滋賀県米原市役所のいぶき認定こども園で働く保育教諭、伊藤さんのインタビュー記事です。実習で感じたという職場の温かい雰囲気や、豊かな自然の中での保育、充実した研修制度など、米原市ならではの働く魅力について、ご自身の経験をもとにお話しいただきました。
- 決め手は「人の温かさ」。実習で感じた米原市で働く魅力
- 自然豊かな環境でのびのびと。チームで支え合う保育の現場
- 多様な研修で広がる視野。若手の成長を市全体でサポート
- 子どもの成長が一番のやりがい。日々の感動が働く力に
決め手は「人の温かさ」。実習で感じた米原市で働く魅力
ー保育教諭を目指されたきっかけを教えてください。
伊藤:もともと小さい子の面倒を見るのが好きだったことに加えて、私自身が幼稚園の年中だった頃の体験が大きいです。当時は母と離れたくなくて毎日大泣きしていたのですが、担任の先生がいつも優しく寄り添ってくださいました。その先生への憧れから「先生みたいになりたい」と思うようになり、そこから夢はずっと変わらず、保育教諭を目指してきました。
ー地元である米原市を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
伊藤:一番の決め手は実習で感じた園の雰囲気です。実習では米原市とそれ以外の市の両方の園に行かせてもらったのですが、米原市の園の方が、先生方の雰囲気がとても温かいと感じました。
ー具体的に、どのような違いを感じましたか。
伊藤:私が実習に行った時期が運動会の前で、どの園も忙しい時期だったという背景はあると思います。他市の園では少しピリピリした空気を感じることもあったのですが、米原市の園の先生方は皆さん優しくて、実習生の私にも「何か困ったことはない?」と気にかけて話を聞いてくださるなど、とても親切に接してくださいました。ここで働きたいな、と自然に思えましたね。
ー実習はかなり長期間行かれたと伺いました。
伊藤:はい、私が通っていた短大のカリキュラムが少し特殊で、3年生の時には1年間を通して、週に2日(月曜日と火曜日)は同じ園に通うという長期実習がありました。私はその実習を米原市内の「かなん認定こども園」で受けさせていただいたので、じっくりと現場の様子を見ることができました。
ー公立の保育教諭として働くことについては、どのように考えていましたか?私立という選択肢もあったかと思います。
伊藤:異動があって、色々な園を経験できるという点に魅力を感じていました。もちろん、一つの園でじっくり働くことの良さもあると思います。でも、もし自分に合わないと感じる環境だった場合、ずっとそこで働き続けるのは少ししんどいかな、とも考えていました。
色々な園で多様な経験を積みながら成長していける公立の働き方が、自分には合っているのかなと思いました。
自然豊かな環境でのびのびと。チームで支え合う保育の現場
ー現在勤務されている「いぶき認定こども園」について教えてください。
伊藤:定員100人ほどの園です。米原市内には4つの公立園がありますが、その中では特に自然環境に恵まれているのが特徴だと思います。園庭にはどんぐりの木がたくさんあって、秋になると子どもたちは夢中になってどんぐり拾いをしていますし、栗がなっている木もあります。木の根っこが張り巡らされた坂道など、子どもたちが体を思い切り使って遊べる場所がたくさんあります。
ー米原市の豊かな自然を活かした保育ができるのですね。伊藤さんは今、何歳児のクラスを担当されているのですか?
伊藤:今は5歳児クラスの担任をしています。23人の子どもたちがいるクラスを、私のほかに2人の先生がついて、3人体制で見ています。
米原市の園では、保育教諭が保育に集中できるだけでなく、書類作成などの事務作業の時間もしっかり確保できるような体制が整えられています。例えば私のクラスでは、12時から15時までの間、私は保育から一旦抜けて、休憩や書類作成といった事務作業に専念させてもらえます。その間の子どもたちのことは、同じクラス担当の先生が保育してくださるんです。
ー保育の真っ最中に、事務作業に集中できる時間が確保されているのですね。
伊藤:保育をしながら書類仕事を進めるのはなかなか難しいので、こうして時間を設けてもらえるのは本当にありがたいです。もちろん、その時間だけですべてが終わるわけではありませんが、計画的に仕事を進める上で大きな助けになっています。
ー働きやすい環境ですね。2年目で初めて担任を持たれたとのことですが、不安などはありませんでしたか?
