「民間企業で培った経験やスキルを、もっと直接的に、顔の見える誰かのために活かしたい。」そう考えたことはありませんか?
青森県の中央部に位置する黒石市で、前職の経験を活かしながら地域に深く貢献し、子育てとの両立も実現している職員がいます。
今回は、医薬品の卸売業で販売事務として12年以上勤務した後、黒石市役所に転職した佐藤さんにお話を伺いました。
なぜ公務員という道を選んだのか、民間企業とは異なるやりがい、そして黒石市で働く魅力など、これから新たなキャリアを考えるすべての方へのヒントが詰まったインタビューです。
民間企業から公務員へ~新たなキャリアの扉を開く
ーこれまでのご経歴と、公務員を目指したきっかけについてお聞かせください。
佐藤:私は北海道釧路市で生まれ、青森県弘前市で育ちました。弘前市内の小中高を卒業後、弘前市内の医薬品卸売業の会社に入社し、そこで約12年間、販売事務として勤務しました。
公務員への転職を考えたのは、結婚を機に黒石市に住み始めたことが大きなきっかけです。
ライフイベントで市役所に訪れる機会が増え、そこで窓口で市民の方と直接向き合い、対応する職員さんの姿を見て、とても魅力を感じました。
前職では電話対応が多く、お客様の顔が見えない中で対応することが多かったので、より市民の方と直接関われる仕事がしたいという思いが強くなりました。
また、市民の皆さんの人生に関わる大切な節目の手続きに携われることにやりがいを感じるだろうと思い、公務員への転職を決意しました。
ー数ある自治体の中で、黒石市を選んだ理由は何だったのでしょうか。
佐藤:もちろん他の自治体も検討しましたが、やはり黒石市で子育てをしていく中で、自分自身の生活の拠点となるこの市に貢献したいという思いが一番でした。
黒石市に住み始めたばかりの頃は、この地域のことをまだあまり知らなかったのですが、お祭りやイベント、豊かな歴史のあるものがたくさんあることを知りました。
それらを仕事を通じて市民の方々、特に自分の子どもたちにも知ってもらい、地域の魅力を広めていきたいという気持ちが、黒石市を選ぶ決め手になりました。
ー公務員になる前は、どのようなイメージをお持ちでしたか?また、入庁されてからそのイメージとのギャップはありましたか?
佐藤:正直なところ、公務員になる前は「お堅い仕事」というイメージが強く、窓口でもぶっきらぼうな対応をされるのではないかと、少しマイナスなイメージを抱いていました。
しかし、実際に入庁してからのギャップは本当に大きかったです。市役所に初めて来た時、入った瞬間から受付の方が笑顔で声をかけてくださり、手続きもスムーズに進みました。
職員の方々も、私の抱いていた暗いイメージとは全く違い、明るく気さくな方がとても多く、日々楽しく仕事ができていることに驚き、そして感謝しています。

子育てと仕事の両立~黒石市役所の働きがい
ー入庁後の配属先と、現在の担当業務についてお聞かせください。
佐藤:入庁後、最初は「福祉総務課 こども未来係」に配属されました。
そこでは保育園の入退所手続きや、特別児童扶養手当に関するを主に担当していました。
その後、機構改革があり、「子育て支援課 子育て支援係」に配属が変わりましたが、業務内容はほぼ同じで、現在はひとり親家庭の医療費助成や児童扶養手当を主に担当しています。
ー1日の業務の流れや、繁忙期の様子について教えてください。
佐藤:朝出勤すると、まず前日に受付があった書類の整理から始めます。医療費助成の申請書類の医療費計算、入力、領収書を貼り付けての整理などを行います。
その他、児童扶養手当やひとり親医療費の新規申請の認定作業として、書類の内容を一つ一つ細かくチェックしていく作業も行います。これらが主な内勤業務です。
繁忙期は事業によって異なります。ひとり親家庭関連の事業では、年に一度の現況届の時期である7月から8月が特に忙しいです。
また、1月には保育園の新年度受付や放課後児童クラブの受付も始まるため、約900人分の子どもたちの手続きに対応しなければなりません。多い日には100件ほどの窓口対応をすることもあります。
これらの業務は、私を含め係内の6名の正規職員で協力し合いながら進めています。
ー市役所の仕事を通じて、どのような時にやりがいや達成感を感じますか?
佐藤:やりがいを感じるのは、やはり「子育て」という自分の経験と密接に関わる係で働いていることです。
市民の方々とお話をする中で、自分の経験を踏まえてアドバイスができたり、逆に市民の方から子育ての悩みについてぼそっと話してもらうこともあります。
何気ない会話ができる関係性を築き、市民の方と信頼関係が深まった時に「この仕事をしていて良かったな」と強く感じ、達成感を得られます。
また、窓口業務ではお子さんを連れて手続きに来られる保護者の方も多くいらっしゃいます。保護者の方が手続きをしている間、お子さんとコミュニケーションを取れる時間も、私にとっては良い息抜きであり、癒しの時間となっています。
ー特に記憶に残っている業務や、印象的なエピソードがあれば教えてください。
佐藤:昨年、新しい庁舎である「わのまちセンター」が開設され、窓口業務が全てそこに集約されました。
それに伴い、「書かない窓口」というシステムが導入されたのですが、その導入に際して私自身も様々な会議やワークショップに参加させていただく機会がありました。
実際に市民の立場になって窓口での手続きを体験することで、市民目線での課題や改善点が見えてきました。
それを係の職員全員で議論し、改善に向けて取り組めたことは、非常に良い経験として記憶に残っています。
市民サービスの向上に貢献できた実感があり、とても印象的でした。

