東京都北区役所で働く服部さんのインタビュー記事です。営繕課で機械技術職として活躍する服部さんは、岐阜県出身で名古屋の大学を経て入庁した13年目の中堅職員。なぜ民間企業ではなく公務員を選んだのか、そして「機械職」として自治体で働く面白さとは何なのか。
ご自身の結婚や育児休業取得といったライフイベントのお話も交えながら、北区ならではの働きがいと魅力について語っていただきました。
公務員という選択と、北区を選んだ戦略的な理由
ー服部さんのこれまでのご経歴と、北区役所に入庁されたきっかけを教えていただけますか。
服部:岐阜県出身で、大学で機械工学を専攻し卒業と同時に上京し、北区役所に入庁しました。現在13年目です。もともと母が地元の岐阜で公務員をしており、その働く姿を見ていて漠然と興味を持っていました。
ーなぜ「北区」を選ばれたのですか?
服部:長く東京で働くうえで、都内に住み続けるのは難しいだろうと考えていました。そこで、東京への通勤利便性が高い埼玉県で将来住むことを見据えて、埼玉からの玄関口である「北区」がベストだと判断しました。
また、北区自体がコンパクトな都市でありながら、必要な機能が凝縮されている点にも魅力を感じ、ここで腰を据えて頑張ろうと決めました。昨年結婚しまして、現在は計画通り埼玉に住居を構えています。やはり家賃相場や物価などを加味すると、生活コストを抑えつつ快適に暮らせているので、学生時代に想定していたライフプランとほぼ同じ形で実現できています。北区は交通の便が本当に良いので、埼玉からの通勤も非常にスムーズですし、公私ともに充実させやすい環境だと実感しています。

「機械職」の専門性とは? 建物に命を吹き込む仕事
ーこれまでのキャリアパスと具体的な業務内容について教えてください。
服部:入庁して最初の3年間は現在の営繕課に所属し、その後、総務課の庁舎・車両管理係で本庁舎の管理を4年、教育委員会の学校改築施設管理課で学校施設の維持保全や計画事業に2年携わりました。そして再び営繕課に戻り、現在4年目になります。
公共施設の工事における設計、積算、現場監督が主な業務で、現在の営繕課では、区が保有する多くの施設の保全業務や、老朽化した設備の改修、施工管理などを行っています。
例えば、建物の設計そのものは「建築職」が担いますが、建物の中にある給排水設備や空調設備といった、いわば建物の機能を維持するためのコアな部分は我々「機械職」が担当します。さらに、コンセントや照明器具などの電気設備に関しては「電気職」が担当します。
ー「機械職」が扱う設備について、もう少し具体的なイメージを教えていただけますか?
服部:学校を例に挙げると分かりやすいと思います。校舎という「建築」の中に付帯する設備として、換気設備、トイレの給排水衛生設備、調理室の給湯器や水回り、廊下の手洗い、プールのろ過機などがあります。最近では普通教室への空調機(エアコン)の設置も重要な業務です。
これら多種多様な設備について、どのような機器を選定し、どのように配置すれば最適かを設計し、工事の監督や積算を行うのが私たちの仕事です。
ー非常に多岐にわたる設備を担当されるのですね。仕事をする上で、服部さんが特に心がけていることはありますか?
服部:「区民目線・利用者目線」に立つことです。技術者として「これが正しい」と一方的に決めるのではなく、実際に使う人がどう感じるかを想像するようにしています。例えば、施設のエアコンはどの位置に設置すれば利用者が快適に過ごせるか、使い勝手などは常に考えます。
普段の生活でも、自然と建築物のレイアウトを参考にしてしまいますね。そうした気づきを業務にフィードバックし、独りよがりな設計にならないよう意識しています。

