広島県江田島市役所、市民生活課で働く入庁3年目の橋本さんと山本さんのインタビュー記事です。大学卒業後、教員を目指していた橋本さんと、書店員や会計年度任用職員を経て正規職員となった山本さん。
年齢も経歴も異なるお二人ですが、現在は市の「顔」とも言える市民生活課で、住民票や戸籍、年金といった市民の生活に直結する業務を担っています。 一見「事務的」と思われがちな窓口業務のリアル、そして江田島市ならではの「距離の近さ」について、語っていただきました。
「挨拶」が入庁の決め手!? 意外な経緯や就職の理由
ーお二人が江田島市役所に入庁したきっかけを教えてください。
山本: 私は地元出身です。広島県外の書店で働いていましたが、家庭の事情で帰郷。まずは会計年度任用職員として歴史資料館に勤務しました。そこで働くうちに「もっと腰を据えて地域に関わりたい」という思いが強くなり、社会人枠で正規職員になりました。以来、市民生活課で勤務し、3年目です。
橋本:もともとは人と関わる仕事がしたいと考え、養護教諭を目指していました。しかし、人と関わる仕事はほかにもあるのではないかと思うようになり、両親が公務員だったこともあって、公務員にも興味を持つように…
ちょうどその頃、江田島自動車学校に通う中で地域の方と接する機会がありました。ある日、買い物で現金のみと知らず、10円足りず困っていたところ、レジに並んでいた方が「どうぞ」と声をかけ、足りない分を出してくださったのです。おかげで昼ご飯を買うことができました。
自然に挨拶を交わし、さりげなく助け合う雰囲気に触れ、幼少期に住んでいた地域を思い出しました。その懐かしさから、「このまちで人と関わりながら働きたい」と思い、江田島市役所を受験しました。
住民票、戸籍、年金、パスポート…。市民生活課は「何でも屋」のプロフェッショナル

ー現在所属されている「市民生活課」のお仕事について教えてください。
山本: 市民生活課は、市民の皆さんが一番利用されることの多い、まさに市役所の「顔」となる部署です。 業務内容は本当に幅広くて、住民票や戸籍謄本の交付、印鑑登録、マイナンバーカードの作成や更新、パスポートの申請受付、国民年金の手続き、さらには江田島市ならではの「船員事務(船員さんの雇入・雇止手続き)」なんて仕事もあります。
ーそれらを全員が全部担当するのですか?
山本: 基本的には「担当制」を敷いています。例えば私は「戸籍」がメイン担当で、出生届や婚姻届、死亡届などの審査と処理を行っています。橋本さんは「国民年金」がメイン担当ですね。
ただ、窓口にいらっしゃるお客様をお待たせするわけにはいかないので、住民票の発行や証明書の交付といった基本的な窓口業務は、担当に関わらず職員全員ができるようにしています。 専門分野を持ちつつ、全員がオールラウンダーとして窓口に立つ。そんな体制で日々業務を回しています。
ー窓口の仕事はいかがですか?

橋本:デスクワークがメインの部署に以前いたので、全く違いますね。今の市民生活課は、目の前に市民の方がいらっしゃいます。「年金の手続きがしたい」「住民票が欲しい」という具体的な要望に対して、その場で対応して解決する。
ダイレクトに反応が返ってくるので、プレッシャーも全然違いますね。ただその分やりがいもあると思います。 まだ異動して日が浅いですが、年金の仕組みや戸籍のルールなど、知らなかったことを毎日勉強できるのは楽しいです。生活に直結する知識なので、「へぇ、そうなんだ!」と発見の連続です。
月曜日は戦場!?「窓口」の具体的なスケジュール
ー市民生活課のスケジュールや、忙しいタイミングなどについて教えてください。

