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江田島市役所

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【2人の建築技師の入庁ストーリー】発注者として建物の一生に関わる仕事と働き方

江田島市役所

2026/07/01

 「家族に割ける時間が増えました」

 

そう穏やかに語るのは、江田島市役所都市整備課で建築技師として働く入庁4年目の新庄さん。大学の建築学科で建築の構造や意匠、製図や施工について学んだ後、民間の建設会社に就職し、施工管理として広島県内のさまざまな現場を15年にわたって歩んできた。第一子誕生を機に働き方を見直し、地元・江田島市役所の社会人採用に応募した。

 

同じ都市整備課で13年のキャリアを積む川野上さんは、工業高校・建築系大学で建築の構造や意匠、製図や施工を学んだ後、市の嘱託職員として2年間勤務。平成25年度に建築技師の採用枠を得て正規職員となった、生え抜きの建築技師だ。

 

今回は、建築技師の仕事内容や職場の雰囲気、民間との働き方の違いについて、お二人にたっぷりとお話を伺いました。


  

施工管理15年で転職、嘱託から建築技師へ。2人の異なる入庁ストーリー

 

ーまずは、入庁のきっかけをお聞かせください。

 

川野上: 私は江田島出身で、ずっと地元で仕事をしたいという思いがありました。ただ、当時は江田島市に建築技師の採用枠がなくて。一般事務で応募することもできたんですが、高校と大学で建築を学んできたので、せっかくなら建築に関わる仕事がしたくて。そんな中、しばらくぶりで建築技師の採用枠ができたので、応募しました。

 

ーそれまでは嘱託職員として勤務されていたんですね。

 

川野上: はい。下水道課で2年間働きながら、公務員試験の勉強もしていました。「3、4年を目途に公務員を目指して、難しければ民間へシフト」という気持ちでいたんですが、ちょうどそのタイミングで建築技師の採用枠が出たので、いい機会だと思って受けました。

 

ー新庄さんは、民間での勤務が長かったですね。

 

新庄: 私も江田島の出身で、転職を考えたのは、1人目の子供が生まれたタイミングです。ワークライフバランスも見直したいと思っていたときに、ちょうど江田島市で建築技師の社会人採用の募集があって、挑戦してみようと思いました。

 

発注者側の目線で、建物の一生に関わる。都市整備課の建築技師の仕事

 

ー都市整備課の建築技師は、どのような仕事をするのでしょうか。

 

川野上: メインは、市の公共建築工事の設計業務の発注と、工事の監理です。新築や改修、解体工事の設計を外部委託して、成果品を確認しながら進めていきます。設計ができ上がったら入札を行い、工事を発注して、完成まで監理していく流れです。工事の規模によっては、自身で設計する場合もあります。

 

ー民間の施工管理と、発注者としての仕事はどう違いますか?

 

新庄: 民間では、設計が終わった段階で発注されて工事を請け負い、建物を建てていくのが仕事でした。市役所は発注者側なので、設計段階から関わります。現場に出て管理する時間よりも、事務的な仕事の割合が多くなりますね。同じ建物を建てるプロセスでも、立場がまったく違います。

 

ー年間を通じて、仕事の流れはどう変わりますか?

 

新庄: 年度制なので、春先の4月〜5月は入札や発注の事務仕事が多くなります。工事が決まると夏から冬にかけて現場の管理が中心になって、1月~3月は検査書類の整理や翌年度の発注準備が増えていく感じです。8割近くはこのパターンです。

 

ー工事の担当はどのように決まるんですか?

 

川野上: 年間の工事件数に応じて、技師の間で均等に割り振ります。1人が主担当として案件を持ちながら、副担当がサポートに入る体制です。設計業務も含めると、年間50件近くになることもあります。

都市計画マスタープランまで担当する。入庁してわかった仕事の幅と学び方

 

ー工事の管理以外にも、業務はあるんですね。

 

川野上: そうですね。係の中では、工事とは別に公園やポンプ場などを担当する人がいて、業務を分担しています。私は工事全体のスケジュール管理を担当しながら、都市計画マスタープランのような計画策定業務でサブに入ることもあります。

 

新庄: 私は工事担当に加えて、昨年度は10年に1度の都市計画マスタープランの改定を主担当として進めました。業務を外部委託して、受注者と打ち合わせをしながら計画を作っていきました。

 

ー民間での経験にはない業務ですね。

 

新庄: そうです。設計発注や入札のルールも含めて、知らないことだらけで始まりました。最初は、過去の似た案件の書類を読み込んで覚えていきながら、わからないことは隣の川野上さんにすぐ聞く、という感じでした。

 

川野上: 私は行政での経験が長い分、手続き面は教えられます。その一方で、新庄さんは現場の細かいことをよく知っているので、私が知らないところを教えてもらうこともあって。お互いの経験を補い合いながら仕事をしていますね。

 

ー入ってみて、想定と違った部分はありましたか?

 

新庄: 民間では設計が終わった段階から仕事が始まるので、設計業務を発注して進めていくというプロセス自体、ほとんど知らない状態でした。「こういう流れで市役所の建築の仕事は進むんだ」というのは、入庁してから1から理解していきました。

行政経験と現場経験で補い合う職場。育休も、定時退勤も当たり前の働き方

 

ー職場の雰囲気はいかがですか?

 

川野上: 係内で定期的にミーティングを設けて情報共有しているので、相談がしやすい環境だと思います。仕事以外の話もしますし、気軽に聞ける関係性がありますね。

 

新庄: 入庁したとき、年齢的には自分の方が上の場合もあるんですが、「新入社員の気持ちで」と割り切って、わからないことはどんどん聞きに行きました。川野上さんも上司の方も、丁寧に教えてくれましたし、事前に「ここは気をつけた方がいい」とアドバイスしてもらえて、助かりました。

 

ーワークライフバランスはいかがですか?

 

新庄: 民間にいたころと比べると、残業はほぼなくなりました。土日祝日もしっかり休めていて、日々の業務の中での残業はほとんどないです。子供が生まれてから、家族に割ける時間が本当に増えました。

 

川野上: 突発的なことがあれば対応しますが、それ以外では残業はほとんどないです。私も昨年子供が生まれて、育休を取らせてもらいました。新庄さんも取られていたので、タイミングをずらしながらお互いの業務を支え合って。職場も育休取得を積極的に推進してくれているので取りやすいですし、子供が小さいうちは定時に帰りたいと思えば、業務の割り振りも考慮してもらえます。

 

ー最後に、江田島市の建築技師を目指す方へメッセージをお願いします。

 

川野上: 建築技師として応募するとなると、資格がないと難しいとか、建築を専門的に学んでいないといけないと思われる方もいるかもしれません。実際には、入庁してしまえば経験豊富な先輩がたくさんいるので、学校を卒業したばかりの方でも、入ってから学んでいける環境があります。入ってしまえばなんとかなります。みんな、優しいですよ。

 

新庄: 民間での建築経験を持つ方には、市役所の建築技師という働き方をぜひ知ってほしいです。受注者と発注者で立場は変わりますが、民間で培ったノウハウをしっかり活かせる仕事です。ワークライフバランスも含めて、転職してよかったと感じています。

 

ー本日はありがとうございました。

画面越しに話してくれたお二人の言葉には、どちらも実感がこもっていた。川野上さんが13年かけて積み上げてきた行政の流れと、新庄さんが現場で磨いてきた施工管理の技術が、日々の仕事の中で自然に交わっている。「入ってしまえばなんとかなる」というのは、そういう職場があってこその言葉だろう。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)

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