27年間のまちづくりコンサルタント経験を経て、50歳で貝塚市役所の門を叩いた鈴木さん。
学生時代から抱き続けてきた「行政の立場でまちづくりに携わる」という夢を叶えるため、人生の節目で大きな一歩を踏み出しました。
行政ならではの責任の重さと、それを支える温かな仲間の存在。民間経験者だからこそ語れる、土木職としての真のやりがいと貝塚市ならではの働く魅力をたっぷりと伺いました。
50歳、夢を諦めないための大きな決断
ーまずは、鈴木さんのこれまでの経歴を教えてください。
鈴木:出身は大阪府の高石市です。前職は、いわゆる「まちづくりコンサルタント」の会社で約27年間、一筋に勤務していました。まちをどう良くしていくか、ハード・ソフト両面から提案する仕事です。
非常に充実していましたが、心のどこかにずっと、学生時代から抱いていた「将来は行政側で、自分の手でまちを動かしたい」という想いが消えずにありました。
ー27年という長いキャリアがありながら、なぜこのタイミングで公務員を志したのですか?
鈴木:前職もやりがいのある仕事ではあったのですが、「このまま今の場所で定年を迎えるのかな」と考えた時、どうしても若い頃からの夢が頭をよぎりました。
周りからは「今さら公務員なんて……」と驚かれることもありましたが、今挑戦しなければ一生後悔すると思ったんです。
自分の力をつけ、人脈も広げ、満を持しての「最後のチャンス」だと自分を奮い立たせました。
ー数ある自治体の中で、貝塚市を選んだ理由は何ですか?
鈴木:同じ泉州地域として馴染みがあったこともありますが、何より貝塚市の「規模感」が自分には一番合っていると感じました。
大きすぎず、小さすぎない。だからこそ、職員一人ひとりの裁量が大きく、自分の仕事がまち全体にどう影響しているかが見えやすいんです。
私のタイミングで、年齢制限などの条件が合致したのも、何かの縁だと思っています。
ー実際に転職するにあたって、不安はありませんでしたか?
鈴木:もちろんありましたよ。正直なところ、給与面などの金銭的な不安はゼロではありませんでした。
また、若い同僚たちとうまくやっていけるのかなど、周りの職員とのコミュニケーションや人間関係は不安でしたね。
しかし、戸惑いと不安を払拭してくれたのは、妻の「チャレンジしてみては」の一言で勇気をもらいました。

下水道推進課での日々:計画から現場まで
ー現在はどのような業務を担当されていますか?
鈴木:下水道推進課の計画グループに所属しています。
浸水対策工事全般をはじめ、近年の激しい雨による浸水被害を防ぐための「雨水管理総合計画」の策定や、それに伴う条例の制定、ウォーターPPPの立ち上げ、地域インフラ群再生戦略マネジメントの推進など、まちの未来を描く「計画」の部分が今のメインです。
ーそれはかなり幅広い業務ですね。その中でも、特に印象に残っている業務は何ですか?
鈴木:やはり、昨年策定に関わった「雨水管理総合計画」ですね。
市民の方々の安全に直結する非常に重要な計画ですが、さらにそれに伴って、自分たちの手で「条例」まで作り上げました。
公務員になるまでは条例を深く意識することはありませんでしたが、実際に制定してみると、市民生活だけでなく、貝塚市に携わる多くの民間事業者さんにとっても一つの大きな指針になるのだと痛感しました。
入庁時の面接で市長に「影響力のある仕事がしたい」と伝えたのですが、まさにこの業務は「自分の仕事がまち全体に反映され、大きな影響を与えていく」という実感を得られるものでした。
これまでのキャリアを活かしつつ、コンサルタント時代には味わえなかった「当事者としての手応え」を感じられた、非常に思い入れの強い仕事です。
ー他にも鈴木さんが携わったプロジェクトはありますか?
鈴木:小学校で不要になった「浄化槽」の再利用プロジェクトにも携わりました。
下水道の整備が進むことで役目を終えた大きな浄化槽を、そのまま壊すのではなく、雨水を貯める施設として活用する計画です。
これには市長や教育長からの提案もありましたが、実際の活用方法については小学校の児童たちから意見をもらいました。
「子どもたちが自由な発想で描く未来や夢を、どうにかしてこの公共施設の中に組み込めないか」――。そう考えながら進める時間は、本当にやりがいがありました。
市民の皆さんに寄り添い、その声を形にしていく。これこそが、行政の仕事の醍醐味だと感じた瞬間でしたね。