コスト意識と提案力、そして忘れられないプロジェクト
ー提案していく自由度はあるのでしょうか?
服部:区民の皆様からお預かりした税金を使う仕事ですので、コストに対してはシビアです。しかし、その中でも専門家として提案できる余地は十分にあります。
例えば、老朽化した設備を更新する際に、最新の省エネ性能が高い機器にすることで、ランニングコストを削減するのか、過剰なスペックを見直してコストカットを図るのか。限られた予算の中で、いかに付加価値の高い施設を提供できるか、そこが技術職としての腕の見せ所だと感じています。
ーこれまでの業務の中で、特に印象に残っている仕事やプロジェクトはありますか?
服部:総務課にいた頃に担当した「メモリアルフォトスポット」の設置プロジェクトが印象に残っています。これは、婚姻届などを提出するために来庁された方に向けて、記念撮影ができる場所を庁舎内に作ろうという企画でした。
設置場所の選定、照明設備ひとつでも大切な思い出となりますので、様々な工夫を凝らしました。

ーそれは素敵ですね! まさに区民の人生の節目に関わるお仕事です。
服部:他部署とも協力し、チーム一丸となって作り上げたプロジェクトでした。実際に設置された後、幸せそうな笑顔で写真を撮っている区民の方々の姿を見たときは、「やってよかった」と心から達成感を感じました。
SNSなどで利用されている様子を見かけると、やはり嬉しいですね。直接的なインフラ整備だけでなく、こうした形で区民の喜びに直結する仕事ができるのも、この仕事の醍醐味だと思います。
専門職同士のチームワークと、若手を育てる環境
ー仕事のやりがいについてもお聞かせください。
服部:やはり、自分の専門性を活かして「価値」を生み出せる点に尽きます。特に私が所属する営繕課は、建築職、電気職、そして機械職が同じフロアに席を並べて仕事しています。
一つの建物を建設・改修というプロジェクトに対して、建築が音頭を取りつつ、電気と機械がそれぞれの専門知識を持ち寄って1つのチームとして動きます。物理的にも距離が近いのでコミュニケーションが取りやすく、お互いの意見を尊重しながら一つのものを作り上げていく一体感があります。横のつながりはもちろん、係の中での縦のつながりも強く、風通しの良い職場環境だと感じています。
ー現在13年目ということで、後輩を指導する立場でもあるかと思います。新人職員への接し方で意識されていることはありますか?
服部:自分が1年目のときに何に躓いたか、どこが分からなくて苦労したかを思い出し、先回りして教えるようにしています。いきなり「やってみて」と投げるのではなく、業務のプロセスや根拠をしっかり伝えることで、若手が安心して成長できる環境を作りたいと思っています。

育休取得で見えた、ワークライフバランスの充実
ー働きやすさについてもお伺いします。残業や休暇の取得状況など、ワークライフバランスはいかがですか?
服部:忙しい時期は集中して残業することもありますが、落ち着いている時期には有給休暇を取って旅行に行くなど、メリハリをつけて働ける環境です。年間を通して見通しが立ちやすいので、プライベートの予定も組みやすいですね。
また、今年の6月に第一子が生まれまして、その際に育児休業を取得させていただきました。男性職員の育休取得でしたが、職場の理解も深く、スムーズに取得することができました。
当時抱えていた担当業務も、工事に向けての調整などで佳境に入っていましたが、チームのメンバーがサポートしてくれたおかげで、業務に支障をきたすことなく育児に専念する期間を持てました。復帰後も、仕事と家庭の両立はうまくいっていると感じています。こうした制度が形だけでなく実際に活用できる雰囲気があるのは、北区役所の大きな魅力の一つだと思います。

ー本日はありがとうございました。
インタビューを通じて特に印象的だったのは、服部さんの戦略的な人生設計です。「将来の生活拠点」も見据え、その最適解として北区を選んだというエピソードがそれを象徴しております。
一方で、仕事の話になると区民の喜びに直結するプロジェクトを楽しそうに語る姿が心に残りました。冷静な視点と、公務員としての熱い奉仕の精神。その両方をバランスよく持ち合わせている服部さんのような職員が活躍している北区役所が、非常に魅力的なフィールドだと感じました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年11月取材)



