福島県いわき市の広大な土地を舞台に、市民の「当たり前」の日常を支える技術職の人々がいます。今回お話を伺ったのは、2019年に入庁し、現在は農林水産部農林土木課で活躍する酒井さんです。
いわき市の縁の下の力持ちとして、日々どのような想いで現場に向き合っているのか、民間企業から転職した視点も交えて等身大の言葉で語っていただきました。
- 現場の声に耳を傾け、農業の基盤を築く日々
- 民間と公務員、形は違えど目指す「社会貢献」は同じ
- 足で稼いだ53km。達成感を覚えた「いわき七浜海道」の整備
- 「個人を置き去りにしない」というチームの安心感
- 未来の仲間へ。あなたの経験は、市役所で輝く「武器」になる
現場の声に耳を傾け、農業の基盤を築く日々
ーまず、酒井さんが現在担当されている「農林土木課」での業務内容について教えてください。
酒井:私たちの課は3つの係に分かれています。1つ目は私が所属する農業土木係で、水田に水を引くための水路や農道の補修・整備、ため池の管理などを行っています。2つ目は森林土木係で、林道の開設や改良・補修、山の崩壊を防ぐ治山事業などを担います。
そして3つ目が管理係で、予算の管理や当課で所管している土地の管理などを行っています。
ー具体的に、どのようなスケジュールで1日を過ごされているのでしょうか。
酒井:朝はまずメールや書類のチェックから始まります。10時頃からは設計書や図面の作成といったデスクワークに集中し、午後からは現場に出ることが多いですね。
地域の区長さんと一緒に補修が必要な箇所を直接確認し、夕方に帰庁してから資料の整理や翌日の準備を整える、というのがよくある1日の流れです。

民間と公務員、形は違えど目指す「社会貢献」は同じ
ー酒井さんは民間企業での経験もお持ちですが、市役所の仕事の進め方に違いを感じることはありますか?
酒井:実は、仕事の進め方そのものに大きな違いはないと感じています。民間・市役所問わず、どの事業もPDCAサイクルやOODAサイクルといった、計画から実行、改善までを念頭に進める仕事が多いからです。
ただ、その「役割」には明確な違いがあります。民間企業は利益を上げ、会社の成長を通じて社会に貢献しますが、市役所は市民の暮らしを維持・向上させるサービスを提供すること自体が役割です。
アプローチは異なりますが、最終的に社会に貢献するという点では共通していると思います。
足で稼いだ53km。達成感を覚えた「いわき七浜海道」の整備
ーこれまでのお仕事の中で、特に心に残っているプロジェクトを教えてください。
酒井:入庁して最初に配属された土木部土木課(現:土木政策課)で担当した、自転車道路「いわき七浜海道」の整備が一番印象に残っています。
勿来から久之浜までの海岸線を通る全長約53kmのルート上で、走行者から見て看板が適切な位置にあるか、危険な箇所はないかを、担当者全員で何度も確認しました。利用者の目線で検討する必要があったので、自転車や徒歩でひたすら確認する毎日でしたね。
大きなプロジェクトで、且つ自分の足で確認を行ったということもあり、無事に全線開通を迎えた時の達成感と嬉しさは今でも忘れられません。


ーその後、他県への災害派遣も経験されたとお聞きしましたが、どちらに行かれたのでしょうか?
酒井:令和6年度に2ヵ月間、秋田県由利本荘市へ派遣職員として赴任しました。そこでは農地災害の調査や設計を行いましたが、いわき市とは異なる業務プロセスや、その土地の風土に根ざした物事の捉え方を学ぶことができました。
こうした「自治体ごとの違い」を肌で感じ、考え方の幅を広げられたのは派遣ならではの貴重な経験でしたね。
「個人を置き去りにしない」というチームの安心感
ー職場の雰囲気についても伺いたいのですが、悩みなどを相談しやすい環境ですか?
酒井:私が所属する農林土木課は、何か困りごとがあったらすぐに相談できる、非常に風通しの良い職場です。
経験豊富な上司や同僚から技術的なアドバイスをもらいやすいのはもちろん、誰かが困っていればみんなで解決策を考える「個人を置き去りにしないチームワーク」が浸透しています。

未来の仲間へ。あなたの経験は、市役所で輝く「武器」になる
ー最後にいわき市で働くことを検討されている方へメッセージをお願いします。
酒井:民間企業から転職する際、自分の知識が通用するか不安になることもあると思います。しかし、民間で培った経験は、市役所では経験できない貴重な視点であり、入庁後に大きな武器になります。
市役所はどうしても保守的な考えに陥りやすい傾向がありますが、そこにあなたの新しい視点や多角的な視点を加えることで、サービスをよりブラッシュアップできるはずです。
いわき市役所には民間出身者も多く、働きやすい環境が整っていますので、ぜひ一歩踏み出していただきたいですね。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)