公務員としての「手応え」と、逃げられない「責任」
ー民間企業での経験は、今の仕事にどのように活かされていますか?
鈴木:前職のコンサルタント時代、国から「ウォーターPPP(公民連携)」という施策が打ち出された当初から、各自治体への技術提案や技術営業を数多くこなしてきました。
当時は外側から手法を「提案する側」でしたが、今は貝塚市の職員として、その施策を実際に中から「推進する側」に変わっています。
民間の提案の裏側や意図がわかるからこそ、行政としてどう舵取りをすれば事業がスムーズに進むのか、その【実務的な感覚】をそのまま今の仕事に活かすことができています。
ー逆に、公務員になって感じた「難しさ」はありますか?
鈴木:行政ならではの独特なルールや、議会対応などはやはり慣れるまで苦労しました。50歳という年齢もあって、新しい決まりを覚えるスピードは若い子に負けますからね(笑)。
でも、行政には民間の仕事のような「一つの案件が終われば完了」という明確なゴールがないんです。
市民生活の安定のために、一生終わることのない改善を続けていく。その継続性が、公務員の仕事の難しさであり、尊さだと思っています。
ー入庁前と後で、公務員に対するイメージの変化はありましたか?
鈴木:外から見ていた時は、正直「9時から17時で淡々とこなす仕事」というイメージがどこかにあったかもしれません。
でも、中に入って驚いたのは、みんな本当に責任感を持って必死に頑張っているということです。
自分の行動がダイレクトに市民の方々の生活に直結するから、中途半端なことはできない。組織で動くと言いつつも、意外と「個人の力」と「責任感」に支えられている部分が大きいのが、一番のギャップでしたね。

理想の職場環境と、充実したプライベート
ー職場の雰囲気について教えてください。
鈴木:良いことばかりを言うと逆に信憑性が薄れるのであまり言いたくないのですが、残念ながら職場の雰囲気はすごく良いんですよ(笑)。
特に印象に残っているのは、入庁してすぐの1月に私の誕生日があったのですが、まだ右も左もわからない私のために、課の同僚たちが誕生日会を開いてくれたんです。
これには本当に驚きましたし、新しい環境に飛び込んだ自分の背中を、温かく押してもらったような気がして、今でも大切な思い出です。
ー同僚とのコミュニケーションも活発なのですね。
鈴木:はい。ざっくばらんに何でも話せますし、困った時には部署を越えて助け合う文化があります。
先ほどの条例制定の時も、他部署の方からたくさんの意見や助けをいただきました。お互いを尊重し合うアットホームな職場だと感じています。

ーワークライフバランスについてはいかがですか?
鈴木:休みは非常に取りやすい環境だと感じています。自分でスケジュールを管理して仕事を進めるのが大前提ですが、課長からも「しっかり休め」と背中を押されるくらいです。
私はキャンプが趣味なのですが、平日に休みをいただいて子どもと一緒にキャンプに行くこともあります。
残業についても、計画策定や条例制定が重なる時期は2〜3ヶ月ほど忙しくなりますが、それ以外は定時近くで帰れる日も多く、オンとオフの切り替えを自分でしっかりコントロールできています。
未来の仲間へのメッセージ
ー最後に、採用を検討されている方へメッセージをお願いします。
鈴木:貝塚市は、一人ひとりの職員が主役になれる自治体です。若手からベテランまで、幅広い年齢層がそれぞれの強みを活かして働いています。
また、転職者も多いので、「馴染めるかな」という不安は必要ありません。
民間での経験は、どんなことでも必ず行政の仕事のヒントになります。あなたの培ってきたスキルを、このまちの未来のために使ってみませんか?
ぜひ安心して、貝塚市の門を叩いてください。一緒に働けるのを楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
50歳という大きな転換期に、笑顔で「夢を叶えた」と語る鈴木さんの姿は、まさに【カッコいい大人の姿】そのものでした。
そして、お話の随所に見られたのは、技術職としてのプロ意識と、それ以上に「人のために」という温かな眼差しでした。
入庁前は人間関係に大きな不安を抱えていたとのことでしたが、貝塚市役所の温かな雰囲気はそんな不安をすぐに払拭してくれました。新しい一歩を踏み出す勇気を、優しく包み込んでくれる場所がここにはある。そんな安心感に満ちた取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)



