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にかほ市役所

にかほ市は、秋田県の南西部に位置し、鳥海山に抱かれた農業と電子部品製造業が集積する工業を基幹産業に、日本海の恵みを生かした漁業、豊かな自然と貴重な歴史・文化遺産に支えられた観光など、豊富な資源に恵まれた風光明媚でコンパクトな市です。 「にかほが一番」と一人でも多くの市民が自信と誇り、愛着を持って暮らしていけるよう、「夢あるまち 豊かなまち 元気なまち 住みたいまち にかほ」の基本理念のもと、その実現に向けて地域住民、行政、企業などが手を取り合ってまちづくりに取り組んでいます。

「地元が好き」その想いを原動力に。若手職員が窓口の最前線で見つけた、にかほ市への恩返しと働く喜び

にかほ市役所

2026/05/07

「都会への憧れ」と「地元への愛着」。進路に悩む学生なら誰もが一度は抱く葛藤を、田中さんは自分らしい形で解決しました。高校卒業後、新卒で秋田県にかほ市役所に入庁した田中さんは、現在、市民サービス班の窓口対応を担当しています。

当初は「県外へ出てみたい」という漠然とした気持ちを抱いていた田中さん。しかし、恩師の助言や自らの適性を見つめ直す中で、選んだのは「大好きな地元に貢献する」という道でした。入庁から約1年。住民票の発行から保険、年金の手続きまで、多岐にわたる業務に奮闘する日々の中で、彼女が見つけた「公務員」という仕事のリアルな魅力とは何なのか。

若手の視点で語られる、職場での温かな人間関係、窓口で交わされる言葉の重み、そしてこれからのにかほ市への想い。進路に悩む学生や、地方自治体で働くことを検討している方へ、一歩踏み出す勇気をくれる等身大のインタビューをお届けします。

 

 


「都会への憧れ」から「地元への貢献」へ。

ー田中さんは高校を卒業してそのまま入庁されたとのことですが、ずっと公務員を目指していたのですか?

 

田中:実は、最初から公務員を目指していたわけではないんです。高校1年生の頃からずっと、「県外に行きたいな」という単純な憧れを持っていて、漠然と県外就職を考えていました。都会へ行ってみたいという想いが強かったですね(笑)

 

ーそこからどのようにして、にかほ市役所を目指すことになったのでしょう。

 

田中:ギリギリまで進路が決まらずにいたのですが、高校3年生の5月頃、所属していたテニス部の顧問の先生に相談したのがきっかけでした。

 

先生から「田中さんの性格や、事務職をやりたいという希望、そして何より『いずれはにかほ市に戻りたい』という気持ちがあるなら、公務員が合っているんじゃないか」と言っていただいたんです。

 

ー先生は田中さんの本心を見抜いておられたのですね。

 

田中:そうかもしれません。私は高校でビジネス会計を学んでいて、簿記やパソコンの検定も積極的に取っていました。そのスキルを活かせるのは事務員だと思っていましたし、外に出たいと言いつつも、やっぱり地元のにかほ市が大好きだという気持ちが根底にあったんです。

 

先生に言われて、「確かに公務員がいいかも!」と決心し、そこから急いで対策を始めました。

模試で知った「実力」。最短距離で駆け抜けた試験対策

ー5月から対策を始めたとなると、かなり短期間での準備だったのですか?

 

田中:はい、周りに比べるとかなり遅いスタートでした。公務員試験は勉強する範囲が本当に広いので、どこから手をつければいいのかすごく苦戦しました。

 

私は勉強があまり得意な方ではなかったので、毎日必死でした。

 

ーその苦労を振り返ってみて「これはやっててよかった」と思うことはありますか?

 

田中:模試を早めに受けたことですね。実は最初の模試はD判定で、これはまずいぞと本当に焦ったんです(笑)

 

ただ、同時に自分の苦手な部分が明確になったので、そこから重点的に勉強することができました。これから受験を考えている人に何かアドバイスができるとしたら、「少しでも興味があるなら、まずは一度模試を受けて自分のスタートラインを確認してほしい」ということですね。

 

ー面接試験ではどのようなことを意識されていたのでしょうか?

