「ずっと前橋で育ってきたからこそ、この街に貢献したい」そんな真っ直ぐな想いを胸に、令和7年度に前橋市役所へと入庁した大澤さん。現在は情報政策課統計分析係に所属し、入庁早々、5年に一度の大規模調査である「国勢調査実施本部の事務局員」という大役にも挑みました。
入庁前には前橋市役所で会計年度任用職員を経験し、市役所の内側を少しずつ知るステップを踏んできた大澤さん。しかし、正規職員として飛び込んだ現場には、想像を遥かに超える「熱気」と「変化」がありました。膨大な事務量に圧倒されそうになりながらも、大澤さんを支えたのは「係員全員で新人を育てる」という、驚くほど温かなチームの絆でした。
「前橋市役所は、堅いイメージを良い意味で裏切ってくれる場所」と語る大澤さんの言葉から、伝統ある大きな自治体でありながら、柔軟に、そして一丸となって未来へ進もうとする前橋市役所の本質に迫ります。
- 生まれ育った前橋への恩返し。教員志望から行政の道へ
- 5年に一度の「国勢調査」。膨大なデータと向き合った怒涛の日々
- 「係員全員が指導員」。支えられた理想の人間関係
- 「集める」から「活かす」へ。統計データの可能性を広げたい
- 未来の仲間へ。変わり続ける市役所で、共に挑戦を
生まれ育った前橋への恩返し。教員志望から行政の道へ
ー 大澤さんは、生まれも育ちも前橋市だとうかがいました。やはり地元への愛着は強かったのでしょうか?
大澤: そうですね。大学も市内の群馬大学共同教育学部に進学しましたし、人生のほとんどを前橋で過ごしてきました。よく「外に出たいと思わなかったの?」と聞かれるのですが、私にとっては前橋の「バランスの良さ」がすごく心地よかったんです。
都会すぎると疲れてしまうけれど、買い物や生活に不便を感じるような田舎でもない。自分にとって一番馴染みがあって、生活しやすいこの街で、ずっと暮らしていきたいという思いが根底にありました。
ー 最初は教員を目指されていたとのことですが、なぜ市役所の仕事に興味を持ったのですか?
大澤: もともとは、自分が提供したサービスの反応や、仕事の結果がすぐ近くで感じられる環境で働きたいと考えていました。教員はまさに子供たちの成長を間近で見られる素晴らしい仕事ですが、勉強を続ける中で教育現場の課題なども見えてきたんです。
課題に向き合っていくうちに、「現場を支える仕組みそのものを変えられるのは、行政ではないか」と考え、いつしか市役所を志望するようになりました。

ー 入庁される前に、会計年度任用職員として市役所で働かれていたそうですね。
大澤: はい。公務員浪人をしていた1年間のうちに、まずは保健予防課で窓口業務を2ヶ月ほど。その後、介護保険課で育休代替職員として4ヶ月ほど勤務しました。
正規職員になる前に市役所の内部を経験できたのは、私にとって大きな財産です。特に市役所の「スピード感」には驚かされました。
ー 具体的に、どのようなところに驚かれたのですか?
大澤: 介護保険課での経験なのですが、市役所ってもっと「前例踏襲で、昔ながらのやり方をずっと守っている」というイメージがあったんです。でも、実際にはシステムを積極的に活用して、どんどん新しいやり方を取り入れていく文化がありました。
「こんなにスピード感を持って物事が変わっていくんだ」というのは、良い意味でのギャップでしたね。
5年に一度の「国勢調査」。膨大なデータと向き合った怒涛の日々
ー 現在の所属である「情報政策課統計分析係」で、特に印象に残っている業務を教えてください。
大澤: 1年目を振り返って、何と言っても一番大きな経験だったのは「国勢調査」の事務です。これは5年に一度行われる非常に重要な調査なのですが、前橋市のような大きな自治体では、扱うデータの量も膨大です。
私たちは調査の「本部」として、地域を回ってくださる調査員の方々の手配や、上がってきた回答のチェック、国や県への報告などを行いました。

ー 国勢調査といえば、事務量がとにかく多い印象ですね。
大澤: 本当に、想像を絶するような情報量でした(笑)
最近はインターネットによる回答も導入されていますが、それでも最終的には紙の書類が大量に集まってきます。それを一つ一つ、数値が正しく反映されているか、漏れがないかをチェックしていくんです。
係員が10名ほどいたのですが、一番忙しい時期は、朝から晩まで全員でひたすら数字と向き合う毎日が続きました。
ー 一般的にイメージされるような市役所の業務とは、また違う大変さがあったのではないですか?
大澤: そうですね。統計業務は一つのミスも許されない「精度の積み上げ」です。そんなザ・デスクワークな業務の一方、調査員の方から「この場合はどう書けばいいの?」という問い合わせの電話も頻繁にかかってきます。
自分自身が制度を完璧に理解していないと答えられませんし、相手が納得できるように説明するのはとても難しかったです。わからないことは一旦保留にして調べて、自分も相手も納得できるまで向き合う必要があります。
大変だったものの、今振り返ってみるとそういった「新しいことを吸収し続ける」濃密な時間でした。
「係員全員が指導員」。支えられた理想の人間関係
ー 非常に忙しい時期を乗り越えられた原動力は何だったのでしょうか?
大澤: それはもう、間違いなく職場の「人間関係」です。
私が1年目として入庁したとき、何から何までわからないことばかりだったのですが、前橋市役所には新人一人に対して特定の先輩がつく「指導員制度」があります。でも、私の部署ではその担当の先輩だけじゃなく、係員全員が私を育てようという空気でいてくれたんです。

