「もし民間企業に進んでいたら、これほど形に残る達成感は得られなかったかもしれません」
そう力強く語るのは、愛知県東浦町役場で技術職(土木)として働く入庁16年目の高浪さん。
高校時代、民間インフラ企業への就職を志望していたものの、恩師からの強い勧めで進路決定ギリギリのタイミングで東浦町役場へと進路を変更。
入庁後は道路の維持管理から公園の設計、愛知県庁への出向、そして現在の水道管整備まで、幅広い土木業務の最前線を駆け抜けてきました。
「計画から施工まで一貫して携われるのは、行政の技術職だからこそ味わえる特権です」。
今回は、土木職・技術職を志す大学生や第二新卒の皆さんに向けて、役場の技術職の仕事内容や苦労、事務職との連携、そして県内トップクラスと言われる東浦町役場のワークライフバランスについて、高浪さんにたっぷりとお話を伺いました。
- 「絶対民間」の決意を変えた、恩師の熱意とインフラへの想い
- 道路、公園、水道。完成した景色がすべての苦労を吹き飛ばす
- 職員数約300人の規模ならではの温かさ
- 1年目から年休取得は当たり前。根付いている「休む文化」
- 計画から施工まで一貫して携わる。まちを創る主役になろう
「絶対民間」の決意を変えた、恩師の熱意とインフラへの想い
ー高浪さんの自己紹介と東浦町役場に入庁された経緯を教えてください。
高浪:出身は東浦町の隣の半田市で、小中高とずっと野球や柔道、水泳などスポーツに打ち込んでいました。高校は工業高校の土木科に進学したのですが、実は高校に入った時から「卒業後は絶対に民間企業に就職する」と決めていたんです。
ー具体的に志望していた業界などはあったのですか?
高浪:地元のインフラ企業を志望していました。私の父親が勤めていたこともあり、福利厚生がしっかりしていて、温かい家庭を築ける会社に入りたいと強く思っていました。
ーそこからなぜ、東浦町役場へと進路を変更されたのでしょうか?
高浪:高校3年生の進路決定ギリギリのタイミングで、東浦町から土木技術職の募集が来たんです。それを見た部活の顧問と土木科の先生から呼び出され、「ぜひ受けてみないか」と強く勧められました。
最初は民間企業への思いが強かったので戸惑いましたが、先生方から公務員という仕事の魅力や東浦町の良さを熱心に説明され、完全に「口説き落とされた」形ですね(笑)。
ギリギリのタイミングで公務員に切り替え、ご縁があって入庁し、現在16年目になります。

道路、公園、水道。完成した景色がすべての苦労を吹き飛ばす
ー入庁後はどのような部署を経験されてきたのですか?
高浪:最初は土木課の維持係で5年間、道路の修繕や拡幅工事などを担当しました。その後、公園緑地課で防災公園の詳細設計や遊具の更新に2年携わり、愛知県庁の都市計画課への2年間の出向を経て、町の都市計画課に戻り2年間上位計画である都市計画のマスタープランの策定、新しい道路を作る道路河川課に3年。そして現在は水循環管理課で2年目になります。ここでは、老朽化した水道管を地震に強い管に入れ替える設計などを行っています。
ー多岐にわたるインフラ整備を経験されていますね。技術職としての「やりがい」はどんな時に感じますか?
高浪:やはり「地図や形に残る」ことですね。例えば、車道で自動車と通学の自転車が並走し危険だった通学路に新しい歩道を整備した時のことです。建設会社の方々と苦労して完成させた歩道を、実際に小中学生が安全に通学している姿を見た時は「やって良かった」と心の底から思いました。 また、自分が設計に携わった防災公園で、実際に子どもたちが楽しそうに遊んでいる光景を見た時も、言葉にできないほどの大きな達成感を感じました。
ー逆に、これまでで一番大変だったことは何でしょうか。
高浪:道路を広げたり公園を作ったりする際の「用地交渉」ですね。住民の方の土地を取得し、生活に大きな変化を与えてしまうため、時には厳しいご意見や反対の声をいただくこともあります。 町を良くしたいという思いと、住民の方の生活との間で板挟みになるのは辛い経験でした。
ただ、私はずっと体育会系で育ってきたので、最終的には「なんとかするしかない!」と根性で乗り越えてきましたね(笑)。完成した後の街の姿を想像することで、踏ん張ることができたと思います。

