子どもたちの元気な声が聞こえる神奈川県葉山町の葉山保育園。
豊かな自然に囲まれたこの場所で、子どもたちはのびのびと育ち、先生方は温かい眼差しで見守っています。
今回は、葉山保育園で働く越野先生と根岸先生に、保育士という仕事の魅力や、葉山保育園ならではの働きがいについてお話を伺いました。
大阪出身の越野先生と横浜出身の根岸先生。異なるバックグラウンドを持つお二人が、葉山保育園で働く中で感じることとは?子どもたちへの愛情あふれる言葉の数々から、保育士という仕事の素晴らしさが見えてきました。
保育士という仕事との出会い
ーお二人が保育士になろうと思ったきっかけを教えてください。
越野:私は大阪市の出身ですが、縁があって葉山町に移住をしました。
高校生のときに進路を考える中で、臨床心理士など子どもの心のケアに関わる仕事もいいかなと思ったんです。でも、当時はまだ制度がしっかりしていなくて、働き口があまりないかもしれないなと感じていました。子どもたちの朝から晩までの1日の生活や、0歳から小学校になるまでなど、長いスパンで見られる保育士の仕事に魅力を感じました。
あと、私が通っていた保育園の先生がすごく素敵な方で、憧れもあったんです。あんな大人になりたい、あんな風に子どもたちと接したいなと思ったのも、保育士を目指す大きなきっかけになりました。
根岸:私は横浜の出身です。最初は幼稚園に勤務していました。3年間経験を積ませていただき、違う幼稚園に移りました。そしたら、すごく子どもと関わる楽しさを教えてもらって。その後、結婚を機に子どもを出産し、自分の子どもを見ていく中で、もっと小さい子とも関わりたいなと思って、保育園で働くことを決めました。その後、現在の葉山保育園で勤務しています。

都市部と葉山町、保育の現場の違い
ー葉山保育園での子どもたちや保護者の方々の様子について、都市部の園との違いを感じることはありますか?
越野:子どもたちは、ぽわっとしていて、すごく可愛いなって思います。例えば、大阪の子どもたちは「なあなあ、それ何なん?何なん?」って好奇心旺盛な感じなんですけど、そういう雰囲気は全然なくて。
虫とか海の生き物とかがすごく身近で、手に触れる機会も見る機会も多いこともあって、芋虫がどんな動きをするかなど、細かいことにも気づいたりするんです。
葉山町は東京や横浜から移住してこられた方も多い地域なんです。気持ちや時間に切羽詰まっていない人が多い気がしていて、葉山町にいると、時間の流れがゆっくりに感じます。それがまたいいところでもあるかなって思っています。
都会の保育園だと、電車通勤やバス通勤が多いので、もっと切羽詰まった感じだと思うんですけど、葉山町はのんびりしてますね。

公立と民間、それぞれの園の魅力
ー民間の園と公立の園、違いや魅力について、どのように感じていますか?
越野:誰でも来れるのが公立の園のいいところだと思います。どんな子でも、どんな家庭でも受け入れる懐の深さがありますね。民間の園は、それぞれの園の特色や教育方針に合った子が集まる印象があります。あと、公立の園は長く働けることも魅力の一つです。
根岸:公立の園は、いろんな領域の保育を平均的に、満遍なく子どもたちに伝えられるのがいいところだと思います。
公立は、外遊びも散歩も製作も楽器遊びも泥んこ遊びも、全部やります。だから、自分自身もいろんなことを学べるし、子どもたちもいろんな刺激を受けられると思います。

保育士としての成長と喜び
ー葉山保育園で働いてきて、一番記憶に残っている出来事を教えてください。
越野:昨年、年長組の担任をしていた時に、お楽しみ会で「おしゃべりなたまごやき」という劇をしたんです。子どもたちの「このセリフを入れたい」「この仕草をしたい」「このダンスの振りがいい」っていう意見をどんどん取り入れて、みんなでつくり上げていきました。
そうしたら、子どもたちの気持ちもどんどん上がってきて、王様は王様、大臣は大臣、ニワトリはニワトリって、それぞれの役を自分のものにして、生きいきと演じてくれたんです。もじもじしがちな子も、緊張しがちな子も、すごく生き生きとしていたんです。
その過程を見ているのが、すごく嬉しかったですね。セリフが苦手な子には、同じ役の子がこっそり教えてあげたりして。そういう子どもたちの姿が、すごく印象に残っています。
ー大変なことも多いと思いますが、保育士を続けられる原動力は何ですか?
越野:やっぱり、子どもたちのいろんな表情を見られることですね。昨日までできなかったことが今日できるようになったり、できなくても一生懸命努力している姿だったり。
友達に意地悪を言ってしまう子もいるけど、ちょっと我慢できるようになったり、言い方が少しだけ優しくなったり。
毎日、毎日、子どもたちの表情は違うし、成長の度合いもそれぞれです。それが、この仕事をしていて一番の喜びだし、他の仕事では味わえない醍醐味かなって思います。
根岸:本当にその通りだと思います。担任は1年で変わるけど、また次の年には新しい子との出会いがあって、前年度とはまた違った発見や気づきがある。それがすごく楽しいですね。

学ぶ姿勢を忘れずに、子どもたちを見守る
ーこれから葉山保育園で一緒に働きたいと思う方へメッセージをお願いします。
越野:「学ぶ」っていうのは、もともと「真似る」っていう言葉から来ているそうなんです。最初は何も分からなくても、できなくても、戸惑っても、先輩の保育のいいところ、対応のいいところ、展開の仕方、構成の仕方、声かけの仕方、遊びの面白さ、そういうのをどんどん真似して、盗んで、自分の力にしていってほしいなって思います。
止まらないでほしい。ゆっくりでもいいから、ずっと学び続けて、盗み続けていってほしいですね。素直だったら、もっと伸びると思います。子どもたちを見ていても、素直さはとても大切さと感じています。

子どもたちの元気な声が響き渡る葉山保育園。
豊かな自然と、ゆったりとした時間の流れの中で、先生方が一人ひとりの成長を温かい眼差しで見守っている場所です。
「昨日までできなかったことが今日できるようになったり、一生懸命努力している姿だったり。それが、この仕事の醍醐味」と、子どもたちの小さな変化を心から喜ぶ先生方の言葉が、とても印象的でした。
先輩の先生方の「学びを止めないでほしい」というメッセージには、温かく迎え入れ、共に成長しようという想いが込められています。あなたもこの優しい町で、「自分らしいバランス」を見つけながら、保育士としての新たな一歩を踏み出してみませんか。

取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年10月取材)



