広島県江田島市役所、総務課人事担当者のインタビュー記事です。島ならではの穏やかな環境だけでなく、令和7年度から導入された「地域手当」による給与水準の向上や、月平均8.7時間という残業時間の少なさなど、数字で見る「働きやすさ」や、インターン生からも「一番雰囲気が良い」と言われる職場のリアルについて、根掘り葉掘り伺いました。
新設された「地域手当」と経験者への厚遇
ー本日は江田島市役所の「働きやすさ」や「福利厚生」について、具体的な数字を交えながら深掘りさせてください。まずは給料について。令和7年度から大きな変化があったと伺いました。
採用担当:給与における「地域手当」が新設されました。人事院勧告や物価高騰、そして地域の民間賃金水準を考慮して導入が決まりました。具体的には、給料等の4%が上乗せして支給されることになります。
ー4%の上乗せは大きいですね! 具体的に初任給はどれくらいになるのでしょうか?
採用担当: 令和8年4月採用の大卒(22歳)の場合で試算しますと、基本給が225,600円。これに地域手当の約9,024円が加算されるので、合計で月額234,624円程度となります。
ーそれは魅力的ですね。最近増えている「社会人経験者採用」の場合、給与はどう算定されるのですか?
採用担当: 民間企業等での職務経験も、しっかりと換算させていただきます。 例えば、大学卒業後に民間企業で約16年間フルタイム勤務された方が入庁した場合、基本給と地域手当を合わせて月額33万2,000円前後(基本給319,300円+手当)からのスタートとなります。
もちろん、前職の年収によっては下がるケースもあるかもしれませんが、江田島市での生活コストや後ほどお話しするワークライフバランスを考えれば、十分に魅力的な条件提示ができているのではないかと思います。
「帰れるなら早く帰りなさい」。月平均残業8.7時間が示す、形だけじゃない定時退庁文化

ー続いて、働き方についてお伺いします。公務員といえば部署によっては激務というイメージもありますが、実際のところ残業時間はどれくらいですか?
採用担当: 直近のデータ(令和6年度実績)になりますが、全庁的な月平均の時間外勤務は「8.7時間」です。
もちろん、災害対応や選挙、予算編成の時期など、部署や時期によっては忙しくなることもあります。ただ、庁全体でならすとこの数字です。 江田島市役所には、「帰れるときは早く帰りなさい」という文化が根付いているんです。
管理職である課長クラスが積極的に部下に声をかけていますし、昔のような「残業している人が偉い」「付き合い残業をする」といった古い習慣はありません。
ー制度として取り組んでいることはありますか?
採用担当: 毎週水曜日を「ノー残業デー」に設定しています。定時になると庁内放送で総務課から呼びかけを行い、定時退庁の空気作りを意識しています。強制的に電気を消すようなことはしていませんが、メリハリをつけて働く意識づくりに努めています。
「15分単位」の休暇。子育て世代を支える柔軟な制度
ー休暇制度についてはいかがでしょうか? 有給休暇の取得状況などを教えてください。
採用担当:これはどの自治体もですが、年次有給休暇は年間20日付与され、使いきれなかった分は翌年に繰り越すことができます(最大40日)。 平均取得日数は年間12日程度ですね。
これに加えて、夏休みとして夏季休暇5日間が別途付与されるので、合わせると年間17日程度は皆さん休まれている計算になります。
ー有給休暇の取りやすさについてはいかがですか?
採用担当: 非常に取りやすい環境だと思います。制度面でも改善を行いまして、以前は「1時間単位」だった時間休を、現在は「15分単位」で取得できるようにしました。 例えば、「保育園の送迎で朝15分だけ遅れたい」「夕方、病院に行くために15分早く上がりたい」といった時に、無駄なく有給を使えるようになったので、職員からは好評です。

ー子育て支援の面で、男性職員の育休取得状況はどうなっていますか?