ー 「係員全員が指導員」というのは心強いですね。
大澤: 本当に助かりました。国勢調査の本部としてのピリピリした空気の中でも、私が質問すれば皆さん快く手を止めて教えてくださいました。上司や先輩方もすごく柔軟で、若手の意見も否定せずに聞いてくれるんです。
最近は「若手に気を使い過ぎて上司が苦労する」なんて話も聞きますが、ここではお互いに最大限の配慮をしつつ、円滑にコミュニケーションが取れる環境でした。
このメンバーだったからこそ、あの過酷なスケジュールを無事に完走できたのだと心から思っています。
ー 忙しい時期のワークライフバランスはどうでしたか?
大澤: 正直に言うと、10月から12月にかけての調査ピーク時は、かなりの残業時間になりました。でも、それはずっと続くわけではなく「1月に県へ提出すれば終わり」というゴールが明確に見えていたので、係全体で「ここだけ頑張ろう!」と団結して乗り越えられましたね。
一段落ついた1月中旬以降は、ほとんど残業もなく定時で帰れています。有給休暇もすごく取りやすくて、係でも互いに休みを調整しつつ、自由に休みを取得できるような雰囲気です。オンとオフのメリハリがしっかりしているのも、前橋市役所の魅力だと思います。
「集める」から「活かす」へ。統計データの可能性を広げたい
ー 1年目の大きな山を越えて、ご自身の成長を感じる部分はありますか?
大澤: 「人間関係の構築」と「コミュニケーション能力」の重要性を痛感し、少しずつ磨けてきたかなと思います。
統計の仕事は、自分たちだけで完結するものではありません。調査員の方々はもちろん、他部署の職員や県、国とも連携しなければなりません。相手に無理をさせず、でも必要なことはしっかりと伝え、協力してもらう。忙しい中でも、相手への配慮を忘れないことの大切さを学んだ一年でした。
ー 現在は、どのような業務に力を入れているのですか?
大澤: これまでは「データを正しく集めること」が主な目的でしたが、現在は「集まったデータをどう活用するか」という分析や発信の業務にも力を入れています。
例えば、他の部署から「こんなデータを施策に活かしたいんだけど、どう使えばいい?」という相談を受けたり、残業時間を減らすためのデータ分析を行ったりと、統計という数字の力を、市役所全体の業務改善や市民サービスの向上に直結させていく必要があります。その新しいフェーズに携われていることに、今すごくやりがいを感じています。

ー まさに、行政を裏側から動かしている感覚ですね。
大澤: そうですね。以前は「市役所は縦割りで、各部署が独立して動いている」と思っていましたが、実際には選挙事務や国勢調査のように、全庁横断で協力し合う場面がたくさんあります。
部署の垣根を超えて一つの目的のために動く。そこで生まれる人との繋がりが、また次の仕事に活きてくる。そんな「横の繋がり」の強さも、前橋市役所に入って知ったうれしい発見でした。
未来の仲間へ。変わり続ける市役所で、共に挑戦を
ー 最後に、これから前橋市役所を目指す方々へメッセージをお願いします。
大澤: 公務員に対して「堅い」「前例踏襲」というイメージを持っている方も多いかもしれません。でも、前橋市役所は今、ものすごいスピードで変わろうとしています。
情報政策課のように新しい技術やデータを取り入れる動きは、全庁に広がっていますし、若手の意見を歓迎する土壌もあります。
ー 「今のイメージ」だけで判断してほしくない、ということですね。
大澤: はい。私自身がそうだったように、入ってみて初めてわかる「面白さ」や「温かさ」がここにはあります。自分がこの街をどう変えていきたいか、入ってから何をしたいかという「一歩先」のワクワクを持てる方にとって、前橋市役所は最高のフィールドになるはずです。
一緒にこの街を支え、変えていける仲間が増えるのを楽しみにしています!

ー 本日はありがとうございました。
「市役所は、想像以上にエネルギッシュな場所でした」と語る大澤さん。生粋の前橋っ子としてこの街を愛する大澤さんの言葉からは、単なる地元への愛着を超えた、市職員としての「覚悟」が伝わってきました。
特に印象的だったのは、国勢調査という過酷な業務を振り返る際に出た「係員全員が私を育ててくれた」というエピソードです。効率化が進む現代だからこそ、人を一人にさせない温かなチームワークが、最も強力な武器になる。大澤さんの柔らかな笑顔の裏側には、そんな前橋市役所が大切にしている「人の絆」がしっかりと根付いているのだと感じた取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年4月取材)