 

田中:地元のにかほ市だからこそ伝えられる魅力や、自分がどう貢献したいかを一生懸命考えました。面接官の方が多く、最初は雰囲気に圧倒されましたが、皆さんすごくラフに接してくださって、リラックスして地元の話をすることができました。

 

窓口は「街の最前線」。想像以上に幅広く、奥深い業務の日々

ー現在の所属と、具体的な仕事内容を教えてください。

 

田中:総務部の税務課市民サービス班に所属しています。

 

主な業務は窓口対応で、住民票や戸籍の発行、転入・転出の手続き、そして保険や年金関係の手続きなどを行っています。

 

ー保険や年金も担当されているのですね。「窓口対応」といっても覚えることが多いのではないでしょうか。

 

田中:そうなんです。入庁前は、窓口といえば「住民票を発行する場所」というイメージを持っていたのですが、実際に入ってみると本当に幅広い業務を行っていて驚きました。

 

最初の頃は、次から次へと新しいことを覚えなければならず、かなり苦戦しましたね。

 

ー実際に窓口に立ってみて、市民の方と接する中で感じることはありますか?

 

田中:私は地元の庁舎に勤めているので、窓口に知り合いやその親御さんが来られることも多いんです。最初は少し不思議な感覚でしたが、今では知り合いの顔を見ると「安心するな」と感じるようになりました。

 

もちろん、知り合いであっても言葉遣いや敬語には人一倍気を使わなければいけないので、そこは自分なりに勉強を重ねています。

「ブラザー・シスター制度」が支えた、社会人1年目のスタート

ー高校を出てすぐに社会人になることへの不安はありましたか?

 

田中:すごくありました。学生の頃と違って自分の仕事には大きな責任が伴いますし、失敗してしまった際にも「謝れば済む」というものではない重みを感じていました。

 

でも、にかほ市役所には「ブラザー・シスター制度」があって、年の近い先輩が教育係として付いてくださるんです。

 

ーそれは心強いですね。どのようなサポートを受けたのですか?

 

田中:私には4歳上の先輩が付いていました。業務で分からないことがあれば何でもすぐに聞ける環境ですし、私の作業を必ずダブルチェックしてから市民の方へお渡しするなど、本当に手厚くフォローしていただいています。

 

ー職場の雰囲気としてはいかがですか?

 

田中:すごくいい雰囲気の中で働くことができていると感じています。

 

皆さん本当に優しくて、私が困っていると「どうした?大丈夫?」とすぐに声をかけてくれます。悩みや不安を一人で抱え込むことなく、安心して1年目を過ごすことができました。

 

入庁するまでは、公務員って「真面目で堅苦しい人」ばかりだと思っていたのですが、実際はすごくラフで温かい方が多く、いい意味でのギャップがありました(笑)

課題を「自分事」として捉え、にかほ市の魅力を発信したい

ー市役所で働き始めてから、地元「にかほ市」への見方は変わりましたか?

 

田中:執務室の目の前に人口増減が表示されているのですが、日々リアルな数字が動くのを見て、にかほ市の人口がこれほどまでに減っているんだということを痛感しました。

 

学生時代は気にしていなかったことですが、実際に数字を目にすると、自分事として大きな危機感を感じるようになりました。

 

ーその危機感から、新しく挑戦したいと思うようになったことはありますか?

 

田中:にかほ市は移住支援や空き家の活用に力を入れています。窓口で市民の方と触れ合う中で、「この街のために自分に何ができるか」を考えるようになりました。

 

将来的には、地元出身の職員として、街の魅力を積極的に発信し、移住者を増やすお手伝いができるような業務にも携わってみたいです。

 

ー窓口対応のやりがいはどのような時に感じますか?

 

田中:婚姻届や出生届など、人生の節目となる大切な書類を無事に受理した時は、「今、自分は公務員として仕事をしているんだ」と強く実感します。何より、市民の方から「ありがとう」とか「あなたに対応してもらえて良かった」と言っていただけた時が一番嬉しいですね。

 

感謝の言葉をいただけるのは当たり前のことではないので、その一言で「やって良かったな」と心から思えます。

 

ー本日はありがとうございました。

 

インタビュー中、田中さんは「人が好き、話すのが好き」と何度も笑顔を見せてくれました。19歳という若さで、責任の重い行政の窓口に立つことは決して容易なことではありません。しかし、発する言葉の一つひとつからは、迷いを乗り越えて地元を選んだことへの確かな誇りが感じられました。

「にかほ市のために何ができるか」。その問いに対する田中さんの答えは、日々の窓口での丁寧な対応という形で既に現れています。温かな先輩たちに見守られながら成長し続ける存在は、これからのにかほ市を照らす明るい光になるはずです。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)

 

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