志摩市役所主任介護支援専門員の高橋さんのインタビュー記事です。要介護状態になることを予防する「介護予防」に携わる中で、市民の方々が元気を取り戻す瞬間に大きなやりがいを感じている高橋さん。多岐にわたる主任介護支援専門員の役割、チームで支え合う職場の雰囲気、そして志摩市役所で働く魅力についてお聞きしました。
主任介護支援専門員の役割と志摩市役所の体制
ーご経歴についてお聞かせいただけますか
高橋:平成25年に志摩市役所に入庁しました。前職は民間の居宅介護支援事業所で介護支援専門員をしており、社会人としてのキャリアは、ずっと福祉の領域に携わっています。
ー現在、志摩市役所には主任介護支援専門員は何人いらっしゃるんですか
高橋:2名です。介護支援専門員2名と保健師1名の、計5名体制で介護予防支援業務を行っています。所属は介護・総合相談支援課です。
ー高橋さんがされている仕事について詳しく教えてください
高橋:介護予防支援事業所を市直営で運営し、主には要支援の認定を受けた方のケアプランの作成をしています。この部分がほぼ8割から9割と、大部分を占めています。
それに加えて、市内の居宅介護支援事業所の介護支援専門員さんからの困難事例の相談に乗り、保険者が介護給付費が適切に使われているかを調査するケアプラン点検の仕事も行っています。
また、総合相談などで社会福祉士や保健師といった他の専門職と一緒に動くことも役割の1つです。
ー介護支援専門員のお二人とは、やっている仕事に違いはあるんですか
高橋:ケアプラン作成は同じですが、外部の介護支援専門員さんからの困難事例の相談などに対応するのは主任介護支援専門員である私の役割となります。個別の事例のケアプラン作成はみんなで分担しながら行い、外部対応や専門的な支援が必要なケースは私が出ていくという違いが出てきます。
地域を「回る」勤務スタイルと多職種連携
ーお仕事としては、訪問することが多いのでしょうか。
高橋:そうです。大体一人で50人を担当していますが、新規のご相談は来所いただくこともありますが、それ以降は3か月に1回は必ず訪問する形式です。もちろん、それ以外に電話もしますし、必要に応じてご自宅にお伺いすることもあります。
ー志摩市として、何か特徴的な取り組みはありますか
高橋:独自の取り組みとしては、市内の介護支援専門員さん向けの研修会を開いています。年に1回、講師を依頼し実施しています。今年度は、地域包括ケアシステムについて精通された先生による、「ケアプランに求められる思考過程~本人が望む暮らしの実現に向けて~」というテーマで実施しました。
また、市内の医療関係・介護関係全体を対象とする医療と介護の連携の研修もあり、自分たちも参加して積極的に学んでいます。
他にも月1回、包括的ケアマネジメント推進会議として、地域包括支援センターの職員と社会福祉協議会の職員などで勉強会をしています。困難事例などの課題をピックアップして、例えば身寄りのない方への支援をどうするか、買い物に困っている方をどうやって支援していくかなど、毎月テーマを決めてみんなで話し合いをしています。
市内の民間の事業者を含めて、研修や勉強会を通じて、スキルアップ・レベルアップしていくための取り組みは積極的に行っています。

困難事例をチームで解決する体制とやりがい
ー大変な部分はどういった点がありますか
高橋:近年はやはり身寄りのない方の支援や、経済的な面の支援といった困難事例が増えています。そこが一番大変な部分ですね。
だからこそ、他の専門職と相談しながら、課題解決に向けて話し合って相談していく環境があるのはありがたいですね。
ー逆に、この仕事のやりがいや良いところはどういったところが挙げられますか
高橋:要支援者が介護サービスを導入してリハビリなどをした結果、元気になられて卒業されるとすごくやりがいを感じます。私の担当する介護予防の分野では、高齢者の方々がまた地域で活躍できるようになる姿を見られるのが一番の喜びです。
例えば、閉じこもりになり、体力や身体機能が衰えていた方が、リハビリを行い元気になっていく姿など、本当に嬉しい気持ちになります。
チームで支え、地域全体を支える主任介護支援専門員へ
ー志摩市に新たに主任介護支援専門員が入られた場合は、どんな業務から行っていただきますか
高橋:今はケアプランの件数がすごく多いので、それを分け合って対応できるのが一番だと思います。そして、プラン作成がメインでできていない総合相談や、他職種連携、医療介護の連携など、地域全体の包括的な支援にもっと積極的に取り組みたいと思っています。
ー働き方、残業についてはいかがですか
高橋:基本的には、定時にてほぼ帰れています。もちろん、突発的な対応も年に何回かはあります。とはいえ、ワークライフバランスとしては取れていると思います。
ー志摩市で働く魅力は何でしょうか
高橋:職員同士が和気あいあいと年齢関係なく協力し合って取り組んでいる点です。自分のケースのことなどは、気軽に話し合える現場だと思います.
仕事の話題だけでなく、活発なコミュニケーションを通じて業務を進めています。
ー本日はありがとうございました。
本日のお話からは、市民の方々を元気にする「介護予防」への熱意と、その卒業を見送るやりがいを伺いました。チームでの対応や、地域全体の支援を目指す志摩市の専門職連携の取り組みも印象的で、和気あいあいとした職場の雰囲気も、地域を支える大きな力になっていることが伝わってくるインタビューでした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年11月取材)



