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豊岡市役所

 兵庫県豊岡市は日本海側に位置し、多様な文化と自然に恵まれたまちです。一度は野外で絶滅したコウノトリの自然放鳥に成功し、環境創造型農業など環境保全と経済活性化を両立する取組みが進んでいます。  産業は、農林水産業、観光業などが盛んです。  城崎温泉は外湯めぐりが楽しめる歴史ある温泉地で、国内外から多くの観光客が訪れます。出石は城下町の風情を残し、名物の出石そばが有名です。映画『国宝』のロケ地・出石永楽館も人気です。冬は神鍋高原スキー場、夏は竹野浜で四季折々の自然体験が楽しめます。  また、地場産業としては、全国の4大産地の一つであるかばんや出石焼などの生産が行われています。

民間企業から豊岡市役所へ――Uターン転職を経て見つけた、故郷で「自分らしく」挑戦する働き方

豊岡市役所

2026/05/15

兵庫県豊岡市役所で働く木村さんと長続さんのインタビュー記事です。大手メーカーのエンジニア、不動産・商社の営業という経歴を持つお二人は、なぜ故郷へのUターンと市役所への転職を決めたのでしょうか。ジェンダーギャップの解消やふるさと納税といった豊岡市ならではの最前線の業務、そして想像以上に「挑戦的」だった職場のリアルについて、お話を伺いました。

 

故郷・豊岡へのUターンと、市役所という新たな選択肢

ーお二人のこれまでの経歴と、豊岡市役所に入庁されたきっかけについて教えていただけますか。

 

長続:豊岡出身で、約8年間、不動産会社や商社で営業職として働いてきました。不動産業で3年、商社で5年ほど、大阪や兵庫を中心に名古屋や岡山など各地を転々とする日々でしたね。転職のきっかけは、親が高齢になってきたことや、兄妹も全員外に出ていたこともあり、そろそろ故郷に戻るべきかなと考えたことです。

 

木村:私も同じく豊岡生まれ、豊岡育ちです。大学・大学院では工学系を専攻し、修了後は大阪にある大手家電メーカーで3年間、組み込みエンジニアとして働いていました。

前職での仕事も充実していましたが、ふと将来の働き方や暮らし方を見直したいと思ったのがきっかけです。都会での生活に強いこだわりもなかったので、地元に帰るのもいいかなという、比較的軽やかな気持ちでUターンを決めました。

 

ーお二人とも、民間企業でバリバリ活躍されていた中での決断だったのですね。転職先として「市役所」を選んだ際、迷いや抵抗はありませんでしたか。

 

長続:正直なところ、絶対に公務員になりたいという強い執着があったわけではないんです(笑)。ただ、せっかく地元に戻るなら、自分の経験が活かせる場所があればいいなと思い、試しに試験を受けてみて、もし受かるようなら、それは一つの「縁」なのだろうと考えていました。民間企業も並行して見てはいましたが、結果的に豊岡市役所から内定をいただき、「よし、ここで頑張ってみよう」と決心しました。

 

木村:私も似たような感覚です。それまでは「市役所で働く」という選択肢が自分の中にあったわけではありませんでしたが、豊岡市が演劇やジェンダーギャップ対策など、独自の面白い取り組みをしていることは耳にしていました。エンジニアとして培った「手に職」も大事ですが、故郷の面白い挑戦に関われるなら、それも一つのキャリアかなと考えるようになりました。

 

SPI試験の導入が、民間からの挑戦を後押ししてくれた

 

ー公務員試験というと「準備が大変」というイメージを持つ方も多いですが、その点はいかがでしたか。

 

木村:豊岡市の試験はSPIだったので、非常に受けやすかったです。メーカーに入社する際にもSPIは受けていたので、当時の感覚を思い出しながら参考書を軽く見返す程度で済みました。ちょうど前職の繁忙期と試験時期が重なっていて、じっくり勉強する時間は取れなかったのですが、その分、目の前のタスクを淡々とこなす感覚で試験にも臨めました。

 

長続:私もSPIでの受験でした。特別な公務員試験対策に時間を割く必要がなかったので、民間の転職活動と同じような気持ちで挑戦できました。面接も、自分のこれまでのキャリアをありのままにお話しするだけでしたので、準備でパンクするようなことはありませんでしたね。

社会課題の最前線「ジェンダーギャップ解消」に挑む

 

ー木村さんは現在、「多様性推進・ジェンダーギャップ対策課」という、全国的にも注目されている部署にいらっしゃいますね。具体的な仕事内容を教えてください。

 

木村:豊岡市では「ジェンダーギャップの解消」を地方創生の大きな柱の一つに掲げています。性別によって進学や就職、暮らし方の選択肢が狭まってしまう現状を打破し、誰もが自分らしく生きられるまちを目指しています。 具体的には、市内の事業所向けに階層別のワークショップを企画・実施したり、女性のキャリア支援のためのセミナーを開催したりしています。

例えば、妊娠・出産でキャリアを中断せざるを得ない状況にある方々へ、デジタルスキル習得の支援を行い、在宅ワークや起業に繋げるといった活動です。

ー非常に先進的で、かつ答えを出すのが難しい分野ですがいかがですか。

 

