尼崎市職員厚生会で働く川﨑さんと、事務局長の榎並さんのインタビュー記事です。尼崎市役所約4,000人の職員の福利厚生を一手に担う当組織は、市役所とは独立した法人として、現在はわずか5名で運営されています。昨年度、17年ぶりに行った採用活動では、多くの応募がありながらも最終的に「採用者なし」という重い決断を下しました。なぜ一人の採用にも至らなかったのか。そして今、どのような人材を必要としているのか。動画での対談そのままに、お二人の飾らない言葉をお届けします。
尼崎市役所を裏側で支える、5人の「独立した組織」
ーまずは尼崎市職員厚生会がどのような組織なのかを改めて教えてください。
川崎:まず私たち尼崎市職員厚生会の立ち位置ですが、私たちは「一般財団法人」という法人格を持っており、尼崎市役所本体とは別の独立した組織になります。勤務場所は市役所の庁舎内ですが、市役所の職員が人事異動で私たちの組織に来るということはありません。
独自の採用を行い、現在は私を含めた5名のスタッフで運営しています。内訳は事務局長が1名、正規職員が2名、非正規職員が2名という非常にコンパクトな体制です。
私たちの役割は、一言で言えば尼崎市役所で働く約4,000人の職員の皆さんの福利厚生を支えることです。
―どのような業務をされているのですか
川崎:主な業務は大きく分けて2つあります。一つは尼崎市から委託を受けている「共済業務」で、健康保険の手続きなどがメインです。もう一つが「福利厚生事業」で、これは職員の皆さんの健康管理やリフレッシュを目的とした様々なメニューを私たちが企画・運営しています。
市役所という大きな組織を支える、独立した「中小企業」のようなイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。少人数だからこそ、一人ひとりの仕事が組織の運営に直結している実感を得やすい職場だと思います。

野球観戦チケットからイベント企画まで、職員の笑顔を創る仕事
ー具体的な福利厚生のメニューには、どのようなものがあるのでしょうか。
川崎:職員の皆さんの健康面では、人間ドックの受診補助やインフルエンザの予防接種助成などを行っています。また、リフレッシュの面ではプロ野球の年間予約席を確保しており、チケットを職員に提供しています。兵庫県ですから、県内の球団のチケットは非常に人気で、毎回のように抽選や争奪戦になるほどです。他にも映画の割引チケットの配布や、様々なイベントの実施などを行っています。
ーそうしたイベントは、自分たちで企画できるのですか。
川崎:どのような内容にすれば職員の皆さんが参加しやすいか、喜んでくれるかを自分たちで考えることもあります。実施後のアンケートで「楽しかった」という声を直接いただけたときは、この仕事をしていて良かったなと感じる瞬間ですね。
市から「こういうことをしてほしい」という要望を受けることもあれば、私たちの方から新しい企画を提案することもあります。5人という少人数の組織ですから、良いアイデアがあればすぐに相談して形にできるスピード感と裁量があるのは、私たちの組織ならではの魅力ではないでしょうか。

昨年度「採用者なし」という重い決断を下した真意
ー昨年度、17年ぶりという久々の採用活動を行われました。結果として、多くの方から応募があったにもかかわらず「採用者なし」とされましたが、そこにはどのような理由があったのでしょうか。
川崎:昨年度はパブリックコネクトを通じて多くの方にご応募いただきました。オンラインで直接お話しをさせていただいた方々も、皆さん非常に優秀で熱意のある方ばかりでした。しかし、最終的に採用を見送るという判断をしたのは、私たちの伝え方が不十分だったために、私たちが今、真に必要としている「中核を担う役割」との間にミスマッチが生じてしまったからです。
榎並:私たちが今探しているのは、将来の厚生会を支えるパートナーであり、ゆくゆくは組織を引っ張っていってくれるリーダー候補です。
たとえば我々は10数年経つと、定年退職を迎る職員が出てきます。その時、この厚生会を背負い、組織の運営全般を把握して自ら動かせる人がどうしても必要です。今の5名のメンバーは皆、今の体制を維持することに精一杯な部分があります。だからこそ、今回はあえて「中核となってほしい」という想いを強く打ち出し、妥協のない採用を行いたいと考えています。
組織をアップデートするための「デジタル化」への挑戦
ー今回、特に期待されているスキルや課題はありますか。
川崎:情報のデジタル化、これが組織として避けては通れない最優先の課題です。正直に申し上げて、私たちの業務フローは、申請手続きの多くが紙ベースであったり、手作業での管理であったりと、非常にアナログな部分が多く残っています。今の時代に合わせて、ホームページの運営や新しいシステムの導入など、業務をより効率的で使いやすいものにアップデートしていく必要があります。
今いるメンバーだけでは新しい技術を積極的に取り入れて変革していくには限界があります。ですから、デジタルツールに対して苦手意識がなく、「もっとこうすれば便利になるのに」と自ら考え、改善案を出して実行していける方を強く求めています。特別な資格は必要ありません。あなたのその意欲が、組織のあり方を大きく変える力になります。

安定した公務員基準の土台と、少人数ならではのやりがい
ー働く環境や待遇面についてはいかがでしょうか。
川崎:待遇面については、基本的には尼崎市の職員の基準に準じています。勤務時間は8時45分から17時30分までで、土日祝日は完全に休みです。夏季休暇や年次有給休暇、育児休暇なども、市の職員と同様に取得することができます。福利厚生を支える立場の私たちが、一番健康で充実した働き方をしていなければならないと考えています。
公務員並みの揺るぎない安定感という土台があるからこそ、安心して組織改革という大胆な挑戦ができる。これは、大きな民間企業や、あるいは市役所の本庁の一部門として働くのとは違う、厚生会という独立した少人数組織ならではの非常にユニークな立ち位置だと思います。
2026年6月1日、たった一人のパートナーに今度こそ出会いたい
ー今後の採用スケジュールについて教えてください。
川崎:2026年6月1日からパブリックコネクト上でエントリー受付を開始し、10月1日の採用を予定していますが、場合によってはより早い入職も相談可能です。選考はエントリーシートによる書類審査の後、オンライン面接とSPI試験、そして最終的には直接お会いしての対面面接を行う予定です。
―改めて、どういった方を求めていますか?
川崎:一つだけ。これは私たちの組織の願いでもありますが、何よりも自分自身の「健康」を大切にできる方であってほしいと思います。元気な姿でお会いし、これからの厚生会を共に創っていける方をお待ちしています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年04月取材)
「採用者ゼロ」という結果を、自らの「伝え不足」として真摯に受け止め、再挑戦されるお二人の誠実な姿が印象的でした。4,000人を支える5名のチームにおいて、新しく入る一人は単なるスタッフではなく、組織の未来を左右する「中核」そのものです。 安定した身分保障という確固たる土台の上に立ちながら、自らのリテラシーや改善意欲で、古い組織をアップデートしていく。そのダイナミズムを「自分事」として楽しめる方にとって、尼崎市職員厚生会は、自分の存在価値をこれ以上ないほど大きく感じられるステージになるはずです。