風通しの良い職場環境とワークライフバランス
ー公務員として働く上で、大変だと感じることや、苦労された経験はありますか?
佐藤:公務員になって初めて経験したのが「予算編成」でした。自分が担当する事業の予算を考えながら業務を進めるというのは、前職で経験したことがなかったため、最初の頃は非常に苦戦しました。
予算だけでなく、契約業務など、全ての事務処理を自分で行わなければならないため、その責任の重さや業務の幅広さに大変さを感じています。
また、民間企業と比べると、自治体ではまだアナログな部分が多いと感じることがあります。
特に驚いたのは、何をするにも起案書を作成し、紙ベースで手続きを進める文化が強く残っていたことです。全ての決裁を紙で行うのは、民間企業にはあまりなかったことなので、入庁当初はかなり戸惑いました。
今後、DX化がさらに進み、ペーパーレスで仕事ができる環境が整っていくことを期待しています。
ー黒石市役所の職場の雰囲気や働きやすさの面はいかがですか?
佐藤:職場の雰囲気は非常に良く、何でも相談しやすい環境が整っています。先輩方は様々な部署での経験をお持ちなので、本当に知識が豊富でいらっしゃる方が多く、困った時は一人で悩みを抱え込むことなく、すぐに相談できます。
また、ワークライフバランスに関しても素晴らしい環境だと感じています。課長を含め、職員の皆さんが積極的に有給休暇などを取得されているので、メリハリをつけて仕事をしている雰囲気があります。
さらに、子の看護休暇はもちろん、妻の出産時には夫も特別休暇を取得できる制度があり、職員が生活を充実させながら働けるような制度が整っています。
私自身も子どもがいるため、突発的に休まなければならない時があるのですが、快く受け入れてくれる職場の雰囲気にとても助けられています。
残業に関しては、繁忙期は担当業務によっては増えることもありますが、その分、業務が落ち着いた時期にはリフレッシュのためにお休みを取る職員も多いです。
また、忙しい職員を放置せず、係全体で協力し合いながら業務に取り組む文化が根付いています。一人に負担が集中することなく、チームとして助け合える環境は本当に心強いです。

未来への展望と求職者へのメッセージ
ー黒石市役所で働く魅力や、この自治体ならではのアピールポイントがあればぜひお願いします。
佐藤:黒石市役所で働く最大の魅力は、やはりこの地域の豊かな文化や自然を肌で感じながら仕事ができることです。
「黒石よされ」や「中野もみじ山の紅葉」など、四季折々の美しい景色を楽しめるイベントが有名で、そういったイベントの企画・運営に職員が携わる部署もあります。
黒石市の魅力を感じ、それを自分の仕事を通じて発信できるというのは、非常にやりがいがありますし、この市で働く大きなアピールポイントだと感じています。
ー最後に、民間企業からの転職や、公務員を目指している方々へメッセージをお願いします。
佐藤:自治体の行政職では、担当課によって本当に様々な業務に携わることができます。その中で、民間企業で培ってきた皆さんの知識や経験を活かせる場が必ず見つかるはずです。
もちろん、毎年担当が変わることもあり、日々勉強で民間企業時代よりも大変だと感じる部分もあるでしょうが、その分、大きなやりがいや達成感を強く感じることができます。
私たちと一緒に、もっともっとこの黒石市を居心地の良いまちにしていくために、地域への熱い思いを持った方と一緒に働けたら嬉しいです。
ぜひ、私たちと一緒に黒石市の未来を創っていきましょう!

ー本日はありがとうございました。
佐藤さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
民間企業での豊富なご経験を活かし、黒石市の子育て支援に情熱を注ぐ佐藤様のお姿は、まさに地域に寄り添う公務員の鑑だと感じました。特に、市民の方々と直接触れ合い、子育ての悩みを共有する中で生まれる共感と信頼関係のお話は、大変心温まるものでした。
子育てと仕事を見事に両立しながら、常に前向きに学び続ける佐藤さんから、私たちも多くの学びをいただきました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年11月取材)



