民間企業でハードな働き方を経験し、家族との時間を大切にしたいと公務員への転職を決意した古谷さん。彼が選んだのは、和歌山県白浜町役場の建築技術職でした。
14年ものキャリアを積み、今や白浜町の公共施設を一人で担う古谷さんが語る、地方公務員の建築職ならではのやりがいや仕事の魅力。
そして、白浜町という観光地ならではの働き方の変化にも着目し、新たな働き方を模索するすべての方へヒントをお届けします。
- 故郷を離れ、Uターンで叶えた「建築職」の夢
- 「町で使うものに、自分が関わる」公務員ならではの仕事のやりがい
- 白浜町の公共施設を担う存在
- 職員が助け合い、協力し合う職場環境
- 仕事とプライベートのバランスが取れる働き方
- 観光地「白浜町」が提供する、唯一無二のキャリア
故郷を離れ、Uターンで叶えた「建築職」の夢
ーこれまでの経歴を教えていただけますでしょうか。
古谷:私は広島県で生まれ、中学1年まで広島で過ごしました。
高校3年生の時までは教師を目指していたのですが、両親からのアドバイスもあって、手に職をつけられる仕事を探し始めたんです。
その時、テレビドラマで建築士が活躍する姿を見て、「これだ!」と直感し、建築の道に進むことを決めました。
大学は広島の学校に進学し、卒業後は三重県の設計事務所でキャリアをスタートさせました。
その後、和歌山県内にある設計事務所や住宅メーカーで経験を積み、2010年に白浜町役場に入庁しました。

「町で使うものに、自分が関わる」公務員ならではの仕事のやりがい
ー古谷さんの現在のご所属と、入庁後の業務内容について教えてください。
古谷:今年で入庁14年目になりますが、入庁以来ずっと建設課都市計画係に所属しています。
建築技術職として、公共施設の改修や新築に係る設計、工事監理などを担当しています。また、白浜町都市計画の変更、それに伴う法規関係の協議などにも携わっています。
年間の業務としては、4月に予算がつき、設計から入札、工事、完成という流れが一般的です。工事によっては年度を跨ぐ大規模なものもあります。
1日の流れは、まず朝礼後、現場の立ち会い等があれば現場に向かいます。
立ち会い等がない日は事務所で設計業務等に集中し、現場の定例会等があれば参加し、業者さんとの打ち合わせを行います。
その後、事務所に戻って設計業務の続きをしたり、都市計画に関する住民からの問い合わせ対応を行ったりします。

ー行政の建築職として働く魅力ややりがいについて教えてください。
古谷:行政の建築職として働く一番の魅力は、民間企業では味わえない「公共性」と「地域への貢献」を肌で感じられることです。
私は役場に入庁して数年後に、町立小学校の建て替え工事を担当したのですが、実はこの小学校、私の娘が通う予定の学校だったんです。
娘が1年生の時に新しい校舎が完成し、「これ、お父さんが担当したんだよ」と伝えることができました。
下の娘も合わせると8年間、自分が携わった校舎に通い続ける姿を見て、本当に誇らしく感じましたね。
自分の仕事が子どもたちや地域住民の生活に密接に関わり、「町で使うものに、自分が関わる」という実感は、大きなやりがいにつながっています。

白浜町の公共施設を担う存在
ー白浜町役場の建築技術職はどのような公共施設を担当しているのでしょうか?
古谷:白浜町役場の建築技術職は、白浜町の様々な公共施設を担当しています。
これまでの実績としては、小学校や中学校といった教育施設から、ITビジネスオフィス、温泉施設、体育館などが挙げられます。
このように、多種多様な建築物に携われるのは、民間企業ではなかなか経験できない公務員ならではの魅力です。



ー現在、白浜町役場には建築技術職は何名いらっしゃるのですか?
古谷:現在、建設課には建築技師が1名しかいません。もう1名の建築技師は上下水道課の管理職なので、実質的に現場の業務を担当しているのは私1人です。(白浜町に建築技師は2名で建設課には現在私一人です。)
工事の規模にもよりますが、年間30件ほどの工事を設計から現場管理まで一人で担当しています。
職員が助け合い、協力し合う職場環境
ー現在の職場の雰囲気について教えてください。
古谷:建設課は「助け合い」の精神が根付いている、非常に良い雰囲気の職場です。
課内には土木係、監理係、そして私が所属する都市計画係がありますが、それぞれ業務内容が異なるため、係内で協力し合うことが重要です。
都市計画係には私を含めて3名の職員がいますが、私以外は事務職なので、建築に関する専門知識を、係に配属されてから事務職の方も勉強しております。
そのため、部署内の職員はもちろん、他部署の職員も一丸となって業務に取り組む体制が整っています。
入庁して14年間、この職場の人間関係に辛さを感じたことは一度もありません。皆で協力し、助け合いながら、日々の業務を乗り越えています。

仕事とプライベートのバランスが取れる働き方
ー白浜町役場の働き方や休暇の取得状況について教えてください。
古谷:白浜町役場では、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。私は中学校に通う娘が2人いるのですが、学校行事にも積極的に参加できています。
年間20日間の有給休暇に加え、5日間の夏季休暇もすべて消化しており、自分の業務を調整しながら、しっかりとプライベートの時間も確保できています。
例えば、「今週の金曜日に休みたい」と思えば、木曜日までに業務を集中させて終わらせるなど、個人の裁量で柔軟な働き方ができるのが魅力です。
観光地「白浜町」が提供する、唯一無二のキャリア
ー白浜町役場の建築技術職を目指す方へメッセージをお願いします。
古谷:白浜町の建築技術職は、民間企業では味わえない多様な経験と、観光地ならではの魅力的な働き方ができる唯一無二のキャリアだと感じています。
繰り返しになりますが、白浜町には、学校、ITビジネスオフィス、温泉施設、体育館など、多種多様な公共施設があり、幅広い建築物に携われます。
また、従来、観光地は「非日常」的なイメージがありましたが、白浜町ではワーケーションといった「日常と非日常の中間」のような新しい働き方にも対応しています。
これはITビジネスオフィスの整備や、空港が近いといった町の特性が大きく関係しており、このような時代の変化に対応した町づくりに携われるのは、白浜町の建築職だからこその魅力です。
私はこれまで民間企業でハードな働き方を経験してきました。しかし、白浜町役場では、仕事とプライベートのバランスを保ちながら、地域に深く貢献できるやりがいを感じています。
もしあなたが「地域のために働きたい」「多様な経験を積みたい」「仕事もプライベートも充実させたい」と考えているなら、ぜひ白浜町役場の建築技術職にチャレンジしていただきたいです。ご応募を心からお待ちしています。

ー本日はありがとうございました。
古谷さんの穏やかで優しい語り口から、仕事と家族に対する深い愛情が伝わってきました。
特に、娘さんがご自身が手掛けた小学校に通っているというエピソードは、地域に根差した公務員の建築職だからこそ得られる、かけがえのない喜びだと感じました。
また、ITビジネスオフィス、温泉施設など、白浜町ならではの公共施設に携われることは、建築職として働く上での大きな魅力ではないでしょうか。
古谷さんのお話を通して、白浜町が単なる観光地ではなく、働く場所としても大きな可能性を秘めていることを実感しました。
地域のために情熱を燃やす方がご応募されることを、心より願っています。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年11月取材)