採用担当:目標は85%ですが、まだまだ数値は低いです。ただ、育休とは別に、出産時に取得できる「特別休暇(配偶者出産休暇2日+育児参加休暇5日)」に関しては、対象となる男性職員のほぼ100%が取得しています。
「育休」という長期の休みにはまだハードルを感じる職員もいるようですが、出産のタイミングではしっかりと休みを取り、家族をサポートする体制は整っています。令和7年度は、7割~8割の取得率になりそうです。
カウンセラーとの連携に復職支援。メンタルヘルスケアへの本気度
ー他にどのような取り組みをされていますか?
採用担当: 近年、全国的にもメンタルヘルスの不調で休職する公務員が増えているので、職員の心のケアには力を入れています。 具体的には、外部の公認心理師さんと契約し、毎月1回、市役所に来ていただいています。希望者は業務時間中に個別面談を受けることができますし、もちろん相談内容は職場には漏れません。
ー業務時間中に相談できるのはありがたいですね。
採用担当: 仕事の悩みだけでなく、家庭のことやプライベートな悩みでも何でも相談していいことにしています。 また、もし休職してしまった場合でも、いきなり現場復帰させるのではなく、「リワークセンター」などの専門機関と連携し、生活リズムを整え、試し出勤を経てから正式に復帰するというプログラムを組んでいます。
「休んだら復帰が難しい」ではなく、リスタートできる環境を整えることが、組織としての責任だと考えています。
「インターン生が選ぶNo.1」。江田島市役所の最大の武器は“人”
ー研修制度やキャリアアップの仕組みについて教えてください。
採用担当: 新規採用職員には、入庁直後に先輩職員が講師となって行う庁内研修があります。その後も広島県の自治体研修所での研修や、階層別研修、コンプライアンス研修、DX研修など、学びの機会は豊富に用意しています。
メンター制度のような形式はありませんが、そもそも職員数が350名程度とコンパクトな組織なので、「隣の席の先輩が新人の面倒を見るのは当たり前」という空気が自然とあります。
ー職場の雰囲気についてはどう感じていますか?
採用担当: 実はこれが一番のアピールポイントかもしれません。 今年度、複数の自治体のインターンシップに参加した学生さんがいたのですが、その方が「江田島市役所が一番、職員さんが明るくて親しみやすかった」と言ってくれたんです。
その学生さんは体調を崩してプログラムの一部に参加できなかったのですが、後日、個人的にその施設を訪問してくれたそうです。そうしたら施設の館長が丁寧に対応してくれて、さらに総務課にも顔を出してくれて……。「人の温かさ」に感動して帰ってくれました。
職場説明会でも「職員との距離が近い」という感想をよくいただきます。数値化できない部分ですが、この「人間関係の良さ」こそが、江田島市役所の最大の強みだと確信しています。
DXで変わる窓口、船で座って通勤。意外と知らない江田島の「今」と「利便性」
ー最後に、これからの江田島市役所の変化や、その他の魅力について教えてください。
採用担当: 今、市役所ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めています。 将来的な構想にはなりますが、ワンストップ窓口の開設や、LINEをつかったオンライン申請を拡充したりすることで、窓口の業務をスリム化しようとしています。
また、来年度からはマイナンバーカードを使ったコンビニ交付も導入予定です。 これにより、市民の方の利便性を上げつつ、職員の事務負担を減らし、働きやすい環境をさらに整備していく予定です。
ー通勤面でのメリットもあるとか?
採用担当: はい。江田島市は島ですが、広島市や呉市からのアクセスは意外と便利なんです。 特に広島市から通勤する場合、船やバスなどを利用することになりますが、通勤ラッシュの時間帯でも座ってゆっくり移動できるんです。これは船通勤ならではの隠れたメリットだと思います。もちろん呉市からは橋も繋がっていますし、通勤手当や住居手当(最大28,000円)もしっかり出ます。
もちろん江田島に住んでいただくことがベストですが、他の市からも通えるという魅力が江田島市にはあります。是非、様々な方にも気軽に応募していただきたいです。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)