木村:「このセミナーで本当に意識が変わるのか」と自問自答しながら、上司や有識者の方々と議論を重ねてプロジェクトを進めています。 ただ、豊岡市はこの分野において非常にスピード感があり、若手にも多くのアウトプットの機会を与えてくれます。先日は松山市で開催されたウェルビーイング関連のサミットで登壇させていただく機会もありました。インプットとアウトプットを繰り返す日々は、エンジニア時代とはまた違った質の成長を実感できています。

営業経験を活かし、地場産業の未来を創る「ふるさと納税」

 

ー長続さんのいらっしゃる「環境経済課」では、どのような業務を担当されているのでしょうか。

 

長続:課としては市内経済の活性化が使命です。その中で私は主にふるさと納税を担当しています。事務的な処理はもちろんですが、私は「攻めの仕事」に重きを置いています。豊岡市の魅力をいかにプロモーションするかという広告戦略の立案や、市内の事業者さんとのリレーション構築が主な仕事です。 

実は鞄の生産数が国内最大級の豊岡市。大手メーカーのOEM生産が主流でしたが、豊岡市の地域ブランドで世界に誇れる「豊岡鞄」や、各社の自社ブランドの魅力を広める為のプロモーションにも力を入れています。

 

ーまさに、民間時代の営業スキルが直結する業務ですね。

 

長続:そうですね。事業者さんの元へ飛び込みで伺い、「一緒にふるさと納税を盛り上げましょう」と提案することもあります。民間時代と違うのは、市の職員として「地域の事業を良くしたい」という純粋な思いで動ける点です。 

先日、とある返礼品を選んだ寄附者の方から、「人生で一番美味しい魚でした。ありがとう」と事業者さんに直接お手紙が届いたんです。それをとても喜んでくださったのが、自分のことのようにうれしく思いました。豊岡の魅力が全国に広がり、それが地元の経済を活性化させる。その循環を肌で感じられるのが、今の仕事の最大の醍醐味です。

「お堅い」イメージを覆す、豊岡市役所のチーム力と柔軟性

 

ー入庁してみて感じた、市役所の「職場としての雰囲気」についてはいかがですか。

 

長続:入庁前は「みんな淡々と、個人主義で仕事をしている」というイメージを持っていました。でも実際は全く違いましたね。皆さん非常に前向きで、部署の垣根を超えた協力体制がしっかりしています。何かあればすぐに助けてくれる温かさがあり、いい意味でギャップを感じました。

 

木村:私も、市役所はもっと縦割りで堅苦しい場所だと思っていました。でも豊岡市には「X-Meeting(エックスミーティング)」という、若手職員が部署横断でチームを作り、市の課題解決に取り組むプロジェクトのような機会もあります。民間企業のプロジェクト型ワークに近い進め方をしていて、若手の意見も積極的に取り入れてくれる土壌があります。

 

長続:働き方の面でも、想像以上に柔軟ですよね。多忙な時期は残業も発生しますが、それでも月30時間前後。民間時代の不動産業界に比べれば、ワークライフバランスは格段に良くなりました(笑)。

 

:有給休暇も非常に取りやすいですし、男性職員の育児休業取得率も100%を達成しています。リモートワークや時間単位の休暇制度も整っているので、家族の事情に合わせて柔軟に働いている職員が多いのも心強いですね。

 

大人になって気づいた、豊岡というまちの深い魅力

 

ー再び豊岡で暮らし始めて、改めて気づいたまちの魅力はありますか。

 

長続:高校生までの頃は知らなかった美味しいお店や、豊かなアクティビティがたくさんあることに驚きました。大人の目線でまちを巡ってみると、豊岡は本当にポテンシャルの高い場所だと実感します。また、仕事を通じて事業者さんの熱い思いに触れるたび、このまちのことがもっと好きになっていきますね。

 

木村:私は最初、車での移動に不安があったこともあり、都会に比べて不便ではないかと感じていました。でも実際に生活してみると、豊かな自然に囲まれた日常がありつつ、必要に応じて電車で大阪や神戸にもアクセスできる。

この「ちょうどいい距離感」が、今の私にはとても心地いいんです。全てを豊岡で完結させる必要はなく、都会の良さも取り入れながら、拠点として豊岡を選ぶ。そんな暮らし方が気に入っています。

これからの挑戦を、共に歩む仲間へ

 

ー最後に、これから地方自治体への転職を考えている方へ、メッセージをお願いします。

 

木村:豊岡市役所は、個々の職員の成長を応援してくれる環境が整っています。女性管理職も増えていますし、キャリアデザインに関する制度も体系化されています。「市役所だからこうあるべき」という固定観念を捨てて、自分の経験をどうまちに還元できるかをワクワクしながら考えられる方なら、きっと楽しく働けるはずです。

 

長続:民間での経験は、どんな形でも必ず公務員の仕事に活かせます。伝統を守りつつも、新しい価値を創り出そうとしている今の豊岡には、挑戦できるフィールドが無限に広がっています。「自分の仕事でまちを変えたい」という情熱を持った方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

 

ー本日はありがとうございました。 


取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年03月取材)

インタビューを通じて最も印象的だったのは、お二人が自分たちの生活も大切にしながら、市役所という新たなフィールドで見事に活躍している姿でした。 Uターンや転職を検討している方にとって、お二人の歩みは大きな希望となるはずです。

 

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