高校生の頃から公務員を志し、郡山城跡や金魚文化が息づく大和郡山市を選んだ岸本さん。
入庁後、介護福祉課での事務経験を経て、現在は市の「顔」とも言える秘書課で市長の送迎やスケジュール管理を担っています。
今回は、歴史と新しい魅力が共存する大和郡山市で、市の中心を担う秘書課での特別な経験と、次のステップとなる「まちづくり」への熱い意欲を語っていただきました。
公務員を目指したきっかけと大和郡山市を選んだ理由
ー岸本さんが公務員を目指されたきっかけと、大和郡山市を選んだ理由について教えてください。
岸本:父が公務員として働いていることもあり、私は高校生の頃から公務員の道を意識していました。幼い頃から自治体職員の仕事が身近にあったため、自然と憧れを抱くようになりました。
そのような中で大和郡山市の職員を目指そうと決めたのは、この市が持つ独自の魅力に惹かれたからです。
大和郡山市には、郡山城跡や城下町の風情が残る美しい町並みがあり、歴史と文化が息づく独特の雰囲気に惹かれました。
また、大和郡山市は金魚がとても有名です。全国金魚すくい選手権大会といったイベントが開催されていることも知っており、そういった地域独自の文化が根付いている点も魅力に感じました。
さらに、交通の便の良さも大きな決め手となりました。京奈和自動車道や西名阪自動車道、名阪国道といった主要道路が通っており、近鉄とJRの両方の駅があるため、アクセスが非常に良いと感じました。
こうした地域の魅力と利便性が、大和郡山市役所を志望した理由です。

秘書課での貴重な経験とやりがい
ー入庁されてから、これまでどのような業務を経験されてきましたか?
岸本:私は入庁後、まず3年間は介護福祉課に所属し、主に市民の方々の介護保険料の賦課算定や徴収業務を担当していました。市民の方と直接関わる機会も多く、事務作業が中心の部署でした。
その後、1年半前に秘書課へ異動し、現在も業務を行っています。
秘書課での業務は、公用車での市長の送迎が中心で、イベント開催時には土日にも市長を会場まで送迎しています。
また、事務作業としては、窓口対応、市の表彰式の準備、市長と副市長のスケジュール管理などを担当しています。


ー特に印象的だったエピソードがあれば教えてください。
岸本:秘書課での業務で特に印象に残っているのは、去年に経験した金魚伝来300周年記念プロジェクトにまつわるエピソードです。
大和郡山市制施行70周年と金魚伝来300周年を記念して、大和郡山市の姉妹都市である山梨県甲府市から大和郡山市まで、金魚伝来の道を再現して歩くという大規模なプロジェクトがありました。
このプロジェクトの出発式が甲府市で行われることになり、市長が参加されるため、私が公用車で市長を送迎することになったのです。
片道約400km、休憩を挟んで約6時間半の長距離移動でした。往復の運転はとても疲れましたが、市にとっての一大イベントに、このような形で関われたことは非常に印象に残っています。
ー秘書課で働くことの魅力や、この部署ならではの経験について教えてください。
岸本:秘書課で働く最大の魅力は、やはり様々な方々との出会いです。市長への面会で、多くの企業の経営者や他市町村の首長や議員の方々など、普段ではなかなかお目にかかれないような要人とお会いする機会があります。
そういった方々と直接ご挨拶ができるのは、秘書課ならではの貴重な経験だと感じています。
また、各部署からの市長・副市長への報告を通じて、市が行っている様々な事業の進捗状況を把握できるため、市全体の動きを俯瞰して理解できる点も大きな魅力です。
前の所属が介護福祉課で事務作業が中心だったので、秘書課への異動を知った時は、正直何をする部署なのか全く分かりませんでした。
引き継ぎを受けて、運転が主な業務だと聞いた時は、まるで転職したような気持ちになりましたね。
それくらい業務内容が大きく異なるのですが、その分、新しい経験や学びが多く、日々刺激を受けています。

