方にとっては、お子さんを育てる上で非常に安心できる環境が整っていると自信を持って言えます。
ー職場の雰囲気や人間関係はいかがですか?
採用担当: 香美町は高齢化率が比較的高い町ですが、町外から来た職員と話していると、「お年寄りが多くて、本当に優しくて温かい町ですね」とよく言われます。私たちにとっては当たり前の日常ですが、町民の方からお野菜をお裾分けしていただいたりと、人の温もりに直接触れられる素晴らしい地域性があります。
職員同士も気さくで繋がりが強いです。女子バレー部や卓球部、さらには駅伝部を作って大会に出場している職員もいます。同期同士で遊びに行ったりと、若い職員同士の横の繋がりも濃い職場環境です。

ー最後に、これから香美町役場を受験される方へメッセージをお願いします。
採用担当: 香美町役場は今、「職員育成・成長ガイドライン」の策定や人事評価制度の見直しを通じて、職員の成長を全力でバックアップする組織へと進化しようとしています。 海と山の豊かな自然と、人の温かさに溢れるこの香美町で、私たちと一緒に「未来を創造し、人と町を大切にする」まちづくりに挑戦してみませんか。皆さんの熱意あるご応募を、心よりお待ちしております!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)
「トップダウンではなく、若手職員の心動かすボトムアップで組織を変えていく」。香美町役場の人事担当者の方の言葉からは、17年ぶりに改定された「職員育成・成長ガイドライン」にかける熱い思いと、これからの組織づくりへの確かな自信が伝わってきました。