伊藤:正直、不安はありました。でも、周りの先生方が本当に親身にサポートしてくださるので、心強いです。一緒にクラスを担当している先生は経験豊富な方なので、アドバイスをもらいながら進めています。隣のクラスの先生や学年主任の先生にも気軽に相談できますし、助かっています。
ー1年目の経験も活きていると感じますか?
伊藤:そうですね。1年目は幼児担任という立場で、担任の先生のサポート役をしていたので、担任の先生がどのように動いているのかを間近で見ることができました。特に5歳児のクラスに入っていたので、1年間の大まかな流れは把握できています。その経験があるからこそ、2年目の今は「今年はこんなことに挑戦してみたい」と、自分から積極的に提案できるようになったと思います。
多様な研修で広がる視野。若手の成長を市全体でサポート
ー日々の業務の中で学ぶことも多いと思いますが、その他に研修などの機会はありますか?
伊藤:はい、米原市は研修制度がとても充実していると感じます。まず、私のような若手職員を対象とした「若手研修」があります。これは保育教諭だけでなく、市内の小・中学校の若手の先生方と一緒にグループを組んで、お互いの保育や授業を見学し合うというものです。
ー学校の先生方とも交流するのですね。
伊藤:はい。普段なかなか関わることのない小・中学校の先生方と話せるのは貴重な機会です。立場は違っても、同じ「若手」として悩みを共有したり、教育に対する考え方を聞いたりすることで、視野が広がるのを感じます。
ー他にどのような研修がありますか?
伊藤:私が担当している5歳児の担任が集まる「5歳児部会」という研修が年に2回あります。今年度は、「幼保小連携」の一環として、小学校の先生方と情報交換をする機会がありました。研修を通して、園での子どもたちの遊びの様子をビデオで見ていただきながら、「遊びを通してこんな力を育んでいるんです」ということを共有し、子どもたちがスムーズに小学校生活へ移行できるように連携を図っているところです。
ー園の中での研修もあるのでしょうか。
伊藤:はい、「園内研修」が月に1回あります。これは、あるクラスの保育の様子を園の先生みんなで観察し、気になる子の姿や保育者の関わり方について意見交換をするというものです。色々な先生が多様な視点から「あの子、こんな素敵な姿があったよ」「こういう関わり方をすると、もっと良くなるんじゃないかな」とアドバイスをくださるので、自分の保育を見つめ直すとても良い機会になっています。
子どもの成長が一番のやりがい。日々の感動が働く力に
ー保育教諭として働いていて、やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?
伊藤:やはり、子どもたちの成長を間近で見られた時です。つい先日、運動会が終わったのですが、リレーの練習では、最初は「自分が一番!」という気持ちが強かった子たちが、何度も話し合いを重ねるうちに、自然と友達を応援したり、チームのためにどうすれば良いかを考えたりするようになりました。
本番で勝って大喜びする姿や、負けて悔しがる姿、そして「頑張れ!」と自然に声援を送る子どもたちの姿を見た時は、本当に感動しました
ー逆に、働き始めてみて「大変だな」と感じたことはありますか?
伊藤:実習の時には見えなかった部分ですが、書類作成の多さには少し驚きました。保育計画や子どもの記録、園外活動の申請書など、思った以上に多くの書類仕事があります。また、子どもたちに楽しんでもらうための教材(スケッチブックシアターなど)を作る時間も、日々の業務に追われるとなかなか取れないのが現実です。
ー最後に、米原市の保育教諭を目指す方へメッセージをお願いします。
伊藤:米原市は、本当に人が温かい職場だと思います。私が実習で感じた印象は、働き始めた今も変わりません。日々、幸せを感じ働ける環境です。
ー本日はありがとうございました。

取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年10月取材)