山本: 基本的には8時半から17時15分まで窓口を開けていますが、曜日によって忙しさが全然違います。 一番忙しいのはやっぱり「月曜日」ですね。
土日に手続きができなかった方が朝からいらっしゃいますし、お仕事終わりの夕方4時以降に駆け込んでくる方も多いです。月曜日は週末に出された戸籍の届出(死亡届など)の処理に追われるので、一日中バタバタしていますね。
橋本:私の年金業務は、日本年金機構とのデータのやり取りがベースになります。 例えば1週間でいうと、月曜日は年金に関する相談をしに来庁される方が多いです。火曜日は年金事務所からデータが届くのでそれを入力します。水曜日はこちらから書類を発送する締め切りがあるのでその準備をして……といった具合に、ある程度ルーティンが決まっています。
木曜日は比較的余裕ができるので、溜まっていた事務処理を片付けたり、金曜日はまた別のデータの入力をしたりと、自分でスケジュールを組み立てやすい側面はありますね。
ー残業についてはどうですか?
橋本: 時期によりますね。年度末は国への報告業務が重なる繁忙期なので、残ることもありますが、普段はそこまで遅くなることはありません。 定時の17時15分を過ぎて、窓口のお客様がいらっしゃらなければ、自分の事務処理をサッと終わらせて18時前には帰ることも多いです。
山本: 基本的には定時で帰ることが多いですね。戸籍の届出が多い日は処理に時間がかかることもありますが、毎日深夜まで残業……なんてことはありません。ワークライフバランスは比較的取りやすい職場だと思います。
「人生の節目」に立ち会う責任と、江田島ならではの「距離の近さ」
ー仕事をしていて、やりがいや面白さを感じるのはどんな時ですか?
山本: 戸籍事務を担当していて思うのは、人の一生に関わる仕事だということです。 出生届が出れば新しい命の誕生を祝い、婚姻届なら新しい家族の門出に立ち会い、死亡届なら人生の最期を見送る。戸籍を遡れば、江戸時代のご先祖様まで繋がっていることもあります。
責任を感じますし、書店員時代もお客様との関わりはありましたが、「いらっしゃいませ」とはまた違う、もっと深いところで人生に触れている感覚がありますね。
ー江田島市役所ならではの魅力や、職場の雰囲気についても教えてください。

橋本: 「距離の近さ」は魅力だと思います。 住民の方との距離も近くて、窓口で別の相談を受けると、担当課の職員に繋いで「じゃあ◯◯します!」と対応に走る。そのフットワークの軽さはすごいです。
職員同士の仲も良くて、年齢層は20代からベテランまでバラバラですが、雑談もしやすい雰囲気です。異動してきたばかりで「いじられキャラ」になりつつあるんですが(笑)、分からないことがあればすぐに先輩に聞けるので、安心して働けています。
山本: 地元出身なので、窓口に同級生が来ることもよくあります。「元気しとる?」なんて会話から始まって、20年ぶりに再会することもしばしばです。 他の自治体の市役所に行った時に、すごく事務的で淡々とした対応をされた経験があるのですが、江田島市役所は全然違いますね。
職員みんなが「何か困っとるん?」「どうしたん?」と親身になって話を聞く姿勢が染み付いている気がします。 その「お節介」とも言える温かさが、江田島市の良さなんだと思います。
「誰かのために」が原動力。特別なスキルがなくても、優しさがあれば大丈夫
ー最後に、これから江田島市役所を受験しようと考えている学生や求職者の方へメッセージをお願いします。
橋本: ルーティンワークに見えて、実はすごく人間味あふれる仕事です。 人と話すのが好きな人、地域の中に飛び込んでみたい人には、ぴったりの職場だと思います。
山本: 書店員からの転職組ですが、特別な専門知識がなくても、入庁してから学べば大丈夫です。江田島市は海も山もあって、人も温かい、本当に住みやすい街です。Uターンの方も、Iターンの方も、まずは一度、江田島市に遊びに来て、その空気を感じてみてほしいですね。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)
「窓口業務」という事務的な手続きの先にある「市民の生活」を大切に思う気持ちが伝わってくるインタビュー。人生の節目となる戸籍の届出から、日々の年金相談まで、仕事は多岐にわたりますが、その根底にある江田島市ならではの「人懐っこい温かさ」を感じました。