働きやすい職場環境と成長できるチャンス
ー大和郡山市役所の職員として働く上で、やりがいや魅力をどのように感じていますか?
岸本:公務員全体に言えることではありますが、業務の幅が非常に広いことです。介護保険や税金関係、観光、まちづくり、教育、子育てなど、本当に幅広い分野の業務を経験できるのは大きな魅力です。
大和郡山市役所では、基本的に3年程度の周期で部署を異動します。そのため、異動先によってはまるで転職したかのように業務内容が大きく変わることもあります。
しかし、様々な経験を通じて幅広い知識と経験を積むことができ、状況に応じた柔軟な対応力を身につけることができるのは、大きなやりがいであり、魅力だと感じています。
新しい環境や業務に挑戦することで、常に自分を成長させられるチャンスがあるのは、公務員ならではの醍醐味だと思います。
ー職場の雰囲気やワークライフバランスについて教えてください。
岸本:職場の雰囲気は、介護福祉課にいた時も今の秘書課でも、上司も同僚も本当に優しく、フレンドリーに接してくれる方ばかりなので、とても働きやすい環境です。
仕事の相談はもちろん、プライベートな悩みにも親身になって聞いてくれますし、的確なアドバイスをもらえることも多いです。
そういった意味でも、非常に恵まれた環境で働けていると感じています。

ワークライフバランスについては、秘書課は少し特殊です。市長が出席するイベントや行事が土日に集中するため、基本的には土日のどちらかは出勤しています。
課長、係長、私の3人でローテーションを組んで2人体制で対応することが多く、両日出勤することもあります。
その場合は、代休を取得するか、代休に満たない場合は時間外手当として支給されます。
平日の残業は、事務作業で遅くまで残ることはほとんどありません。朝晩の市長の送迎が時間外手当として支給される形です。
ただ、代休消化を優先するため、有給休暇や夏季休暇は消化しきれていないのが現状です。介護福祉課にいた頃は、もう少し自由に休暇を取得できていましたね。
大和郡山市職員として描く未来と求職者へのメッセージ
ー今後どのような仕事をしてみたいですか?
岸本:秘書課で各部署からの報告を聞く中で、まちづくり、観光、産業に関する事業に強い刺激を受け、面白そうだと感じています。
もし異動の機会があれば、そうした分野の部署で、大和郡山市の発展に貢献できるような仕事にぜひチャレンジしたいです。
ー最後に、大和郡山市を志す方々へメッセージをお願いします。
岸本:大和郡山市は、郡山城跡や城下町の風情が残る歴史ある街並みが大きな魅力です。
しかし、ただ古いだけでなく、近年では古民家をリノベーションした喫茶店やサウナ、宿泊施設などが次々と生まれ、新しい魅力も創出されています。
既存のものを活かしつつ、新たな価値を生み出す、とても魅力的な街だと感じています。
また、一緒に働く職員は皆優しくて良い人ばかりで、職場環境も非常に良いです。
どこかの自治体で働きたいと悩んでいる方がいらっしゃいましたら、大和郡山市は心からおすすめできる場所です。
来年の大河ドラマでは、郡山城の城主であった豊臣秀長がメインとして描かれる予定ですので、ぜひこの機会に大和郡山市に注目してみてください!

ー本日はありがとうございました。
秘書課での「まるで転職」のような経験は、大変なことも多かったことと思います。
しかし、その一つ一つを前向きに捉え、街の動きを俯瞰する視点や柔軟な対応力を身につけている岸本さんのお姿は、街を支える頼もしい存在だと感じました。
また、職場環境については、土日出勤の多さがありながらも、職員の皆さんが優しくフレンドリーで、プライベートの悩みまで親身になってくれるという言葉が印象的でした。
岸本さんのように温かい心と挑戦する情熱を持つ方々が、これからも大和郡山市の未来を築いていくのだと、改めて感じた取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年10月取材)