職員数約300人の規模ならではの温かさ
ー技術職というと現場のイメージが強いですが、事務職の職員と関わる機会も多いのでしょうか?
高浪:日常的にたくさんありますよ。例えば、水道メーターに不具合があれば、事務職の方では対応が難しいので私たちが一緒に現場へ確認に行きます。また、用地を取得した際は、協力していただいた方への税金の減免措置のために税務課等へ相談に行きます。 道路工事で通行止めにする際も、周辺に保育園や学校があれば通学路の変更が必要ですし、バス路線の変更やゴミステーションの移設なども発生します。そうした生活に関わる調整は事務職の方の担当になるため、問題なく工事が進むよう、日常的に綿密なコミュニケーションを取っています。
ー県庁への出向も経験されていますが、東浦町役場という組織の魅力はどんなところにあると感じますか?
高浪:東浦町は職員数が約300人と、大きすぎない規模感が魅力です。庁舎内にいる人であれば大体顔が分かりますし、部署を越えて誰にでも相談しやすい環境があります。悩んだ時に一緒に考えてくれる経験豊富な先輩がたくさんいる、良い意味で「こぢんまりとした温かさ」がありますね。
県庁に出向した時は、同じ庁内でも部署が違えば別会社のようで、内線電話も「お世話になります」から始まることに驚きました。東浦町なら「お疲れさま!」とフランクに電話できるので、このアットホームな人間関係は本当に恵まれていると思います。

1年目から年休取得は当たり前。根付いている「休む文化」
ー東浦町は年休取得率が非常に高いと伺っています。
高浪:「休みやすすぎる」くらい取りやすいです(笑)。県内でもトップクラスの年休取得率だと思いますし、連休を取ることも全く珍しくありません。同僚同士でも「休みを取るのが当たり前」という空気ができあがっています。
ーそれは昔からなのでしょうか?
高浪:私が入庁した15年ほど前に、上層部から「最低でも年休を2桁(10日以上)は取ろう」という明確な方針が打ち出されたんです。そこからみんなが目標にして休みを取るようになり、今ではそれが完全に「文化」として定着しました。 私が県庁に出向した際、他市町村から来ている同世代の研修生に「1年目の時から10日くらい年休を取っていた」と話したら、とても驚かれました。
彼らは1桁や片手で数えるほどしか取れていなかったので、東浦町の環境がいかに恵まれているかを痛感しましたね。
計画から施工まで一貫して携わる。まちを創る主役になろう
ー当初志望していた民間企業ではなく、東浦町に入庁して良かったと感じていますか?
高浪:今の仕事で本当に良かったと思っています。もしインフラ系の民間企業に入っていたとしても、今のように「地図に形として残る」実感は得られなかったかもしれません。
行政の技術職の最大の魅力は、道路や公園、街づくりの「計画」から「施工」まで、最初から最後まで一貫して携われることです。計画だけならコンサルタントが、施工だけなら建設会社が行いますが、そのすべてを見届けられるのは役場の技術職だけが持つ特権です。

ー最後に、東浦町の受験を検討している皆さんへメッセージをお願いします。
高浪:東浦町は、市街地がコンパクトにまとまっており、古き良き景観と便利な商業施設、そして豊かな自然が共存する非常にバランスの良い街です。
技術職の仕事は、時にはしんどいこともありますが、「町を良くしたい」「自分が携わったものを形に残したい」という強い思いがあれば必ず乗り越えられますし、大きな達成感を得られます。「街を創る」というスケールの大きな仕事に少しでも興味がある方は、ぜひ東浦町にチャレンジしてみてください。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)



